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薬傷

ドキュメント内 学校医委員会/諮問 (ページ 41-44)

液体が眼に入った場合は、アルカリ性かどうかが最大のポイントとなる。

アルカリ性の液体はタンパク質を変性させ、眼障害が非常に強くなるため、その場でで きるだけ早く、大量のきれいな水(できれば生理的食塩水だが、無い場合は水道水でもか まわない)で十分洗い流すことが必要である。

アルカリ性以外の液体の場合も、同様にきれいな水で洗い流す。最低でも 4~5 分は洗

い続け、その間に眼科へ連絡を入れる。受診先が決まり、洗眼が終わってから眼科を受診 するようにする。眼を洗わずに眼科受診を急ぐのは、かえって良くない。

気をつける必要があるのが、消石灰による事故である。過去には運動場のライン引きに使 われていたが、強アルカリのため、眼に入った場合は強い眼障害を引き起こして失明に至る ことすらあるため、平成19年からは炭酸カルシウムを使用するように指導されている。

4.コンタクトレンズによる眼障害

(1)オルソケラトロジー

オルソケラトロジー(以下、オルソKと略す)は、就寝時の特殊なハードコンタクトレ ンズ装用による近視矯正法で、近視が治るわけではなく、あくまでも日中の裸眼視力の向 上を目的として使用されている。

小児のアカントアメーバ角膜炎などの重篤な角膜感染症の報告もあり、就寝時装用によ る角膜への酸素不足、角膜内皮細胞の減少などの影響を含めて、視機能の未熟な子どもへ の使用は避けた方がよい。また、オルソKのレンズは酸素透過性が高く、内面が多段カー ブとなっており、非常に汚れやすいため取り扱いが難しい。このため、自己責任が取れな い子どもたちへの使用が危惧される。

全児童生徒に対するコンタクトレンズ使用者の割合は、小学生で 0.2%と、コンタクト レンズ使用者は決して多いわけではないが、その中でオルソ K の使用率は、平成 18 年 14.3%、平成21年18.9%、平成24年20.4%と増加していることは問題である2)

平成 21 年 4 月に日本コンタクトレンズ学会はガイドラインで、オルソ K の適応を 20 歳以上としている3)。今後適応年齢が 20 歳未満になる可能性は考えられるが、小学生な どの低年齢層に適応が拡大する可能性は少ないと考えられる2

(2)ソフトカラーコンタクトレンズ

高校の眼科健診では、度無しのソフトカラーコンタクトレンズ装用者に数多く遭遇する。

その生徒のほとんどが、自分で勝手に購入したものだという。

ソフトカラーコンタクトレンズも視力矯正用のコンタクトレンズ同様、平成23年11月 から薬事法の規制を受けることになり、許可を受けた販売店でなければ販売できないこと になっている。

ソフトカラーコンタクトレンズは、色素が入った部分の酸素透過性が低下し、角結膜上 皮に直接影響を与えるばかりでなく、劣悪なものでは、こすると色素が落ちてしまうもの もある。色落ちすると表面が凸凹となり、角結膜上皮への機械的刺激を生じやすく、また 微生物の汚れがレンズへ付きやすくなるため、眼障害を起こしやすくなる。学校現場には 美容は不要であり、このようなトラブルを起こしやすいレンズは、自己責任のとれない児 童生徒には勧められない4)

5.外傷を防ぐために~各種眼鏡による眼球保護~

1996(平成8)年にアメリカ眼科学会(American Academy of Ophthalmology:AAO)

および小児眼科学会が、若年者のスポーツ眼外傷を予防する目的で、十分な強度をもった 眼鏡や眼球保護用ゴーグルの装用を推奨する勧告を発表した5)

通常の眼鏡を使用することができないサッカーやバスケットボールなどのスポーツで は、ソフトコンタクトレンズの装用者が多くなっている。また、小学生ではコンタクトレ ンズの自己管理が困難であり、通常の眼鏡で運動をすることも多い。これらの状態では、

眼球打撲を防ぐことは難しい。眼球打撲の多いスポーツでは、眼外傷を防ぐために、度付 のポリカーボネートレンズを使用したスポーツゴーグルの使用が勧められる6)

また、化学実験などでも、危険度が高い場合には防護用のゴーグル使用が勧められる。

【参考文献】

1)学校の管理下の災害―25:基本統計(負傷・疾病の概況)日本スポーツ振興センター、2012、

http://www.jpnsport.go.jp

2)公益社団法人日本眼科医会学校保健部(宇津見義一、宮浦徹、柏井真理子、山岸直矢、高野繁) 平成24年度学校現場でのコンタクトレンズ使用状況調査、日本の眼科85(3)346-366、2014 3)金井淳、糸井素純、大橋裕一 他:オルソケラトロジー・ガイドライン、日本眼科学会誌113:

676-679、2009

4)宇津見義一:カラーコンタクトレンズについて、学校保健302:6、2013

5)A Joint Statement of the American Academy of Pediatrics and the American Academy of Ophthalmology Protective eyewear for young athletes. Ophthalmology 103 1325-1328,1996.

6)黒坂大次郎:スポーツと眼鏡、あたらしい眼科21(11):1467-1471、2004

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