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表4-2 バイアル回分実験の条件

Vial No. 培養 回分実験 cystein Nél2S -9H2Ü resazurin 基質 基質 (250 mg/I) (250 mg/I) (1 mg/I)

A1 HAc HAc + + +

A2 HAc HAc + +

A3 HAc HAc +

M1 Mix Mix + + +

M2 Mix Mix +

M3 Mix Mix +

(注) 1条件当たり2本のパイアルを用いて実験を行った。

有機物を完全に酸化するために必要な理論的な化学的酸素要求量を表すものとす る)、 経時的に揮発'削旨肪酸(VFA、 Volatile Fatty Acid)濃度、 pH、 ガス生成量、 ガ ス組成、 タンパク質濃度を測定した。 サンプリングおよびガス量の測定にはシリ ンジを用いた。

2・1・3 実験手順および分析方法

バイアル実験のための反応懸濁液の調整方法を図4-3に示す。 まず、 70mlと 35m!のパイアルびんの気相を窒素ガスで置換し、 ブチルゴム栓及びアルミニウム キャップで密栓した(図4-2、 写真4-3)。 完全混合槽から採取した培養液を、 嫌気 雰囲気下で、35mlのバ

イア ル中で遠心分離

し(2100X g、 5分間)、

その上澄水を希釈液 として、 70mlのノてイ アル中で培養液を希 釈した 。 これは、 本 章第3、 4節での活性 微生物量推定 におい て、 初期微生物濃 度

Chemostat

reactor (35ml)Vial

Substrate

を低く設定する必要があるために、 ここでも培養液を希釈して実験を行った。完 全混合槽からの培養微生物の採取および基質の添加などの全ての操作にシリンジ を用い、 微生物が一切空気に触れないよう操作したO なお、 全てのバイアル中に 酸化還元状態指示薬であるレサズリン(1時/1)を添加した。操作・実験中、 レサズリ ンは脱色されており、 常に還元状態が維持されていたことを示していた。希釈水 として用いた上澄水中には緩衝作用が十分あったため、 新たなpHの再調節は不要 であった。バイアル実験開始時のpHは7.0--7.2で、あり、 また、 上澄液中には基質 が残存していないことも確認した。

パイアル回分実験では、 ガスがlml以上生成された時にサンプリングを行なっ た。生成されたガス量をガラスシリンジで測定し、 バイアル内部の懸濁液をlml サンプリングした後、 バイアル内が大気圧となるようにガスを抜いた。その後、

ガス組成分析のためのガスサンプル0.3mlをガスタイトシリンジにより採取 し た。したがって、 サンプリング直後では、 バイアル内部は0.3ml分だ、け負圧状態 となる。懸濁液のサンプルを遠心分離し(2100Xg、 3分間)、 その上澄水をVFA分 析に用いた。遠心分離残澄は一度蒸留水で洗浄・遠心分離し、 上澄水を捨て、 そ の残澄のタンパク質濃度を総括的な微生物量指標として分析した。

VFA分析は、 FID(Flame Ionization Detector)ガスクロマトグラフ法(島津FID Gas Chromatograph GC-8A PF)によった。この際、 FIDのINJ/DET温度を2500C、 COL温 度を140tとした。キャリアガスとして純窒素ガス を、 担体としてShimalite TP A を用いた。懸濁液を遠心分離(2100Xg、 5分間)した後、 上澄液を0.2NのHCIで2倍 に希釈し、 そのサンプルのVFA濃度を測定した。

ガスタイトシリンジにより採取したガスサンプルの組成をTCD(Thermal Con­

ductivity Detector)ガスクロマトグラフ法(島津TCD Gas Chromatograph GC-8A PT) により分析した。TCDのINJ/DET温度を1000C、 COL温度を950Cとした。キャリ アガスとしてアルゴンガスを、 担体としてモレキュラーシーブあるいは活性炭を 用いた。

総括的な微生物量指標としての、 懸濁液中のタンパク質濃度をLowry法により 分析した。タンパク質の標準物質として牛血清アルブミン を用いた。

2-1・4 生成メタンガス量の計算上での留意点

生成されたガス量 およびガス組成から、 生成メタンガス量を計算した。 その 際、 サンプリングによる液相体積の減少に伴うパイアル内気相体積の増加、 ガス 組成分析による気相体積の減少を考慮して、 標準状態(OOC、latm)における正確な 生成メタンガス量を計算した。 また、 懸濁液中に溶存するメタンガス量もヘンリ 一定数(350C、O.0257ml-CH/ml)から理論的に求めて考慮した。 溶存メタンを考慮 した場合、 そ れを考慮しない場合よりもメタン転換率は4--5%高くなる。 さら に、 懸濁液のサンプリングにより本来ならばガスに変換される基質が系外に排除 されていることも考慮し、 初期液相体積を基準にしてメタンガス発生量を補正し た。

2-2 還元剤添加による影響

2-2・1 メタン転換率

酢酸利用メタン生 成細菌に酢 酸 ( HAc) を基質として与えた パイアルNo.A1--A3 におけるメタン転換 率および気相の水素 濃度の経時変化を図 4-4に示す。 システイ ンを添加しなかった パ イ ア ル N O . A 2と

1 .2 3

2

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図4-4 メタン転換率および水素濃度の 経時変化(Vial NO.A

1 ,._

A3)

↓巨J cu

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o

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f可

NO.A3では、 ほとんど水素の蓄積は認められなかったo HAc分解によるメタン生 成過程において水素は関与しておらず、 通常、 水素の生成や蓄積は認められな い。 一方、 システインを添加したパイアルNO.A1では、 著しい水素の蓄積が認め られ、 投入基質であるHAcのメタンへの転換率([回収されたメタンのCOD]j[投与 されたHAcのCOD])も1.0を超え、 1.1に達している。 集積微生物を得るための培 養を行う際、 培養基質中に酵母エキスを添加しており、 そのため集積培養液中に は若干の酸生成細菌や水素生成酢酸生成細菌が存在していると思われる。 した がって、 パイアルNO.A1では、 アミノ酸の一種であるシステインがそれらの微生 物により分解され、 その分解過程において水素が生成されたものと考えられる。

図4・4に示すメタン転換率を計算する際、 投入基質COD成分としてHAcのみしか 考慮していな い。 したがって、 システインが 分解されたと考えられるバイアル NO.A1では、 メタン転換率が1.0を超えていた。実験終了時における、 上澄液のタ ンパク質分析の結果より判断してシステイン(165rq;-CODβ)の約5--6割が分解され ていると推定された。 この分解されたシステインも投入されたCOD成分として考 え、 メタン転換率を計算すると、 約0.96程度となる。 通常、 純粋な嫌気性微生物

1 0

「寸

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Vial No.M1ペ>- �・- 4山円。←×]dh〉

2 0

3 No. M2 _�企m -企・・

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1 2

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口0.8

・叶0

∞0.6

H

20.4 ω

0 U 0.2 の培養あるいは実験

られているが、 混合

いて還元剤としてシ ステインを用いる場 において還元剤とし てシステインが用い

培養系での実験にお

図4-5 その分解による

影響を考慮する必要 がある。

よ〉口、

混合酸( M i x)で培

養された微生物群にMixを投入した場合(パイアルNo_M1--M3)のメタン転換率と VFAの合計値 (HAcとHPr、 n-HBu濃度の合計値)の経時変化を図4-5 に示す。 プロ

ピオン酸(HPr)および酪酸(n-HBu)の分解過程において水素が生成されるため、

し Mixで培養された微生物群の中には水素利用メタン生成細菌が存在している。

たがって、 図示はしていないが、 Mixを投入した場合のいずれの条件下において メタン転換率([メタ しかしながら、

も、 著しい水素の蓄積は認められなかった。

前述の孔生c基質投入の実験結果と ンのCOD]j[MixのCOD])には違いが認められ、

システインをjZ3力日したノてイアルNo.乱11では、 メ 同様な傾向が伺える。 すなわち、

システイン分解によりメタンが生成されたこと タン転換率は1.15に達しており、

基質消費に対する影響 を示している。

2-2-2

酢酸利用メタン生成細菌に酢酸を基質として与えたパイアルNo_A1--A3 におけ る孔生c濃度の経時変化を図4-6に示す。 図中の実線と破線は同一条件下で行なった 2つの実験結果を示す。 還元剤を添加しないもの(パイアルNo.A3)においてHAc消 ついで硫化ナトリウムのみ添加したもの(パイアルNo.A2)、

費速度が一番速く、

1 2

.-,1.0 No・A3

"\

1 0

ロ0.8O

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M ω :> 0 4

O u 0.2

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8 E

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4 c、40

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×

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勺乙

150 200 Time [hours]

図4-6

HAc濃度の経時変化(Vial No.A

1 .._,

A3、

実線と破線は同一条件下で、行った2つの 実験結果を示す)

両方の還元剤を添加したもの(バイアルNo.Al)の)I[貢となった。

次式は、 第3章で求めた動力学的活性微生物量推定式である。

μmt = 1n

XM雪S)Y�..

.(9)

^O

ただし、 μm.最大比増殖速度(h-1)、t:反応時間(hours)、 X:微生物濃度(rrg-COD/

1)、 S:基質濃度(rrg-COD /1)、 yx:増殖収率(rrg-COD/rrg-COD)、 添字0:初期濃度を示 す。

実験条件として、 いずれのパイアル回分実験においても初期微生物濃度X。およ び初期基質濃度S。は同じに設定していることから、 式(9)は、 基質濃度Sをある特 定の値とすることにより、 3条件の回分実験結果に対して式(15)のように変形され る。すなわち、 ある基質濃度Sに到達する反応時間の比は、 3つの条件下での最大 比増殖速度μmの比に等しいことを示す。

Lμ�mん1m仙n

^O

ただし、 添字1:パイアルのNo.(i=Al、 A2、 A3)。

例えば、基質濃度Sが初期濃度S。の1βとなる時間を反応時間Lとし、還元剤を添 加しなかったパイアルNO.A3を基準に 考えると、式( 15)からμmAJμmA3=tA3/

tA1=O.74、μmdμmA3=tA/t心=0.86となる。 したがって、還元剤を添加した場合、最 大比増殖速度が2--3割小さく見積もられる。 前述のようにパイアルNO.A1では、

システイン分解にともない水素が生成されていた。 この際、HAcも同時に生成さ れ、このHAcを経由して最終的にメタンへと分解されたと考えられる。 このHAc 生成により、システイン無添加のものと比較して、その最大比増殖速度は見かけ 上小さくなったものとも考えられるが、図4-4のメタン転換率から明らかなよう に、メタンの生成速度に違いが認められる。 このように、還元剤無添加のものと 比較してメタン生成速度は遅いことから、システイン添加によってなんらかの阻 害を受け、その最大比増殖速度は小さくなったものと思われる。

Karhadk紅ら川ま、硫化物によるメタン生成の阻害は気相中の硫化水素(�S)濃度 に比例して大きくなることを報告している。彼等は、H2S気相分圧が10・1.9 atmで、阻 害が認められ、 その時硫化物無添加のものに比べメタン生成活性は2割程度減少 すると報告している。 本実験においては、バイアルNO.A1とNO.A2において、硫 化ナトリウムを250rr料(1mM)添加しており、また、システイン分子中には硫黄が 含まれている(システイン=250�/l=1.5mM)。 さらに表4-1に示すように投入基質中 の硫酸マグネシウム(7水塩)が硫酸還元作用により還元されていれば、還元剤を投 入しなかったバイアルNO.A3においても、若干の硫化物(O.lmM)の存在の可能性 がある。 硫酸還元反応が全て進行していると仮定し、上記の硫化物濃度をもと に、水中におけるH2Sの平衡式および、ヘンリ一定数(350C、1.839mlfml)から理論的 にpH=7.0でのH2S気相分圧を求めると、硫化ナトリウム及びシステインを添加し た場合(パイアルNo.A1)は10・1.5atm 、硫化ナトリウムを添加した場合(バイアル No.A2)は10-2.oa加、無添加(パイアルNo.A3)の場合は10・3.0atmで、あった。 したがっ て、本実験において、バイアルNO.AlとA2ではH2SによるHAc消費およびメタン 生成に対する阻害が生じたと考えられる。

図4-5に示すように、Mixを投入した場合においても同様で、VFAの消費速度は 還元剤を添加しないもの(パイアルNo.M3)が一番速く、ついで硫化ナトリウムの み添加したもの(パイアルNo.M2)、両方の還元剤を添加したもの(バイアルNo.M1) の順で速いという結果が得られた。

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