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自由視野機能の改良

ドキュメント内 要旨 (ページ 68-71)

本研究において,共同外出感を実現する最も重要な基本要素として「二人それぞれが周囲 を自由に見渡すことができる」が挙がられている.二人が実際に共同外出する時には,お互 いが外出場所の風景を見渡せることは共同外出感において重要且つ不可欠な要素と考えられ る.この基本要素に対し,WithYouシステムで提案したインタラクション手法は「観察者 の自由視野の実現」である.それは,移動者は既に外出環境にいるため,観察者のみ自由視 野を与えれば十分であると我々は考えていた.しかし,WithYouの評価実験を経て,移動 者へ提供する映像情報が少なかったことを気付いた.例えば,「お互いの顔を見ることも重 要ではないか」と被験者よりコメントされ,移動者も観察者が見ている映像を確認できれば 共同外出感も促進されるではないかと我々は考えた.

 これらの議論によって,WithYou2システムの自由視野機能では,以下の映像情報を観察 者及び移動者に提供するように改良した.

観察者へ提供する映像情報:

1. 観察者が向いている方向の遠隔映像(観察者視野)

2. 移動者が向いている方向の遠隔映像(移動者視野)

3. 移動者の顔の映像 移動者へ提供する映像情報:

1. 観察者が向いている方向の遠隔映像(観察者視野)

2. 移動者側の映像(顔とジェスチャが含まれる上半身の映像)

6.3.1 パノラマカメラの採用理由

 WithYou2システムでは前述した映像情報を提供すると設計したが,しかし,パン・チ

ルトカメラではこれらの映像情報を同時に観察者と移動者に提供するには不可能である.例

えば,WithYouでは観察者視野モードと移動者視野モードを提供したが,カメラは観察者,

移動者どちらかの向きを追従するため,同時にこの二つの映像を提供することができない.

 ここで,常に360度全周囲映像を写せるパノラマカメラなら実現できるではないかと我々 が思いついた,パノラマ画像が全周囲の映像情報を含むため,「観察者視野」と「移動者視 野」の該当視角を計算し,画像を切り取ることで同時に取得することができる.さらに,移 動者の顔を写せる視角の画像も同時に取得できる,これらの理由により,WithYou2システ ムでは移動者側のカメラをパノラマカメラに変更した.

6.3.2 WithYou2システムのGUI

WithYou2システムでは,観察者側と移動者側共にグラフィカルユーザーインターフェー

ス(GUI,6.2)を採用した.GUIではHMDに表示された遠隔画像に重ね,お互いの向き 方向と注目状態の他,視野モード,システムメッセージ等を表示する.また,移動者の顔の 映像が左上のエリアに表示され,移動者の視野(移動者の頭が向いている方向の映像)は左 下に表示される.GUIとその提示情報により,移動者は観察者と同等の情報を得ることがで きる.

移動者に観察者の映像を提供する

WithYouシステムでは観察者のみが移動者側の映像を見えるが,WithYou2 システムは

移動者側にもシースルー型HMDを装着させ,観察者の前に置かれたカメラから観察者の顔 向きとジェスチャーを移動者が確認できるという改良案を行った.

図6.2: WithYou2システムのGUI(観察者,移動者共通)

観察者も移動者の顔と顔向きが見える

移動者側のカメラをパン・チルトカメラから360度全周囲を写すパノラマカメラに変更 した.カメラは移動者肩から突出した30センチの所に設置され,移動者の顔もパノラマカ メラの視角範囲に含まれた.カメラは回転する必要がないため,移動者の顔,移動者の視野 等の複数映像情報を同時に観察者に伝達できる.観察者のGUIでは,移動者の顔を写した 映像と移動者が見ている方向の映像が左上エリアおよび左下エリアに表示することで観察者 は移動者の顔と注目方向を確認できる.なお,GUIによる向き方向表示もレーダー図タイ プ(後述)に変更した.

移動者はHMDを介して観察者の視野を確認できる

移動者もHMDを介して観察者が実際に見ている映像を確認できる.今まで移動者では観 察者の大まかな向き方向しか分からなかったが,この改善によって移動者も正確に観察者が 見ているもの,標的を映像で確認できる.

 移動者側にも簡単なGUIを提供した.GUIでは観察者の向き方向を表示される他,ボタ ン操作によって前述した観察者の視野と観察者の顔とジェスチャーという二つの映像を切り 替える.

観察者の操作による移動者映像エリアを拡大,縮小する機能

観察者はワイヤレスコントローラの「+」と「-」ボタンを押すことで,左上と左下に表示 される移動者の映像と視野を拡大,縮小することができる.観察者は利用場面に応じて表示 エリアを拡大することで,より移動者の環境を確認し易くなると思われる.

6.3.3 観察者と移動者の視野モード

WithYouシステムと同様に,WithYou2システムは観察者に以下四つの視野モードを提

供する.観察者はワイヤレスコントローラの十字キーを操作することで視野モードを変更で きる.また,パノラマカメラの利用により,これらの視野モードの実装方法はWithYouシ ステムと違うものの,使う場面と効果は類似している(4.1節に参照).但し,WithYou2シ ステムはパノラマカメラを使うためWithYouのような回転制限がなく,絶対視野モードに 関しては360度全範囲で補正することができる.

1. 相対視野モード:既定の視野モード,観察者は頭の振り向きで移動者の周囲を見渡し ながらも,観察者の視野は移動者の体の向きによって変わる.

2. 絶対視野モード:移動者の体の向き変わってもカメラは本来の写す方向へ補正する.

3. 移動者視野モード:カメラは移動者の顔向きを追従し,移動者の視野と一致させる.

4. 指差しモード:手持ちコントローラを指すことでカメラの写す方向を制御する.

移動者には,以下二つの視野モードを提供する.

1. 観察者HMDモード:既定の視野モード,観察者側のHMDに写された映像を移動者 側のHMDに表示する.このモードで移動者は観察者と同じ映像を見ることができる.

2. 観察者映像モード:観察者の上半身の映像(ジェスチャを含む)が見える.

観察者HMDモードでは,移動者は観察者と同じ映像を見ることができ,例えば,観察者 が相対視野モードを利用している場合,移動者もその様子(映像)が見れる.また,観察者 はジェスチャインタラクション機能を使う場合でも,移動者は観察者HMDモードを通して 観察者と同じ映像を見れる(観察者のジェスチャと遠隔映像が重ねられた様子).

観察者映像モードでは,移動者は観察者の様子(身振りとジェスチャ,顔向きなど)を確認 することができる.

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