PECPEC
4.3 自己補対アンテナ単体の特性解析
集積レクテナの構造上、一般的な検波デバイスに見られるようなアンテナ-整流素子 間の整合回路を設けることができない。そのため本提案集積レクテナにおいては自己 補対アンテナのインピーダンスの周波数特性を定量的に評価することは不可欠である。
そのため本節では各種レクテナに集積する自己補対アンテナについて周波数領域定常 解析を用いて解析、評価を行う。ここで対象とする自己補対アンテナはボウタイアン
テナ(BTA)とログスパイラルアンテナ(LSA)であり、LSAに関しては巻き数を1回
巻き、2回巻きのものについて扱う。BTA、LSAのそれぞれについての上面から見た 概略図を図4.4に示す。Dはアンテナ外形サイズを示し、d は給電点のギャップであ る。特にLSAの細部構造については先行研究のモデルに従っている[ 18]。
D d
(a) ボウタイアンテナ
D d
(b) ログスパイラルアンテナ 図4.4 解析対象アンテナを上面から見た概略図
4.3.1 アドミタンスのサイズスケーリング特性
COMSOL においては Lumped ポートによって励振したポートから見たデバイス
のインピーダンス及びアドミタンスを評価することができる。図 4.5にアンテナの 外形サイズを統一した自己補対アンテナについてのアドミタンスの周波数特性を 示す。図中に示すt はアンテナ厚さを示している。いずれのアンテナについてもイ ンピーダンスは共振周波数以上で自己補対アンテナの定インピーダンス値である
Z = 60π = 188.4Ωに近づくことが分かる。BTAよりもLSAの方がアンテナの実効
長が長く共振周波数が低くなる。図4.6に示す各アンテナの第一共振周波数のサイズ スケーリング特性を見ると、全てのアンテナについておよそアンテア外形サイズDが 10倍になると共振周波数が1/10倍になるスケーリング特性が成り立っている。例え ばマイクロ波帯提案集積レクテナを環境無線発電デバイスに適用する場合チップサイ ズの関係上、レクテナの最大許容サイズは制限される可能性がある。その為集積アン テナの適用周波数範囲の拡大と占有面積縮小とを両立するにはアンテナの実効長を長 く取ることができるLSAの方が同じ共振周波数の占有面積で40%程度縮小できる優 位性があることがわかった。
0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000
1 10 100 1000
Re al pa rt of a dm it ta nc e Re [ Y
antenna] [ m S ]
Frequency [GHz]
D=300µm (a) D=300µm (b)
D=300µm (c)
D=30mm (a)
D=30mm (b)
D=30mm (c)
Cu d=0.5mm
t=18µm
Au d=3µm t=2mm The 1stresonance
図4.5 自己補対アンテナのアドミタンスの計算例
(a)
1 10 100 1000
0.01 0.1 1 10 100
1s t Re sona nt fre que nc y [G H z]
Antenna size D [mm]
(b) (c)
Au d=3µm
t=2µm Cu d=0.5mm
t=18µm
図4.6 自己補対アンテナのサイズスケーリング特性
4.3.2 放射効率
提案デバイスにおける放射効率を評価する。受信デバイスにおける放射特性は物理 的には到来電波に対し如何に損失なく受信できるかどうかに関わるパラメータとなる。
図4.7、図4.8に提案デバイスにおける放射特性を示す。ただし出力端はそれぞれ50Ω で終端している。
200 400 600 800 1000
Frequency [GHz]
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
Ra di at ion e ffi ci enc y
図4.7 提案テラヘルツ帯集積レクテナにおける放射効率
受信デバイスをより高感度に設計するには所望の周波数帯において放射効率を大き くするようなアンテナ及び線路設計が必要となる。
4.3.3 折り返し自己補対アンテナに関する考察
一般的な各種アンテナにおいてアンテナを折り返し、同様の形状を2本隣り合わせ た構造は折り返しアンテナと呼ばれ、アンテナを広帯域化・高インピーダンス化させ ることができる手法として知られている[ 21]。マイクロ波帯本提案レクテナにおいて は整流素子としてBWDを用いることを検討しているが、BWDはゼロバイアスでの