PECPEC
3.5 時間領域解析
本節では3.3節においてモデリングを行なった提案デバイス構造を用いて、Rx検波 デバイス解析の為のモデル化を行う。
本解析においては集積レクテナの検波特性の解析を目的とする。そのため、レクテ ナに平面波を照射し、照射された電磁波をアンテナで受け、電流として中心部のダイ オードに流し出力端に接続された抵抗に生じる整流された直流成分を評価するための モデル化を行う。
レクテナのモデル化を行うにあたり、デバイスは送信側からみて波長に比べて十分 遠方に配置されているものとし、レクテナには平面波が照射されているとする。そこ で、平面波の飛来、伝搬を模擬するため、TEM波が伝搬されるような伝送路をモデリ
PML
Tx
Rx
図3.9 Tx-Rx間対向定常解析モデル
ングし、その内部にレクテナを配置することでレクテナの検波特性を解析できるよう なモデルを構築する。
3.5.1 平面照射の為の TEM 波伝搬路のモデリング
時間領域解析における導波路のモデル化を行った概略図を図3.10に示す。TEM波 の波源としては「散乱境界条件」を設定する。COMSOL 時間領域解析においてはこ の散乱境界条件を用いることにより境界に入射する平面波を定義することが可能であ る。入射波は入射波方向、入射電場(磁場)の各方向成分、また散乱波タイプを指定す ることができる。本解析においては-z方向に進むx方向の電界を定義し、また散乱波 タイプは平面波とした。
平面波を損失なく伝送させるために壁面の境界条件には電界が垂直に入射する壁面 にはPEC を、磁界が垂直に入射する壁面にはPMC(Perfect Magnetic Conductor) を設定することで、電界と磁界共に完全反射するため、損失なく電力を伝送できる。
現バージョンのCOMSOLにおいては定常解析と同様にPML境界条件を設定できる が電力伝送に損失が生じてしまう為、時間領域解析においては使用しない。
図3.10 TEM導波路
3.5.2 電界の入射面定義
平面波の電力は先行研究と同じく定義する。このモデルにおける入射波をPin[W]、 導波路上面の面積をS[m2] とすると、上面の散乱境界条件で設定するx方向の入力
電界Ein[V/m] は、自由空間の平面波のポインティングベクトル p[W/cm2]と電界
E[V/m]の関係式
p= 1 2
|E|2
Z0 (3.2)
ここでZ0は大気のインピーダンス
Z0 = 120π (3.3)
より
Ein =√
2Z0|p|=
√2Z0Pin
S (3.4)
として与えられる。
電界方向がx 軸方向であるため、解析対象デバイスはボウタイアンテナにおける偏 波整合率が最大となる図3.11のような向きで配置を行う。
(a) テラヘルツ帯検波レクテナ (b) マイクロ波検波レクテナ 図3.11 到来電波に対する解析対象レクテナの配置