• 検索結果がありません。

自己分析手法のコンセプト

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 73-76)

5. 知識抽出:原因分析手法

5.3 自己分析手法

5.3.2 自己分析手法のコンセプト

4.2で述べたとおり、プロジェクト活動は「プロジェクト状況」を認識した上でそれに対 して「意思決定」を行い、アクションとして起こす「行為」を行い、そこから得られた「結 果」に対して新たにプロジェクト状態の認識を行うと捉えられる。すなわち、プロジェク ト活動を「プロジェクト状況の認識」→「意思決定」→「行為」→「結果」の繰り返しで あると捉えることができる。

ここで、対外的な行動としては「プロジェクト状況の認識」の後に「意思決定」が現れ るが、思考過程を含めて捉えると、「状況の認識」に対して「懸案(リスク)」を検討し、

行うべき行動指針として「あるべき姿」を検討し、「あるべき姿」の実現手段として「意 思決定」がなされる。なお、「あるべき姿」とは懸案に対して行うべき施策の方針であり、

プロジェクトマネジメントの経験者やPMBOK等の知識を持っていれば考え付くことが可 能な内容であると考える。

73 例えるならば、組織的分析手法は「10の労力で100点を目指す」ものであり、自己分析手法は「3 労力で80点を目指す」ものである。

また、プロジェクトの状況によっては、「あるべき姿」に基づいた「意思決定」に移せな い何らかの”ジレンマ(GAP)”がありうまくいかない場合がある。例えば下記の場合である。

 プロジェクトの特性に対して「あるべき姿」がマイナス的な要素となる

 「あるべき姿」を進めようとすると、プロジェクトの背景に矛盾して何らかの影響 を受けてしまう

この場合、「あるべき姿」と「背景/特性」とのジレンマから現状に応じた姿として「打 開策」を立案する。

上記の概念は、リスクマネジメントプロセスの遂行過程そのものであり、リスク対策時 の思考を図5.12のようにモデル化できる。 なお、「状況/状態」はリスク事象のドライバー と同一であり、「懸案」はリスク事象である74

このモデルで考えると、プロジェクトが失敗するパターンとして下記の3つが考えられ る。

(a) 「懸案」に気付かなかった

(b) 「あるべき姿」に基づく「判断/行動」が機能しなかった (c) 「打開策」が機能しなかった

図 5.10 リスク対策時の思考過程

プロジェクトがうまくいかなかった場合、「結果」から3つの失敗パターンのどれに当 てはまるかを検証し、「懸案」の認識や「あるべき姿」の策定、「打開策」の策定、「判 断/行動」により「懸案」を排除できなかった理由としての「実態」を整理することで、「実 態」の乖離理由として「根本原因」を明らかにすることができる。

リスク対策思考モデルに分析過程を加えたものを分析時に扱う情報構造をモデル化とす ると、図5.13のようになる。

74 概念的にはリスク事象のドライバーやリスク事象という用語を用いるべきであるが、自己分析手法の利 用者は標準リスクモデルを十分には理解していないため、専門用語は使わないこととした。

図 5.11 分析時の情報構造

自己分析手法は、図5.13の情報構造モデルに対し分析時の思考過程(原因分析思考)を 手順化するものである。分析手法で整理する項目は下記の11項目とした75

① 問題

② 失敗事象(結果)

③ 状況/状態

④ 判断/行動 ⑤ 懸案(リスク)

⑥ やるべき事 ⑦ 背景/特性

⑧ できる事(打開策)

⑨ 顛末

⑩ 根本原因 ⑪ 再発防止

なお、「① 問題」は分析の範囲を定義するための記述である。分析手法は「⑪再発防止」

を導き出すために「①問題」~「⑩根本原因」までの情報を整理するものと言える。

自己分析手法の概念モデルを図5.14に示す。

75 成功に関する分析では、②が「成功事象(結果)、⑪が「定着化策」となる。

図 5.12 自己分析手法の概念モデル

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 73-76)