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リスク知識の構造化

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 86-90)

6. 知識表現:リスク知識構造定義

6.2 知識化構造の検討

6.2.1 リスク知識の構造化

知識化構造の検討にあたり、失敗知識データベースの情報項目について、開発プロジェ

79 以下の制約は、PMOのアセスメント作業のスタイルや、プロジェクトマネジャーなどの意見から設定 した。

クトの特性や活用を踏まえ、構造化すべき項目として表 6.2に示す 22項目を洗い出した。

再構成するに当たり、失敗知識データベースの項目からプロジェクトにおけるリスク知識 として不要と考えられるものを削除するとともに、項目のマージを行った。また、進行中 プロジェクトでの教訓提示に用いるために、「4. 分野」や「5. アクティビティ」のような 進行中プロジェクトとの類似状況を図るための項目や、「13. 成否の分岐点」や「15. 予兆」

のような対処すべきタイミングを検出するための項目を追加した。

表 6.2 リスク知識の情報項目要素の抽出

項番 項目名 内容

1 タイトル

2 事例名

3 失敗分類 仕様変更や仕様未確定等の失敗原因の分類(直接的原因、動 機的原因に対するそれぞれの分類)

4 分野 プロジェクトの属する事業分野

5 アクティビティ 組織内で規定しているプロジェクトマネジメントプロセスの 構造ラベルでABSに相当するもの

6 事例概要 事象、原因、経過、対処等の主要な情報を簡潔に纏めたもの 7 発生時期

8 失敗事象 どのような事故、失敗が発生したのか、その事象を記述(ひ とことでいえば、どんな失敗が起こったのか)

9 経緯 どのように失敗が進行したか、ポイントになる部分をできる だけ詳しく記述(時間の経過とともにどう進行したか)

10 対処 失敗に際して行った応急措置を記述

失敗発生以前に行った措置もあれば記述する 11 結果 失敗による損益悪化の要因

12 インパクト 失敗によるプロジェクトの損益への具体的なインパクト(被 害総金額)

13 成否の分岐点 対処していれば失敗に陥らずに済んだと推定される箇所 14 原因 どのような判断/行動が問題であったか

15 予兆 失敗の予兆

16 対策 失敗の再発を防ぐために行った、もしくは行うべき恒久的な 措置

17 知識化 失敗分析の結果、今後繰り返さないための知識、教訓

18 背景 失敗発生の間接的な要因となった、各種背景(潜在的な原因、

動機的原因)

19 後日談 その失敗に関連して後になって起こったこと、関係者のその 後、失敗を振り返っての後日談などを記述

20 情報源 事例を作る際に必要となったプロジェクトマネジメント研究 討論会の資料

21 参考資料 事例に関係する資料 22 作成者 事例の作成者

表6.2の情報項目を構造化すると、図6.2のようになる。

図 6.2 情報項目の構造化

失敗事例の項目はそれぞれ、「プロジェクト情報」「分析結果」「分析ソース」に分け られる。「プロジェクト情報」は事例名や分野などプロジェクト全般に関する情報である。

「分析結果」は、具体的なプロジェクトの内容に関する情報である。「分析ソース」は「分 析結果」を導くに当たり用いた情報源や参考資料等を示すものである。

失敗知識として上記のデータ項目を用いることは有益と考えられるものの、進行中のプ ロジェクトマネジャーに気付きを与える情報として用いることを考えると情報量の多さと いう問題点が挙げられる。顧客折衝や進捗管理など、忙しくかつ精神的な余裕のない状態 のプロジェクトマネジャーは、端的に要点のみを記載している情報を必要としているため、

情報量が多いだけで読むことを拒むことがある。これについては、進行中プロジェクトマ ネジャーだけでなく一般的にも同様のことが言えると考える。

そこで、表6.2,図6.2の情報項目の中から失敗の出来が分かる情報および再発防止策策定 に繋げれらる情報のみを抽出およびマージした。抽出・マージ結果を図6.3に示す。

図 6.3 リスク知識の情報項目案

表6.3にリスク知識の情報構造を定義するとともに、標準リスクモデル・プロジェクト活動 との関係性を整理する。

表 6.3 リスク知識の情報項目

項目 記載内容 関係性

1. 事象 どのようなことがあったか? リスク事象 2. 経過 どのように失敗が進行したか? リスク要因 3. 直接的原因 判断/行動の問題箇所はどこか? 行為

4. 結果 失敗がどのようなインパクトを与えたか? 損失(影響,総損失量)

5. 動機的原因 判断/行動の理由は何か? 意思決定 6. 再発防止 失敗を防ぐためにはどうすれば良かったか? 対策 7. 知識化 教訓として得られることは何か?

この情報項目を読みやすさの観点からデザイン化したものを「教訓シート」と呼ぶ。教 訓シートのイメージを図6.4に示す。

図 6.4 教訓シートのイメージ80

教訓シートでは、表6.3で定義した情報項目を見開き一枚で表現するととともに、教訓を 直感的に理解させるために教訓をキャッチーに示すタイトルや比喩的に表現したイラスト などを加えている。また、事業分野を跨る組織内でも参考にできるように、事業タイプな どの分類も用意した。

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