大豆の少糖類特にガラクトシルサッカロースの腸内細菌による加水分解について第4章ではα−ガラクトシダ ーゼをとりあげたい ラフィノ・−ス,スタキフトース,ベルパスコ1−スのようなα−ガラクトシルサッカロースがこ の酵素によって加水分解されると,それぞれ1,2,3モルのガラクトースと1モルのショ糖になる.
サッカラ・−ゼ(あるいはイソベルクーゼ)はヒトや哺乳動物の腸粘膜に存在する.この酵素ほα−D−グルコ シダい一・一・ゼとして働き,クルコサッカラ1−ゼ(103)またはグルコシドイソベルク・−ゼ(104)と呼ばれている.ラフィノ
・一ス系少糖類にはこのようなα−グルコシダ、−ゼ作用のインベルク・−ゼは働かないがβ−フルクトフラノシダー
ゼ(β一D−fr・uCtOfur・anOSide fruCtOhydr・01ase,EC3.2ul..26)であれば働く・このフルクトシダーゼはイ ヌリンクイブのβ−フルクトシタ・−ゼと区別するときβ−h−フルクトシダーゼと呼ぶ.
腸内細菌のα−ガラクトシダ・−ゼによってガラクトシル少糖類からショ糖が遊離されることになるが,このシ ョ糖の加水分解について問題がないわけではない小 もちろんガラクトー・ス残基がとれて遊離のショ糖になればグ ルコサッカラ・−ゼ(消化酵素インベルク・−ゼ)で容易に加水分解されるが,このようなインベルクーゼが腸下部
に存在するであろうかこのようなことから腸内細菌のβ一h−フルクトシダ・−ゼによるショ糖(あるいはショ糖 残基)の加水分解について調べた.
Neuberg and Mandl(105)によれは酢酸菌,乳酸菌など多くの細菌にインベルクーゼ(β−hpフルクトシダ ーゼ)があり,盈的には且cog£ではまちまちだが乃er・mOむαC£er血m moむigeや硫黄細菌には一・様に存在する.
また且cogiの低窒素含量ではインベルク・−ゼ活性は弱いとされている.
Gottscbalk(103)によれはScんねogαCCたαr0〝けCe50Cfo叩Or・吼肋ねぶer血me几£喝王仁王dね,風coヱよから得た マルクーゼはα−グルコシダーゼであるがショ糖には全く作用しないのでイソベルクーゼとしてのα−グルコシ ダーゼとは異なるものであり,このようなグルコシダーゼの二つのタイプは区‥別されるべきである
−47−
5・1 実験方法
5・1・1ショ糖を含む培地に培養したときのど.co〟のβ・−フルクトシダーゼ活性
5・1・1・1培養 且cog£No..6,10,13〜17,19,20(Table3−1)の9菌株について調べた・これらの 菌ほ多少とも速やかにショ糖を消費する(Table3−6)ものとして選んだ…これらの菌株は31・2・1で示した培 地の糖液がショ糖濃度0…5%になるように変えた培地に370C,24および48時間振とう培養した(各菌株につき10
mg)い
5・1・1・2 サッカラーゼ活性の測定 培養液を遠沈(12,000rpm,20分,0〜50C)にて上清(培養墟 液)(りと沈澱(細胞)に分ける.沈澱は劇度遠沈にて水洗してから5mJの100mMリソ酸緩衝液に懸濁して15分間 超音波処理する…再び遠沈にて上清を得る(Ⅰ).ⅠおよびⅡを粗酵素液として,それぞれ細胞外および細胞内酵素
とする
酵素反応液ほ2mJのショ糖(1mg/mJ緩衝液)と1mJの緩衝液に2mJの粗酵素を加え.たものであるい反応は 370C,0。5,3時間行う.5%ZnSO。0..5ml,0.2N Ba(OH)20.,5mlを反応液に加えて遠沈し,その上清につい てSomogyi法で還元糖を測定した.ブランクとしては100◇C 5分間加熱で熟失活した粗酵素液を用いた・
5・1・1・3 菌株No..14〜16.20のサッカラ−ゼの基質特異性 これらの菌株はサッカラ1−ゼ活性の高 いものとして選んだハこの4株の超音波処理細胞抽出液(細胞内酵素)とNo..16の培養渡波(細胞外酵素)につ いて調べた酵素反応の基質として,マルー・−ス,ラフィノ1−ス,p−ニトロ■7ェニルーα−D−ガラクトピラ
ノシド(PNPG)を用いた・
(1)マルトース 04mJのマルトース液(3mgノmJ緩衝液),0巾2mJの緩衝液,0.4mJの粗酵素液からなる
反応液を37。C,20分間インキュベ・−トし,遊離するグルコースをグルコースオキシダ・−ゼ・/く・−オキシダ・−ゼ法(73)
(4岬ト2・・2参照)によって定量した.
(2)ラフィノ・−ス マルトースの代わりにラフィ/−ス(4い6mg/mJ緩衝液)にしたほかは(1)と同様にして 還元糖を測定した.
(3)PNPG O.1mlの10mMPNPG,0.05mlの緩衝液,0.35mlの粗酵素液を370C,60分間インキュべ−
し,遊離p−ニトロフごノ・−ルを測定した(4・1・・2・・2(C)参照)‖
5・1・1・4 ラフィノ・−スの反応生成物のペーパ1−クロマトゲラフィ− 0.5Mラフィノ・−スの緩衝液 にNo.14〜16,20菌株の粗酵素液(細胞内)を加えて370C,20分間インキュベー†し,ZnSO4とBa(OH)2を加 えて反応を停止する.遠沈,濃縮,脱塩,再び濃縮してペー/く・− クロマトグラフィ、−を行う・n−ブタノールー ビリジンー0い1〃HCI(5:3:2)で2回展開(上昇),p−アニシジン試薬で発色する・・
5・1・2 異なった糖を含む培地に培養Lたときのβ−フルクトシダーゼ活性
5・1・2・1培養 且cog£としてNo.、14,16,20菌株,その他の腸内細菌としてNo..22〜24菌株(Table 4−1)用いた‖且coZfでは3・・ト2い1の培地の糖を次のものに変えた以外ほ同じ,またNo.22〜24菌株では4・・1 い3・・2(Ⅰ)と同じ培地で同じく糖を次のように変えた.
糖はそれぞれ0..5%のグルコー∵ス,ガラクトース,フルクトース,ショ糖,マルトース,ラフィノースの6種類 である‖且cogiは370C,24時間振とう,No.22〜24菌株では370C,15,24,48時間静匿培養した‖
5・1・2・2 酵素活性の測定 酵素液は前述(5・1・ト2)の方法で調製し,ショ糖基質は同様に測定し たり他の基質については前述(5・ト1・3(1)〜(3))の方法で測定した,.
ー48−
5・2 実験結果
5・2・1 ショ糖を含む培地に堵毒したときのどりCO〟のβ−フルクトシダーゼ活性
5・2・1・1 β−フルクトシダーゼ活性 且coJよ9株をショ糖を含む培地に24,48時間培養したとき の細胞内外の酵素活性をTable5−1,5−2に示す.ショ糖を基質として0.5,3時間酵素反応させたものであるが 且co〜£No..14〜16,20に高い活性がみらゎた・・24時間培養のNol.16以外は細胞外活性(a)は非常に弱い・・細胞
内酵素(b)はNo…14,16,20でほ48時間より24時間培養の方が強い活性を示した・・逆にNo、.15では24時間より48時 間培養の方が強くなった.
Table5−1Relativesucraseactivityof(a)theculturIeliquidand(b)sonicate extractof9strains ofE.colicultivatedfor24hours
Strain No.
Incubation
time 6 10 13 14 15 16 17 19 20
(a)0.5h O.022 0・029 0020 0032 0030 0・149 0025 0030 0040
3 0.037 0.024 0020 0018 0019 0…437 0。024 0…028 0.035
(b)0..5h O…010 −づ012
3 −0003 0.000
0056 0.720 −0001 0440 −0010 0008 0645 0345 0825 0001 0.800 0,015 −0.005 0.832 Notes:The data are differ・enCe Of OD530Values ofeach test and blank test一
0.5and3hours are thetime ofincubation foren2:yme aSSay.
Table5−2 Relativesucraseactivityof(a)thecultureliquidand(b)sonicate extI・aCtOf9str・ains o一月.cogicultivatedてoT48hours
Strain Noい Ineubation
time 6 10 13 14 15 16 17 19 20
(a)0..5h O」040 0・039 0035 0・030 0035 0・032 0.040 0042 0・035
3 0037 0.051 0025 0034 0055 0.116 0036 0043 0022
(b)0…5h O O44 0005 0004 0・641 0.700 01195 0‖004 0.001 0・275
3 0000 0000 0069 0840 0。300 0615 0000 0000 0‖562 Notes:See Table5−1
5・2・1■2 4菌珠サッカラーゼの基質特異性 実験5・1り1・3の結果をTable5−3に示す小 マルトー スあるいはPNPGの加水分解能は非常に弱いがラフィノ・−スに対してはよく働いているのでこのサッカラーゼは β−フルクーフラノシダ・−ゼであると考えられた
5・2・1・3 基質ラフィノースの反応生成物のペーパークロマトグラフィー ラフィノースを基質にし
た酵素反応生成物のペーパ・−クロマトグラフィーの結果をTable5−4に示すい スポットNo.1,2,3はそれぞれ標 晶のRf(発色相),ラフィノ・−ス0..14(YB),メリビオース0い18(B),アルクトース0.56(Y)に相当し たがスポットNoィ.4については不明であった
−49−
Table5−3 Hydrolysisofsucrose,maltose,raffinose,andPNPGbyE.coli Strains Nos 14,15,16,and20
14 15 16
Strain No
90
2405
0 ∩︶
24 48
(b) (b)
0965 0.927 0042 −0 007
92
2400
0 nW O142
24010100
0 0 0 0
Time ofcultivation(h)
(a)or・(b)
Sucrose Maltose Raffinose PNPG
O 130 0.001
0り215 0222 0,069
0002 0001 −0002
Notes:PNPG stands forp−nitrophenyl−αpD−galactoside。(a)is extr・a−and
(b)isintracellularactivity… Thevalues are forrespectiveOD s(d」5・・
1.1・・3(1)〜(3)).In case of sucr・OSe the measurement was madeonre−
ducingSugar・aSWithraffinose..
Table5−4 TheRfvaluesofpaperchromatogramS
Strain No小 14 15 16 20
Time ofcultivation(h)
Spot No 1
2
3
4
24 24 48 24
0 12(YB)
0・14(B)
0」58(Y)
070(VB)
012(YB)
0・15(B)
057(Y)
070(VB)
0・13(YB)
0 16(B)
056(?)
068(VB)
014(YB)
0・18(B)
0・57(Y)
070(VB)
Notes:In parentheses are g1VenCOlor・S:B,brown;Ⅴ,Violet;andY,yellow
(withp−anisidine)..
Table5−5 EnzymeactivitiesofE.colicultivatedonthemediacontaining・differentsugars
SugarSinthemedia
Substr・ate Strain
GIc Gal Fru Suc Mal Raf 0.458 0 360 (0340) (0.900)
0,045 0348 0182 (0.584)
0122 0153 (0.365) (1143)
(0724) 0330
(0.285) 0016
(1.016) 0074 0.481 0907 0.056
0.324
(0744) 0209 1.894 0.175 0792 0い055
0.001 0.001
−0001 0.002
−0001 0.001 Sucrose
〝
〝 Maltose
〝
〝 Ra打inose
〝
〝 PNPG■
〝
〝
4 6 0 4 6 0 4 6 0 4 6 0 1 1 2 1 1 2 1 1 2 1 1 2
0.223 0136 0046 0082 0.014
0.102 0 541
0り016 O 053
0.153 O 002 0.494 (1。153)
0.079 1 895 0.685 0.698 0.026
0り032
ー0001 0 0 −0.002
−0002 −0001 0け001 0001 0.001 −0.002 −0003 0002
Notes:Thedataar・ethediffer・enCe OfODvalueseachtestminusblanktest。Thevaluesin parenthesesarethoseofincubation(inen2:ymeaSSay)of 6 min,and the other valuesof60min。
■IncaseofPNPG(p−nitrIOphenyl−α−D−galactoside)theincubationcontinued6hour・S.
ー50−
5・2・2 異なった糖を含む培地に培養したときの酵素活性
5・2・2・1亡.co〟No..14.16′20菌株の場合 これらの株をそれぞれ6種類の糖を含む培地に24時間 振とう培養したとき,細胞内酵素についてショ糖,マルトース,ラフィノース,PNPGを基質としての酵素活性 を測定した.その結果をTable5−5に示す.ここに示す数値ほ基質毎に異なる方法で測定した吸光度をそのまま 示したので,異なる基質間の数値ほ直接比較できないがPNPG活性(α−ガラクトシダーゼ活性)はほとんどみ られずフルクトース,ショ糖,マルトースを含む培地でサッカラ・−ゼ活性が強い・
5・2・2・2 菌株No.22.23.24の場合の酵素活性 ムαeidqpんig弘S(No.22,23)と鼠ノdecαgね(No..
24)の酵素活性についてTable5−6,5−7,5−8に示すいNo.22ではサッカラーゼ活性はほとんどないが,ショ 糖やラフィノースを含む培地でNou23に∴若干,No.24にかなりのサッカラーゼ活性がみられた‖マルター・ゼ活性 ほ弱いが,マルトース,ラフィノ1−スを含む培地でNo.22と24でわずかにみられた」・またNo.23,24でα−ガラ クトシダ一ゼ活性がみられた.
Table5−6 RlativeenzymeactivitiesofLaclbacillusacidqphilus,No…22,
cultivatedonthemediacontainingdiffer・entSugarS(ODcal−
culatedforlhour−incubationinenzymeassay)
Sugars in the media
Time of cultivation Substrate
Fru Suc
3 1 +一一一一〇一+一一
ハリ
1 2 O O
1 1 1 1
=−二
h 5 4 8 5 4 8 5 4 8 8
1 2 4 1 2 4 1 2 4 4 320 一一+一〇207一〇1一+
0 0 0
1▲702
一〇1 1 040306一+一+0 0 0 0
80 08 一〇701一︻ 0003一一+
ハU ハU 0 ∩︑ 1 349
2 2 一〇+一〇040〇一一+
0 0 0 ∩ひ
Table5−7 RlativeenzymeactivitiesofL.acidqphilus,No.,23,Cultivated Onthemediacontainingdifferentsugars(ODcalculatedfor・
1hour−incubationinenzymeassay)
Sugar・Sin the media Time or
cultivation Substrate
Fru Suc
190 35 011303+一++02一〇4
0 0 0 ∩︶ α
SucrJOSe
〝
〝 Maltose
〝
〝 Ra汀inose
〝
〝 PNPG
h 5 4 0U 5 4 nO 5 4 8 8 1 2 4 1 2 4 1 2 4 4 1 3 +一〇4一一一一+一〇1 13 87
1 2 一〇94++一〇0〇一+
6 7 一+15一一+05一一+
ー51−
Table5−8 RlativeenzymeactivitiesofStT・qPtOCOCCuSjdecalis,No・24,
cultivatedonthemediacontainingdiffer・entSugarS(ODcal−
culatedforlhour−incubationinenzymeassay)
Sug・arSin the media Time or
cultivation Substr・ate
Fr・u Suc Mal Raf
0.065 O 032 0.020 O 250 0003 0.206 0071 0..064 0.007 0..038 0.029 +
0.001
+ 0004 0007 0.033 0.153 1 105
0 008 1 184
0030 0943
+
212118一+一一00+00
0 0 0 0 0
h 5 4 8 5 4 8 5 4 8 8 1 2 4 1 2 4 1 2 4 4
SucT・OSe
〝
〝 Maltose
〝
〝 Raffinose
〝
〝 PNPG
33 4 一104一一一
〇 〇 483 一一00+0100
0 0 0
0.057 0.052 0,040 0007
2 2
1 1 一+ 01
0 0
5・3 考 察
且co〜iのショ糖を分解するサッカラ−ゼ活性は菌株No…14〜16,20にみられ,α−ガラクトシダ・−ゼ同様細胞 内に強い活性がみられる(Table5−1,5−2).このサッカラ、−ゼ活性はラフィノースにもよく働き反応生成物に メリビオ・−スとフルクトースを与える(Table5−4) Table5−5の値を活性単位(nM基質/分/ml粗酵素液)
に換算するとTable5−9のようになる(PNPGは微量なので省略した)小この表からサッカラ1−ゼ活性はラフノ
−ス分解活性に平行しており,マルターゼ活性はラフィノ・−ス分解に関係なく低い値である・このことから且 cogiのサ少カラ、−ゼはα−グルコシダーゼでなくβ−フルクーシダ1−ゼであるといえる・・且cogよのこのフルクト
シダ1−ゼの生産に.は培地の糖にショ糖が最も効果的である.マルトースも同様の効果があるがその理由は説明で きない.且cog孟の・マルタ1−ゼはショ糖には全く作用しない(103)とされているので,サッカラ1−ゼ活性にはマルタ
ーゼが関係していないものと考える.
Ruttloffら(86)は且coJiのある株からβ−フルクトシダーゼをラフィノ・−スを基質として検出したがこの菌株
Table5−9 ThesubstratesdecomposedbyE。COlicultivateondifferentsugarS
(nM/min/mり
Sugars in the media
Strain Substrate
FTu Suc
.⁚
2
0 = ■ 2 5 6 2 2 1 0 8 8 3 2 5 6 4 0 4 7 9 9 96
4 4
7 ■ 一 5
14 Sucrose
〝 Raffinose
〝 Maltose 16 Sucro亭e
〝 Raffinose
〝 Maltose 20 Sucrose
〝 Raffinose
〝 Maltose
7 2 8 4 1 5 3 8
9 1 3 2 3 0
1 1