図表11 メディカルチェック項目・費用
(備考)患者の自己負担割合3割で試算
(出所)月刊レジャー産業2003.3
関西医科大学 心臓血管病センター助教授 木村 穣『メディカル・フィットネスと保険診療』
検査項目 個人負担費用(円)
血液検査 1,530
心電図 450
運動負荷試験 2,100
胸部レントゲン 765
尿検査 90
初診費用 810
支払合計 5,745
市にも点在している。
開設は、80年代後半からみられるが、多く の施設では2000年以降に集中している。会員 数は、200〜300名程度が中心になっており、ほ とんどの施設が、運動療法コースから高齢者 向けコースまで豊富なサービスメニューを用 意している。
以下では、実際のメディカル・フィットネ スの事例を取り上げよう。
ハ.メディカル・フィットネス「ウェルネス 葛西」(東京都江戸川区)
93年に佐藤整形外科(東京都江戸川区)を
開業した「医療法人社団・順公会」は、2001年 5月に東西線葛西駅近くの新築マンションに2 軒目の診療所「白石整形外科内科」を開設した。
このマンションの2階に、疾病予防という概 念で医療を発展させていくため、2001年6月に オープンしたのがメディカル・フィットネス 施設「ウェルネス葛西」である。医療法第42 条で認められた施設であり、利用料金は利用 者が確定申告時に医療費控除の対象になる。
同施設には、健康・体力づくり事業財団の 認定資格「健康運動指導士」3名が常勤してお り、医師の指示せんに基づいて運動プログラ ムを作成し、患者ごとの運動指導を行ってい
施設名 開設年月 所在地 会員数
提供サービス
運動療法 体力向上 疾病予防 高齢者向け
コース コース コース 機能維持コース
医療法人医仁会疾病予防センター 2002年2月 京都府京都市 202名 ○ ○ ○ ○ メディカルフィットネスセンタートータス 1991年6月 福岡県久留米市 250名 ○ ○ ○ ○ (医)惣明会 メディカル&フィットネス アクオ 1993年5月 和歌山県御坊市 590名 ○ ○ ○ ○ 疾病予防運動療法施設メディカルフィットネスドゥ 2001年7月 大阪府大阪市 80名 ○ ○ ○ ○
Pana cea北田辺 2002年1月 大阪府大阪市 50名 ○ ○ ○ ○
ビバ・スポルテ 2002年4月 大阪府大阪市 ― 特に設定なし
成田記念病院 フィットネスセンター 1989年12月 愛知県豊橋市 300名 ○ ○ ○ メディカルフィット市民の森 2003年1月 宮崎県大字塩路 200名 ○ ○ ○ ○ パシフィック・メディカルフィットネスクラブ 1995年9月 神奈川県横須賀市 200名 特に設定なし
新立山温泉ヘルスプラザ 1997年5月 富山県富山市 217名 ○ ○ ○ ○
有酸素運動施設 プラーナ 1995年10月 静岡県御殿場市 535名 ○ ○ ○
医療法人社団アイジイエル医療会 疾病予防運動施設 1994年9月 広島県広島市 858名 ○ ○ ○ 医療法人社団順公会 ウェルネス葛西 2001年6月 東京都江戸川区 200名 ○ ○ ○ ○ メディカルフィットネス アズーリ(広瀬病院リハビリ棟) 2002年7月 香川県高松市 ― ○ ○ ○ ○ メディカル&ウエルネスクラブ ム・ウ21あざみ野 1993年9月 神奈川県横浜市 200名 ○ ○ ○ 疾病予防運動施設 アクアージュ 2001年6月 三重県上野市 50名 特に設定なし 健康科学センター サンヘルス聖峰 1993年5月 福岡県浮羽郡 280名 ○ ○ ○
寛田スポーツ健康増進センター 2002年4月 広島県広島市 ― ○ ○
メディカルフィットネスクラブ ウイング東広島 2002年11月 広島県東広島市 42名 ○ ○ 疾病予防運動施設 メック・アクタス 1996年6月 徳島県阿南市 800名 ○ ○ ○ ○ メディカルフィットネスセンター トータス 1991年6月 福岡県久留米市 250名 ○ ○ ○ ○ 医療法人英仁会 メディカルフィットネス タートル 2003年6月 鹿児島県鹿児島市 100名 ○ ○ ○
図表12 医療機関が展開するメディカル・フィットネス(医療法42条施設)一覧
(出所)日本運動療法推進機構 2003年9月現在
る。「健康運動指導士」は、しっかりした医学 的知識を有しており、医師との連携を綿密に 図ることで、患者への最適なトレーニングを 図っているという。
1カ月の利用料金は6,000円で、利用者は都合 のよい時間に立ち寄り、自分の運動プログラ ムに沿って1時間程度運動する。他に3カ月間 のダイエットコースも手ごろな値段で用意さ れている。特に激しい運動をするわけではな いが、利用者の目は真剣そのものであり、自 ら健康管理を図ろうという強い姿勢が伝わっ てくる。
現在、会員数は450名に上り、高血圧症や糖 尿病などの生活習慣病や整形外科疾患をもつ 患者が含まれ、年齢は50〜70歳を中心に20〜
70歳と幅広い。
現在では、同施設での身近で親切なトレー ニング指導が、これまでの敷居の高い医療機 関のイメージを変え、患者や利用者に親しみ やすさや好感を与えており、同施設の利用者 数とともに、診療所の患者数を増加させてい るという。
ニ.「メディックフィットネス乃木坂倶楽部」
(東京都港区)
東京都六本木には、2001年7月に日本運動療 法推進機構(同機構は運動療法の理論と方法 論の確立を目的として設立された非営利団体)
のモデル施設として「メディックフィットネ ス乃木坂倶楽部」と、その提携医療機関である
「乃木坂いなじクリニック」がオープンした。
同クリニックは、内科と循環器科を専門と
し、生活習慣病に主眼を置いた運動療法や禁 煙支援に注力しており、最近では更年期健康 相談にも積極的に取り組んでいる。同クリニ ックの稲次院長は、1984年に米国クーパーク リニック・エアロビクス研究所に出向きエア ロビクスの祖といわれるK.H.クーパー博士の 指導を受け、日本にエアロビクスを広める先 駆者となった。日本体育協会スポーツドクタ ー、日医健康スポーツ医などの資格をもつ同 氏は、薬事治療のほか、食事療法や運動療法 にも力を入れている。自治体主催の転倒予防・
寝たきり防止などの運動教室や栄養指導など、
積極的に外に出向いていくことで、生活習慣 病予防への取り組みを強化している。
同クリニックとフィットネス施設を併設し たことから、専門の医師が運動負荷検査など を行い、個々の患者の病態に応じた運動中の 心拍数や血圧などを管理することが可能とな った。運動の前に、まず医師がメディカルチ ェックを行い運動処方をつくり、それを受け てフィットネス施設「メディックフィットネ ス乃木坂倶楽部」の運動指導士が医学的知識 に基づき体力などのバランスを測りながらプ ログラムを組んでいく。
こうした点は、通常のフィットネス施設に はないメディカル・フィットネスのサービス の差別化であり、一般的には豪華な運動設備 をそろえるなどハード面が重視されるなかで、
医師と運動指導士が緊密に連携したソフト面 を充実させたサービスといえよう。
同フィットネス施設は、会員制で予約を必 要としており、会員数は約50名である。利用
者は30歳代以降が中心となり、特に50〜60歳 代が多く、最高齢は87歳だという。
また、「メディックフィットネス乃木坂倶楽 部」の支配人である青木氏も、長年メディカ ル・フィットネスに携わってきた第一人者で あり、同施設以外にも健康増進施設や運動施 設などの立ち上げ、支援などの依頼にも応え ている。
今年4月に千葉県海上町にオープンした健康 増進センターは、立ち上げから同氏が全面的 に関わった施設である。県内の町村が運営す る施設では初めてという15mの歩行用温水プ ールのほか、ジャグジーやマシンを置いたト レーニング室など充実した施設であるが、同 氏がマシンの購入交渉などにも携わり、県の 助成を含み約1億6千万円の建設費用にとどめ たという。運営では、5〜6人の健康運動指導 士やトレーナーが利用者一人ひとりの健康プ ログラムを作成し指導しており、隣接する保 健福祉センター(町民の健康診断などを行う 施設)の健康チェック機能との連携が期待さ れている。
この施設を利用できる対象者は、16歳以上 の町民もしくは町内在勤者であるが、3カ月が 経ち、利用者はすでに800人を超えており、全 町民の7、8人に1人が利用していることになる という。単にフィットネス施設のオープンと いう話題性にとどまらず、健康増進や疾病予 防をきっかけとした地域の活性化にもつなが っていく可能性も秘めている。
(4)フィットネス・クラブと医療機関・医師 との提携
イ.健康増進施設、指定運動療法施設として のフィットネス・クラブ
一般のフィットネス・クラブの側でも、生 活習慣病への対応として運動療法に着目し、提 携医と連携したメディカル・フィットネスを 図ろうとする動きが出始めている。
厚生労働省は、一般のフィットネス・クラ ブに対して、すでに1988年に「アクティブ80 ヘルスプラン」という健康増進施策を打ち出 し、医療機関との提携やメディカル・フィッ トネスへの参入を促進しようとしてきた。具 体的には、健康増進や疾病予防を目指したフ ィットネス・クラブに対して、厚生労働省公 認の健康増進施設であることを証明する制度 を設けた。さらに98年以降、指定運動療法施 設に認定されると、医師の処方に基づく運動 療法であれば、その利用者は支払った利用料 金を医療控除の対象にすることができるとい った優遇制度が付加された(注)7。
ロ.健康増進施設、指定運動療法施設の現況 最近では、厚生労働省から新たに健康増進 施設や指定運動療法施設の認定を受けるフィ ットネス・クラブが増え始めている。2003年8 月現在、全国には283カ所の健康増進施設があ り、そのうち指定運動療法施設が124カ所ある。
図表13が示すように、こうした施設の多くが、
東京、神奈川など首都圏のほか、大阪、兵庫、
(注)7.運動増進施設の認定基準には、体力測定および運動プログラム設備の設置、健康運動指導士の配置、医療機関との適切な提 携などがある。さらに、指定運動療法施設では、健康運動実践指導者の配置、提携医療機関の担当医が日本医師会認定健康ス ポーツ医の資格を有すること、1回の施設利用料金が5千円以内に設定することなどの要件が加わる。