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憐60 楼50

第4節  考察

1 健常児の二型パズルと人物画にみる身体イメージの発達

 人型パズルでの健常児の身体イメージは年齢群によって次のような特徴が

みられた.

 3歳二二ではすでに全体の約半分の達成率を示した.「目」や「口」,「眉毛」

では8割を超える達成率を示し,顔の部位のイメージがよく形成されている様 子がうかがえた.また,「胴」は7割近い達成率を示し,3歳児においても「胴」

の認識がなされていることがうかがえた.さらに,「手」や「足」といった部位 も出現し,これらは「腕」や「脚」よりも達成率が高く,人物画の結果とは異 なり二型パズルにおいては身体の末端部分の方が高い達成率を示した.4歳児 群では3歳二二に比べ大きな伸びがみられ,全体では7割近い達成率であった.

「脚」や「足」,「腕」や「手」といった二部や脚部において3歳児群と差がみ られたことから,この時期は身体の主要な部位の存在と位置関係が急速に把i握 される時期であることがうかがえた.5歳児群では全体では8割近い達成率で あった.「鼻」や「耳」,「腕」を除く全ての部位で80%以上の達成率を示した.

6歳丸山では全体の9割を越す達成率を示した.「目」や「眉毛」,「胴」といっ た100%の達成率を示す身体部位もみられ,その他の部位も90%以上の達成率 を示したことから,この年齢では,身体の部位と位置関係がほぼ完全に把握さ れていることがうかがえた.また,この年齢群において本調査で用いた人型パ ズルがほぼ完成することがわかった.

 松永ら(1998)は3歳児を対象に,体の事実に関する知識の発達について身 体部位認知調査と動作語認知調査をおこない検討している.

 身体部位認知調査の結果では50%通過した部位は,目・口・耳・鼻・頭・首・

肩・尻・手・脚(足)・膝・背中の12部位であったと報告している.また,動 作語認知調査では3歳後半の男子で「手を振る」62%(手の認知は100%),「膝

を曲げる」44%(脚の認知は56.7%),「腕を曲げる」22%(腕の認知は27.8%),

「腰を曲げる」12%(腰の認知は24.4%)で通過したと報告している.

 このように,身体の部位の名称を聞き自分の身体をポインティングすること と,身体部位を動かすことには多少のずれが存在するようであり,身体部位の 認知の方が発達的に先行すると考えられる.また,単純な比較はできないが,

今回用いた山型パズルの身体部位別の達成率をみると「手」が35.7%,「腕」

が12。9%,「脚」が18.6%と上記の松永らの結果を多少下回ることから,人型 パズルを組み立てることは身体部位を動かすことよりも後から発達するもので あると考えられた.

 人物画での健常児の身体イメージは各年齢群において以下のような特徴が

みられた.

 3歳児群では全体の1割に満たない低い達成率を示し,また,「目」や「口」

といった頭部の身体イメージが中心であった.4歳児群では最も多くの身体部

位において前年齢群との差がみられ,「頭部」や「脚(下肢)」,「胴」,「腕(上肢)」

といった身体部位のイメージの形成がこの年齢において大きく進むことが示さ れた.達成率からも,3歳児群にはほとんどみられなかった「肩」や「掌指」,

「足」,「衣服」といった部位が出現しはじめ,これらのことからもこの時期に 人の身体の大まかなイメージが急速に形成されることがうかがえた.5歳児群

では4歳山群との比較において「頭部」,「腕(上肢)」,「脚(下肢)」,「輪郭」,

「位置」,「割合」といった項目で有意差がみられた.達成率をあわせてみると,

この年齢では「脚(下肢)」の身体イメージの形成が中心になされることがうか がえた。「二二」や「足」といった身体の末端部分のイメージ形成がすすみ,ま た,それまでの年齢群においてほとんど描出がなされなかった「輪郭」や「位 置」,「割合」といった身体部位の比率や位置関係の項目においても伸びがみら れたことから,より明確な身体イメージが形成されつつあることがうかがえた.

6歳歯群では5歳児群との比較において「胴」,「輪郭」,「位置」に有意差がみ られた.また,この年齢では「首」や「毛髪」といった部位の著しい伸びが特 徴的であった.7歳児群では6歳児群との比較において「腕(上肢)」に有意差 がみられた.この年齢では「肩」や「腕」,「二三」といった部位の身体イメー ジが中心に形成されている.8歳児群では,7歳二三との比較において「輪郭」

に有意差がみられ,身体部位の正確なイメージが形成されてきていることがう かがえた.9歳児群では,4歳児群と並んで前年二三との差がみられる部位が

多かった.8歳児群との差は「頭部」,「腕(上肢)」,「輪郭」,「割合」,「衣服」に みられ,この年齢ではこれらの部位のイメージ形成が大きく進むことが示され た.「鼻」やこれまでの年齢群ではほとんど描出されなかった「顎」や「額」に 伸びがみられ,顔の部位の明細化がすすみ,また,「小さな部分の割合」や「小 さな部分の輪郭」にも伸びがみられることから,全体的な精緻化がすすんでい ることがうかがえた.10歳児群では,全体の6割近い達成率を示した.9歳児 群との比較では,「輪郭」において有意差がみられた.、この年齢では,すべての 部位において50%の達成率を示し,100%に到達する身体部位もみらるように

なった.

 鳥居(1989)は人間像の描画発達について,3歳から4歳ごろに「頭部人間 像」から「頭足人間像」,4歳から5歳ごろに「二二二足人間像」から「頭胴二 足二手人間像」,5歳から6歳ごろに着衣人間像,7歳から8歳ごろに正面・側 面・背面という3つの角度から描き分ける「硬直人間像」,9歳から10歳ごろ に「柔軟な人二二」という過程を経て,人間像が完成すると述べている.今回 の調査で得られた人物画においても個人差はみられたものの,ほぼ同じような 段階を経て人物像が完成していた.

 グッドィナフ人物画知能検査の適用年齢は9歳児までとされているが,今回 用いた木舩の人物画身体像測定法では10歳児群においても達成率が6割程度

と100%には至らなかった.これ以降の年齢で達成率が上昇していくのかは今 回の調査からは不明であった この測定法の適用年齢を明らかにすることも,

今後の課題かと思われる.

2 二型パズルと人物画の比較

 人物画には描出されない身体部位の身体イメージについて検討するため,人 物画をパズルの評価基準を用いて評価し,二型パズルとの比較を行った.その 結果,3歳富山では「目」,「口」,「眉毛」,「胴」,「手」,「足」の身体部位にお

いて三型パズルがパズル評価の人物画に比べて有意に高い傾向が示された.4 歳児群では「口」,「眉毛」,「足」において人型パズルの方が有意に高い傾向を 示した.5歳二二では,4歳児群と同様に「口」,「眉毛」,「足」に有意な差が みられた.6歳児群では「目」,「眉毛」,「手」,「足」において人型パズルの方 が有意に高い傾向を示した.また,人型パズル,人物画,パズル評価の人物画

にみる全体での身体イメージの発達の比較では人物画による達成率が最も低く,

続いてパズル評価の人物画,二型パズル,という順番で達成率が高くなってい くという結果が得られた.

 以上,人物画よりも人型パズルの達成率が高かったことや,身体部位別にみ ても人物画には表れなかった身体部位が人型パズルには出現したことから,人 物画には描出されない身体部位についても,幼児はその身体部位のイメージを 有していることが示唆された.

 さらに,人型パズルとパズル評価の人物画では達成率の差はあるものの,急 激に達成率が上昇する時期が同じであり,また,グラフの形状が近似している

ことから,人型パズルと描画(人物画)で測定される身体イメージは類似して いるものであることがうかがえた.

 人型パズルとパズル評価の人物画,人物画の達成率の差が生じる要因として

は第一に,三型パズルやパズル評価の人物画では評価の対象となる身体部位数 が人物画に比べて少ないこと,また,評価の基準がその身体部位の出現と位置 関係のみに限られていること,一方,人物画では評価の対象となる身体部位数 も多く,身体部位の出現や位置関係に加えて輪郭も評価の基準になっているこ とからこのような結果になったと考えられる.

 今回の調査では対象児の年齢を3歳からと設定し,それ以前の年齢群に対し て調査を行わなかったが,3歳児の達成率から推測すると3歳以下の対象児に 対しても人物画には描出されない身体部位について人型パズルを用いることで その身体部位の身体イメージを測定することの可能性が示唆された.

 人物画には描出されない部位についても幼児はその身体部位のイメージを 有していることが示唆されたが,それらが人型パズルに表出された理由を以下 のように考察した.

 Goodnow(1977)は3歳から5歳の人物全身画を分析した結果,脚や手な

どの左右で一対をなす対象の部分的特徴を一対一まとめにして表す「対表示」

や左から右よりも右から左へと描出する場合が優勢であるという「対の左右の 描出順」,二部から胴,足という上から下へ描きすすめていく「上下の描出順」

といった年長児の描画における描出する一定の秩序や体制化といった表示ルー ルの存在について指摘しており,山形・清水(1997)はこれらの知見をもとに 対象表現を構成活動と捉え,構成要素の産出とその体制化の分析を通じて初期 描画発達の時期にある1歳から3歳の幼児に対し人物画と動物画を用いて対象 表現の成立過程を検討している.また,対象表現を援助する刺激図形として顔 の輪郭を与え,それによって描画の構成活動が促進されるか否かについても検 討している.

 その結果,1歳児では部分的特徴の描出数においては輪郭付与による促進効 果は得られなかったが,輪郭付与画において輪郭内に何かを描き,非対表示が

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