rTMSの刺激効果に影響を与えているMEPの特徴
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第2章 rTMSの刺激効果に影響を与えているMEPの特徴
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誘発に関する概略図を示す。特に、1 HzのrTMSは発生源が大脳皮質表層付近 と推定されているI3-waveに影響を与えることや(Lazzaro et al., 2004, 2010)、その 影響は MEP の振幅の変化量に関係しているという報告(Lazzaro et al., 2008, 2012)がある。また、I3-waveを誘発しやすいAnterior-Posterior方向のTMSによ るMEPの立上り潜時を調べることで、rTMS(TBS: Theta Burst Stimulation)の刺激 効果が分かれる事を示した報告(Lateral-Midline 方向の潜時を基準として解析)も ある(Hamada et al., 2013)。この報告では、I3-wave発生の為のニューロン群が刺 激されやすいかどうかでrTMSの刺激効果が変わると考察している。以上の報告 を本研究に照らし合わせて考えると、振幅が大きく、立上り潜時が遅い被験者
は、I3-waveを誘発するニューロンが多く刺激されていることから、1 HzのrTMS
の刺激により抑制効果が顕著に生じたことが考えられる。逆に、振幅が小さく、
潜時が早い被験者は、I3-waveを誘発するニューロンが刺激されなかったため抑 制効果が生じなかったことが考えられる。
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また、I3-waveを誘発するニューロンの発火数が1 HzのrTMSにより抑制さ れた時MEPの振幅は減少する。誘導電流の流れる方向に対し、軸索が垂直方向 にあるとニューロンは発火しやすいことが報告されており(Sun et al., 1998)、更 に、軸索における、シュワン細胞に磁場をかけると磁界に対し垂直方向に細胞 が移動することが報告されている(Eguchi et al., 2003)。本研究の結果では刺激強 度、パルス数を大きくすることで、MEP の抑制が顕著に生じていることから、
刺激範囲が広がり、rTMSによる磁場の影響を受けるニューロンの数が増加した ことが考えられる。軸索の方向と刺激効果の関係について、Figure 2.9に示す。
上記の機序より、軸索の方向と発火するニューロンの数が1 Hz のrTMS の Figure 2.8 Diagram of inducing I-waves. I3 wave is induced. When the neurons in the cortex are stimulated by TMS, descending volleys with different phases are induced. These descending volleys are called I1, I2, and I3 (indirect wave: I-wave), in order from early to late phase, because they are induced by the indirect stimulation of pyramidal neurons.
These I-waves elicit the MEP.
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影響を受け変化が生じたことからMEPが減少したことが考えられる。また、刺 激前の軸索の方向及びニューロンの発火数の違いが、各被験者における個人差 を示しており、rTMSを与える前のMEPの振幅と潜時に現れた可能性がある。
また、振幅が小さく、潜時が早い MEP の被験者は、弱い刺激強度、少ない パル数の刺激条件において、促進効果が誘発されやすい傾向にあった。1 Hz の rTMSによりMEPの振幅が減少することはよく知られているが、刺激条件(Maeda et al., 2000a; Berger et al., 2011)や個人差(Gangitano et al., 2002; Caparelli et al., Figure 2.9 The relatonship between directions of axon and rTMS effect. (a)The subject whose axons are not vertial to induced current is small Pre-MEP amplitude. The inhibitive rTMS effect difficully induced. (b) The subject whose axons are vertical to induced current is large Pre-MEP amplitude. The inhibitive rTMS effect easily induced.
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2012)によりMEPが増加する事を示唆する報告もある。我々は、これらの報告に
おける被験者のrTMSを与える前のMEPも、振幅が小さく潜時が早い可能性が あり、I3-waveを誘発するためのニューロンが十分に刺激されず、抑制効果が得 られなかったこと。そして、興奮性シナプスの活動が強く、抑制性シナプスの 活動が弱く生じたため促進効果が誘発されたと考えた (Pascual-Leone et al., 1994c)。
MEPの立上り潜時とrTMSの刺激効果の相関に関して、刺激強度が強く、パ する数が多い場合、相関係数の値が小さい傾向にあった。刺激強度が強く、パ ルス数が多い場合、より多くのニューロンが刺激される。それゆえ、ほぼ全て の被験者において抑制効果が誘発され、相関係数が小さくなったと考えられる。
上記のように、運動野において、rTMSの与える前のMEPの振幅と立上り潜 時が、刺激効果に影響を与えていることが明確になった。更に、本研究の結果 は、rTMSが誘発する刺激効果の個人差の要因の一つを特定したとも考えられる。
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