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第2章 リニア軸受の潤滑状態に及ぼすグリース基油粘度の影響

2.4 考察

第2章 リニア軸受の潤滑状態に及ぼすグリース基油粘度の影響

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第2章 リニア軸受の潤滑状態に及ぼすグリース基油粘度の影響

31 グリース基油粘度の変更に伴い油膜形成速度も変化するが,膜厚比Λは0.5付近である.

基油粘度30mm2/sではキャリッジ速度3m/sでも膜厚比Λが 0.5程度であり本実験におけ る電気導通状態の計測結果からも金属接触状況にあると考える.また,A0グリースで 速度1m/s,鋼球一個の荷重が10Nから100N〔テーブル重量952kgf(2330N/キャリッジ)〕

まで変化してもFig.2-10に示すよう膜厚比Λは0.524~0.443の変化であり荷重の影響は少 ないため実験は行わなかった.

2.4.2 連続運転での推移

Figure 2-8の初期の電気伝導度波形と 106サイクル(1.0×103km走行)後の電気伝導 度波形に大差なく,導通電圧差も0.04Vで優位差はなく,リニア軸受内のグリースの油 膜厚さは初期と同等の厚さを有していることがわかる.

相原ら 5,6) による円筒での実験結果では早い段階で EHL 膜の厚さが基油の油膜厚さ の0.5~0.7倍になるとの報告があり,よくグリースを用いた文献で引用されるが,市販 リニア軸受では膜厚の大きな変化は発生しない.また,導電電圧の差はグリース中に混 入した金属粉の影響と推察する.

Fig.2-10 Ball load and Λ(Calculated value) Fig.2-10 鋼球荷重と膜厚比Λとの関係

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32 2.4.3 レールの損傷

本実験において予備実験も含め 1.25×106サイクル程度,起動停止を繰り返した停止 位置近傍のレール表面粗さ(運動方向に直交)のデータをFig.2-11に示す.計測器演算に よるRrms値は初期計測値と同等の0.25~0.26μmで差異は無かった.プロフィールでは 転走面の突起が減少した程度の変化が確認できた.また,肉眼では光沢に差があること を確認できたが顕微鏡観察では光沢の差は確認できなかった.

2.4.4 グリース選定方法の問題点

リニア軸受用グリースの選定は,JIS に示された用途(たとえば転がり軸受用)とち ょう度番号だけでは不十分で,グリース基油粘度も考慮しなければならない.本実験に おいてリニア軸受をキャリッジ速度 1m/s で使用する場合,実使用温度下で 125mm2/s 以上の基油粘度が必要である.

転がり軸受の一種であるリニア軸受の寿命を維持するためには金属表面を起点とす る損傷を抑える必要がある.そのためには油膜が形成された状態で転がり運動しなけれ ばならず,本実験において得られた電気導通が無くなる状態,膜厚比Λが0.5以上で運 転することが重要である.

信頼性試験において「寿命=走行距離」と考え短時間で走行距離を伸ばすため実際の 設備より速い速度,長い移動距離で停止回数も少ない実験をおこなうため破損に至らな いことが多く,結果的に実機搭載時の加速試験になっていない.

Fig.2-11 Surface roughness after 1.25×106 cycle (Cross section perpendicular to the operating direction)

Fig.2-11 1.25×106 サイクル後の表面粗さ(転がり方向に直交方向)

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ドキュメント内 早稲田大学審査学位論文(博士) (ページ 36-39)