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実験装置と実験材料

ドキュメント内 早稲田大学審査学位論文(博士) (ページ 42-46)

第3章 リニア軸受の転がり疲労に及ぼすグリース基油粘度の影響

3.2 実験装置と実験材料

3.2.1 サンプルグリース

実験に用いたサンプルグリースは第2章のTable 2-3に示すA0グリースとA3グリー スである.基油はポリ-α-オレフィン,増ちょう剤が複合リチウムセッケンで酸化防止 剤,防錆剤,摩耗防止添加剤等の各種添加剤は同一量を配合し,基油粘度のみを変更し たもので性状を再度Table 3-1に示す.

Table 3-1 Characteristic of the grease for the experiment Table 3-1 サンプルグリースの性状

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37 3.2.2 実験方法

使用した実験装置,リニア軸受は第2章で使用したものと同様のものである.

実験装置で使用する前後に配置した2組のリニア軸受の1組(1組とは1本のレールに 2個のキャリッジが装着されたものを言う)のキャリッジにはA0グリースを封入し,も う1組のリニア軸受にはA3グリースを封入した.前後のリニア軸受で異なったグリー スを使用するため Fig.3-1 の写真で分かるよう前後のキャリッジへの配線は緑色と黒色 の2本を接続している.

実験は可動部の総重量を 294N(30kgf)とし,動作は可動テーブルを停止状態から任意 の方向へ加速度30m/s2で加速し(加速時間は 0.1s で走行距離は0.15m)速度 3m/sで定速 走行後(走行時間は0.07s で走行距離は 0.2m),加速度 30m/s2で減速し(減速時間は 0.1s で走行距離は0.15m),停止する.この1行程(走行距離は0.5m)の後,0.1s停止し,反対 側に向かい同様の動作で初期の位置に戻り0.4s停止するものである.

1.0×103km走行毎に電気導通状態の確認と観察,追加給脂を行い 1.0×104km転走面 観察を行い,さらに実験を継続し走行距離が1.09×104km時に異常音が発生したため試 験を中止した.

Fig.3-1 Schematic photograph of the test device Fig.3-1 実験装置の写真

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3.2.3 電気導通状態計測方法

実験装置は油膜の形成,破断状態を確認するため Fig.3-2 に示す電気回路を備えてい る.電源に1.5Vの乾電池を用い,停止中の短絡状態での乾電池消耗を抑えるため10Ω の抵抗を入れ,抵抗両端の電圧をオシロスコープで計測する単純な電気回路で導通状態 を計測した.

本実験においては前後のレールで異なる基油粘度のグリースを使用するため各レー ルの1つのキャリッジの導通状態が計測できるようにした.なお油膜形成による絶縁抵 抗値には変動があるため0~0.3Vで絶縁状態に達したと判断した.

なお,計測は1.0×103kmごとの評価の際のみ通電しておこなった.

3.2.4観察とグリースの追加給脂

1.0×103km走行毎の観察,グリースの追加給脂はキャリッジを可動テーブルからはず し,レールからも抜き取り,鋼球は樹脂製リテーナに保持された状態を維持し,鋼球,

キャリッジ転動,レール転動を観察の後,再度組み立てた.

組み立ての際,鋼球はキャリッジの同じ走行溝に戻し,リテーナの端部も同一の位置 に戻した.

観察前の洗浄はイソヘキサンを用いて綿棒・ウエスによる拭き取りを行った.レール もアセトンとイソヘキサンを用いウエスにて拭き取り洗浄を行った.

Fig.3-2 Electric circuit for electrical conductivity measurement Fig.3-2 電気回路の略図

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3.2.5 実験装置の膜厚比

実験装置の膜厚比Λ(ΛHmin/h)の計算値とキャリッジ速度の関係をFig.3-3に示す.最 小油膜厚さ Hminは Hamrock-Dowson の式 4から求めた.レール並びにキャリッジ転走 面の表面粗さの実測値は0.23μmRrms,鋼球の表面粗さは0.01μmRrmsで,これらをh1h2とし合成粗さhは二乗平均平方根粗さh=(h12+h22)0.5の式から0.23μmとした.

負荷はモーメント荷重を考慮せず,垂直荷重のみとし可動テーブル重量 294N(30kgf) を2本のレールに装着された4個のキャリッジで均等に支えたと仮定した.負荷を受け るのは鋼球4列のうち上側2列のみで1列当たり垂直荷重は36.8Nとなる.また,予圧 も 1 キャリッジの最大値 470N を上側の 2 列で受けるとし,1 列あたり 235N で合計

271.8Nとなる.1列の有効玉数が14個なので鋼球1つあたりの荷重は19.4Nとなる.

第2章において膜厚比Λ>0.5で油膜が形成されること(電気導通測定値で確認)を確認 したが,本実験においても同様で,A0グリースではキャリッジ速度0.8m/s以上で油膜 が形成され,A3グリースでは最高速度の3m/sでも油膜が形成されず金属接触状態で運 動している.

Fig.3-3 Relations of carriage speed and the oil film parameter Λ

Fig.3-3 キャリッジ速度と膜厚比の関係

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