第6章 総論
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第 6 章
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本研究では、コアバック式発泡射出成形法ならびに繊維材料添加剤を用いた発泡体の高 空隙率化、気泡微細化技術の確立に向けて、成形条件、繊維材料による物性改質効果が気泡 構造と成形可能な条件範囲に与える影響を明らかにした。また、これらの結果をもとに発泡 体の高発泡倍率化、気泡微細化を達成した。
ポリ乳酸のように歪み硬化性を持たない樹脂に対しては、気泡壁の破断と、それに起因す る合一が生じやすく、コアバック式射出発泡成形法において、その気泡壁破断挙動は樹脂粘 性、若しくは気泡壁厚みが支配的な因子となることが明らかになった。一方で、成形条件(発 泡温度など)を制御することで高空隙率化・気泡微細化を達成できることを明らかにした。
繊維添加剤が気泡構造や成形条件、発泡体の特性に与える影響としては ① 気泡微細化
② 発泡倍率の向上、連通性の向上、成形条件範囲の変化 ③ 強度上昇効果が挙げられる。
① 気泡微細化効果は、主に樹脂粘弾性特性の向上と気泡・結晶の不均質核生成に起因す る。樹脂中でネットワーク構造を形成する繊維材料は、その構造に起因して特に低周波数領 域で樹脂弾性を向上させることにより、複素粘度を上昇させる効果を有することが明らか になった。また、このネットワーク構造に起因し、広域的な温度範囲で複素粘度の上昇効果 を示した。
この低周波数での複素粘度の上昇効果が気泡成長過程に与える影響を明らかにするため、
複素粘度のせん断速度依存性を考慮し、1つの気泡が気泡成長した際の気泡径の経時変化を、
計算機を用いて計算した。
計算条件は 2 章表 2-3 (c) と同一とし、発泡温度は 180℃とした。樹脂は 5 章で用いた
LCBPP/CNF系を仮定し、計算には180℃でのPPの物性値を用いた[1-3]。また、複素粘度は
図 5-5 (c)に示した複素粘度の周波数依存性データに対して次式でフィッティングを行い、
算出したパラメータを用いて計算した。
|𝜂
∗| = 𝜂
0𝑎
1+ (𝑎
2𝜔)
𝑎3(5-12)
ここで、η0はゼロせん断粘度、a1、a2、a3はパラメータ、ωは歪み周波数である。これら 使用した物性値とパラメータの一覧を表6-1に示す。また、複素粘度のフィッティング結果
を図6-1に示す。LCBPP/CNFコンポジットとLCBPP単体を比較すると、特に周波数10 rad/s
以下よりCNF添加による複素粘度の上昇効果が表れ始め、周波数の低下に従い複素粘度が 上昇した。
シミュレーションの計算フローを図 6-2 に示す。まず、現時刻での外圧と2-11 式で求め られる気泡内圧を計算し、外圧が内圧を下回った時点で樹脂中に 1 つの気泡が生成すると 仮定した。初期気泡径、初期内圧は2-7式、2-11式を用いて求めた。気泡が生成した次の時 刻から、2-12式、2-17式で表される気泡成長速度式と気泡内圧式を連立して4次の
Runge-Kutta法で解き、その時刻での気泡径と気泡内圧を計算した。これらの式の詳細は2章で述
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べた通りである。得られた気泡径より気泡成長速度dR/dtを計算し、5-13式で気泡成長時の 気泡壁のせん断速度を求めた。
図6-1 LCBPP単体、LCBPP/CNFコンポジットの複素粘度のフィッティング結果
表6-1 (a) 計算に用いた物性値の一覧
物性 数値 引用論文
拡散定数 D [m2/s] 5.71×10-9 [1]
ヘンリー定数 H [mol/(m3 Pa)] 5.009×10-5 [2]より計算 表面張力 γ [N/m] 0.02042 [3]より計算
表6-1 (b) 複素粘度の絶対値のフィッティングに用いたパラメータ
フィッティングパラメータ CNF 重量分率 [wt.%]
0 5.0
η0 1.558×104 8.507×104
a1 2.153 5.717
a2 2.010 9.763
a3 0.500 0.496
10
-210
-110
010
110
210
210
310
410
5LCBPP alone CNF 5 wt.%
Fitted
Com pl e x vi sc os it y | *| [P a s ]
Frequency [rad/s]
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図6-2 シミュレーションのフロー図