第 4 章 娯楽を目的とした読み
4.5 結論
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みの大半を占める操作はページを1ページずつめくる操作であることが知られている.
これらのことを踏まえ,ページを1ページずつめくる操作のしやすさが紙での読みの効 率の高さの決定要因であると考え,これを検証することを試みた.具体的には,ページ めくり前後の読みと,それ以外のページめくりを含まない読みを分離し,紙と電子メデ ィアでの読みの速度や認知負荷を比較した.実験結果を表4-1にまとめ,概要を以下に 示す.
まず,iPad,Kndle,PC に比べて紙の書籍の読みの効率が高いことが確認され,そ の原因がページめくりの操作性の違いにあることが明らかとなった.ページめくりを含 まない場合,メディア間で読みの速度に違いはなく,ページめくりを含む場合は紙の書 籍での読みが有意に速かった.このことから,全体としての読みの効率は紙の書籍が高 く,その違いはページめくりの操作性の違いがもたらしていたことがわかる.比較した 電子メディアの中ではiPadのめくりでの読みの効率が最も高かったが,紙の書籍のめ くりには及ばないことが示された.
次に,紙でのめくりが優れている理由として,ページめくりの操作に必要な認知負荷 が低いためであることが示された.二重課題法による検証の結果,ページめくりを含む 部分での二次課題への反応時間はiPadに比べて紙の書籍が有意に短かった.さらに,
iPad と異なり,紙の書籍ではページめくりを含む部分とページめくりを含まない部分 での反応時間に違いがない.iPad に比べて紙の書籍でのめくりの認知負荷は低く,読 み手の注意をほとんど必要としないレベルにあることがわかった.
最後に,紙の書籍でのめくりの認知負荷が低い理由として,電子メディアと異なり操 作を視覚のみに依存していないためであることが示唆された.読みのプロセスの観察か ら,紙の書籍でのめくりと異なり,電子メディアではページめくりの完了を読み手が把 握できていない場合があることが確認された.このことから,電子メディアではページ をめくっている最中に画面に注意を向ける必要があることが,認知負荷の高さの一因で あったことが伺える.一方,紙でのめくりの完了が把握しやすいのは,視覚だけでなく 聴覚や触覚によってもめくりのフィードバックが得られるためと思われる.
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表4-1. 実験結果の概要
(下線の箇所が数量データの比較にあたり,
検定により有意差を確認した箇所を示す)
分析対象
の読み 参加者 メディアの違いが読みに与える影響 影響要因 影響要因についての詳細分析
娯楽を目 的とした 読み
実験1-1:24人 実験1-2:24人 実験1-3:24人
○読みの速度:紙>iPad,Kin dle,
PC
(ページめくり前後の読みの速度: 紙
>iPad,Kin dle,PC)
ページめくりを含まない読みの速度:紙
=iPad,Kindle,PC)
-ページめくりの有無を含めた全体とし ての読みは紙が速い.
○ページを1枚ずつめくる操 作のしやすさ:紙>
iPad,Kin dle,PC
・ページめくり前後の読みの 速度: 紙>iPad,Kindle ,PC
・ページめくり前後の二次課 題への反応時間 (認知負荷 の高さ):
紙<iPad,Kindle ,PC -紙でのめくりの読みが速く,
操作に必要な認知負荷も低 い.
○操作を視覚に依存して いることが電 子メディアの認知負荷を高めて いる
・紙と異なり,電子メディアではめくってい る最中に画面に注意を向ける必要があっ た.
-このことが認知負荷の高さの一因であ ることが示唆される.
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