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業務での文書の読まれ方に関する研究

ドキュメント内 高野健太郎 (ページ 39-42)

第 3 章 関連研究

3.3 業務の中で文書を読む場面に関する研究

3.3.1 業務での文書の読まれ方に関する研究

業務での読みの調査から,業務での文書の読まれ方や,メディアの利用状況について 以下のことが報告されている.

業務での文書の読まれ方 2章で述べた様に,Adlerらは業務プロセスの観察に基づき,

読みの事例を10種類に分けており,さらに各々の読みの出現頻度の集計も行っている [Adler 1998].出現頻度が高かったのは,第1 に相互参照の読み (約28%),第2 に答 えを探すための読み (約24%),第3 に議論のための読み (約22%) であった (図3-1).

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また,2010年のiPadの発売以来,こうしたタブレット端末の業務での利用が期待さ れている [日経コミュニケーションズ 2011][Hess 2012].業務でのタブレット端末へ の期待が高い機能として,個人情報の管理や簡単なメモを取ることに次いで,文書を読 むことがあげられている.また,会議の場に持ち込んで利用することへの期待も高い.

その理由として,PCと異なり画面を机に平置きにするため,資料を表示した際に他の 会議参加者と一緒に読みやすいことがあげられている.

以上のように,タブレット端末も業務の中で広く活用されていく可能性があることを 踏まえれば,このような端末についても着目する必要があると考える.タブレット端末 の利用が期待される場面として,文書を読むことに関連する活動が少なくない.そのた め,業務での利用が期待されているタブレット端末の有効性を検証する意味で,タブレ ット端末が業務での読みに与える影響を把握することも重要である.

業務の中で文書を読むことに費やされる時間 ナレッジワーカは業務時間の大半を文 書を読むことに費やしている.先に述べたAdlerらの調査によれば,ナレッジワーカは 業務時間の82%で文書を利用し,内70%が読むことに関連している [Adler 1998].ま

た,Sellenらは文書を利用する頻度が高い組織 (IMF) の職員25 名の日常業務を観察

した結 果,業務時 間の 97%が文書を 読むことに 費やされて いたと報告 している [Sellen 1997].

ナレッジワーカは業務時間の大半を文書を読むことに費やすことから,業務での読み を支援することが業務効率を左右することが示唆される.

業務での読みにおける紙と電子メディアの利用割合 近年になり,業務での文書を読む ためのメディアは紙から電子メディアに移行しつつあることが示唆されている.先に述

べたSellenや Adlerらの観察によれば,業務の中での文書を読む行為はもっぱら紙が

利用されていたことが報告されている [Sellen 1997][Adler 1998] (文書利用全体に占 める紙の利用割合は,Sellen,Adlerの分析で,各々86%,85%).一方,近年の調査で は,紙に比べて電子メディアで文書を読む割合が高いことが指摘されている.Tashman らはナレッジワーカ20名の日常業務を観察し,文書を読む時間の63%で電子メディア が利用されていたと報告している [Tashman 2011a].90年代後半からの10年ほどの 期間のうちに,業務の中で行われる読みでは,紙よりも電子メディアを利用する頻度が 高くなったことが示唆される.ただし,Tashman らは,このメディアの利用傾向は嗜 好性を反映したものではなく,読むためのメディアとしては紙が好まれていたとも報告 している.

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業務での読みは紙よりも電子メディアでなされる頻度が高くなっているが,読むため のメディアとしては依然紙が嗜好されている.この見解は,先に述べた大村らの報告と

一致する [大村 2010a].現状の電子メディアが業務での読みを阻害している可能性が

あるのであれば,その影響を検証することは重要である.

これらの調査から,業務を目的とした読みを対象に紙と電子メディアを比較するにあ たり,以下のことに留意すべきであることがわかる.

 業務での読みは多様であり,業務の中で行われる読みを広範にカバーするためには,

発生頻度が高い読みを分析対象とする必要がある.

 業務での読みでは,紙との比較対象としてPCとタブレット端末に着目する必要が ある.

また,業務での読みを分析対象とすることの重要性として以下のことも示唆される.

 業務での読みを支援することがナレッジワーカの業務効率を左右する.そして,現 状の電子メディアはこうした行為を阻害している可能性がある.

ドキュメント内 高野健太郎 (ページ 39-42)