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6. 結論
6-1. 本研究の結論
本論文は、リソグラフィ用EUV光源開発の課題である高出力化、集光ミラーの長寿命化、
ならびに評価技術の確立を目的として、高出力レーザシステムの開発、集光ミラーの保護 技術の開発、評価装置の開発を行ったものである。以下に、各章の内容と成果を要約する。
リソグラフィ用レーザ生成EUV光源の高出力化のためには、高出力レーザの開発が不可 欠である。第2章、第3章では、EUV光源用レーザとして可能性のあるNd:YAGレーザお よびCO2レーザに関して,nsで高繰り返し、高出力レーザを実際に製作し、評価した結果 を述べた。
第2章においては、レーザ生成EUV光源における高出力レーザシステム開発として、
Nd:YAGレーザでの開発結果について述べた。nsで高繰り返しであるレーザを実証する
ために、マスターオシレータに市販品の高繰り返し、低出力のパルスレーザーを、アンプ モジュールにはLD励起のCWレーザーを用いたMaster Oscillator Power Amplifier (MOPA)
システムを採用した。結果、出力として、1.4kWの出力が得られた。しかし、Nd:YAGレー ザは、レーザ媒質が固体であるため、熱の歪みによるビーム品質悪化が顕著であり、プラ ズマ生成のための高密度への集光が困難なことがわかった。また、1.4kWの出力以上では、
アンプモジュールで結晶にて損傷が見られ、量産用EUV光源に要求される出力10kWの達 成は困難であることがわかった。
第3章においては、高出力レーザとして可能性のあるCO2レーザシステムの開発結果に ついて述べた。CO2レーザシステムとしては、nsのパルス幅を発振する低出力レーザをマ スターオシレータ、アンプモジュールにRF励起のCO2レーザ増幅器を用いたMaster Oscillator Power Amplifier (MOPA)システムを採用し、出力として、8kWの出力が得られ た。Nd:YAGレーザは、レーザ媒質が固体であるため、レーザ媒質の熱歪みによるビーム 品質悪化が問題となったが、CO2レーザは、レーザ媒質がガスであるため、熱の歪による ビーム品質の悪化は少ないと考えられ、実際に高出力時のビーム品質も良好であった。さ らに、効率の改善のため、スラブ型CO2レーザを用いての増幅試験を実施し、有効性を検 証した。今後、スラブCO2レーザ増幅器を用いることにより、レーザシステムの小型化、
高効率化が可能であると考えられる。
第4章において、EUV集光ミラーの長寿命化として、ECR条件を用いた中性粒子イオン 化試験の結果を述べた。まず、CO2レーザ励起Snプラズマからの中性粒子をMCPと磁場
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を用い、評価した。結果、荷電粒子が磁場によるローレンツ力のため取り除かれた場合、
0.6 Tの磁場では、MCP信号は検出限界以下まで減少した。MCPでは高エネルギー粒子も
測定可能であるが、検出限界以下であったことから、プラズマからの高エネルギー中性粒 子が存在しないことがわかった。また、これまでプラズマからのイオンを磁場、電場を用 いて制御する技術が報告されているが、プラズマからのデブリとしては、中性粒子も存在 するため、中性粒子を制御するためのイオン化技術としてECR(電子サイクロトロン共鳴)
条件を用いてのイオン化を適応し、試験を実施した。磁力線に沿ったイオン量をファラデ ーカップにて測定し、ECR条件では、イオン信号が1.5倍に増加することを確認された。
本結果より、ECR条件を用いて磁場により排出されるイオン信号が増え、中性粒子がイオ ン化し、排出されることが実験的に確認された。本結果によるECR条件を用いた中性粒子 イオン化により、集光ミラーの寿命は、1.5倍まで延びる可能性があると想定される。
第5章において、我々の開発したEUV光源システムの集光点評価を実施し、測定結果を 述べた。集光後のEUV光源性能を高出力LPP方式光源で直接測定した例はなく,実用技 術として確立するには直接測定により設計値を評価する必要が有る。EUV光源システムの プラズマ発光点での計測値から集光ミラー反射率および捕集立体角から集光点出力への換 算値16Wに対して、集光点でのエネルギーをフィルタおよびフォトダイオードを用いて、
実測した。結果、集光点での実測値として16Wの出力を確認した。本計測結果より、設計 値通りの出力が集光後に得られることが実験的に確認できた。また、EUV出力の他に、EUV 光スペクトル、EUV光イメージ、EUV以外の波長での出力を評価した。EUV光スペクト ル測定結果としては、13.5nmにピークを持ち、短波長側は、Snプラズマ、長波長側は、
集光ミラーでの反射率に倣う結果が得られた。EUV光イメージをEUV光の入射に伴い発 光する蛍光板と可視光用カメラを用いることで測定し、EUV光イメージ測定結果としては、
1/e2サイズが水平3.6mm、垂直3.3mmの楕円であった。本結果からEUV光源のエタンデ ュを計算すると、1.9mm2srとなり、EUV光源への要求仕様3.3mm2sr以下を満たしてい た。EUV以外の波長出力測定を、フィルタおよびフォトダイオードを用いて実施した。こ れらの計測器を用いることで、現在開発しているEUV光源システムを評価することが可能 となり、光源開発を加速することが可能であると考える。
81 6-2. 今後の課題
本研究で得られた結果に対して、今後の課題について述べる。
EUV光源の高出力化に関しては、現在レーザ生成EUV光源用として可能性の高いCO2
レーザでのサイズの小型化、高効率化が必要である。まず、小型化に関しては、CO2レー ザ増幅器として、高速軸流型を使用した場合、ガスを循環させるためのブロアが必要とな るため、大型になってしまう。本研究でも使用している拡散冷却型の場合には、ガス冷却 は電極からの拡散を利用しているため、ブロアが不必要である。今後、拡散冷却型のCO2
レーザ増幅器を用いて、CO2レーザシステムを構築し、評価を進める。
集光ミラーの長寿命化に関しては、本研究では、電子サイクロトロン共鳴条件化におい て、磁力線に沿ったイオン信号量がファラデーカップによる測定により増加することを実 証した。しかし、集光ミラーへの堆積量が低減したかどうかの評価が実施できていない。
今後、QCMまたはサンプルプレートを用いて、集光ミラーへの堆積量が低減されているか の評価を実施する必要がある。
また、本研究は、10Hz程度の低繰り返しで試験を実施した。実際のリソグラフィ用EUV 光源では、10kHz以上の高繰り返しが要求される。高繰り返し時の真空チャンバ内でのイ オンの磁場による制御状況を評価するとともに、電子サイクロトロン共鳴条件の実現性を 考える必要がある。
EUV光源の評価技術に関しては、現在、レーザ生成EUV光源は、CO2レーザSnプラ ズマでの開発が進められている。露光機からの要求として、EUV光以外の波長出力を低く する必要がある。EUV光以外は、熱になってしまい、露光性能を悪化させてしまうからで ある。本研究では、出力計測にSiフォトダイオードを用いたため、赤外波長域での評価が できていない。今後、CO2レーザ生成Snプラズマからの赤外波長域の評価が必要不可欠で ある。
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