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第 3 章 金クラスター表面のリガンド交換反応を利用した活性酸素発生制御

3.2. 合成

3.2.1. 金クラスターD (2.5 nm 1-ドデカンチオラート保護金クラスター) の合成13)

金クラスターDは2.2.3 (24頁) 金クラスターBと同様の方法で合成した。30 mM 塩化金

酸水溶液 (30 mL, 0.90 mmol) と50 mM 臭化テトラ-n-オクチルアンモニウムトルエン溶液

(80 mL, 4.0 mmol) を100 mL容ナスフラスコに入れて激しく攪拌し、Au3+をトルエン相に

移動せしめた。3.4 (170 mg, 0.84 mol) を有機相に溶解し、新鮮な0.4 M 水素化ホウ素ナト リウム水溶液 (25 mL, 10.0 mmol) を加え、3 時間激しく攪拌した。トルエン相を無水硫酸 ナトリウム上で乾燥した後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した。残渣を

トルエン (10 mL) で再溶解し、エタノール (400 mL) を加え-20oCの冷凍庫に4時間静置

した。遠心分離を行い上清を除いた。沈澱をトルエン (10 mL) に溶解し、エタノール (400 mL) を加え、-20oCの冷凍庫に4時間静置した。遠心分離を行って上清を除いた後、減圧 乾燥することにより金クラスターDを黒色蝋状固体 (180 mg) として得た。

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スキーム3.1 ポルフィリン修飾アルキルジスルフィド3.3の合成

3.2.2. 5-(4-メトキシフェニル)-10,15,20-トリフェニルポルフィリン (3.1) の合成

200 mL容ナスフラスコにプロピオン酸 (150mL)、ベンズアルデヒド (3.06 mL, 30 mmol)、

p-アニスアルデヒド (1.22 mL, 10 mmol) およびピロール (2.78 mL, 40 mmol) を入れ、180 ℃ の油浴中で 30 分間加熱還流した。溶液を室温まで冷却後、メタノール (150 mL) を加え た。析出した結晶を濾取してメタノールで良く洗い、次いでクロロホルム/メタノールより 再結晶した。シリカゲルクロマトグラフィー (ワコーゲル C-200、ヘキサン/ジクロロメタ ン) による生成の後、クロロホルム/メタノールより再結晶することで 3.1 を暗紫色結晶

(392 mg, 6%) として得た。副生成物としてテトラフェニルポルフィリン (326 mg) および

5,10-ビス(メトキシフェニル)-15,20-ジフェニルポルフィリンと 5,15-ビス(メトキシフェニ

ル)-10,20-ジフェニルポルフィリンの混合物 (90mg) を得た。

1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d, TMS, 室温) δ/ppm -2.77 (brs, 2H, 内部NH), 4.09 (s,

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3H, CH3), 7.28 (m, 2H, ベンゼン), 7.75 (m, 9H, ベンゼン), 8.13 (m, 2H, ベンゼン), 8.22 (m, 6H, ベンゼン), 8.82 (s, 4H, ピロール), 8.82 (d, 2H, ピロール), 8.88 (d, 2H, ピロール).

3.2.3. 5-(4-ヒドロキシフェニル)-10,15,20-トリフェニルポルフィリン (3.2) の合成

3.1 (490 mg, 0.760 mmol) を乾燥ジクロロメタン (500 mL) 溶解した。氷冷撹拌しながら

1 M 三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液 (30 mL, 30 mmol) をゆっくりと滴下した。室温で

66 時間攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (500 mL) を加え、一晩撹拌した。水 相を除き、これを無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、ロータリーエバポレーターにより溶媒 を留去した。クロロホルム/メタノールによる再結晶をすることで 3.2 を暗紫色結晶 (397

mg, 83%) として得た。

1H NMR (400 MHz, ジメチルスルホキシド-d6,TMS, 室温): δ/ppm -2.92 (brs 2H, NH), 7.21 (m, 2H, ベンゼン), 7.80-7.88 (m, 9H, ベンゼン), 8.02 (m, 2H, ベンゼン), 8.23 (m, 6H, ベンゼ ン), 8.81 (d, 2H, ピロール), 8.82 (s, 4H, ピロール), 8.92 (d, 2H, ピロール), 10.00 (s, 1H, OH).

3.2.4. ビス[(10,15,20-トリフェニルポルフィリン-5-イル)フェニル] 3,3’-ジチオジプロピ

オナート (3.3) の合成

10 mL容の2ツ口フラスコ中で3,3’-ジチオジプロピオン酸 (526mg, 2.50 mmol) をトル

エン (5 mL) に懸濁し、これにN,N-ジメチルホルムアミド (25 μL) と塩化チオニル (1 mL,

14 mmol)を加え、50oCの油浴中で2 時間攪拌した。乾燥クロロホルム (5 mL) を加えて内

容物を溶解し、0.5 M 二塩化-3,3’-ジチオジプロピオニル溶液とした。

側管にラバーキャップを取り付けた100 mL容の2 ツ口フラスコ中で、3.2 (315 mg, 0.50

mmol) および乾燥ピリジン (1 mL) を乾燥クロロホルム (100 mL) に溶解した。これに0.5

M二塩化-3,3’-ジチオジプロピオニル (500 μL, 0.25 mmol) 溶液を滴下し、6 時間攪拌した

後、更に0.5 M 二塩化-3,3’-ジチオジプロピオニル (500 μL, 0.25 mmol) 溶液を加えて8 時

間攪拌した。TLC による反応追跡で原料の残存を確認したので 0.5 M 二塩化-3,3’-ジチオ ジプロピオニル溶液 (200 μL) を加えて4 時間攪拌後、更に0.5 M 二塩化-3,3’-ジチオジプ ロピオニル溶液 (200 μL) を加えて2 時間攪拌した。反応溶液を蒸留水によって3 回洗浄、

これを無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィ ー (ワコーゲル C-200、ジクロロメタン) によって精製を行った後、トルエン/ヘキサンよ

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り再沈殿することで3.3を紫色粉末 (170 mg, 47%) として得た。

1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d, TMS, 室温): δ/ppm -2.80 (brs, 4H, 内部NH), 3.29-3.33 (8H, CH2), 7.56 (m, 4H, ベンゼン), 7.65-7.80 (m, 18H, ベンゼン), 8.13-8.26 (m, 16H, ベンゼ ン), 8.78-8.89 (m, 16H, ピロール).

3.2.5. ポルフィリン修飾金クラスター3.3@Dの合成13)

50 mg/mL Dトルエン溶液と4.23 mg/mLの3.3トルエン溶液それぞれ200 μLをスクリュ

ーバイアルに撹拌子と共に入れ、これを60oC或いは80oCの油浴中で加熱撹拌した。10 μL の反応溶液を1.5 mL容マイクロチューブに取り、これにアセトン (1 mL) を加えて手早く 混ぜた。遠心分離 (10,000 ×g、1分間) により金クラスターを沈澱せしめ、上清を捨てた。

沈澱をアセトンで洗った後、約 1 mL のアセトンを加えて、超音波を照射して沈澱を分散 させた。分散液を新しいチューブに移し、遠心分離 (10,000 ×g、1分間) を行った。上清を 捨て、沈澱をアセトンで洗った後、減圧乾燥を行った。ジクロロメタンで沈澱を溶解し、

これを適当に希釈した物について紫外可視吸収スペクトル測定を行った。

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3.2.6. ジドデシルジスルフィド (3.5) の合成

3.4 (1.0 g, 4.9 mmol) をエタノール (25 mL) に溶解し、ヨウ素を溶液が淡黄色を呈すまで 加えた。生じた白色結晶を濾別後、濾液を濃縮して再び濾過した。ジクロロメタン/メタノ ールより再結晶し、3.5を白色結晶 (872 mg, 88%) として得た。

1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d, TMS, 室温): δ/ppm 0.88 (t, 6H, CH3), 1.20-1.45 (m, 36H, CH2), 1.67 (quintet, 4H, 2-CH2), 2.68 (t, 4H, 1-CH2).

- 59 - 3.2.7. 3,3’-ジチオジプロピオン酸 (3.9) の合成

水酸化ナトリウム (3.0 g, 75 mmol) を蒸留水 20 mL に溶解し、これに 3.8 (3.5 mL, 40

mmol) を加えた。氷冷下ヨウ素 (4.4 g,17 mmol) を少量ずつ加えた後、室温で4 時間撹拌

した。アセトンを加え、生じた沈殿を濾別後した。これを少量の蒸留水に溶解し、pHがお よそ1 となるまで濃塩酸を加えた。生じた沈殿を濾取し沈殿を冷水で洗った。メタノール

/ジクロロメタンより再結晶して3.9を白色結晶 (1.59 g, 38%) として得た。

1H NMR (400 MHz, ジメチルスルホキシド-d6, TMS, 室温): δ/ppm 2.62 (t, 4H, 2-CH2), 2.88 (t, 4H, 3-CH2), 12.37 (brs, 2H, COOH).

3.2.8. ジヒドロチオクト酸 (3.10) の合成

25 mL 容ナス型フラスコに 3.11(515 mg, 2.5 mmol)、炭酸水素ナトリウム (210 mg, 2.5

mmol) 及び蒸留水 (12.5 mL) を入れ、超音波を照射し完全に溶解した。氷冷撹拌しながら

水素化ホウ素ナトリウム (475 mg, 12.5 mmol) を20 分かけて加えた。30 分間氷浴中で撹 拌した後室温で30 分間撹拌した。フラスコを氷浴に戻し、窒素を吹き込みながら2 M 塩 酸をpHがおよそ1となるまで(pH試験紙を用いて確認した)ゆっくりと加えた。クロロホ

ルム(3 x 10 mL)で抽出し、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥しクロロホルムを減圧留去

した。3.10を無色透明の油状液体(427 mg, 82%)として得た。

1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d TMS, 室温): δ/ppm 1.31 (d, 1H, 6-SH), 1.36 (t, 1H, 8-SH), 1.40-1.96 (m, 8H, 3,4,5,7-CH2), 2.38 (t, 2H, 2-CH2), 2.62-2.80 (2H, 8-CH2), 2.93 (m, 1H, 6-CH), 10.56 (brs, 1H, COOH).

3.2.9. ジヒドロチオクト酸n-ブチルエステル (3.12) の合成

3.10 (1.91 g, 9.2 mmol) に10 % 塩化水素n-ブタノール溶液を加え、窒素気流下室温で3 時間撹拌した。トルエンを加えこれを減圧留去することを3 回繰り返した。残渣をジクロ ロメタンに溶解し水で3 回洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥後溶媒を減圧留去 し、3.12を無色液体(2.39 g, 99%)として得た。

1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d, TMS, 室温): δ/ppm 0.94 (t, 3H, butyl CH3), 1.30 (d, 1H, 6-SH), 1.35 (t, 1H, 8-SH), 1.38 (m, 2H, ブチルCH2), 1.40-1.70 (m, 9H), 1.70-1.96 (m, 2H, 7-CH2),

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2.32 (t, 2H, 2-CH2), 2.60-2.80 (m, 2H, 8-CH2), 2.92 (m, 1H, 6-CH2), 4.07 (t, 2H, butyl CH2).

3.2.10. N-アセチル-L-システインn-ブチルエステル (3.13) の合成

50 mL容ナス型フラスコ中、N-アセチル-L-システイン(1.63 g, 10 mmol) を塩化水素n-ブ

タノール溶液(15 mL)に溶解し、窒素気流下室温で3 時間撹拌した。トルエンを加えこれを 減圧留去することを3 回繰り返した。残渣をジクロロメタンに溶解し、水で 3 回洗った。

有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣を少量のエーテルに溶解し、

冷ヘキサンを加えることで生じる白色沈殿を濾別した。冷ヘキサンで3 回洗浄後、減圧乾 燥することで3.13を白色固体(1.24 g, 62%)として得た。

1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d, TMS, 室温): δ/ppm 0.95 (t, 3H, CH3), 1.33 (t, 1H, SH), 1.40 (sextet, 2H, ブチルCH2), 1.66 (quintet, 2H, ブチルCH2), 2.08 (s, 3H, COCH3), 3.03 (dd, 2H, システインCH2), 4.04-4.27 (m, 2H, ブチルCH2), 4.88 (m, 1H, システインCH), 6.41 (brs, 1H, NH).

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