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C.5 結 言
本付録では、ALSの実海域における省エネ効果把握の一貫としてALS搭載船が規則波中を航行 する場合の船体周りの気泡挙動推定法について述べた。本手法は、平水中を対象とした気泡挙動予 測技術を波浪中での船体運動とプロペラ影響を連成した波浪中船体周り気泡流解析技術である。
本付録を要約すると次のようになる。
規則波中を航走する船体周りを流れる気泡挙動を合理的に計算する手法を構築した。本手法は、
船体運動をあらかじめストリップ法により予測し、その船体運動計算結果に基づき船体周りの計 算メッシュを船体とともに強制加振し船体周りの流れ場を CFD 計算する方法である。
本手法により、波浪中を船体が動揺する際の船体周りやプロペラに流入する気泡分布の変化を 推定することが可能となった。
付録 D 空気潤滑システムの開発
モジュール運搬船に搭載するために開発した空気潤滑システム(ALS)は、以下に示す代表機器で構 成されている。
・ 【動力部】モータ、ブロワー
・ 【配管部】空気配管・バルブシステム、ヘッダータンク
・ 【空気吹出部】空気吹出チャンバー、海洋生物付着防止装置
・ 【制御部】モータ、ブロワーおよびバルブシステムの制御装置
ここで、海洋生物付着防止装置(MGPS;Marine Growth Prevention System)とは、海水を直接電解 し、次亜塩素酸ソーダを発生させることで、海水設備への海洋生物の付着を防止する装置であり、停 泊中のALSが作動していない際に、空気吹出チャンバー内を次亜塩素酸ソーダの混入した海水とす ることで、空気吹出チャンバー内に海洋生物が付着することを防止するための装置である。
また、ALS 搭載船では船底を気泡が流れるため船底に設置されているエンジン冷却水取り入れ部 であるシーチェストに気泡が混入し、その気泡がエンジン冷却水に混じりエンジン冷却能力を低下さ せたり、ポンプをトリップさせる危険性があるため、シーチェスト内で気液分離を確実に行い、エンジン 冷却水への気泡混入を防止する必要がある。このため、シーチェストの検討もALSの開発には重要と なる。
本付録では、ALS を開発する際に重要な機器となる空気吹出部チャンバー、空気配管・バルブシ ステムおよびシーチェストに関し、模型実験や数値計算を用いて検討した際の実施事項や実船搭載 後の岸壁試験による性能確認結果について述べる[73][74][75][95]。
まず、D.2 節では、空気を船底から海中に吹き出す部分となる空気吹出チャンバーの実物大モック アップを用いた空気中および水中空気吹出試験を実施し、空気吹出チャンバー内に仕切り板を設置 することにより、チャンバー底面に設置された複数の空気吹出孔から均等に空気を吹き出すことが可 能であることを検証した。
D.3 節では、岸壁に ALS を搭載したモジュール運搬船を係船した状態で、ブロアーを作動させ船 底に空気を送り込み、船底の小孔からの空気の放出状況をダイバーによるカメラ観察で確認した結果 について述べる。また、空気吹出チャンバー内に設置した圧力計から空気供給量を計測し、空気配 管に設置されているバルブを調整することにより船底に配置した 15 個の空気吹出チャンバーのそれ ぞれに均等に空気が流れていることを確認した結果について述べる。
D.4 節では、空気配管・バルブシステムの流量分配を検討するために用いた熱流体管路網解析手
法について述べる。また、本解析手法を用いて配管の圧力損失を小さくさせ、かつ船体がロールした 際に各空気吹出チャンバー間からの空気吹出量に大きな変化を発生しないようにするためのロバスト なバルブ開度について検討した。
D.5節では、CFDを用いたシーチェスト内気液分離シミュレーションの有効性を検証するため、シー チェスト模型を用いた気泡流観察実験を行い、シーチェスト内気液分離予測技術の推定精度の検証 を行った。