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第 4 章 児童期の学力変化を規定する諸要因の検討

4.3 動機づけと学力の関連性の分析

4.3.3 結果

91

92 の合計値を項目数で除した値を尺度得点とした。

(2)動機づけの各スタイルの発達的変化

動機づけの4つのスタイルの発達的変化について,まず,全体的な傾向をみるために,

入学年度を込みにして4年~6年を横断的に比較した(表 4.3-1)。性別と学年による2要 因の分散分析を行ったところ,内的調整では性別の主効果が有意であり,男子の方が女子 よりも有意に高かった(F(1,718)=5.05, p<.05)。学年の主効果も有意であり(F(2, 718)=14.50, p<.01),多重比較によれば,6年<5年<4年であった(図4.3-1)。同一化調整では学年の主 効果のみが有意であり(F(2,722)=8.01, p<.01),多重比較によれば,6年<5年=4年であっ た。取入調整,外的調整では有意な効果は見られなかった。

表4.3-1 学年と性別による動機づけの下位尺度得点の平均値(M)と標準偏差(SD)

4年 5年 6年

内的調整 男子 N 94 111 110

M 2.92 2.78 2.55

SD 0.85 0.87 0.92

女子 N 128 142 139

M 2.88 2.58 2.36

SD 0.83 0.90 0.93

同一化調整 男子 N 97 115 112

M 3.47 3.39 3.18

SD 0.78 0.77 0.87

女子 N 125 143 136

M 3.47 3.40 3.22

SD 0.65 0.71 0.80

取入調整 男子 N 97 116 111

M 2.62 2.64 2.47

SD 0.98 0.93 0.97

女子 N 125 147 139

M 2.68 2.69 2.57

SD 0.89 0.94 0.88

外的調整 男子 N 97 113 113

M 1.98 2.01 1.97

SD 0.93 0.90 0.92

女子 N 127 146 135

M 1.90 2.03 2.01

SD 0.86 0.88 0.90

93

図4.3-1 動機づけの下位尺度得点の発達的変化

次に,3学年分のデータが揃っている2009年度入学者だけを対象に縦断的に比較した(表 4.3-2)。性別と学年による 2 要因の分散分析を行ったところ,内的調整,同一化調整,外 的調整ではいずれも,学年の主効果のみ有意であった(順に,F(2, 168)=13.44, p<.01,F(2, 176)=7.28, p<.01,F(2, 168)=4.02, p<.05)。多重比較の結果,内的調整では 6年=5年<4年,

同一化調整では6年<5年=4年,外的調整で4年<6年であった(図4.3-2)。

表4.3-2 学年と性別による動機づけの下位尺度得点の 平均値(M)と標準偏差(SD)(2009年度入学者)

4年 5年 6年

内的調整 男子(N=39) M 2.96 2.68 2.44

SD 0.82 0.84 0.97

女子(N=47) M 2.84 2.46 2.35

SD 0.87 0.96 0.92

同一化調整 男子(N=42) M 3.43 3.30 2.97

SD 0.80 0.80 1.00

女子(N=48) M 3.41 3.36 3.23

SD 0.72 0.73 0.74

取入調整 男子(N=41) M 2.63 2.61 2.56

SD 0.99 0.88 0.98

女子(N=46) M 2.66 2.77 2.70

SD 0.90 0.90 0.95

外的調整 男子(N=40) M 1.86 2.11 2.13

SD 0.84 0.93 0.93

女子(N=46) M 1.95 2.18 2.28

SD 0.90 0.92 0.89

1 2 3 4

4年 5年 6年

尺 度 得 点( 平 均)

内的調整 同一化調整 取入調整 外的調整

94

図4.3-2 動機づけの下位尺度得点の発達的変化(2009年度入学者)

(3)動機づけの 4 つのスタイルと学力の関連

まず,全体的な傾向をみるために,入学年度を込みにして,動機づけの下位尺度得点と 算数偏差値,国語偏差値の相関を全体及び男女別で算出した(表4.3-3)。

内的調整は,有意な相関はすべて正であった。全体では,すべての学年で有意であった。

男子では算数,国語ともに4年生以外で,また,女子では,国語の4年生以外で有意であ った。

同一化調整は,有意な相関はすべて正であった。全体では,算数は5年,6年で,国語 は6年で有意であった。男子では算数の6年のみで,女子では算数の4年,5年のみで有 意であった。

取入調整は,有意な相関はすべて負であった。全体では国語の6年生以外は有意であっ た。男子では算数,国語ともに6年生以外は有意であった。女子では国語の 4年,5年の みで有意であった。

外的調整は,有意な相関はすべて負であった。全体では,国語の6年生以外はすべて有 意であった。男子では算数,国語ともに6年生以外は有意であった。女子は,算数,国語 ともに4年生だけが有意であった。

相関の強さをみると,いずれも弱い相関であった。学年進行に伴い,内的調整と同一化 調整は相関が強くなるが,取入調整,外的調整は相関が弱くなる傾向にあった(図4.3-3)。

1 2 3 4

4年 5年 6年

尺 度 得 点( 平 均)

内的調整 同一化調整 取入調整 外的調整

95

表4.3-3 動機づけの下位尺度得点と算数偏差値の相関

内的調整 同一化調整 取入調整 外的調整 全体 算数 4年 .187** .114 -.209** -.233**

5年 .254** .159* -.164** -.192**

6年 .343** .177** -.128* -.132* 国語 4年 .141* .044 -.270** -.238**

5年 .210** .070 -.245** -.172**

6年 .264** .131* -.073 -.059

男子 算数 4年 .123 .051 -.281** -.262**

5年 .273** .101 -.186* -.253**

6年 .286** .234* -.101 -.152

国語 4年 .126 .051 -.344** -.275**

5年 .275** .074 -.274** -.253**

6年 .285** .180 -.011 -.012 女子 算数 4年 .235** .186* -.142 -.235**

5年 .211* .220** -.142 -.145

6年 .367** .147 -.136 -.107

国語 4年 .152 .038 -.206* -.206*

5年 .171* .065 -.225** -.105

6年 .262** .080 -.137 -.131

**p<.01 *p<.05

図4.3-3 動機づけの下位尺度得点と算数偏差値,国語偏差値の相関の発達的変化 -0.4

-0.2 0 0.2 0.4

4年 5年 6年 4年 5年 6年

算数 国語

相 関 係 数

内的調整 同一化調整 取入調整 外的調整

96

次に,3学年分のデータが揃っている2009年度入学者だけを対象に動機づけの下位尺度 得点と算数偏差値,国語偏差値の相関を算出した(表 4.3-4)。なお,人数が少ないので男 女別には算出しなかった。

入学年度を込みにした結果と比べて,相関係数の有意性にはやや違いが見られたが,内 的調整,同一化調整は正の相関で,学年進行に伴い相関が強くなり,一方,取入調整,外 的調整は負の相関で,学年進行に伴い相関が弱くなる,といった傾向は同様であった(図 4.3-4)。

表4.3-4 動機づけの下位尺度得点と算数偏差値,国語偏差値の相関(2009年度入学者)

内的調整 同一化調整 取入調整 外的調整

算数 4年 .123 .051 -.281** -.262**

5年 .273** .101 -.186* -.253**

6年 .286** .234* -.101 -.152

国語 4年 .126 .051 -.344** -.275**

5年 .275** .074 -.274** -.253**

6年 .285** .180 -.011 .012

**p<.01 *p<.05

図4.3-4 動機づけの下位尺度得点と算数偏差値,国語偏差値の 相関の発達的変化(2009年度入学者)