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§ 翠

第4節  結果と考察

 本節では,【授業仮説1】をもとにした手立てを講じることによって,教材文に対し て問題意識を持つことができたかどうかを検証する。その方法として,第2節で述べ た検証計画通り,教材文を読んだ感想(第4時ワークシート)の記述内容を分析する。

また,批判的な読みができたかどうかを検証するために,批判的な読みの自らの考え

(第7時ワークシート)の記述内容を分析する。

   第1項 教材文を読んだ感想(第4時ワークシート)

  第1教材「大きな力を出す」の学習において,文章構成に関わる既有知識を喚起さ  せた。そして,第2教材「動いて,考えて,また動く」の教材文を形式段落ごとに分  けた文章を並び替える活動を行うことによって,既有知識の活用をねらった。その並  び替えの結果と教材文の並び順(教材文の文章構成)とを比較させることによって,

 教材文に対する違和感や疑問が生まれると考えた。

  初発の感想の記述内容を分析すると,教材文に対する違和感や疑問を記述していた  学習者は1人もいなかった。本実践で講じた手立てによって,教材文に対する問題意  識を持たせることができなかったということである。つまり,手立てが有効に機能し  なかったのである。

  このような結果になった原因として次の3点が考えられる。

  1つ目の原因は,初発感想を記述するワークシートの形式である。下に示すように,

 初発の感想の書き方を限定した。学習者が感じたことを表現することができるような  形式になっていない。そのため,教材文に対して違和感や疑問を抱いていたとしても,

 それを表現できなかったのかもしれない。なお,ワークシートには初発の感想を書か  せるために次のような問いを設けた。

ロロ ロののコのの サロサ コ ロコロココのココの の コココロ コのの サロ ロ  コ  ココロコのサのロロのコロロコ コのののコサコココロコののの コロ ロのロ  ののの ヨ

1①筆者(高野さん)は「自分にとって最高のものを実現するためには,『まず動く,そして考える』1

,       t ロ       ロ

1 ことが大切です」と考えを高いています。      l

l       画 コ       ロ

1 あなたはその考えに共感しますか。それとも,ぎもんに思いますか。      1

1       巳 ほ       ロ

・ あてはまる方を0でかこんでください。       ,

1       9 コ       ロ コ       コ

1     共感する(なるほど,そうだ,と思う) ・  ぎもんに思う(本当にそうかな)   ・

循       t コ       コ コ       ロ

,  その理由は…(各自記述)       ,

1       l l       l 巳       9 1       1 匿       1 ロ       ニ

1②筆者(高野さん)は,文章を読むみなさんに「『まず動く,そして考える』ことが大切です」と l

l       I ロ       ほ

; いう考えを伝えるために,さまざまな説明をしています。筆者(高野さん)の説明の仕方は,わ 1

ロ       ロ コ       コ

1 かりやすいですか,それとも,わかりにくいですか。       t

l       l ロ      し         ロ ロ       ロ

1     わかりやすい  ・  わかりにくい      

■        ほ       コ

1  その理由は…(各自記述)       1

1       1

 2つ目の原因は,連続した学習活動の断絶である。形式段落ごとに分けられた教材 文の並び替えを行ったのは,第3時(6月18日)である。教材文を通読し初発の感想を

書いたのが,第4時(6月20日)である。第3時と第4時との問には時間的に大きな

隔たりがある。そのため,教材文に対する意識が弱まり,教材文の通読の際に違和感 や疑問を抱きにくい状態であったと考えられる。並び替えを行い,教材文を通読し,

初発の感想をまとめるという一連の活動が1単位時間(45分)内,または2単位時間連 続(45分×2)で行われていれば,初発の感想の記述内容が異なった書きぶりであった かもしれない。なぜなら,第3時において,教材文の並び替えを授業前半で行い,授 業の後半に教材文の形式段落の並び順を学習者に伝えた際に,教材文に対する違和感 や疑問に相当する声が多く挙がったからである。

 3つ目の原因は,学習課題の内容である。教材文の形式段落の並び順を考えるとい う課題であるため,正解を考えるという意識が学習者に強く働いた。そのため,学習 者の既有知識を生かした並び順と教材文の形式段落の並び順との差異が,学習者に教 材文に対する違和感や疑問を生じさせることにつながりにくかった。むしろ,その差 異は,学習者に自らの考えが誤答であったという認識を生じさせることになった。つ まり,学習課題の内容が教材文に対して問題意識を持たせるために適切でなかったの

である。

 以上のことから,次のことが言える。

 教材文に対して問題意識を持たせることができなかった。その原因として,①感じ たことを書きづらいワークシート,②連続した学習活動の断絶,③批判的に読もうと する構えを作るのに適していない学習課題,が考えられる。

  第2項 批判的な読みの自らの考え(第7時ワークシート)

   1t問いの内容

 教材文の段落構成を「はじめ(①)+なか1(②③④⑤)+なか2(⑥)+なかのまとめ

(⑦)+おわり(⑧)」ととらえさせた。そして,次のことに注目させた。「なか1(脚 の動かし方)」が4段落に渡って筆者の経験と走り方の説明が詳しく述べられている。

それに対して「なか2(腕のふり方)」が1段落のみの記述で,筆者の経験が書かれ ておらず,走り方の説明のみである。そこで,以下のように発問し考えさせた。

i 「なか2」には「なか1」のような,高野さんの纏駿がくわしく書かれていません。 i

コ      ロ ロ      ロ

; 「なか2」がなくても,「なか1」の例で高野さんの考えは伝わります。     1

ロ      コ

1では,「なか2」は高野さんの考えを伝えるために必要でしょうか。必要ないのでは 1

聖      ■ ロ      ロ

1ないでしょうか。      1

■      9

    2.評価の仕方

  学習者は「必要。なぜなら〜」「必要ない。なぜなら〜」というように,必要か必要  でないかを考え,その理由を記述した。必要・不必要それぞれの考えが認められる課  題であるので,必要・不必要の判断の理由付けの妥当性を以って,記述内容を分析す  る。必要か必要でないかの価値判断自体は問わない。

  今回の問いの場合は,理由付けの内容を次の基準によって評価する。

ロ       ロ

1〈必要〉という考えの場合…       1

ロ       ロ ロ      ロ

1筆者の伝えたいことと当該段落との関係,当該段落が果たす役割を考えているかどうか    I l      l

コ       コ

1 (例:当該段落が筆者の伝えたいことをより効果的に伝えるために役割を果たしている)   ・ l      l

6       置 e       I l      , コ       ロ

1〈不必憂〉という脅えの場合…      1

ロ       ユ ロ       ロ

1 筆者の伝えたいことと,当該段落,また他の段落との関係から,当該段落が    ;

ロ       ロ ロ      

1必ずしも必要不可欠ではない旨を記述しているかどうか       1

ロ       コ

i (例:当該段落がなくても,他の段落の内容で筆者の伝えたいことは十分伝わる)  l        lロロロコロロののののののロ ロ サササコ  ロ コロココロのコのの サコロ ロののサコロコ のコのコロのコロロ  コ ロコロコ  コ  ぼコのロのロロロのコ ココ ののココののロ

  よって,筆者の伝えたいことと関係のない判断基準で評価を行っている場合は,批  判的に読めていないととらえる。

   3.記述内容の分析

 26名の記述内容を分析すると,以下の6つの類型に分けることができた。なお,ワ ークシートの記述内容の分析結果は巻末資料3に掲載する。

【表2−2 ある段落の必要性の有無に対する自らの考えの記述内容分析】

人数

類 型 記 述 例

(割合)

批判的に読むことができて 必要:高野さんはうでのふりも大切だと思っただろうし足だけ 4

いる

のせつ明だとよく分からないけど,うでをつけくわえたらもつ (15%)

とせつ明がよく分かると思いました。このせつ明はこの文がな いとかんせいしないからです。(no.16児)

② ;1教材文の絶対視 奄奄

必要:なか2はうでのふりの事が書いてあります。教科

曹ノはうでのふりも重要と言っているのでぜったい必要 セとおもいます。(no.21児)

 5

i19%)

:1説明不足

不必要:説明の「〜でした」で,ほとんど経験がないの 2

批判的i    :(表現力不足)

でいりません、(ao.25児)

(8%)

に読む・

    i読み取りの誤りことが:

必要:伝えたいことを一部が「なか2」に書いてあるか 2

ら。最高の走り方をなぜ実現したい理由が書いてあるか (8%)

できて:

i

ら。(no,4児)

いない l    l走り方の観点で    :

@   i考えている

必要:走るということは,うでも足も使うから説明した 福ェ分かりやすいから(no.18児)

 7

i27%)

旨i経験の記述があ:iるという解釈

必要:自分が経験して分かったことを書いているような フで,必要だとおもいました。(no.24児)

 6

i23%)

 以下に,批判的に読むことができなかった学習者の記述内容を分析する。その分析 によって今後の課題を明らかにする。批判的に読むことができていないものは,類型 の②〜⑥である。

 2教材文の絶対視

 この類型に分類される学習者は「教科書に書いてあるのだから,必要」と考え,教 材文を客観的にとらえることができていない。

 このような記述が見られたのは,授業仮説1の手立てが機能していないことの表れ

である。

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