① 会場全体の様子 ︵ルーズのテレビ画面︶
フ
② 二人のサッカー選手の様子 ︵アップのテレビ画面︶
③ ①②のまとめと問い
④ アップで分かることと分からないこと
⑤ ルーズで分かることと分からないこと
V
⑥ テレビでのアップとルーズの目的に 応じた使い分け殴
Y 闘Yの 聞 薪 め とY聴 体 全⑦ 新聞の写真でのアップとルーズの 目的に応じた使い分け
L
⑧ 全体のまとめ ︵テレビや新聞におけるアップと ルーズの目的に応じた使い分け︶ ノ︑
【図3−1教材文「アップとルーズで伝える」の文章構造図】
第3項 教材分析に基づく単元の構想 1.批判的な読みの課題
説明的文章の筆者の述べ方について批判的に読むことを目標に学習指導過程を作成 した。教材分析の結果から,批判的な読みの対象を「対比を用いた述べ方」と「文章 構成」とする。
「対比を用いた述べ方」には,アップとルーズの対比,アップの長所と短所の対比,
ルーズの長所と短所の対比がある。その中で,アップとルーズそれぞれの長所と短所 の対比について考えさせたい。具体的には,それぞれの短所を書く必要があるのかを 吟味・検討させる。その理由は,「アップとルーズを目的に応じて使い分けている」と いう筆者の考えを伝えるために,対比を用いた述べ方が関係しているからである。こ の述べ方には筆者の意図が明確に込められており,吟味・検討させることによって対 比を用いた述べ方について理解を深めることができる。
「文章構成」を批判的に読むねらいは,文章構成に対する捉え方を柔軟にするため である。学習者がこれまでに学習してきた文章構成と言えば,「はじめ一なか一おわり」
の三部構成である。しかし,教材文はそのような構成になっていない。1段落から6 段落にかけて,テレビの事例をもとに三部構成になっている。その後に,7段落に新 聞の事例,8段落に全体のまとめが続く。文章構成の妥当性を吟味・検討することに
よって,いつも「はじめ一なか一おわり」の構成とは限らないことに気づかせること が可能だろう。また,筆者の文章構成について,肯定的な評価と否定的な評価に分か れることが予想されるので,学習者間で議論が生まれると考えられる。その話し合い
を通して文章構成についての理解を深めることができる。また,学習者の文章構成に 関わる既有知識に当てはまる三部構成になっていない。そのため,学習者の既有知識
と教材文との問に差異が生じやすく,教材文に対する問題意識を喚起しやすい課題だ と判断した。
以上のことから,「対比を用いた述べ方」と「文章構成」の2点を批判的な読みの 課題として設定し,学習指導過程を設計する。
2.授業仮説に基づく授業の工夫
批判的な読みの2つの課題について,第1章で導いた【授業仮説1・II】をもとに
具体的な授業の工夫を示す。なお,2つの課題があるため,学習指導過程を前半(対 比を用いた述べ方の批判的な読み)と後半(文章構成の批判的な読み)の2段階で設計する。
○【授業仮説1】
教材文の通読前に,既有知識を活性化させ,既有知識と教材文との間に差異を生じ させることによって,学習者は教材文を問題意識を持って読もうとするだろう。
今回は2つの課題に即して教材文を批判的に読ませるので,手立ての具体的方策と して,それぞれ異なった手法を用いる。
対比を用いた述べ方について
題名読みを行う。アップとルーズの説明について,学習者の予想と教材文との間に 差異が生じると考える。学習者は,アップとルーズの長所が書かれていると予想する だろう。しかし,教材文には長所だけでなく短所も書かれている。そこに差異が生じ,
「筆者はどうして短所まで書いたのだろう」という疑問が生まれると考えられる。こ のようにして,教材文の絶対視を防ぐことができ,教材文に対する問題意識を持たせ ることができるだろう。
文章構成について
加工教材を用いる。本教材は,「はじめ一なか一おわり」の3部構成になっていない。
その点を利用して,7・8段落を削除した加工教材を前半の読解に用いる。加工教材
(1〜6段落)はテレビの事例について書かれており,三部構成になっている。この 加工教材が児童の既有の知識にあてはまる三部構成の文章であることを意識させる。
次に,単元後半に本教材(1〜8段落)を提示することによって,学習者の既有知識 と教材文との間に差異が生じ,「筆者はどうしてこのような構成にしたのだろう」とい う疑問が生まれると考えられる。このようにして,教材文の絶対視を防ぐことができ,
教材文に対する問題意識を持たせることができるだろう。
○【授業仮説H】
批判的な読みの過程の吟味・検討の段階において,筆者の意図を推論させることによ って,学習者は筆者の意図を考慮した建設的な批判を行うことができるだろう。
授業仮説に記されている通り,批判的な読みの過程において,自らの考えを表現す る前に筆者の意図を推論する活動を組み込む。「対比を用いた述べ方」「文章構成」の それぞれにおいて行う。
第4項 実践1の課題克服のための手立て
実践1の3つの課題とともに,具体的な手立てについて述べる。
【実践1の課題①】学習者の既有知識と教材文との間に差異を効果的に作り出す 実践1では授業仮説1の手立てが機能しなかった。その課題を克服する必要がある。
具体的な方策については,先の授業仮説1の具体的な手立ての部分で述べたので割愛
する。
【実践1の課題②】書かれていることを把握する読解指導を行ってから批判的な読みに移る 対比を用いた述べ方と文章構成について批判的な読みを行う。その前段階として,
教材文に書かれている内容や筆者の述べ方の工夫を正確に理解する学習指導を行う。
そして,教材文全体について理解をした上で,批判的な読みを行う。
【案践1の課題③】学習の見通しを持たせる
実践授業1において,学習者は批判的な読みを初めて行った。そのため,学習計画 について説明していても,どのような学習を行うのか,どのようなことができるよう になればいいのか,という見通しを学習者は持つことができていない様子であった。
実際に,批判的に読む活動に対して「難しい」「わからない」などの声が多く上がった。
そこで,低学年教材を用いて,プレ学習を行う。内容理解がしゃすく,筆者の述べ 方の特徴がわかりやすい文章を用いて,批判的な読みを行う。本単元の学習によって どのようなことを行い,どのようなことができるようになればよいのかを具体的に把 握させることができる。
第5項 単元構想
実践授業Hでは,授業仮説1および授業仮説Bを反映させた単元を構想した。授業
仮説1・皿と授業実践1の課題,そして教材文の特性から設計した単元構想図は次頁 に示す通りである。(図3−2,3)【単元前半】
〈低学年教材を用いたプレ学習〉(■0●)
→ 学習に見捕しを椿たせる
〈既有知識を活性化するための活動〉
〈題名読み〉(傭1N)
・「アップとルーズで伝える」という 題名から書かれている内容を予想する
既有知識
の喚起
「蔑贔褻繍島島扇轟躍へ
_=講菖冨雛鵠 _呂ノ
〈加工教材文の通読〉(■1●》
<授業仮説1>
教材文に対して 問題意識を持つ
〈初発感想の記述〉
・疑問・共感・意見などの反応
〈精読〉(驚2・3・4●)
・1〜3段落を読み取る
・「アップ」と「ルーズ」の説明を読み取る ・筆者の伝えたいことを読み取る(6段落)
・5段落)
4
〈批判的に読む対象について吟味・検討〉(薦5縛)
・「対比を用いた述べ方」をした筆者の意図を推論する
<授業仮説E>
適切に吟味・検討する
〈自らの考えの表現〉(傭S●》
・アップとルーズの短所は書いた方が良いか,
書かなくても良いか,自らの考えを表現する
学習活動・〔=コ
授業実践1の課題から得られた視点: