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結果と考察

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 80-99)

第 2 章

3.3. 結果と考察

(a) Na-NCM の XRD 回折パターン

(b) Na-FMC の XRD 回折パターン

(c) Na-NFM の XRD 回折パターン

(d) Na-NMF の XRD 回折パターン

Fig. 3-2. 合成したナトリウム層状岩塩構造酸化物のX 線回折パターン.

Fig. 3-2. ナトリウム層状岩塩構造酸化物の結晶構造の模式図.

(黄:ナトリウム,赤:酸素,紫:遷移金属を示す)

ICP発光分光分析により金属元素量を調査した.原子吸光によりNa 量を調査し た.組成を Table.3-2に示す.Na-FMC については,Na0.8Fe1/3Mn1/3Co1/3O2 である ことを確認した.

Table 3-2. ナトリウム層状岩塩構造酸化物の組成 (wt%).

Na Ni Mn Co Fe

Na-Ni1/3Mn1/3Co1/3O2 17 16.5 15.5 16.7 ー Na-Fe1/3Mn1/3Co1/3O2 16 ー 15.5 16.5 15.7

Na-Ni1/3Fe1/3Co1/3O2 19 17.4 ー 17.0 16.4 Na-Ni1/3Mn1/3Fe1/3O2 19 16.1 14.9 ー 15.0

合成した活物質の外観写真を Fig. 3-3に示す.一次粒子は数 μm程度の粒径であ った.

Na-Ni1/3Mn1/3Co1/3O2 Na-Fe1/3Mn1/3Co1/3O2

Na-Ni1/3Fe1/3Co1/3O2 Na-Ni1/3Mn1/3Fe1/3O2

Fig. 3-3 ナトリウム層状岩塩構造酸化物の SEM観察結果.

電気化学的特性

対極を金属 NaとしたNa-FMC 正極の充放電プロファイル(CCCV充電-CC放 電)を Fig. 3-4に示す.25 ℃にて電圧範囲 2.0 - 4.0 V,0.05 C(2.9×10-2 mA / cm2) にて可逆的に充放電可能であり,放電容量84.4 mAh / g,平均作動電圧3.25 Vを 確認した.

Fig. 3-4. Na-NMCの初回,2回目の充放電曲線.

合成した Na-NMC,Na-NFC,Na-NMFとの比較を Fig.3-5 に示す.なお,測定 は45℃の恒温槽内にて行った.遷移金属の種類により形状が異なり,Na-FMCの 容量は小さいものの,作動電位が高い特徴を有していた.

Fig. 3-5. 3 サイクル目の放電曲線の比較(45℃).

Na-FMC について,対極をハードカーボンとしたフルセルにて,充電レート特 性,放電レート特性を調査した.金属Na を対極としたハーフセルでは,金属Na の溶解析出反応が反応速度を律速してしまう可能性があるため,フルセルでの評 価を行った.充電レート特性,放電レート特性の結果を Fig. 3-6 示す.20C にお いても充電62%,放電 70%(0.2C 比)と良好な入出力特性を示した.

Fig. 3-6. Na-NMC の入出力特性(充電レート特性,放電レート特性).

Na-NMCNa-FMCNa-NFCNa-NMFの酸化還元反応解析

Fig. 3-7 (a)から(c)にNa-FMC の遷移金属の K-edge X-ray absorption near edge structure (XANES)スペクトルを示す.標準試料との比較により,Na-FMCの Fe, Mn,Coの価数は,それぞれ,Fe 3+,Mn 3+,Co 4+と推定された.Fig. 3-8 (a)から (d)にNa-NMC,Na-NFC,Na-NMFを加えた遷移金属のK-edge X-ray absorption near

edge structure (XANES)スペクトルを示す.Feの価数調査のためメスバウア測定を

実施した結果を Fig. 3-9に示す.Fe3の特徴的な doubletの形状を確認した.

推定された価数をTable 3-3に示す.Mnは 4価で存在しており酸化還元反応に 寄与せず,結晶の骨格として存在する.Coはいずれも 3価で存在している.Fe はいずれも3価で存在している.Niについては Na-Ni1/3Fe1/3Co1/3O2のみ 3価で,

その他の組成は 2価である.Na-Ni1/3Fe1/3Co1/3O2のNiの3価については,議論が 必要である.

Table 3-3. ナトリウム層状岩塩構造酸化物の遷移金属の価数.

Fe Ni Mn Co

Li-Ni1/3Mn1/3Co1/3O2 - 2+ 4+ 3+

Na-Ni1/3Mn1/3Co1/3O2 - 2+ 4+ 3+

Na-Fe1/3Mn1/3Co1/3O2 3+ - 4+ 3+

Na-Ni1/3Fe1/3Co1/3O2 3+ 3+ - 3+

Na-Ni1/3Mn1/3Fe1/3O2 3+ 2+ 4+ -

(a) Fe

K-edge

Fig. 3.7 (a). Na-FMCの Fe K吸収端の XANESスペクトル.

(b) Mn

K-edge

Fig. 3.7 (b). Na-FMCの Mn K吸収端の XANESスペクトル.

(c) Co

K-edge

Fig. 4.7 (c). Na-FMC のCo K吸収端のXANES スペクトル.

(a) Fe

K-edge

Fig. 3.8 (a). Na-FMC,Na-NFC,Na-NMF のFe K吸収端のXANES スペクトル.

(b) Mn

K-edge

Fig. 3.8 (b). Na-NMC,Na-FMC,Na-NMFのMn K吸収端のXANES スペクトル.

(c) Co

K-edge

Fig. 3.8 (c). Na-NMC,Na-FMC,Na-NFCのCo K吸収端の XANESスペクトル.

(d) Ni

K-edge

Fig. 3.8 (d). Na-NMC,Na-NFC,Na-NMFのNi K 吸収端のXANES スペクトル.

Fig. 3.9 (d). Na-FMC,Na-NFC,Na-NMFのメスバウアスペクトル.

Na-FMCの充電状態における酸化還元反応解析

Fig. 3-10に充電曲線のdQ/dV曲線を示す.数種類のピークが確認され,遷移金

属の価数の変化を示唆している.酸化還元反応の調査のため,2.5V,3.2V,3.7V, 4.0VにてXAFS,透過法 57Feメスバウア測定を実施した.

Feのメスバウア測定は,室温にて,速度範囲+/- 5.2mm / secにて実施した.Fig.

3-11に各電圧に調整したNa-FMC のメスバウアースペクトルを示す.全試料で常

磁性doublet のスペクトルが観測された.アイソマーシフトはs電子の電荷密度を

反映しており,化学シフトとしても知られている.一方,四重極分裂は,マトリ ックス中の酸素配位子によって誘起される電場勾配を反映する.2.5V のNa-FMC では,典型的な四重極分裂を示し,単一の Fe3+原子価状態である.一方,電圧が 高くなるに従って,Fe3の doublet の形状が徐々に非対称となった.Fe3,Fe4+

にて解析を行った結果,ナトリウムイオンの脱離により,Fe4+成分が増加し,Fe の平均価数が増加していることを確認した.Fig.3-12 にそれぞれの電圧における Fe3,Fe4+の割合を示す.

Fig. 3-10. Na-NMCの dQ/dV曲線(充電).

Fig. 3-11. Na-FMCの各充電電圧における57Fe メスバウアスペクトル.

(黒線は Fe3+ ,赤線はFe4+を示す)

Fig. 3-12. Na-NMCにおける各電圧における Fe3 + とFe4 + の割合.

Fig. 3-13に各電圧に調整したNa-FMC の Fe-K吸収端,Co-K吸収端,Mn-K吸 収端における硬 X線 XAFSの結果を示す.Fig. 3-14に Fe周り,Co周り,Mn周 りの動径分布関数を示す.

Feについては,合成後では参照試料との比較より Fe3+であることを確認している が,電圧が高くなるに従って,XANES スペクトルが高エネルギー側にシフトし ており,メスバウアの結果と同様に Fe の平均価数の増加を確認した.また,Fe 周りの動径分布関数において,第 1 近接である Fe-O の格子間距離は,電圧が高 くなるに従って縮んでおり,価数の増加を示唆している.

同様に,Co-K吸収端においては,Co3+からCo4+への平均価数の増加を確認した.

これは LiCoO2の吸収端変化と酷似している.Co 周りの動径分布関数において,

第 1 近接である Co-O の格子間距離は,電圧が高くなるに従って縮んでおり,価 数の増加を示唆している.

一方,Mn-K 吸収端においては,電圧の増加に伴う形状の変化は見られず,合 成後の Mn4+の状態を維持したままであった.Mn 周りの動径分布関数においても 変化は確認されなかった.

以上の結果より,Na-FMC において,Fe と Co はレドックス種としてふるまう が,Mn は反応に関与せず,結晶の骨格として存在していることは明らかとなっ た.

(a) Fe

K-edge

Fig. 3-13 (a). Na-FMCのFe K吸収端のXANESスペクトル.

(b) Co K-edge

Fig. 3-13 (b). Na-FMCのCo K吸収端のXANESスペクトル.

(c) Mn K-edge

Fig. 3-13 (c). Na-FMCのMn K吸収端のXANESスペクトル.

(a) Fe

K-edge

Fig. 3-14 (a). Na-FMCのFe周りの動径分布関数.

(b) Co

K-edge

Fig. 3-14 (b). Na-FMCのCo周りの動径分布関数.

(c) Mn

K-edge

Fig. 3-14 (b). Na-FMCのMn周りの動径分布関数.

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