会社経営者 13. 8%となり非労働者の比率が高い。また会社経営者であっても実 際は個人で活動するフリーランスと変わらないケースも多いといわれる。経済
5.2 アニメーターの労働市場についての考察
5.3.2 経済産業省によるアニメーター育成事業
2010
年度以降、文化庁がアニメーター育成支援事業に取り組んでいるが、そ の前身として経済産業省による委託事業「アニメ産業コア人材発掘・育成事業」が存在し、経済産業省から事業委託された日本動画協会がアニメーターの育成 の問題について取り組んできた。日本動画協会による事業としては
2006
年~2008
年までの3
年間、アニメーターとしての経験を有していない学生などを対 象として一律の技能検定試験で参加者を選別し、合格者に講座などOFFJT
の提 供し、さらに参加者を選別した後制作会社へインターンとして派遣し経験を積 むという人材育成事業が行われた。この事業では制作会社へのインターン参加 者の中から数名がアニメ制作会社へ就職するなど一定の成果を挙げつつも、最 終的に検定制度は本格的には導入されなかった85。なお、この事業の2006
年に おける制作会社インターンシップ受け入れ結果(表14)、2006
年から2008
年ま での実施結果(表15)については以下の通り。
85 日本動画協会へのヒアリング調査によれば、動画協会においてもどこまで動画マンの育 成に関わるのか、一律の教育システムを提供するべきかについては意見が分かれていると いう。また一律の教育システムや資格についても、制作会社の規模や立場(元請、グロス 請、作画スタジオなど)によって基準を導入するメリット・必要性も大きく異なるという。
本事業のような基本技能価基準の共有・活用については、クリエイティブな要素も含め最 終的にどのような一律の基準でアニメーターの能力を測って数値化するのかについては意 見が分かれ、最終的には実現していないという経緯がある。
この点アウトソーシングに伴う国内の動画の仕事の減少の影響については制作会社によ って異なる。元請・グロス請けの制作会社であれば、自社制作作品など、必要な動画を調 整・確保できる。しかし下請制作会社、特に作画専門スタジオなどは、動画の海外アウト ソーシングの影響を直接受けている。人材育成において大きな問題が生じているのは、こ のような下請の作画スタジオなどであり、こうした下請制作会社にとっては評価基準・教 育カリキュラムの導入によるメリットは大きい。実際今回の調査でもアニメーター作画ス タジオの代表M氏へのヒアリング調査から「下請作画スタジオでは動画の仕事が少なく、
OJTで新人アニメーターの人材育成ができないため、個人で塾を開き、育成を行ってい る」という説明を得た。
116
表12 2006年における制作会社インターンシップ受け入れ結果
受け入れ企業 性別 年齢 職業
オー・エル・エム 男 20 4年制大学芸術専門学群
男 24 無職
ゴンゾ 女 23 無職
男 24 無職
手塚プロダクション 女 23 専門学校アニメ科 テレコム・アニメーション 女 20 専門学校アニメ研究科
東映アニメーション 女 18 専門学校アニメ科 男 20 4年制大学芸術専門学群 トムス・エンタテイメント 女 25 専門学校アニメ研究科
ぴえろ 女 20 美術大学デザイン科
女 20 専門学校芸術専門課程総合アニメ科 出典:日本動画協会(2007)『「アニメ産業コア人材発掘・育成事業」報告書 平成18年度』6
ページ, より筆者作成。
表13 2006年から2008年までの実施結果
2006年 2007年 2008年
申込者 合格者 申込者 合格者 申込者 合格者
1次試験 147名 42名 210名 65名 465名 89名
2次試験 42名 17名 65名 49名 89名 31名
3次試験 - - - - 31名 16名
指導講座受講者 15名 13名 19名 19名 16名 13名 インターンシップ 11名 11名 19名 18名 13名 13名
採用 4名 3名 8名
出典:日本動画協会(2010)『アニメ産業コア人材育成事業報告書:平成21年度アジアコンテ ンツ人材ネットワーク構築事業』14ページ, より筆者作成。
翌
2009
年の経済産業省による委託事業において、日本動画協会はアニメーシ ョン制作会社へのヒアリング調査、アンケート調査など体系的な調査を行い、制作会社における人材育成の状況を分析し、新たなアニメ産業に有効な人材育 成事業のモデルについて提言を行っている。この調査研究では、各制作会社の 雇用状況や人材育成についての取り組みについて整理分析し、アニメ産業にお ける新たな人材育成事業のモデルとして、2006年〜2008年までの事業で対象 としてきた学生、エントリーレベルの新人ではなく、一定の経験を有する若手
117
原画に対象としている(図
11
参照)。図11 人材育成のモデル
出典:日本動画協会(2010)『アニメ産業コア人材育成事業報告書:平成21年度アジアコンテ ンツ人材ネットワーク構築事業』15ページ, より筆者作成。
そして中堅以上の元請制作会社による制作プロジェクを通じての
OJT
の機会 提供を含む以下のシステムを提案する(日本動画協会, 2010, 204ページ)・キャリアパスの整理(アニメクリエーター共通キャリアパス)
・スキル標準の策定(アニメクリエータースキル標準)
・OJTの推進(OJT計画書策定、アニメトレーナーの設定)
・Off-JTの推進(アニメ版研修講座)
・自己啓発の推進(アニメクリエーター初歩能力診断表
このような具体的な人材育成事業案を提案しつつも、日本動画協会による人 材育成事業は
2009
年度における本研究事業を持って終了する。2010年度から はアニメーター育成支援事業の担当省庁は経済産業省から文化庁へと移ってい く。事業を受託する団体もアニメ産業の制作部門における比較的規模の大きい 元請制作会社が多い団体である日本動画協会から、競争入札制度によってフリ ーランスを含むアニメーター、演出・監督の団体であるJAniCA
が事業運営す ることとなる(2014年以降は競争入札によって日本動画協会が事業運営してい る)86。なおここで提案されているシステムの中で、実際に文化庁の若手アニメ
86経済産業省の担当者によれば、アニメーターなど制作現場のクリエーターへの支援は、経
エントリーレベル
(業界未経験)
プリコア人材(業 界経験の浅い1~3
年)
コア人材(日本のアニ メ産業を支えるアニメ
クリエーター)
2009年の事業では、このステッ プアップを着実・効率的に行うた めの人材育成の仕組みを検討す るとされている。
2006年~2008年の事業では、
エントリーレベルの人材が育 成対象とされた。
118
ーター育成事業で行われているのは、主に