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文化庁による若手アニメーター等人材育成事業の取り組みについて

会社経営者 13. 8%となり非労働者の比率が高い。また会社経営者であっても実 際は個人で活動するフリーランスと変わらないケースも多いといわれる。経済

5.2 アニメーターの労働市場についての考察

5.3.3 文化庁による若手アニメーター等人材育成事業の取り組みについて

118

ーター育成事業で行われているのは、主に

OJT

とそれに関連する

Off-JT

のみとなっている。

119

いる。

(2)

JAniCA:若手アニメーター育成プロジェクト

89

2010

年度〜2013年度まで文化庁から事業を受託してきた

JAniCA

は、制作 本数の増加、制作現場の経済的疲弊、デジタル化に伴うスケジュールの悪化な どから、アニメーション制作プロセスにおいて

On the job training

(以下

OJT)

90が十分に機能しなくなったと説明し、このプロジェクトでは人材育成における 効果的な

OJT

を再び機能させることを重視している。文化庁から得た予算の枠 組みの中で制作現場に人的、経済的、時間的余裕を与え、アニメ作品を制作す る過程で有望な若手アニメーターが第一線で活躍する先輩アニメーター、監督、

作画監督などから指導を受けられるように配慮し、一緒に作品を制作すること を通じて人材育成を行うという手法をとっている。人材育成の中心的な対象と なるのは中堅以上の原画マンの成長が見込まれる若手アニメーターであるが、

一般的なアニメ産業におけるアニメーション制作と同様の制作体制を組織し、

その制作プロセスの中で

OJT

が行われるため、直接の教育対象なる若手原画ア ニメーター以外にも、監督や作画監督始め多くのスタッフが制作に関わってい る。

このプロジェクトにおいて

JAniCA

は人材育成事業に参加する制作会社

4

社 を公募によって選定し、文化庁の予算に基づき各社に

3800

万円の制作予算を提 供する。各制作会社は割り当てられた予算を基に

23

分程度のオリジナル短編ア ニメーション作品(計4作品)を制作するとしている。一般的なTVアニメ(30 分)の予算は、1話あたり、1000万円~1500万円、TVスペシャルアニメ(60~

90

分)の予算は

2000~3000

万円とされ、このプロジェクトにおける予算は指 導・教育料を含めてもかなり潤沢な予算となっている。育成対象となる若手ア ニメーターについては選定された各社から要件を満たした若手原画マンがプロ ジェクトに参加することになっており、人材育成・OJTはこれら各社の制作現 場で行われることになる。人材育成・OJTについて

JAniCA

は基本方針を示す が、制作する作品のタイプも異なるため各制作会社でそれぞれ重点の置き方・

手法の異なる人材育成が行われることになる。またプロジェクトに参加する人

89 日本アニメーター・演出協会(2010, 2011, 2012a, 2012b, 2013)参照。

90 オンザジョブトレーニング(OJT)というが、アニメ産業の制作現場では、特に意識さ れているわけではない。ヒアリング調査をまとめた前節で説明したように、アニメーター は制作プロジェクトでの経験を通じて、自分自身の技能を磨いていくのが一般的である。

ここではOJTとは特に制作会社のスタジオで先輩原画マン、作画監督、監督などと一緒に 仕事して、濃密な経験を積むことで高い教育効果を上げることを指す。近年ではフリーラ ンスのアニメーターが自宅で作業することも増え、制作会社内のスタジオで先輩原画マン、

作画監督、監督などと一緒に仕事をする機会も減った。このため若手アニメーターが制作 プロセスから十分に学び吸収する機会が得られなくなっているという。

120

数も各社で異なる。このプロジェクトの期間は、

5

月の募集開始から、6月の制 作会社選定・プリプロ開始、8月の作画

OJT

開始、12月のホスプロ、2月の試 写会など、

3

月の報告書作成までの

11

ヶ月間である(図

12

参照)。実質若手アニ メーターが

OJT

を兼ねて制作に参加する期間は

3

ヶ月間ぐらいである。またこ のプロジェクトでは、

OJT

に先立ち

Off-JT

での全体講座とグループディスカッ ション、制作別チーム講座、合宿などを開催している。

12 プロジェクトの流れ

出典 日本アニメーター・演出協会(2010)「平成22年“若手アニメーター育成プロジェクト”

募集案内」(添付資料2)1ページ, より筆者作成

・「アニメミライ

2014」からの変更点について

このプロジェクトが育成対象とする若手アニメーターの定義については「アニ

メミライ

2013」までは、下の 2

類型とされる。

1

類型:①原画職

6

か月から

3

年程度、かつ、②応募時

30

歳以下であり、育 成の効果を期待することのできるアニメーター

2

類型:①原画職経験が

6

か月に満たないが、②このプロジェクトにおいて 当該アニメーターの育成を担当する作画監督が、育成を強く希望するものであ り、かつ、③応募時

27

歳以下であるアニメーター

121

この点、第2類型についてはこのプロジェクトの育成目的に見合うレベルに至 らないとして、「アニメミライ

2014」からは定義を以下のように変更した。

① 動画職または原画職として

1

年以上の作画経験を有し、かつ、②そのうち 原画職として3年6ヶ月以内程度の経験を有しており、かつ、③応募時に おいて29歳以内であること。

また、「アニメミライ

2013」までこのプロジェクトにおいては、参加制作会

社に所属しているアニメーターしか参加していなかったことを受けて、「アニメ

ミライ

2014」から参加制作会社に所属していないフリーランスや他の制作会社

に所属しているアニメーターもプロジェクトに参加できる旨を明確化し、団体 推薦(参加制作会社以外の制作会社による所属アニメーターの推薦システム)

を導入するとしている。

2010

年度から

2013

年度までに参加した制作会社、作品名、若手アニメーター 数については以下のとおり。

2010

年度[PROJECT A 平成

22

年度若手アニメーター育成プロジェクト]

企画応募

16

社から

4

社を選定

制作会社名 作品名 参加した若手原画の人数

株式会社アセンション キズナ一撃 6 株式会社テレコム・アニメーショ

ンフィルム

おぢいさんのランプ 6

株式会社ピーエーワークス 万能野菜 ニンニンマン 12 株式会社プロダクション・アイジ

たんすわらし。 9

122

2011

年度[アニメミライ

2012 平成 23

年度若手アニメーター育成プロジェク ト]

企画応募

11

社から

4

社を選定

制作会社 作品名 参加した若手原画の人数

株式会社テレコム・アニメーショ ンフィルム

BUTA 5

株式会社白組 しらんぷり 6

株式会社プロダクション・アイジ

わすれなぐも 6

株式会社アンサー・スタジオ ぷかぷかジュジュ 5

2012

年度[アニメミライ

2013 平成 24

年度若手アニメーター育成プロジェク ト]

企画応募

18

社から

4

社を選定

制作会社 作品名 参加した若手原画の人数

株式会社ゴンゾ 龍―RYO― 6

株式会社トリガー リトル・ウィッチ・アカデミー 5 有限会社ZEXCS アルヴ・レズル 6 株式会社マッドハウス デスビリヤード 7

2013

年度[アニメミライ

2014 平成 25

年度若手アニメーター育成プロジェク ト]現在進行中のプロジェクト

企画応募

15

17

企画から

4

社を選定

制作会社 作品名 参加した若手原画の人数(未

定)

株式会社ウルトラスーパーピクチ ャーズ

アルモニ

株式会社A-1 Pictures 大きい一年生と小さな二年生

シンエイ動画株式会社 パロルと未来島(仮)

株式会社スタジオよんどしい カゼノソラシタ(仮)

このプロジェクトは

2010

年度から

2015

年度まで継続中である。文化庁はこ のプロジェクトについて単年制とし、今後も継続するかどうかは未定としてい る。このプロジェクトに参加したクリエーターの単価および、総収入について は、以下のとおりである。(表

16、表 17

参照)

123

16 若手アニメーター育成プロジェクトに参加した作画部門のスタッフの単価および総額

育成対象職種 人数 備考 作画9〜12月 380c/11,000

監督 企画開発(企画・脚本・絵コンテ) 80万円 ¥800,000 キャラデザイン キャラクター設定 80万円 ¥800,000

監督 40万円×6ヶ月 総額契約 ¥2,400,000

作画監督 60万円×4ヶ月 総額契約 ¥2,400,000 作画監督補佐 40万円×4ヶ月 総額契約 ¥1,600,000 原画 6~12 380カット×2万円 1カット 2万円 ¥7,600,000

動画検査 管理費込み 総額契約 ¥750,000

動画 33 300枚×33人=

11000枚

600円×

11,000枚

¥6,600,000

作画予備費 出張費、超過枚数分等 ¥450,000

作画部分総額 ¥23,400,000 総制作費 ¥38,000,000 残額 14,600,000 出典:日本アニメーター・演出協会(2011a)「文化庁委託事業平成22年若手アニメーター等人 材育成事業“若手アニメーター育成プロジェクト”報告書」(添付資料2)15ページ, より筆者

作成

17 若手アニメーター育成プロジェクトに参加した作画部門のスタッフの単価および、総額

育成対象職種 人数 備考 1ヶ月当たりの収入 総額

作画監督 作監料30万円+

原画指導料30万円

60万円 ¥2,400,000

作画監督補佐 作監料20万円+

原画指導料20万円

40万円 ¥1,600,000

原画中堅 25000円×

12カット〜22カット

30〜55万円 ¥4,300,000

若手原画 15000円×

10カット〜17カット

15〜25万円 ¥3,300,000

動画 33 12〜18万円 ¥6,600,000

出典:日本アニメーター・演出協会(2011a)「文化庁委託事業平成22年若手アニメーター等人 材育成事業“若手アニメーター育成プロジェクト”報告書」(添付資料2)15ページ, より筆者

作成。

124

このプロジェクトにおいては、育成の対象となっている若手原画の報酬が高 い。高報酬の理由として若手原画の収入は

100

万未満〜200万代のため、収入 支援としての側面もある。育成対象以外にも単価・報酬が高額になっているこ とがわかる。このような報酬について

JAniCA

では、作画監督・作画監督補に ついては人材育成・指導報酬料も含むとしている。人材育成プロジェクトに参 加している監督は、現場でも第一線クラスといわれるため、このプロジェクト 報酬よりも高報酬を得ているケースもあるが、平均的な監督の収入と比較した 場合、このプロジェクト報酬が高額となる。このような報酬について、参加し たクリエーター中では肯定的な意見が多いが、一線で活躍する監督は十分な収 入を得ているため、この事業から高い報酬を得る必要はないのではないかとい った否定的な意見も存在する。

5.3.4 アニメーターの労働市場と人材育成支援政策の関係および問題点につい