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アニメーターの労働市場と人材育成支援政策の関係および問題点につい て

会社経営者 13. 8%となり非労働者の比率が高い。また会社経営者であっても実 際は個人で活動するフリーランスと変わらないケースも多いといわれる。経済

5.2 アニメーターの労働市場についての考察

5.3.4 アニメーターの労働市場と人材育成支援政策の関係および問題点につい て

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このプロジェクトにおいては、育成の対象となっている若手原画の報酬が高 い。高報酬の理由として若手原画の収入は

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万未満〜200万代のため、収入 支援としての側面もある。育成対象以外にも単価・報酬が高額になっているこ とがわかる。このような報酬について

JAniCA

では、作画監督・作画監督補に ついては人材育成・指導報酬料も含むとしている。人材育成プロジェクトに参 加している監督は、現場でも第一線クラスといわれるため、このプロジェクト 報酬よりも高報酬を得ているケースもあるが、平均的な監督の収入と比較した 場合、このプロジェクト報酬が高額となる。このような報酬について、参加し たクリエーター中では肯定的な意見が多いが、一線で活躍する監督は十分な収 入を得ているため、この事業から高い報酬を得る必要はないのではないかとい った否定的な意見も存在する。

5.3.4 アニメーターの労働市場と人材育成支援政策の関係および問題点につい

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どの分野のクリエーターの支援は、産業政策としての面を含んで文化庁として 人材育成など独自の政策が形成されてはいない。このような状況の中で、実際 にはコンテンツ産業のクリエーター育成については文化庁が担当し、ビジネス 面の支援は経済産業省が担当するというように明確には区別・規定されず、そ れぞれの経緯の中で省庁間において調整されており、このような性格が芸術 家・クリエーターへの人材育成政策の展開を把握することを困難していると思 われる。また文化的側面と経済的側面が複雑に結びついている領域に対して、

政策担当省庁が統合されていないという状態は、政策の立案・実行の面で非効 率的であり、各領域により踏み込んだ政策を継続的に展開するための障害とな っているといえるだろう。アニメーターの人材育成については、経済産業省か ら文化庁へと統合されていったが、当初経済産業省のもと、日本動画協会がま とめた人材育成モデルと、文化庁から日本アニメーター・演出協会(JAniCA)

が受託したアニメミライプロジェクトの内容は、ほぼ同一線上にあるといえ、

現在日本アニメーター・演出協会

JAniCA

が運営している事業は日本動画協会 のシステム提案がもとになっているといってよいだろう。しかしながら、日本 動画協会が提案したシステムのうち、大手制作会社による

OJT

以外は実行に移 されておらず、特に下請・作画スタジオなどに所属する若手アニメーター育成 支援含め、不十分な状態にあるといえる。

(2) 日本動画協会アニメーター育成事業

この事業はアニメーターの技能の評価について一律の基準のもと、数値化を 試み、その教育プログラム・試験を導入することによって、新人アニメーター 手法を確立するというものである。この事業の意欲的な点は、アニメーターの 技能について一律の基準を設けて教育カリキュラムを組み、試験を行うことで 基礎的な動画レベルの技能の測定を試みている点にある。近年海外へのアウト ソーシングにより動画の仕事は減少しており、アニメーターの人材育成におい ても大きな問題となっている。作画スタジオなどでは新規参入者に対する人材 育成を行わず、動画マンでの十分な経験を経ず、原画マンからアニメーターと してキャリアをスタートするケースも存在する。このような状況に対処するた め、この事業では制作部門で動画工程が担っていた人材育成・トレーニング的 役割をこのような事業が代替することが可能かどうかを検証し、可能であれば このシステムの普及を目的としていた。この事業においては参入段階での人材 育成と審査の機会を設けることによって新規参入希望者を一律の試験で篩いに かける。プロジェクトベースにおける人材育成の負担軽減、労働市場における 過剰供給の抑制という機能を持つが、一方で一律の試験によって適切に新規参 入者を審査することは難しい。また事業運営においては、教育プログラムや審

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査に必要な試験や審査員の準備など大規模な予算が必要ともなる。

制作会社などへのヒアリング調査からは、アニメーターが実際に有望かどう かについては制作現場でしか判断できないという意見が多く、制作会社におい て動画の段階から作画監督・動画チェック・先輩原画マンなどの指導のもと人 材育成が行われているケースが多い。そのため人材育成の仕組みが整っている 会社では、わざわざ予算を投じてこのようなシステムを構築する必要は少ない。

しかし下請・作画スタジオなど、経営基盤が弱く、海外アウトソーシングの影 響を直接的に請けている会社では、十分な人材育成の仕組みを整えられないた め、このようなシステムについても一定の有効性がみられるだろう。またこの ような技能検定基準に基づく評価をもって、フリーランスなどアニメーターの 技能アピールが可能になるとしているが、制作部門では一律試験の評価よりプ ロジェクトベースでの成果の積み重ねによって形成される評価・評判のほうが アニメーターの能力判断基準として信頼度が高いとされるため、あくまで補完 的な基準として機能するに留まるだろう。

(3) 現在行われている文化庁による若手アニメーター等人材育成事業につい て

文化政策においてアニメ産業が政策対象として扱われてきたことはこれまで なかったことであり、今回文化庁がアニメーターの労働の問題に注目し、人材 育成という形で政策を展開し始めたことは興味深いが、この事業は単年制のプ ロジェクトのため、今後文化庁がこの事業を継続するかは不明確な状況である。

ここではこの事業とアニメーターの労働市場の関係・問題点について言及して いきたい。

① 人材育成事業へのフリーランスアニメーターの参加

この事業の背景として若いアニメーターの低収入やフリーランスなど不安定 な就労形態が挙げられていた。しかし、2010年~2012年度まで大手制作会社 が中心にこの事業に参加し、これらの制作会社に所属する若手アニメーターが 選ばれ人材育成の機会を与えられるという形になっており、若手アニメーター 個人については参加できない仕組みになっていた。この点、この事業に参加し ている大手制作会社に所属する若手アニメーターは比較的に待遇の面でも支援 が整っていると思われ、なかには固定給制の制作会社に所属するアニメーター も参加している。元請制作会社であれば人材育成システムについても比較的充 実し、仕事もグロス請けや専門スタジオなど下請に比べれば、確保しやすい立 場にある。また、このような事業に参加している制作会社は比較的人材育成に 対する問題意識も高いと思われるため、所属アニメーターがこの事業に参加す

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る必要性は相対的に低いといえる。逆に経験が不足しているフリーランスや、

人材育成に熱心ではない制作会社に所属するアニメーター、下請・作画スタジ オなど小規模の制作会社に所属している若手アニメーターはこの事業には参加 できず、仕事の獲得、待遇、人材育成・教育などの面で厳しい境遇にある若手 アニメーターへの救済策である人材育成事業として本来優先されるべき対象が 人材育成事業に参加できないという根本的な課題が残っていた。

このような状況に対してアニメミライ

2014

において、

JAniCA

は事業参加会 社の選定基準を変更し、固定給等待遇、人材育成が比較的充実している制作会 社の参加を排除するよう規定する。

3

年間に同一会社が

2

回以上選出されないよ うに規定する。参加制作会社所属以外のアニメーターが事業に参加できるシス テムを導入するなど、制度の改善を図っている。この事業の趣旨からすれば、

より多様な制作会社が事業に参加できるように配慮したこと、また、厳しい労 働環境にあり、人材育成のシステムも整っていない下請の制作会社やフリーラ ンスのアニメーターが事業に参加できるように制度を改善したと指摘できる。

こうした変更がどれほどの効果があるのかはまだわからないが、今後も立場が より不安定で教育や

OJT

の機会を必要とするフリーランスのアニメーターにと って公平で、透明性の高い制度設計および運営が課題となるだろう。

② アニメーターの人材育成事業の効果について

Smith and Mckinlay(2010)は、創造産業における創造的労働者の中でも映画

やテレビなど技術労働者について短いサイクルでのプロジェクチームで効率的 に仕事をするため、技術的・美学的な共通領域で仕事をするために技術的なバ ックグラウンドを共有していると説明する(Smith and Mckinlay, 2010,

pp32-33, p46)。この共通の技術的基盤は、制作部門内部のフリーランスの競争

の基礎的な土台となるため、これを維持し発展させることはテレビや映画など 映像産業の制作部門にとって不可欠である。日本のアニメ産業でもフリーラン スのアニメーターはプロジェクトでの経験を通じて共通の技術的基盤を習得し ていく。しかしアニメ産業が成長する一方で周縁労働市場におけるアニメータ ーの労働条件の悪化、海外へのアウトソーシング化が進み、制作部門内部で共 通の技術的基盤を十分に維持することが困難になった。文化庁による人材育成 事業は制作部門内におけるフリーランスの競争の土台となる共通の技術的基盤 の補強を試みるものである。この事業は、周縁労働市場でフリーランスとして 活動し、収入が低く不安定であり、制作会社で十分に人材育成の機会が得られ ないアニメーターへの人材育成の機会提供し、人材育成における格差の是正と 割高の単価設定による参加アニメーターへの一定の収入補助としては有意義で あるといえる。