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組織の社会的責任の理解

ドキュメント内 Microsoft Word - ISO_DIS_26000-Jrev2.doc (ページ 78-81)

7 組織全体に社会的責任を取り入れるための手引

7.3 組織の社会的責任の理解

7.3.1 組織にとっての中核主題及び課題の関連性及び重要性の判断 7.3.1.1 関連性の判断

すべての中核主題はどの組織にも関係するが,必ずしも全ての課題がどの組織にも関係するわけではない。中核 主題とそれに付随する課題との関係の深さは,組織の性質,規模及び立地によって異なる。

中核主題の重要性及び課題の関連性を最初に検討する際には,考えられる関連性をかなり広い視野で見ることが 有益である。関連する課題のリストを,後日,組織にとって重要性が最も高い課題のリストに狭めることは比較 的容易である。明確化のプロセスを開始するにあたって,組織は適宜,

― その活動範囲のすべてを列挙すべきである。

― ステークホルダーを特定すべきである(5.3項参照)。

― 組織自体の活動,及び組織の影響力の範囲にある他の組織を特定すべきである。供給業者及び請負業者の活 動が,組織の社会的責任に影響を及ぼすこともありうる。

― すべての関連法規を考慮した上で,組織及びバリューチェーンの中の他の組織がその活動を遂行する際に,

どの中核主題及び課題が生じるかを判断すべきである。

― 組織の決定及び活動が,ステークホルダー及び持続可能な開発にどのような影響を生じうるかをさまざまな 面で吟味すべきである。

― これらの影響に関して,社会がどのような責任ある行動を期待しているかを明確化すべきである。

― 日々の活動に関係する社会的責任の全課題のみならず,非常に特異な状況のもとで時折しか発生しないよう な課題も併せて特定すべきである。

組織自体が,その社会的責任に対する社会の期待を理解しているつもりであっても(5.2.3項参照),中核主題及 び課題についての見識を広げるために,明確化のプロセスにステークホルダーを関与させることを検討すべきで ある。ただし,ステークホルダーが課題を特定できない場合でも,その課題が関連性をもつ可能性があると認識 することが重要である。

組織が社会的責任の中核主題を取り扱う法律が設けられている地域で活動しているために,法律さえ順守してい ればそれらの主題に関連する側面がすべて網羅されると決めてかかる場合があると思われる。しかし,6項に掲げ た中核主題及び課題を慎重に検討した結果,関連性のある課題の一部が規制されていない,又は定められている 法規が十分に執行されていない,若しくは条文が明確でない,若しくは記述が不十分であることが判明する可能 性がある。

法律の対象となっている中核主題又は課題についても,法の精神に応えようとすれば,単純な順守以上の行動が 必要になる場合がある。例えば,環境法規が大気汚染物質又は水質汚染物質の排出量を一定の量又はレベルに制 限していても,社会的に責任ある組織は,ベストプラクティスを駆使してこれらの汚染物質の排出をさらに削減 すること,又は採用するプロセスを変更して排出をゼロにすることを目指すものと考えられる。

7.3.1.2 重要性の判断

組織の活動に関係する幅広い課題が特定された段階で,組織は特定された課題を慎重に検討し,どの中核主題及 び課題が組織に最も深く関係し,組織にとって最も重要かを判断するための基準を策定すべきである。考えられ

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69 る基準には次のようなものがある。

― 中核主題又は課題がステークホルダー及び持続可能な開発に及ぼす影響の深さ。

― 中核主題又は課題に関して措置を講じたことによる潜在的効果,又は措置を講じなかったことによる潜在的 影響。

― 中核主題又は課題に対してステークホルダーが抱く懸念の深さ。

― 関連する行動の潜在的効果と実施に必要なリソースの比較。

― 組織の現在のパフォーマンスと,現行法規,国際規格,国際行動規範,最新手法及びベストプラクティスの 比較。

7.3.2 組織の影響力の範囲

7.3.2.1 組織の影響力の範囲の評価

自らの活動に対して責任を負うことに加え,組織が関係する他者の決定又は行動に組織の影響力が及ぶという状 況もありうる(5.2.3項参照)。影響力は,物理的至近性,関係の範囲,長さ及び深さなど,多数の要因によって 左右される。社会的責任の推進にあたっては,他の組織に対する当該組織の影響力に伴って,こうした影響力を 行使した責任が生じる場合がある。

組織の影響力は,次の要因から生じる。

― 所有及び統治 関連組織の統治機構に対する所有権又は代表権(存在する場合)の性質及び範囲が関係す る。

― 経済的関係 経済的依存度に基づく影響力。利害関係又は依存関係が深いほど影響力は強まる。

― 法的/政治的権限 例えば,法的拘束力のある契約の条項に基づく権限,又は他者に対して特定の行動を 執行する能力を当該組織に与える法律的命令の存在に基づく権限。

― 世論 組織が世論に及ぼすことのできる影響力,及び組織が影響力を及ぼそうとする相手に対する世論の 影響。

7.3.2.2 影響力の行使

組織は,持続可能な開発へのプラス影響を高めるため,若しくはマイナス影響を最小化するため,又はその両方 を目的として,他者への影響を行使することができる。一般に,影響力の強さは,その影響力を行使する責任の 重さに対応するものと思われる。ただし,組織が他者に対して影響力を行使することの責任は,他者の活動がも たらす可能性のある影響にも関係している。マイナス影響の可能性が大きくなるほど,こうした影響を最小化す るために影響力を行使する責任は重くなる。こうした影響を評価する際には,十分な配慮を払うべきである。

影響力の行使には次のような方法がある。

― 契約上の規定又はインセンティブを設定する。

― 知識及び情報を共有する。

― 共同プロジェクトを実施する。

― 責任あるロビー活動を行う。責任をもってメディア関係を利用する。

― グッドプラクティスを促進する。

― 業界の団体,組織その他との協力関係を醸成する。

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70 組織は,銀行,保険会社及び従業員退職金制度提供業者の選択,並びに投資を通じて影響力を行使することがで きる。組織は,投資先又は投資予定の組織の環境的側面,社会的側面及びコーポレートガバナンスの側面,並び に社会的責任を検討すべきである。組織は,自らが下す決定,及び自らの決定の根拠に関してステークホルダー に提供する情報を通じて,金融機関及びステークホルダーの両方に影響力を及ぼすことができる。

組織の影響力の行使は,常に倫理的な行動,並びに社会的責任に関するその他の原則及び慣行に則るべきである

4項及び5項参照)。組織は,影響力を行使するにあたり,まず社会的責任に対する意識の向上を目的とした対 話への参加,及び社会的に責任ある行動の推奨を検討すべきである。対話が効果を上げない場合は,関係の性質 を変えることを含めた代替的措置を検討すべきである。

他者に対する組織の影響力が非常に大きい場合,組織の責任は,組織が実際に統制する活動において負う責任と 同様に重い。

7.3.3 取り組むべき中核主題及び課題の優先順位決定

組織は,組織全体及び日々の慣行に社会的責任を取り入れるための計画に基づき,行動の優先順位を決定すべき である。優先順位は時間の経過とともに変化する可能性が高い。組織は,優先順位の明確化にステークホルダー を関与させるべきである(5.3項参照)。

持続可能な開発に大きな意味を持つ課題及び行動を優先すべきである。組織はまた,組織の社会的責任に重大な 影響を及ぼしうる行動に高い優先順位をつけることができる。課題及び行動に高い優先順位をつける根拠として は,次の考慮事項が挙げられる。

― 持続可能な開発の観点からの重要性に基づく高い優先順位は,次のことがらに関係する課題及び行動に与え られるべきである。

― 法律及び国際行動規範への準拠。

― 人権侵害の可能性。

― 生命又は健康を害する恐れのある慣行。

― 環境に重大な影響を及ぼしうる慣行。

― 組織のパフォーマンスがベストプラクティスを大きく下回る課題。

― 課題又は行動が組織の社会的責任に及ぼしうる影響に基づく高い優先順位は,次の活動に与えることができ る。

― 十分な効果を上げるまでに長い時間がかかる行動。

― ステークホルダーが現在関心を抱いている行動。

― 組織が重要な目標を達成する上で,その能力を著しく向上させる行動。

― 速やかに対処しなければ,コストに重大な影響が及ぶ行動。

― 速やかにかつ容易に実施することができ,組織内部において,社会的責任に関する行動への意識を高 め,意欲を引き出す効果をもつ行動。

優先順位は組織によって異なる。

組織は,直ちに起こす行動の優先順位を決定するだけでなく,ビル建設,新スタッフの雇用,請負業者の採用又

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