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社会的責任に関する自主的イニシアチブ

ドキュメント内 Microsoft Word - ISO_DIS_26000-Jrev2.doc (ページ 89-109)

7 組織全体に社会的責任を取り入れるための手引

7.8 社会的責任に関する自主的イニシアチブ

多くの組織は,より重い社会的責任を負おうとする他の組織を支援するための自発的イニシアチブを展開してい

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80 る。社会的責任に関するイニシアチブが,実際に社会的責任のさまざまな側面に表立って取り組むために設立さ れた組織の形で行われることもある。このように,社会的責任に関心を持つ組織が実行できるイニシアチブはき わめて多様である(他の組織に参加する組織もあれば,他の組織を支援する組織もある)。

こうした社会的責任に関するイニシアチブの中には,1つ又は複数の中核主題又は課題の側面に取り組むものもあ る。また,社会的責任を組織の活動及び意思決定に取り入れるためのさまざまな方法に取り組むイニシアチブも ある。社会的責任に関するイニシアチブの中には,組織全体で社会的責任を取り入れるために用いることができ る特別なツール又は実践的手引を作成又は推進するものもある。社会的責任に関して最小限の期待事項を策定又 は推進するイニシアチブもある。これらの期待事項は,行動規範,提言,指針,原則の宣言及び運営理念など,

さまざまな形で示すことができる。ある部門に特有の課題のいくつかに取り組むため,さまざまな部門が展開す るイニシアチブもある。一部の部門が,部門特有の社会的責任に関するイニシアチブの展開を選択した理由はさ まざまである。特定の部門において,社会的責任に関するイニシアチブが存在することは,その部門が必ずしも 重い責任を負っていること,又は潜在的に有害性が高いことを意味しない。

組織が社会的責任を負うために,社会的責任に関するこれらのイニシアチブのいずれかに参加する必要,又はこ れらのツールのいずれかを使用する必要はない。さらに,あるイニシアチブへの参加又はあるイニシアチブのツ ールの使用自体が,組織の社会的責任を示す信頼性の高い指標であるとは言えない。組織は,社会的責任に関す るイニシアチブを評価するにあたり,必ずしもすべてのイニシアチブが,ステークホルダーの目に好ましく映っ ていない,又は信頼できるものとして映っていないことを認識すべきである。組織はまた,特定のイニシアチブ が組織の社会的責任への取組みに役立つのかどうか,また,そのイニシアチブが主に広報活動の一形態なのか,

それともメンバー又は参加組織の評判を守る手段なのかを客観的に判断すべきである。

社会的責任は,単なるリスク管理の一形態として取り扱われるべきでない。社会的責任に関するイニシアチブを 評価する際に特に重要となる考慮点は,そのイニシアチブが,すでに確立され,認識されている責任ある行動へ の期待事項を一方的に解釈し直したものかどうかである。

単一の部門又は一種類の組織のために立案されたイニシアチブが,単一のステークホルダーによる統治構造をも つことを考えると,ステークホルダーとの効果的な関わり,並びに複数のステークホルダーが参加する統治及び 開発のシステムは,社会的責任に関する一部のイニシアチブと他のイニシアチブの違いを際立たせる重要な特性 である。

組織は,社会的責任に関する1つ又は複数のイニシアチブに参加すること,又はそのツールを使用することが有益 と考えることもありうる。イニシアチブへの参加は,いずれにしても,他者の支援を得ること又は他者から学ぶ ことなど,組織内での具体的行動につながるべきである。組織がイニシアチブに付随するツール又は実践的手引 の使用又は策定を開始したとき,イニシアチブへの参加は特に有益なものとなりうる。組織は,社会的責任に関 するイニシアチブを利用して,認証又はラベルなど何らかの形の認定を求めてもよい。社会的責任に関するイニ シアチブの中には,特定の慣行又は特定の課題に関するパフォーマンス又は準拠が公に認められるための信頼で きる根拠として幅広く認められているものもある。社会的責任に関するこれらのイニシアチブが提供する実践的 手引は,自己評価のためのツールから第三者による認証までさまざまである。

社会的責任に関するイニシアチブに参加すべきか,又はイニシアチブを利用すべきかを判断するにあたり,組織 は次の要素を検討すべきである。

― そのイニシアチブは,4項に述べられた原則に即しているか。

― そのイニシアチブは,組織が特定の中核主題又は課題に取り組み,組織の活動全体に社会的責任を取り入れ ることができるよう支援するための重要かつ実践的な手引を提供しているか。

― そのイニシアチブは,ある特定の種類の組織又はそのような組織が関心をもつ領域を対象としたものか。

― そのイニシアチブは,ある土地又は地域に関係しているのか。又はグローバルな活動範囲を持ち,あらゆる 種類の組織に適用されるのか。

― そのイニシアチブは,組織が特定のステークホルダー集団に手を差し伸べる上で役立つのか。

― 政府,NGO,労働組合,民間部門又は学術団体など,そのイニシアチブを立案し,管理する(1つ又は複数 の)組織の種類。

― そのイニシアチブを立案し,管理する(1つ又は複数の)組織の評判。その組織の信頼性及び高潔性を考慮す

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81 る。

― そのイニシアチブが立案され,管理されるプロセスの性質。例えば,そのイニシアチブは,先進国及び発展 途上国の参加者が加わり,複数のステークホルダーによる透明で開放された,誰でも参加できるプロセスを 通じて立案されたか,又はそのようなプロセスによって管理されているか。

― そのイニシアチブの参加しやすさ。例えば,組織は参加のために契約を結ばなければならないのか,又はイ ニシアチブへの参加に費用はかかるのか。

これらの要素及びその他の要素を検討するにあたり,組織は,結果をどのように解釈するのかを慎重に考慮すべ きである。例えば,あるイニシアチブが幅広く受け入れられていることは,そのイニシアチブの適切性及び価値 を示すものかもしれないが,それは,そのイニシアチブの要件があまり厳格でないことの表れである可能性もあ る。これに対し,あまり広く使われていないイニシアチブが,より革新的又は意欲的である場合もある。さらに,

自由に利用できるイニシアチブは一見魅力的かもしれないが,対価を支払って利用するイニシアチブのほうが時 宜に適っており,長期的にはより価値が高いかもしれない。したがって,あるイニシアチブ又はツールが無償又 は有償で利用できるという事実が,そのイニシアチブ又はツールの価値を示すと考えるべきではない。

選択したイニシアチブの価値及び関連性を定期的に見直すことが重要である。

附属書Aは,社会的責任に関する自発的イニシアチブ及びツールを,網羅的にではなく列挙したものである。こ れらのイニシアチブ及びツールは,この国際規格を作成する過程で,ISO 26000ワーキング・グループに参加す る専門家により,附属書に記載された特別な基準を使って特定された。これらの基準は,附属書に列挙された社 会的責任に関するイニシアチブ又はツールの価値又は有効性に対するISOの判断を示すものではない。さらに,

ある社会的責任に関するイニシアチブ又はツールがこの付属書において示されたという事実は,そのイニシアチ ブ又はツールをISOが何らかの形で支持したことを暗示的に意味するものではない(ボックス17)。この国際規 格の適用範囲において客観的に測定できないイニシアチブの重要な特性(イニシアチブの有効性,信頼性,合法 性及び代表性)は,ここでは考慮に入れていない。こうした特性については,そのイニシアチブ又はツールの使 用を検討する者が直接評価すべきである。

ボックス16 – 認証可能なイニシアチブ,並びに商業的又は経済的利害に関係するイニシアチブ

(すべてではないが)附属書Aに列挙された社会的責任に関するイニシアチブの中には,中立の第三者に よるイニシアチブを背景とした認証の可能性が含まれるものがある。認証がイニシアチブ利用の条件にな っている場合もある。あるイニシアチブに認証の可能性,又は認証の要件が含まれるからといって,それ がそのイニシアチブの価値を示すものであると考えるべきではない。認証を伴うものを含め,附属書Aに 列挙されたツール又はイニシアチブの実施を,ISO 26000に規定された指針への適合を暗示するために使 用することはできない。

「営利」組織によって展開されているのか,又は「非営利」組織によって展開されているのかに関わらず,

一部のイニシアチブ又はツールは,使用料,加盟料,又は検証サービス若しくは認証サービスの料金を課 すという点で商業的利害又は経済的利害に結びついている。製品又は組織を普及するためにイニシアチブ 又はツールを使用することも,こうした商業的関係の一つの例である。こうした利害の存在そのものが,

社会的責任に関するイニシアチブの否定的側面であるというわけではない。例えば,イニシアチブ又はツ ールを統括する組織にとって,その費用及び活動をカバーすることが必要なのかもしれないし,それが製 品又は組織の特性をステークホルダーに知らしめるための合法的手段なのかもしれない。ただし,こうし た利害に結びついているイニシアチブ又はツールを評価するにあたり,この国際規格の使用者は,付随す る商業的利害及び利害の衝突の潜在的可能性を考慮すべきである。例えば,社会的責任に関するイニシア チブを統括する組織が,認証の付与によって収入を得ることを必要以上に優先し,かかる認証に必要な要 求事項を検証する際に正確性が損なわれこともありうる。したがって,イニシアチブ又はツールが商業的 利害又は経済的利害と結びついている場合には,これらのイニシアチブ又はツールを統括する組織の信頼 性を評価することが非常に重要である。

附属書 A (参考情報)

社会的責任に関する自主的なイニシアチブ及びツールの例

ドキュメント内 Microsoft Word - ISO_DIS_26000-Jrev2.doc (ページ 89-109)