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世 紀前半 に制作 され た 「南蛮屏風」 と授業 で読み解 いた 「南蛮屏風」 との比較 を とお し て、時代 が どの よ うに変化 してい つたか を考 えてみ よ う。

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2.17 世 紀前半 に制作 され た 「南蛮屏風」 と授業 で読み解 いた 「南蛮屏風」 との比較 を とお し て、時代 が どの よ うに変化 してい つたか を考 えてみ よ う。

≪比較 を とお して気付いた こと、疑間に思 った ことを 自由に書いてみ よ う !》

≪時代 は どの よ うに変 化 して い つた のか な?≫

*自

身 の考 え *班での考 え

☆世界 の動 きは どの よ うに変化 してい くのかな?日本 は一体 どの よ うな時代 を歩んでい くのかな

?

94

≪授業モデル開発 のための参考文献 ≫

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9rD

終章

 

研 究の成果 と今後 の課題

研 究の成果

本研究 は、歴史学習において子 どもの思考力や市民的資質 を育成す るた め、子 ども自 ら歴史家 と同様 の視点に立 って歴 史 を再構成 し、その過程 に歴史家 の研究対象 とな る一 次史料 を活用す るため、中学生で も読み解 くことができる一次史料 として絵画史料 に着 目し、神戸市立博物館 に収蔵 され てい る南蛮屏風 を取 り上 げて研 究 を行 つた。以下 に、

研究の成果 を述べ る。

(1)絵

画史料 に関す る先行研究や授業事例分析 を踏まえ、歴 史学習において絵画史料 を活用す る意義 と課題 を明 らかに した。

絵画史料 は事実確認 が容易であ り、既習知識や特別 な能力 を必要 としない。そのため 誰 にで も読み解 くことがで き、生徒の興味 0関 心 を引き出すだけでな く、歴史的思考力 の育成や主体的な歴史像 の構成 に役立て ることができる史料 である。この よ うな特性 を 持つ絵画史料 を歴史学習 に活用す ることに よつて、子 どもた ちの多様 な解釈 を生み 出す

ことがで き、子 ども自らが歴史理解 を形成 してい くことに繋 がる と考 える。

また、絵画史料 を活用す る授業事例 を①絵画史料 の活用 目的、② 読み解 きの視点 、③ 読み解 き活動の射程

(範

)の

二つ に着 目して分析 を行 い、次の こ とを明 らかに した。

①歴 史事実の探究や時代像 を描 く手段 として絵画史料 を用い るこ とで、絵画史料 が持 つ固有 の特性 を生か した授業 を行 うことができる。

②絵画史料の読解 をとお して子 ども自ら課題 を設定 し、個 々の多様 な解釈 を引き出す ためには、「変だなあ探 し」を含む 自由な視点での読み解 きを行 うことが必要である。

③事象の読み解 き、構 図の読み解 き、背景 (意

)の

読み解 きの二つの活動 を取 り入 れ ることによつて、史料 か ら読み解 いた事象 と歴史事実 (歴史像

)を

関連 させ て理 解す ることができ、子 どもの思考力や物事の見方・考 え方 を育成す るこ とに繋が る。

(2)南 蛮屏風に関す る先行研究、人 ともの

(建

物や交易の様子 )の 視点か ら読み解い た絵画構成、南蛮屏風 をとお して読み解 くことができる 16世 紀の時代像 などを踏ま えて、南蛮屏風の歴史的意義・教育的意義を明 らかにす るとともに、その特性を示す ことができた。

96

本研究で取 り上げる「南蛮屏風」は、 16世 紀末〜 17世 紀初頭に狩野内膳 によつて制作 されたものであ り、現存作例の うち最 も早期に制作 された南蛮屏風 の一つ として位置づ け られている。「南蛮屏風」には、南蛮人、キリス ト教宣教師、南蛮寺、南蛮船 といった 様 々な事象が描かれてお り、これ らの事象を読み解 くことによつて当時の時代像を読み 解 くことができる。また、「南蛮屏風」の制作技法やその発見地に着 目すると、当時の美 術作品には豪商や大名の豊かな経済力が反映 されてお り、 16世 紀 になると豪商や大名 が勢力 を強めていたことを明 らかにすることができる。 「南蛮屏風」に描かれている事象 の中には事実ではないことも含まれているが、当時の時代像 を読み解 く手掛か りが多様 に含 まれている史料 といえる。

狩野内膳によつて制作 された「南蛮屏風」は神戸市立博物館に収蔵 されてお り、地域に 残 る重要文化財で もある。地域性 を含む史料 を取 り上げることによつて地域 の文化的価 値にふれ ることができ、地域 に学習対象があることから資料や情報が入手 しやすい とい った利点がある。地域性を含む教材を活用することによつて、自ら設定 した課題を解決 す るために必要な知識な どを的確 に収集す る能力 を養 うことがで きると考 える。また、

「南蛮屏風」を活用することによつて世界史の視点を踏まえて 日本の歴史を学ぶことが でき、日本 を中心 とした歴史認識 か らの脱却を図 り、日本か ら世界を提 えるだけでな く、

世界か ら日本を提 える視点を養 うことができる。

さらに、「南蛮屏風」を交易 。キ リス ト教 。文化の視点で読み解 くことによつて、

16

世紀における歴史事実 とその背景 を読み解 くことができる。「南蛮屏風」の読解活動 を

とお して、南蛮貿易やキ リス ト教の布教 といつた歴史事実を世界史の視点を踏まえなが ら学習す ることができ、南蛮人の衣服や「南蛮屏風」の制作技法に着 目す ることによつ て南蛮文化を含む〃

L山

文化 を提えることができる。「南蛮屏風」の読み解 きは、 16世 紀 の時代像 を読み解 くことに繋がるといえる。

(3)絵

画史料の特性や歴 史学習 にお ける活用課題 、「南蛮屏風」の歴 史的意義や教育的 意義 を踏 まえて中学校歴 史授業 開発 を行い、歴 史学習 にお ける絵 画史料 の活用原理 を 示す とともに、「南蛮屏風」を活用 して

16世

紀の時代像 を構成す る授業モデル を開発

した。

3章

において、黒 田 日出男氏 と吉川幸男氏が提示す る絵 画史料 の読解方法か ら、「直 観 0分析 。総合」の二つの活動 が歴 史学の論理であるとともに社会認識形成 における教 育の論理であることを示 した。この二つの活動は、第

1章

において示 した事象の読 み解 き、構 図の読み解 き、背景 (意

)の

読み解 きを達成す る もので あ り、単元全体 を とお して、また各時の授業構成 に「直観・分析 。総合」の活用 を組み込 んだ歴史授業モデル を 開発 した。

単元名 を『 南蛮屏風か らみ る

16世

紀の時代像』 とし、知識 の構造や 「南蛮屏風 」 を 読み解 く二つの視点 (交易・ キ リス ト教・文化

)を

もとに、全

5時

間構成 となる授業モ デル を開発 した。第

1時

は 「南蛮屏風」に描かれ ている事象 を把握す る活動 を中心 に、

歴史史料 としての価値 に気付かせ ることをね らい としてい る。第

2時

では南蛮貿易 、第

3時

ではキ リス ト教の布教 、第

4時

では南蛮文化 を含む桃 山文化 について、「南蛮屏 風」

か ら読み解 いた事象 をもとに年表や交易 図な どの補助資料 を活用 して歴 史事実 を探究 した上で、各視点か らみた

16世

紀 の時代像 を構成す る授業 内容 となつてい る。第

5時

は単元全体の総合 として再度 「南蛮屏風」に立ち返 り、第

1時

か ら第

4時

までの既習知 識 を活用 して

16世

紀 の時代像 を提 え、制作 された時期の異 なる二つの南蛮屏風の比較 を とお して、

16世

紀か ら

17世

紀 にかけて どの よ うに時代 は変化 してい くのかを考察 さ せ て授業 を終 える構成 となつてい る。

これ らを本研究における研 究の成果 とす る。また、中学校 の歴史教科書 の多 くに掲載 されてお り、地域性 を含む史料 として南蛮屏風 を取 り上げた点、単元全体 を とお して一 つ の絵画史料 を活用 し補助 資料 と併用 しなが ら子 ども自 らに歴 史像 を構成 させ る授 業 モデル を開発 した点に、本研究 にお ける意義がある と考 える。

今後の課題

本研 究は、南蛮屏風 を事例 に中学校歴史授業開発 を行 つたが、他 の一次史料において も第

3章

において提示 した歴 史授業構成原理

(絵

画史料 の活用原理

)を

活用するこ とが で きるか ど うかを検証す るこ とはできていない。更なる先行研 究・ 先行実践 を分析 し、

歴 史授業構成原理の有用性 を検証す ることによつて、絵画史料 を含 むその他 の一次史料 を よ り効果的に歴史学習に活用す ることができると考 える。

また、本研究における授業モデル は現段階においては仮説 的なものである。そのた め、

今後、学校現場にお ける実践 を とお して授業モデル の課題 を明 らかに し、改善を図つて い くことが必要である。

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