単元名
実践者 対 象
活用史料 学習 目標 授業構成
考 察
① ② ③
備 考 出典
≪NO.1≫
単元名 入 門 としての 「イス ラム世界」
実践者 井 ノ ロ貴史 対 象 高校 1年生
活用史料
A:サ
ウジア ラ ビアの国旗B:「
イ スラム とア ラビア語」 に関す る文字資料 C:「メ ッカを包囲・攻略す るムハ ンマ ド」 の様子 を描 いた絵画学習 目標 1.ムハ ンマ ドが新 しい価値観 の上 にイスラム共 同体 をつ くろ うとした こ とを理解 させ る。
2.モス クでの集団礼拝 を取 り上 げることに よって、現在 のイ ス ラムの 日常生活 にふれ る。
3.イス ラムが都 市 の文明であることを押 さえ、貨幣経済の発 展 を背景 に、イベ リア半島 か らイ ン ド洋世界、 中国へ と繋 が る巨大商業ネ ッ トワークをつ くった ことを理解 させ る。
授業構 成 <展開i>国旗 を提 示 してア ラ ビア語 に着 目し、文字 資料 を手掛 か りにア ラビア語 はイス ラムの支 配 が拡 大 した こ とを背景 に広 い範 囲 にわ た って使 われ るよ うになっ た こ とを学習す る。
<展開 五
>イ
ス ラムが拡 がつた理 由を考察 させ るた め、絵画史料Cに描 かれ てい るマ ホメ ッ トに着 目す る。一人 だ け顔 が描 かれてい ない こ とか らマホ メ ッ トを神 の よ う に崇拝す ることを禁上 した ことを明 らかに し、ア ラブ人が どの よ うにイ ス ラム 教 を広 めたか を説 明す る。<展
開 五>8世
紀 のイ ス ラムで は軍人や役 人が貨幣 で給料が支払われ て いた こ とを説明 し、広い地域 と交易 を行つていた ことを提 える。く展 開市>イス ラム教 の寺院 (モス ク)に関す る問い を行 い、
CDや
教 師 が作成 したVT
Rなどを用いてイス ラム教のネL拝 について学習す る。
考 察 絵画史料 は展 開 五にお いて活用 されてお り、イ ス ラムの支配 が短期 間 で広範 囲の地域 に 広 ま った要因を考察 させている。ここで絵画史料 は提示 され るが、教師 に よつて着 目すべ き箇所 (マホ メ ッ トの顔 が描かれ ていない点)があ らか じめ示 されてお り、その絵 が意味 す る ことにつ いてす ぐに教 師が解説 を行 つて いる。そ のため、生徒 による絵画史料 の読解 活動 は行 われ てい ない と捉 える ことがで きる。
① 歴史事実のイメージ化
l②
固定的な視点l③
読み解 きなし備 考 5時間構成 の うち2時間分 の授業 (第何 時かは不明) 出典 『歴史地理教育』 ヽ529 1995年 2月
≪NO.2》
単元名 平治物語絵巻
実践者 小林朗 対 象 中学生
活 用 史料 平 治物語絵巻 (三条殿 夜討巻)
学習 目標 1.農民が土地 を守 るた めに武装 していた とい う従来 の 「武士 の発生」の観 点を覆 す こと。
2.辺
境 の反 舌しを押 さえ るために軍属貴族 、「武士が用い られ た」 こと。1と 2を通 じて武 士 が芸能 人 として暴力 を職業 に していた こ とを生徒 た ちに理解 させ る。
授業構成 <展開i>武士 とは どの よ うな人物かを問 うことで、生徒た ちが抱 く武 士 のイメー ジ像 を 明確 にす る。 明確 に した上で、「平治物語絵巻」 を配布す る。
<展開 五>「平治物語絵巻」を見て気が付 いたことを書 き出 し、武士が持つ武器 (長刀や 弓)に着 目させ るこ とによって武士=刀とい うイ メージを払拭 し、弓が武芸の 中心 であ り、「弓馬 の士」であった ことを教師が説 明す る。
<展
開 血>当時 の武 士 が どの よ うな人物 で あつたのか を提 えた上で、「平将門の舌L」 を学 習 す る。将 門 の家来 が 「半農半士」で あった こ とを明 らかに し、「弓馬 の士」との違 い を教師が説 明す る。
<展
開 市>次に、後三年 の役、前九年の役 をお さえたのは武 士団 を統率 した 「源氏」であ る こ とを説 明 し、武士 の発生要因を明 らかにす る。考 察 生徒 が抱 く武士のイ メージ像 を明確 に した後 に 「平治物語絵巻」は提示 され、史料 を見 て気付いた ことを書 き出す よ う指示が出 されている。生徒 は人物 (武士)の描写 に着 日し て読解 を行 つてお り、「怖 い人J「 戦いを しな くては な らない人」「平気 な顔 を して、残酷 な こ とをす る人」 といつた意見がみ られ る。次に、武 士が持 つている武器 に着 目させ るこ とに よつて、武士は刀 を持 ってい るとい う従来のイ メー ジを払拭す るこ とをね らい として お り、武士の姿 を生徒 に把握 させ た上で歴 史事実 を取 り上 げ ることが教 師の 目的で ある。
この授業 にお ける絵画史料の読解活動 は、絵画史料 に描かれ ている事象 のみを読 み解 く 段 階に留 まってい る。武 士の姿 を明 らかにす るためのみに、絵画史料 を用 いてい るためで ある と考 え られ る。
① 歴史事実のイメージ化
l②
自由な視点l③
事象の読み解き備 考 「古代か ら中世へ」の移行期 の授業 出典 『歴史地理教育』 ヽ546 1996年 3月
≪NO.3≫
単元名 蒙古襲来絵詞
実践者 倉持祐二 対象 小学生
活用史料 蒙古襲来絵詞
学習 目標 中世 の武士 は幕府 との契約 関係 (「御 恩」 と 「奉公 」
)の
上 に成 り立っていたことを、「蒙 古襲来絵詞 」 を活 用す る ことに よって捉 え させ る。授業構成
<展
開i>蒙古襲 来絵詞 を提示 し、 どの よ うな ことが描 かれ て い るのか を読み解 く。(元軍 の服 装や様 子 、集 団戦法 、武器 の違 いな どに生徒は着 目してい る。)
<展開 五
>生
後 が絵画 史料 か ら読 み取 った事象 に沿 って、元 が 日本 に攻 めて くる背景や戦 い の経過 、竹 崎季長 が どのよ うな人物で あつたのか を教師が説 明す る。その後、「蒙古襲来絵詞」をもとに物語 をつ くる。
<展
開五>次に、戦いの後 に季長 が安達恭盛 に会 うた めに70日
もか けて鎌倉まで旅 をし た こ とを地 図を用いて明 らかに し、なぜ季長 はその よ うな行動 を取つたのかを 考察す る。「蒙古襲 来絵詞 」 の展 開 五とは異 な る場 面 を提示 し、褒美 を も らう こ とが 目的であつた こ とを明 らかに した上 で、季長 は恭盛 に何 と言つて褒美 を も らお うと したか を推測す る。考 察 授 業 の初 めに絵画 史料 が提示 されてお り、 自由な視 点での読 み解 き活動 が行 われ てい る。実践者 は生徒 の着眼点 を把握す るため、描かれてい る事象 を読み解 く時間をな るべ く 多 く取 るよ うに心掛 けてい るこ とが示 され ていた。そ の後 、生徒 が読 み解 いた事象 をもと に教師が解説 を行 つてお り、この段 階にお ける絵画史料 は導入 としての役割 を果 た してい る と考 え られ る。
また、初 めの 「史料 には何が描 かれてい るか」 とい う問い以外 は絵画史料に関す る問い は行 われてお らず、歴 史事実 に関す る発 間が多い (例えば、「何 のために季長は こ うまで して安達恭盛 に会いにいつたので しょうね?」)。 そ して、発 間 に対す る予想 を裏付 ける資 料 として 「蒙古襲来絵詞 」 を提示 し、歴 史事実 を視 覚 的 に捉 え させ てい る。
① 歴史事実のイメージ化
l②
自由な視点l③
事象の読み解き備 考 な し
出 典 『歴史地理教育』 血546 1996年 3月
《
Na4》
単元名 長篠合戦 図
実践者 中妻雅彦 対 象 小学生
活 用 史料 長篠合戦 図屏風 学習 目標 記載 な し
授業構成
<展
開i>長篠合戦 図屏風 を提 示 し、気が付 いた こ とをノー トに書かせ る。・信長 だ けでな く、家康 もい る。
・秀吉 も左 の うえのほ うにい る。
・信長 のほ うは、鉄砲がた くさんある。武 田のほ うは鉄砲 がない。
。鉄砲の前に柵 があるか ら、馬は飛び こせない。
。川が流れているか ら信長 のほ うが有利 だ と思 う。
…な ど
気付 いた こ とを発 表 させ、全体 で どこに どのよ うな ことが書かれてい るのか を確認す る。
く展開 五>長篠 の合戦 で、信長・家康 の連合軍が勝利 した原 因 について考察 させ る。
。鉄砲 をた くさん もつていて、それ を使 ったか らだ と思 う。
。や りをもつているけど、鉄砲 にはかなわない。
。鉄砲 だけでな く、柵 をつ くった り、川 の所に陣地をつ くった りして、頭が
い い 。
。信長 のほ うは、いい場所 を見つけて、待 ってた と思 う。だから、有利 なと ころで戦 つたか ら勝 ったんだ と思 う。
…な ど
戦術 として新 しい鉄砲や柵 の使用、地形 の有利 さな どに気付 かせ る。
<展
開五>この戦 いに勝 った信長 は、次 に何 をす るかを予想 させ 、最後 に感想 をノー トに 書 かせ て授 業 を終 え る。考 察 まず絵画史料に描かれている事象を読み解き、全体で何が描かれているのかを把握 した 上で信長・家康の連合軍が勝利 した要因を考察 させてお り、読み解いた事象をもとに分析 的な読みへ と展開 していることがわかる。また、この授業では補助資料が提示 されていな いため、長篠合戦図に描かれていることか ら問いに対する予想 を推測 しなければならず、
より詳細な読み解 きが行われている。
① 歴史事実の探求 l② 自由な視点 ③ 事象 → 構図
備 考 1時間扱 い
出 典
『歴史地理教育』 血
546 1996年 3月≪No5≫
単元名 横 穴墓 の線刻 壁画 か らせ ま る古代 人の死 生観
実践者 関剛史 対象
1高
校 生活用史料 徳増支群 。第一 三号墓 にみ られ る線刻壁画
学 習 目標 線刻壁画 の図柄や「五重塔」に着 日し、当時 の房総半 島の仏教 普及 とか らめて、当時 の人々 が どの よ うな死生観 。宗教 をもつていたか とい うこ とを考 え させ る。
授業構成
<展
開i>線
刻壁画 に描 かれてい る絵 を 自由に読み解 かせ る。<展開 五
>読
み解 いた事象が どのよ うな意味を持つ のかを考察 させ る。考 察 授業の様子 が記述 され てお らず 、生徒が史料か らどの よ うな事象 を読 み解いたのかが表 に示 され て い る。表 をみ ると、教師は壁画 に描かれ てい る事象 を生徒 に読み解かせ 、それ が どの よ うな意 味を持つのかを考察 させ てい ることがわか る。その後、絵解 きの ヒン トと して現段階までの歴 史学 にお ける研究成果 を資料 として配布 し、生徒の解釈が どの よ うに 変化 したのか を期末テ ス トを とお して調べている。 これ らの実践内容 をみ ると、読 み解い た事象 を発表 し合い、教師が コメン トや説 明を行 うといつた活動 はみ られない。
関氏 は、県 の緊急集 会 にて授 業報告 を行 つた ことに よつて得 たア ドバ イ スをも とに、授 業 の再構成 を行 つて い る。 その内容 を以下 に示す。
。第
1時
間 目・・ ・線刻壁画 の 「絵解 き」授業。第2時間 日・ ・・ 日本 古代 の精神 史 の概観
2時間構成 の うち、線刻壁画 を第1時で取 り扱 ってい る。授 業計画 の内容は、まず発問 1と して線刻壁画 に何 が描 かれているのかを読み取 らせ 、同時 にその図柄 の意味 を考察 さ せ る。その後 、史料 の説 明を行 い、図柄 を考察す る ヒン トを提 示 して (ヒン トが何 かは不 明)再度 図柄 の意 味 を考察 させ ている。 さらに、壁 画 に描かれ ている五重塔 に着 目させ、
そ こか ら房総半島にお ける仏教普及 について考察す る授業展 開 となってい る。再構成 され た授業では、史料か ら読み解 いた ことを もとに生徒 に予想 を立 て させ 、その後 に補助資料 を提示す るこ とに よって、問い対す る予想 を よ り深 く考察 させ るよ うな構成 となつてい た。
① 時代像 の構 成
l②
自由な視 点l③
事象→ 構 図備 考 3時間構成 の うち第2時 (現代社会)
出 典 『 歴史地理教育』L590 1999年 2月