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﹁ 米

ドキュメント内 仏教福祉 No.15 (ページ 82-99)

一 升

運 動

﹂ に つ い て

︑はじめに

筆者が所属する﹁滋賀教区浄土宗青年会﹂(以下︑滋

賀浄青と略称)では︑慈善活動として︑平成二十二年よ

り ︑

﹁近江米一升運動﹂を行っている︒

﹁近

江米

一升運

動 と は 浄

三フ 1

滋 賀 教 区 所 属 寺 院 から

寺 あ た り

升(

・五回)以上の仏供米のお下がりの喜捨を募り︑

集まった浄米を生活困窮者に対する食糧支援を行ってい

るNPO法人や慈善団体に寄贈・寄託することによって︑

現在深刻化している貧困問題改善のささやかな一助足ら

んとする活動である︒

本稿では︑滋賀浄青の怒善活動委員長としてこの﹁近

白当E

正先 Z

江米一升運動﹂に関わってきた立場から︑これまでの活

動を振り返り︑﹁米一升運動﹂の持つ意義と今後の課題

宇佐

考察

した

一 一

︑﹁

近江

升運動

の展開過程

付 ﹁

甲賀米

升運動﹂開始に

る経緯

じぎょう﹁近江米一升運動﹂

は ︑

﹁社会慈業委員会

・ひとさじ

の会﹂を創設された原尚午氏(初代会長)と吉水岳彦氏

(事務局長)からの呼びかけに対する応答として始まつ

ヲ ム

76 

た活動である︒

昨今の不況に伴って過酷さを増す東京下町の路上生活

者の状況を目の当たりにされた原・吉

水両

氏は

その

況に向き合い応答することが自分に課せられた責任であ

ると感得された︒そして︑路上生活者に寄り添い︑彼ら

の人間としての尊厳を支えたいと発願され︑平成二十

年にひとさじの会を立ち上げられた︒

お二

人は

まず

多くの路上生活者が葬儀なしに火葬

(直葬)され無縁仏となっていくという悲惨な現状を変

えるべく﹁葬送支援﹂を始められた︒さらに︑路上生活

者に物心両面から寄り添いたいと︑﹁炊き出し配食﹂と

﹁備蓄米購

買運

動﹂

(寺

院に

対して︑消費期限一年前に

なったら︑企業や個人から余剰食品を預かって食糧支援

を必要とする団体や施設に無償で届ける活動をしている

N P

﹂O法人フ1ドバンクに寄付することを前提に﹁仰

災害備蓄米の購入を呼びかける運動)の二本立ての﹁食

糧支援﹂を計画され︑月二回のおにぎりの炊出しを開始

すると同時に︑滋賀浄青に﹁備蓄米購買運動﹂への協力 を求められた︒

お二人の﹁社会慈業﹂にかける崇高なまでの利他

のご

精神に触れ聞大きな感銘を受け︑﹁社会において法然上

人の説かれたお念仏の根底にある万機普益・平等救済と

いった慈しみの精神を

具現

化する﹂(社会慈業委員会設

立趣意書)︑﹁本会は﹁たがひに順逆の縁むなしからずし

一例

浄土

のと

・も

たら

﹂(

﹃念

仏往生要義抄﹄)とい

う法然上人の精神を模範として︑信仰を同じくする人は て ︑

もちろん︑信仰を異にする人までも︑念仏者たる自己と

‑77‑

有縁のすべての人が極楽浄土で再会する友となることを

願い︑慈しみの心で満ちた社会の形成を目指して行動す

ることを目的とする﹂(会則第三条)という法然上人の

教えに立脚したひとさじの会の活動理念叫に深く共鳴し

た滋賀浄青(伊藤真昭会長︿当時﹀)役員会は︑お二人

からの呼びかけに応答することを即断した︒

そして︑米どころであり︑檀家が法事・

法要

の際

に︑

菩提寺の本尊前に米を供える習慣が広く見られる滋賀県

では︑仏供米のお下がりのご喜捨を募る方が︑地の利を

生かした活動といえるのではないか︑こちらの方が備蓄

米購買運動よりも協力を得られやすいのではないか︑と

考えて︑この活動を﹁米一升運動﹂と銘打って実施する

ことを決定し︑まず︑下部組織である甲賀組浄

(山添

恭寛会長八当時﹀)の事業としてスタートを切ることと

なった︒

甲賀米一升運動

ら近江米一升運動

への

進展

平成二十一年末に甲賀市・湖南市を区域とする甲賀組

所属寺院百三十三ヵ寺に﹁甲賀米一升運動﹂への協力を

呼びかけたところ︑翌年明けに一ヵ寺平均二升以上に相

当する四六

O

同の浄米と一

OO

同の食品をお寄せいただ

いた

︒この甲賀組諸大徳の尊いお志を︑関西を拠点とし

てフ

lドパンク活動を行っている

N P lO法人﹁フ

ドバ

ンク関西﹂

(平

二十一年度﹁第三回共生・地域文化大

賞﹂共生優秀賞受賞団体︒

以下

︑ H

B関西)とひとさじ

の会に寄贈した︒ここに︑寺院とフードパンクとの本格

i

的 な 協 働 が 初 め て 実 現 し た の で あ る

︒ 甲賀米一升運動の好結果を受けて︑平成二十二年度か

ら︑滋賀浄青(西谷玄和会長︿当時﹀)の新規事業﹁近

江米一升運動﹂として滋賀教区全体に範囲を拡大して実

施することとなり︑十一月に教区所属四百七十八ヵ寺に

協力を呼びかけたところ︑二・八tの浄米をお寄せいた

JLvb/r ‑ ︑:︒

この

二回の取り組みでお預かりした浄米は︑

H

B関西

の二十一年度の米取扱量五・七tの実に半分以上に相当

する

三・二t強に達し︑事前の予想そ大きく上回る規模

‑78‑ の支援を実現することができた︒この上々の成果に役員

一同歓喜甥躍し︑滋賀教区の諸大徳のご厚情に随喜

の涙

を禁じ得なかった︒

筆者は︑諸大徳にこれ程の絶大なご協力をいただけた

のは︑依頼状の中の︑﹁元祖法然上人八百年大遠忌を迎

えるにあたり︑この事業を﹁甲賀米一升運動﹂と銘打つ

て推進し︑法然上人のお念仏のみ教えの根底にある万機

普益

・平等救済といった慈しみの精神を社会に具現化し︑

祖師の恩徳に報いたい:::﹂という﹁ひとさじの会﹂の

理念と情熱を盛り込んだ一節にど共感いただいたからに 違いないと確信した︒広大な利他の御心と法然上人に対

する深い報恩謝徳の真心をもって︑滋賀浄青とひとさじ

の会の思いに形を与えてくださった諸大徳に対し︑改め

て深い感謝と尊敬の念を抱き︑自分が滋賀教区に所属し

ていることを心から誇りに思った︒

HB

関西

以外

に︑

ひとさじの会とブラジル入学校﹁サ

ンタナ学園﹂(滋賀県愛荘町)にも若干寄贈することが

できた︒

甲賀米一升運動と近江米一

升運

動は

寺院とフl

ドパ

ンクの協働というユニークな形態の福祉実践として 般紙刷︑宗教専門紙誌問︑書籍附に大きく取り上げられる など思いがけず大きな反響と高い評価をいただいた︒さ

らに︑﹁東北ブロック浄青﹂(東海林良昌理事長︿

当時

﹀)という同志を得て︑﹁東北米升運動﹂

(東

北ブ

ロツ

ク 浄 青 と

﹁ふ

う ど ば ん く 東 北

AGAIN﹂

ほかが協

働)として東北に米一升運動が拡大伝播するという債倖

に恵まれることとなった︒ 日

東日本大

災被災地

援としての近江米

運動の展開と

動 へ

同の輸の拡大

平成二十二年の二度にわたる﹁米一升運動﹂の実施に

よっ

て︑

ひとさじの会の期待に僅かながら応えることが

できた喜びと安堵に浸りつつ︑活動のさらなる充実と発

展宇佐考えていた時に︑東日本大震災が発生した︒ その翌日の平成二十三年三

月十

日に

‑79 

ひとさじの会

を通じて東京のフlドパンク﹁セカンドハ1ベス

ト・

ヤパン﹂

(以

下︑

2H

J)

から被災地への食糧支援の協 力要請を受けた滋賀浄

青は︑滋賀教区と協議し︑﹁今こ

そ共生を!﹂をスローガンに米一升運動を緊急実施する ことを決定しすぐさま始動した︒今回は各寺院を通じて

檀信徒にも協力を呼びかけたところ︑半月の聞に七tも

の浄米と沢山の食糧を寄せていただいた︒この尊いお志 を こ 2 の H

 

緊 と 急 F 近 B

江 関

升 通 運 じ 動 て

h 撲

t t h

よ』こ る 届 被 け 災 た地

^ '  

の 迅 速

かつ

大規模な食糧支援が︑浄土宗から高い評価をいただ

き︑滋賀浄青は﹁第五回共生・地域文化大賞共生事業助

成部門採択団体﹂に選出されるという光栄に浴した︒そ

して︑浄土宗の助成を拝受して︑二十三年度の近江米一

升運動を︑浄土宗災害復興福島事務所の開所記念事業と

して

実施させていただける運びとなった︒

平成二十三年十二月二十日︑西谷玄和会長以下滋賀浄

青有志︑が︑諸大徳と檀信徒からど喜捨いただいた三

・七

tの浄米の内二tをトラックに積み﹁いわき市高久第

応急仮設住宅﹂を訪れた︒

そし

︑市内各仮設住宅集会

はままる所で

﹁ 浜

O

かふ

え﹂

閣という出張カフェを開いて入居者

に憩いと交涜の場を提供されている﹁福島教区浜通り組

浄青﹂(加藤正淳会長

八当

時﹀)諸師と協働し︑入居者

の皆

様を

お招

きし

て︑

一緒におにぎり・

豚汁

・焼芋を調

理し︑会食を楽しんだ後︑お土産に十同入米袋をお渡し

する﹁交涜会&お米頒布

会 ﹂

を開催した削O

浜通り組浄青諸師がそれまでの地道な活動によって築

かれた入居者の皆様との信頼関係のお陰を蒙り︑滋賀浄 青のメンバーも温かく受け入れていただき︑終始笑顔の

絶えない和気あいあいとした集いとなった︒入居者の皆

様が私どもに過分な感謝の言葉をかけて下さり︑また胸

襟を聞いていろんなことをお話し下さったことに大いに

感激し︑平成二十二・二十三年度の滋賀浄青の活動テl

マ﹁頼りにされたい﹂を僅かながらでも達成できたとい

う満足感に浸った︒

米一升運動を機縁として﹁和顔愛語﹂が行き交う︑温

もり溢れる場︑か生まれたことに無上の喜びを感じると同

80 

時に︑米一升運動を継続実施することが︑僧侶に求めら

れている被災者の﹁心のケア﹂に不可欠な前提である︑

被災者との﹁顔の見える信頼関係﹂の構築に繋がる可能

性を確信し︑この運動の意義と価値を肌身で実感し︑継

続・発展への意欲を新たにした︒

こうして︑幸いにも福島での新しい試みは盛況のうち

に終

り︑

宗内外から好評をいただくことができた

酬 ︒

た ︑ F

関西・ひとさじの会・多文化共生支援センターB

(滋

賀県

草津

市)

等にも計一・七tの浄米を贈呈し︑従

ドキュメント内 仏教福祉 No.15 (ページ 82-99)

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