一 升
運 動
﹂ に つ い て
一
︑はじめに筆者が所属する﹁滋賀教区浄土宗青年会﹂(以下︑滋
賀浄青と略称)では︑慈善活動として︑平成二十二年よ
り ︑
﹁近江米一升運動﹂を行っている︒
﹁近
江米
一升運
動 と は 浄
,土三フ 刀1
滋 賀 教 区 所 属 寺 院 から
ケ 寺 あ た り
升(
一
・五回)以上の仏供米のお下がりの喜捨を募り︑
集まった浄米を生活困窮者に対する食糧支援を行ってい
るNPO法人や慈善団体に寄贈・寄託することによって︑
現在深刻化している貧困問題改善のささやかな一助足ら
んとする活動である︒
本稿では︑滋賀浄青の怒善活動委員長としてこの﹁近
白当Eヨ
田
正先 Z欠
江米一升運動﹂に関わってきた立場から︑これまでの活
動を振り返り︑﹁米一升運動﹂の持つ意義と今後の課題
宇佐
考察
した
い
︒
一 一
︑﹁
近江
米
一
升運動﹂
の展開過程付 ﹁
甲賀米一
升運動﹂開始に
至
る経緯じぎょう﹁近江米一升運動﹂
は ︑
﹁社会慈業委員会
・ひとさじ
の会﹂を創設された原尚午氏(初代会長)と吉水岳彦氏
(事務局長)からの呼びかけに対する応答として始まつ
ヲ ム
76
た活動である︒
昨今の不況に伴って過酷さを増す東京下町の路上生活
者の状況を目の当たりにされた原・吉
水両
氏は
︑
その
状
況に向き合い応答することが自分に課せられた責任であ
ると感得された︒そして︑路上生活者に寄り添い︑彼ら
の人間としての尊厳を支えたいと発願され︑平成二十
年にひとさじの会を立ち上げられた︒
お二
人は
まず
︑
多くの路上生活者が葬儀なしに火葬
(直葬)され無縁仏となっていくという悲惨な現状を変
えるべく﹁葬送支援﹂を始められた︒さらに︑路上生活
者に物心両面から寄り添いたいと︑﹁炊き出し配食﹂と
﹁備蓄米購
買運
動﹂
(寺
院に
対して︑消費期限一年前に
なったら︑企業や個人から余剰食品を預かって食糧支援
を必要とする団体や施設に無償で届ける活動をしている
N P
﹂O法人フ1ドバンクに寄付することを前提に﹁仰
災害備蓄米の購入を呼びかける運動)の二本立ての﹁食
糧支援﹂を計画され︑月二回のおにぎりの炊出しを開始
すると同時に︑滋賀浄青に﹁備蓄米購買運動﹂への協力 を求められた︒
お二人の﹁社会慈業﹂にかける崇高なまでの利他
のご
精神に触れ聞大きな感銘を受け︑﹁社会において法然上
ば ん き ふ や く
人の説かれたお念仏の根底にある万機普益・平等救済と
いった慈しみの精神を
具現
化する﹂(社会慈業委員会設
立趣意書)︑﹁本会は﹁たがひに順逆の縁むなしからずし
一例
浄土
のと
・も
たら
む
﹂(
﹃念
仏往生要義抄﹄)とい
う法然上人の精神を模範として︑信仰を同じくする人は て ︑
もちろん︑信仰を異にする人までも︑念仏者たる自己と
‑77‑
有縁のすべての人が極楽浄土で再会する友となることを
願い︑慈しみの心で満ちた社会の形成を目指して行動す
ることを目的とする﹂(会則第三条)という法然上人の
教えに立脚したひとさじの会の活動理念叫に深く共鳴し
た滋賀浄青(伊藤真昭会長︿当時﹀)役員会は︑お二人
からの呼びかけに応答することを即断した︒
そして︑米どころであり︑檀家が法事・
法要
の際
に︑
菩提寺の本尊前に米を供える習慣が広く見られる滋賀県
では︑仏供米のお下がりのご喜捨を募る方が︑地の利を
生かした活動といえるのではないか︑こちらの方が備蓄
米購買運動よりも協力を得られやすいのではないか︑と
考えて︑この活動を﹁米一升運動﹂と銘打って実施する
ことを決定し︑まず︑下部組織である甲賀組浄
青
(山添
恭寛会長八当時﹀)の事業としてスタートを切ることと
なった︒
口
甲賀米一升運動
から近江米一升運動
への
進展
平成二十一年末に甲賀市・湖南市を区域とする甲賀組
所属寺院百三十三ヵ寺に﹁甲賀米一升運動﹂への協力を
呼びかけたところ︑翌年明けに一ヵ寺平均二升以上に相
当する四六
O
同の浄米と一OO
同の食品をお寄せいただいた
︒この甲賀組諸大徳の尊いお志を︑関西を拠点とし
てフ
lドパンク活動を行っている
N P lO法人﹁フ
ドバ
ンク関西﹂
(平
成
二十一年度﹁第三回共生・地域文化大
賞﹂共生優秀賞受賞団体︒
以下
︑ H
B関西)とひとさじ
の会に寄贈した︒ここに︑寺院とフードパンクとの本格
コラポレi
シヨ ン
的 な 協 働 が 初 め て 実 現 し た の で あ る
︒ 甲賀米一升運動の好結果を受けて︑平成二十二年度か
ら︑滋賀浄青(西谷玄和会長︿当時﹀)の新規事業﹁近
江米一升運動﹂として滋賀教区全体に範囲を拡大して実
施することとなり︑十一月に教区所属四百七十八ヵ寺に
協力を呼びかけたところ︑二・八tの浄米をお寄せいた
ゃJLvb/r ‑ ︑:︒
この
二回の取り組みでお預かりした浄米は︑
H
B関西
の二十一年度の米取扱量五・七tの実に半分以上に相当
する
三・二t強に達し︑事前の予想そ大きく上回る規模
‑78‑ の支援を実現することができた︒この上々の成果に役員
一同歓喜甥躍し︑滋賀教区の諸大徳のご厚情に随喜
の涙
を禁じ得なかった︒
筆者は︑諸大徳にこれ程の絶大なご協力をいただけた
のは︑依頼状の中の︑﹁元祖法然上人八百年大遠忌を迎
えるにあたり︑この事業を﹁甲賀米一升運動﹂と銘打つ
て推進し︑法然上人のお念仏のみ教えの根底にある万機
普益
・平等救済といった慈しみの精神を社会に具現化し︑
祖師の恩徳に報いたい:::﹂という﹁ひとさじの会﹂の
理念と情熱を盛り込んだ一節にど共感いただいたからに 違いないと確信した︒広大な利他の御心と法然上人に対
する深い報恩謝徳の真心をもって︑滋賀浄青とひとさじ
の会の思いに形を与えてくださった諸大徳に対し︑改め
て深い感謝と尊敬の念を抱き︑自分が滋賀教区に所属し
ていることを心から誇りに思った︒
HB
関西
以外
に︑
ひとさじの会とブラジル入学校﹁サ
ンタナ学園﹂(滋賀県愛荘町)にも若干寄贈することが
できた︒
甲賀米一升運動と近江米一
升運
動は
︑
寺院とフl
ドパ
ンクの協働というユニークな形態の福祉実践として 般紙刷︑宗教専門紙誌問︑書籍附に大きく取り上げられる など思いがけず大きな反響と高い評価をいただいた︒さ
らに︑﹁東北ブロック浄青﹂(東海林良昌理事長︿
当時
﹀)という同志を得て︑﹁東北米升運動﹂
(東
北ブ
ロツ
ク 浄 青 と
﹁ふ
う ど ば ん く 東 北
AGAIN﹂
ほかが協
働)として東北に米一升運動が拡大伝播するという債倖
に恵まれることとなった︒ 日
東日本大
震災被災地
支援としての近江米
一升
運動の展開と
運動 へ
の
賛
同の輸の拡大
平成二十二年の二度にわたる﹁米一升運動﹂の実施に
よっ
て︑
ひとさじの会の期待に僅かながら応えることが
できた喜びと安堵に浸りつつ︑活動のさらなる充実と発
展宇佐考えていた時に︑東日本大震災が発生した︒ その翌日の平成二十三年三
月十
二
日に
︑
‑79
ひとさじの会
を通じて東京のフlドパンク﹁セカンドハ1ベス
ト・
ジ
ヤパン﹂
(以
下︑
2H
J)
から被災地への食糧支援の協 力要請を受けた滋賀浄
青は︑滋賀教区と協議し︑﹁今こ
そ共生を!﹂をスローガンに米一升運動を緊急実施する ことを決定しすぐさま始動した︒今回は各寺院を通じて
檀信徒にも協力を呼びかけたところ︑半月の聞に七tも
の浄米と沢山の食糧を寄せていただいた︒この尊いお志 を こ 2 の H
‑‑, ]
緊 と 急 F 近 B
米
江 関里
升 通 運 じ 動 て
h 撲
に
t t h
よ』こ る 届 被 け 災 た地
^ '
の 迅 速
かつ
大規模な食糧支援が︑浄土宗から高い評価をいただ
き︑滋賀浄青は﹁第五回共生・地域文化大賞共生事業助
成部門採択団体﹂に選出されるという光栄に浴した︒そ
して︑浄土宗の助成を拝受して︑二十三年度の近江米一
升運動を︑浄土宗災害復興福島事務所の開所記念事業と
して
実施させていただける運びとなった︒
平成二十三年十二月二十日︑西谷玄和会長以下滋賀浄
青有志︑が︑諸大徳と檀信徒からど喜捨いただいた三
・七
tの浄米の内二tをトラックに積み﹁いわき市高久第
応急仮設住宅﹂を訪れた︒
そし
て
︑市内各仮設住宅集会
はままる所で
﹁ 浜
O
かふ
え﹂
閣という出張カフェを開いて入居者
に憩いと交涜の場を提供されている﹁福島教区浜通り組
浄青﹂(加藤正淳会長
八当
時﹀)諸師と協働し︑入居者
の皆
様を
お招
きし
て︑
一緒におにぎり・
豚汁
・焼芋を調
理し︑会食を楽しんだ後︑お土産に十同入米袋をお渡し
する﹁交涜会&お米頒布
会 ﹂
を開催した削O
浜通り組浄青諸師がそれまでの地道な活動によって築
かれた入居者の皆様との信頼関係のお陰を蒙り︑滋賀浄 青のメンバーも温かく受け入れていただき︑終始笑顔の
絶えない和気あいあいとした集いとなった︒入居者の皆
様が私どもに過分な感謝の言葉をかけて下さり︑また胸
襟を聞いていろんなことをお話し下さったことに大いに
感激し︑平成二十二・二十三年度の滋賀浄青の活動テl
マ﹁頼りにされたい﹂を僅かながらでも達成できたとい
う満足感に浸った︒
米一升運動を機縁として﹁和顔愛語﹂が行き交う︑温
もり溢れる場︑か生まれたことに無上の喜びを感じると同
80
時に︑米一升運動を継続実施することが︑僧侶に求めら
れている被災者の﹁心のケア﹂に不可欠な前提である︑
被災者との﹁顔の見える信頼関係﹂の構築に繋がる可能
性を確信し︑この運動の意義と価値を肌身で実感し︑継
続・発展への意欲を新たにした︒
こうして︑幸いにも福島での新しい試みは盛況のうち
に終
り︑
宗内外から好評をいただくことができた
酬 ︒
ま
た ︑ F
関西・ひとさじの会・多文化共生支援センターB
(滋
賀県
草津
市)
等にも計一・七tの浄米を贈呈し︑従