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第 4 章 その他の検討

第 6 節 参考文献

第6節

総括

本論文は、「Pd触媒と光照射条件を利用したアルキルラジカル発生」という方法 論を基軸とした新規多成分連結反応による効率的な炭素―炭素(ヘテロ原子)結合 形成反応の開発について述べたものである。

第1章では、位に電子求引性官能基を有するアルキルヨウ化物とオレフィン、

一酸化炭素、アルコールによる4成分連結反応がPd/h条件において良好に進行し、

対応するエステル誘導体を高収率で得ることに成功した。また、オレフィンとアル コールに換えてアルケニルアルコールを用いた場合、分子内環化反応が良好に進行 し、ラクトン誘導体が高収率で得られることも見出した。更にPd/h系を利用した カルボニル化反応における機構解明について検討を行った結果、本反応がPd(0)の アルキルヨウ化物への酸化付加経由ではなくPd(0)からの1電子移動によるラジカ ル機構を経て進行していることが明らかとなった。またカルボニル化段階はアルキ

化物の金属触媒へ

ルケトン合成反応を実現可能なものとした。

ルラジカルの一酸化炭素捕捉により生成するアシルラジカルを経て進行しており、

さらにその後アシルパラジウム中間体を形成していることが示唆された。更に過去 に報告された遷移金属/光照射条件および遷移金属/熱条件におけるカルボニル化反 応について同様の検討を行った結果、これらの反応もアルキルラジカルからのアシ ルラジカル形成を経て進行していることを明らかにした。

第2章では、アルキルヨウ化物、一酸化炭素、フェニルアセチレンによる3成分 連結反応がPd/h条件において良好に進行し、対応するアルキルアルキニルケトン が高収率で得られることを見出した。一般的にアルキルハロゲン

の酸化的付加は非常に遅く、また生成するアルキル遷移金属種の-水素脱離が非常 に速いことから、アルキルハロゲン化物を用いた同様の反応例はこれまでになかっ た。しかし、これまでとは異なるアプローチであるラジカル機構を経る本反応が、

これまで実現不可能であったアルキルヨウ化物、一酸化炭素、末端アルキンによる アルキルアルキニ

第3章では、電子求引性基を有するアルキルヨウ化物と一酸化炭素、アミンによ る3成分連結反応がPd/h条件下、円滑に進行し対応するカルバモイルアセテート が高収率で得られることを見出した。本反応はアルキルヨウ化物を出発原料として 用いた最初のカルバモイルアセテート合成反応であり、新たな合成手法を提供する ものとなった。

第4章では、Pd/h系を利用した新規反応の探索について種々検討を行った。そ

の結果、ヨード酢酸エチル、フェニルアセチレン、一酸化炭素およびエタノールを

用いた4成分連結反応がPd/h条件において良好に進行し、対応する,-不飽和エ ステル誘導体を中程度の収率で与えることを見出した。また、Pd/h条件下におけ

つながる力量ある反応であると言える。また、本反応

ボニル化反応が報告されたのは 990 年代になってからであり、アシルラジカルを経たカルボニル化反応の歴史は だ浅いといえる。一方、石油資源の乏しい本邦において潜在的に豊富に存在する 酸化炭素の効率的利用方法を見出すことは、大変重要な課題である。今後、この 究領域が更なる発展を遂げて社会に貢献できることを祈るとともに、本研究の成 がその一助を担うことができれば幸いである。

るパーフルオロヘキシルヨージド、オレフィン、一酸化炭素、フェニルトリブチル チンを用いた4成分連結反応よって非対称ケトンが得られることも見出した。また、

光照射によってPd・+を与えることが知られている[Pd2(CNMe)6][PF6]2錯体を用い たヨード酢酸エチル、1-オクテン、一酸化炭素、エタノールの4成分連結反応も良 好に進行し、目的のジエステルが良好に得られることも見出すことができた。

このように本研究では、Pd 触媒存在下、光照射によってアルキルヨウ化物から アルキルラジカルが効率的に発生することを利用し、ラジカル反応と有機金属反応 を組み合わせた新規多成分連結反応を複数見出すことができた。これらの反応は、

ラジカル反応に特徴的な広い官能基許容性を有しているだけではなく、ラジカル連 鎖反応を利用することで複数の炭素―炭素(ヘテロ原子)結合形成を効率的に構築 することができるため、広範な有機化学的応用が期待できるとともに、近年の有機 合成化学における課題克服に

はラジカル機構を経て反応が進行するため、酸化的付加を経る一般的な有機金属反 応では困難な反応を可能とすることができ、有機合成反応における新たな選択肢を 加えることができた。更にこれまで不確定であった遷移金属触媒と光照射を利用し たカルボニル化反応の反応機構を明らかにできたことは、本反応系の更なる発展に 繋がるものと考えられる。

一酸化炭素をカルボニル源としたラジカル反応は1900年代半ばに初めて報告さ れているが、一般性の高い実用的なラジカルカル

1 ま 一 研 果

論文リスト

. “Pd/Light Accelerated Atom Transfer Carbonylation of Alkyl Iodides;

投 稿中

tions of Iodoalkanes, CO, and 1-Alkynes” Fusano, A.;

Fukuyama, T.; Nishitani, S.; Inouye, T.; Ryu, I. Org. Lett. 2010, 12, 2410.

. “Synthesis of Carbamoylacetates from –Iodoesters, CO and Amines under Pd/Light Combined Conditions” Fusano, A.; Sumino, S.; Fukuyama, T.;

Ryu, I. 投稿中

1. “Vicinal C-Functionalization of Alkenes. Pd/Light-Induced Multicomponent Coupling Reactions Leading to Functionalized Esters and Lactones”

Fusano, A.; Sumino, S.; Fukuyama, T.; Ryu, I. Org. Lett. 2011, 13, 2114.

2

Application to Multi-Component Coupling Processes Leading to Functionalized Carboxylic Acid Derivatives” Fusano, A.; Sumino, S.;

Okada, M.; Nishitani, S.; Inouye, T.; Morimoto, K.; Fukuyama, T.; Ryu, I.

3. “Synthesis of Alkyl Alkynyl Ketones by Pd/Light-Induced Three-Component Coupling Reac

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