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2.8 第 2 章のまとめ
この第2章では,第3章から本論に入る前に,副動詞が持つ多様な機能について概観し,
本研究の対象を限定した.具体的には副動詞形が複合動詞の前部要素になった場合,副動詞 形が補助用言を導く迂言的形式の一部になる場合,副動詞が助詞として文法化した場合,副 動詞接辞が補文節を形成する場合,副動詞が副詞,接続副詞として語彙化している場合につ いて考察した.基本的にこれらの場合については本研究の対象とはしないが,考察の過程で 一部言及することはある.
複合動詞の前部要素になったり,補助用言を導く場合,副動詞と後続する述語との結びつ きが強く,間に他の要素を挿入することはできる場合もあるが限られている.このような場 合に用いられる副動詞接辞は-koか,研究対象となっていない副動詞接辞-a/eのどちらかで ある.また,副動詞が助詞になっている場合も,条件の-myenなどもあるが,ほとんどが-ko,
-(a/e)seあるいは-a/eといった継起的な意味を担う副動詞接辞であった.副詞の場合にはその ような偏りはなく,数としては-myen,次いで-koが多かった.
第 3 章
副動詞と用言の語彙的性質
第2章では副動詞の多様な機能について考察しながら,本研究で対象とする副動詞の範囲 を限定した.第3章から本論に入り,ここでは副動詞接辞と結合する用言の偏りについて考 察し,副詞節の定形性が低いほど,副動詞接辞と結合する用言の偏りが大きくなるというこ とを論じる.先行研究では明言されていないようであるが,これまでの研究で副動詞と用言 の語彙的性質との関係について考察している論考は,時間的関係を表す同時の-myense1,中断
の-takaや継起の-ko, -(a/e)se1を対象としたものが多かったのもそのような事実の現れであろ
う.このような副動詞と用言の語彙的性質の関係については野間(1993: 18-19, 1994: 60)が部 分的に指摘している.野間(1994: 60)は中断を表す-takaや対象保持の意味が加わる-(a/e)taka のように限られた語彙しか取らない,語彙制約性の強い語尾を「強語彙制約性語尾」と呼び,
反対に語彙制約性の弱い語尾を「弱語彙制約性語尾」とし,継起の-koや逆接の-ciman,理 由の-nikkaを例として挙げている. さらに,野間(1996: 147)は鄭(1996)1が指摘した,-ko が様態節となる場合の動詞のクラスについて言及しながら,次のように述べている.日本語 訳は引用者による.
このような事実は,節を構成する用言の分布と節の性格,節の階層構造の間に,かなり 緊密な相互関係があるということを意味する.すなわち朝鮮語の節の構造は,それ自 体にすでに用言の分布,用言の語彙的な意味の類型という契機を内包しているのであ る.言い換えれば,用言の種類それ自体が文の階層構造を成す重要な要素になってい るのである.
続けて,野間(1996: 147)は次の(3-1)のような例を挙げながら,動作の並列ではなく契機を 表す場合の-myenseは無意志動詞2が多いことを指摘している.また,この場合には-myense
1発表要旨のため筆者は未見だが,この発表内容は鄭(1996)として論文化されていると考えられるため,こち らを参照する.
2野間(1996: 148, fn. 18)では,形態論的な観点からは-la, -(a/e)laなどの命令形や-caなどの勧誘形,-ko siph-のような願望形を取ることができ,意味論的な観点からは主体の意志によって制御できる動作を表す用言を意 志用言としている.
節の内部に主語を包摂できること,主語としては不活動体名詞3が多く,-myense節内部の主 語は節の後に動かすこともできないということが指摘されている(野間1996: 147-148).
(3-1) [palam=i
風=NOM
sey-ci-myense]
強い-INTRZ-ADV.SIM
pi=ka
雨=NOM
nayli-ki
降る-NMLZ
sicakhay-ss-ta.
始まる-PST-DECL
[바람이 세지면서]비가 내리기 시작했다.
「風が強くなるとともに雨が降りはじめた.」(野間1996: 147)
このように,先行研究では副動詞接辞が結合する語彙との関係についてはある程度述べて いるものの,各副詞節間の関係についてはあまり考慮に入れられておらず,節の定形性との 関係も明らかにされていない.以下では,副詞節の定形性が低いほど,副動詞接辞と結合す る用言の偏りが大きくなることを明らかにしたうえで,用言のどのような性格がそれぞれ関 わってくるのかについて論じていく.
以下,3.1では副動詞接辞と結合する用言の偏りについて見たあと,結合する用言の影響を 受ける-key, -myense, -taka,継起の-koと-(a/e)se, -teni, -nikkaについて3.2から3.7で順次考 察を進める.