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2.6 副動詞と副詞との連続性
朝鮮語における副詞の語形成についてはいくつかのパタンがあるが,用言に副動詞接辞が 接続した場合にも,それが形態的に固定され,副詞として用いられることがある. 李錦姫
(2011)は統語的な語構成の副詞を,その語構成ごとに分類している.ここで,李錦姫(2011) が挙げている副詞の中から,副動詞接辞を含む例を示してみよう.参考までに本研究で対象 としている副動詞接辞以外を含む例も含めている.本研究の対象となっている副動詞接辞は ボールドで示し,ボールドは引用者によるものである.
(2-54) a. 用言の活用形
i. kiwang=i-myen「どうせなら」, iwang=i-myen「どうせなら」
ii. amwulay-to「何といっても,やはり」, amwule-myen「いくらなんでも」, amwu-thun「とにかく」
iii. kule-myen(kule-m)「それなら」, kule-na「しかし」, kuleh-ciman「しかし」
b. 語根や語根の一部が切り離されたあと副詞化した場合 ha-ciman「しかし」, ha-ntey「でも」, hay-se「それで」
c. 副詞(語)+用言の活用形,動詞+(補助)動詞の活用形
i. enttus=ha-myen「 や や も す れ ば 」, kelphis=ha-myen「 何 か に つ け て 」, kkattak=ha-myen「 ま か り 間 違 え ば 」, ccek=ha-myen「 と も す れ ば 」, thwuk=ha-myen「きまって」/ cal=hay-ya「せいぜい」, mak=hay-ya「いく ら悪くなっても」/selma=ha-ntul「いくらそうだといっても」, selma=ha-ni
「まさか」, machim molla「どうなるかわからないが」, kikkes=hay-ya「せい ぜい」, kocak=hay-ya「せいぜい」, kkik=hay-ya「せいぜい」
ii. tay-noh-ko「面と向かって躊躇なく」, tulttey-noh-ko「遠回しに,それとな く」, teph-enoh-ko「何であろうと,とにかく」, kka-noh-ko「包み隠さず」/ poa ha-ni「見たところ」, poa ha-ntul「どう見ても」
d. 副詞節から助詞が省略された場合
i. ka-l swulok「ますます」, toy-tolok「なるべく」, chek=ha-myen「一言言えば,
ほのめかせば」
ii. ilu-l they-myen「たとえば,いわば」
e. 節以上で副詞化した場合
way-nya ha-myen(way-nya-myen)「なぜなら」
(李錦姫2011) チャン・ソウォン(2008)は統語的な要素が省略されて副詞として現れるものを「省略副詞 語」として,その詳しいリストを挙げている.(2-54b)の副詞は,チャン・ソウォン(2008)で も語根が省略された副詞語として挙げられており,また,(2-54c-ii)の poa ha-ni「見たとこ ろ」, poa ha-ntul「どう見ても」は目的語が省略された副詞語,(2-54d-i)のtoy-tolok「なるべ く」は補語成分が省略された副詞語と見なされている.
さらに,李錦姫(2011)が挙げている副詞の他にも,副動詞接辞を含み,副詞とみなせるも のはある.本研究の対象とする副動詞接辞に限定して,その副動詞接辞を基準に整理すると,
以下の(2-55)のようになる.(2-54)で「語根や語根の一部が切り離されたあと副詞化した場 合」として挙げられていたha-ciman 等は,次節で扱う接続副詞と見て,ここからは除いて ある.
(2-55) a. -taka:
-taka: ittaka「あとで」, (kakkum/kanhok) ka-taka「ときおり」, ecce-taka「たまに」
b. -(a/e)se:
naaka-se「さらに」, al-ase「適当に」, celm-ese「若いとき」, ttala-se「したがっ て」, i-e(se)「続いて」
c. -ko:
i. cip-ko「きっと,必ず」
ii. twu-ko~twu-ko「何度も何度も,いつまでも」, wul-ko~pwul-ko「泣いたりわ めいたり」, ecce-ko~cecce-ko「ああだこうだと」
iii. mwuthek-tay-ko「むやみに」, hecheng-tay-ko「向こう見ずに」, makwu-tay-ko
「やたら,しきりに」
iv. tay-noh-ko「面と向かって躊躇なく」, tulttey-noh-ko「遠回しに,それとな く」, teph-enoh-ko「何であろうと,とにかく」, kka-noh-ko「包み隠さず」
d. -myen:
kiwang=i-myen「どうせなら」, iwang=i-myen「どうせなら」/amwule-myen「い くらなんでも」/ enttus=ha-myen「ややもすれば」, kelphis=ha-myen「何かに つけて」, kkattak=ha-myen「まかり間違えば」, ccek=ha-myen「ともすれば」, thwuk=ha-myen「きまって」/chek=ha-myen「一言言えば,ほのめかせば」, ilu-l they-myen「たとえば,いわば」/weynman=ha-myen「差し支えなければ,よかっ たら」/, ecce-myen「ひょっとすると」, hamathe-myen「まかり間違えば」
e. -(a/e)to:
amwulay-to「何といっても,やはり」, cek-eto「少なくとも」
f. -nuntey/-ntey:
kattuk=ha-ntey「さらに悪いことには」
副動詞接辞-koに関しては,次の形態的な基準で分類している.(2-55c-i)は単純に用言語 幹に副動詞接辞が接続したと考えられるもの,(2-55c-ii)は反復によるもの,(2-55c-iii)は動 詞化接辞-tey-を含むもの,(2-55c-iv)は補助動詞-(a/e) noh-「〜ておく」を含むものである.
ちなみに(2-55b)に挙げた副詞のうち,naaka-se「さらに」, ttala-se「したがって」, i-e(se)「続 いて」はチャン・ウォン(2008)では対象が省略された副詞語として挙げられ,ttala-se「した がって」に関しては二つ以上の成分が省略された副詞語としても分類されている.
本研究では以上に挙げた副詞は副動詞と見なさず,研究対象には含めない.