3.1 基本設計条件と照査方法 3-2
3.1.1 設計方法
3.1.2 性能に関する考え方 3.1.3 荷重の種類
3.1.4 構造解析
3.1.5 照査ケースと荷重の組み合わせ 3.1.6 連続地中壁の設計上の扱い
3.2 非線形解析を用いた照査 33--1616666
3.2.1 剛結部の耐荷性能確保
3.2.2 レベル2地震時の側壁下部の挙動
3.3 設計結果 33--2222
3.3.1 側壁配筋
3.3.2 保有する安全率と決定ケース
3.4 設計結果の評価と合理化の可能性 33--3535
3.4.1 躯体の構造寸法 3.4.2 配筋および配筋量
第
3章
躯体設計・照査方法の概要と結果の検証
3.1 基本設計条件と照査方法
本章では、これまで行われてきた線形解析を基本としたLNG地下タンクの設計照査方 法について、図-3.1.1に示した容量200,00kLの某LNG地下式貯槽で実施した設計・
照査を例にとって概観し、本研究の出発点を明らかにする。更にその結果について検証・
分析し、本研究を進める方向と動機付けを示す。
51,000
3,500 2,000
3,500 2,000 8,000208
77,140 71,540
1,5002,800 2,800 1,500
1,0001,000
DL.+14.400
最高液位 DL.+4.595
DL.-46.613
DL.+3.500 DL.+4.750
盛 土
地中連続壁
(仮設)
保冷材+メンブレン t=208
底版
保冷材+メンブレン
t =167
保冷材+メンブレン t=214
セグメント t=150
配管ピット
(φ1200)
側壁
屋 根
φ70,812
200,000KL LNG地下式貯槽
図-3.1.1 タンク一般構造図
対象としたタンクは最新の鉄筋コンクリート製の屋根を持つ完全埋設型地下タンクで、
側壁/底版を一体とした剛結構造を採用している。但し、基本的な設計・照査手法は、
これまでの線形解析を基本とした側壁と底版を分離し、吊りアンカー(suspension anchor)と支承板によって連結したピン結合構造の地下タンクと変わっていない。(3.1)
剛結構造の採用によって生じたいくつかの問題の解決と、埋設型の屋根の施工時の構
耐荷メカニズムに基づいたLNG地下タンクの設計合理化 第3章 躯体設計・照査方法の概要と結果の検証
造安定性の照査に非線形解析を適用している。
3.1.1 設計方法
設計は、限界状態設計法と、許容応力度法を併用している。レベル2地震時、終局耐 力照査においては各部分安全係数を小さく設定した限界状態設計法のみを用いているが、
その他の状態では許容応力度法と限界状態設計法の双方を用いている。過去の許容応力 度法のみに拠って設計されてきたタンクとの整合性の確認の意味から、許容応力度法が 残されているが、基本的にそれによって配筋が大きく異なったものとなっている訳では ない。
表-3.1.1 LNG地下タンク躯体設計における要求性能と設計法(限界状態)
状態 性能 許容応力度設計法 限界状態設計法
(終局限界状態)
a 常時 止水性能 全断面引張時の鉄筋応力度を 100N/mm2以下
同左
耐久性能 常時の許容応力度 せん断ひびわれ b レベル1地震時 耐荷性能 短期許容応力度
(常時の1.5倍)
耐力照査
c レベル2地震時 耐荷性能 耐力照査
3.1.2 性能に関する考え方 (1) 止水性能
保冷層に水分が浸入することによって生じる以下の供用上の問題を回避する 水分の進入した保冷層の熱伝導率の増
加に伴う断熱性能の低下
BOG量の増加 保冷層に浸入した水分のLNGの低温に
よる凍結・膨張
内装(メンブレン)の破損とそれに伴う 漏液
1)地中連続壁の外側からの地下水の浸入
① 排水設備
側壁/連壁間の排水設備
側壁内面(セグメントの裏側、表側)の排水設備
② 凍結止水
連壁の外側1mでの凍結ラインのコントロール
③ 躯体コンクリートの圧縮領域の確保
供用常時にコンクリート躯体断面に圧縮領域を確保する
④ 上記が難しい場合、貫通ひびわれ幅を制御
供用常時に発生する全断面引張が生じる断面に配置される鉄筋の発生応力度を
100N/mm2以下に抑える。
地震時については止水性能の検討は不要としている。但し地震後には、鉄筋の発生応 力度が降伏応力度以下であることを示し、残留ひび割れは無いとしている。それによ り、巨大地震も含めて地震後の止水性能を保証している。
2) 底版下からの地下水の浸入
① 凍結止水
底版内所定の範囲の凍結が確認されるまで、底版下の地下水をポンプアップする低 水位運転
② 躯体貫通ひびわれの制御
全断面引張時の鉄筋応力度を100N/mm2以下に抑える。
(2) 耐久性能
① ひび割れ幅の制御
常時において、鉄筋・コンクリートの発生応力度を、長期許容応力度以下に抑える。
但し、例えば躯体の内側、外側の環境条件により許容応力に差をつけていない。
② 最小かぶりの設定
環境条件による躯体の内側(凍結により水分の供給が無い。窒素によってパージする ため酸素の供給も無い)と外側(直接地下水と接する)で異なった最小かぶりを設定 している。
③ コンクリート配合の制限 空気量、W/Cの制限
(3) レベル1地震時耐震性能(耐震性能1)
許容応力度法では短期の許容応力度以下にレベル1地震時の発生応力度を制限する。
また、限界状態設計法では通常の各部分安全係数を用いて終局限界照査を行う。
これらにより、地震中の発生応力度は降伏応力度以下となり、地震後にほとんど歪は 残留しない。地震後もほとんど躯体に損傷は生じず、補修、補強を加えずに継続して供 用できる。
(4) レベル2地震時耐震性能(耐震性能2)
各部分安全係数を 1.0 とした限界状態設計法による耐力照査のみを行う。但し、所 定の安全率に達しない部位においては、面外せん断に対する安全率を曲げ軸力に対する 安全率の1.2倍以上として部材としての靭性を確保する。
これにより、レベル2地震時の耐荷性能を確保する。
耐荷メカニズムに基づいたLNG地下タンクの設計合理化 第3章 躯体設計・照査方法の概要と結果の検証
3.1.3 荷重の種類
設計において考慮する荷重を表-3.1.2に示す。以下に地下タンクにおいて影響が大きく、
特徴的な荷重についてその概要を記述する。
表3.1.2 荷重の種類
荷重の種類 分布 方向 向き 内容 影響度
常時荷重
1 自重 軸対称 鉛直 下向き 鉄筋コンクリート躯体重量 ○
2 覆土重量 軸対称 鉛直 下向き 屋根覆土重量 ○
3 積雪荷重 軸対称 鉛直 下向き 地表面積雪重量 4 活荷重 軸対称 鉛直 下向き 地表面活荷重
5 水圧 軸対称 半径 内向き 地中連続壁外側地下水圧 ○
6 土圧 軸対称 半径 内向き 地中連続壁外側制止土圧 ○
7 盛土土圧 軸対称 半径 内向き 施工基盤より上部の盛土/覆土土圧 8 常時偏土圧 両押し 水平 土圧の不均一による土圧の非軸対称
成分
9 凍結土圧 軸対称 半径 内向き 地中連続壁外側地盤の凍結膨張によ る外圧
10 プレストレス力 軸対称 半径/鉛直 内向き 側壁頂部、下部に配置されるPCの緊
張力 ○
11 底版下水圧
(揚圧力) 軸対称 鉛直 上向き 高水位運転時に底版下に作用する水
圧(揚圧力) ○
12 液圧 軸対称 水平/鉛直 外/下向きLNGによる液圧 ○ 13 ガス圧 軸対称 水平/鉛直 外向き ガス圧
14 温度
(夏-凍土1m) 軸対称
月別の平均最高気温を大気温度と し、連壁外側1mに凍結線が制御され た定常状態
○
15 温度
(冬-凍土1m) 軸対称
月別の平均最低気温を大気温度と し、連壁外側1mに凍結線が制御され た定常状態
○
16 温度
(夏-凍土0m) 軸対称
月別の平均最高気温を大気温度と し、連壁外側0mに凍結線が制御され た定常状態
○
17 温度
(冬-凍土0m) 軸対称
月別の平均最低気温を大気温度と し、連壁外側0mに凍結線が制御され た定常状態
○
18 温度(非定常) 軸対称 液入れ後の非定常温後解析による 地震時荷重
19 地震時増加土圧 両押し 水平 震度法による地震時主働土圧 ○ 20 応答変位荷重 片押/片引 水平 応答変位法による地震時土圧 ○ 21 慣性力 片押/片引 水平/鉛直 震度法/応答変位法の躯体慣性力 ○ 22 動液圧 片押/片引 水平/鉛直 法線 震度法/応答変位法の内容液動液圧 23 動的解析 片押/片引 水平/鉛直 構造物-地盤-内容液による連成動的
解析による ○
(1) 温度荷重
温度荷重は定常で4ケース、非定常の1ケースの合計5ケースを考慮している。
運転稼働時、凍結線が連続地中壁の外面から、その外側1mの範囲で運転、制御さ れることから凍土1mと0mでの照査を実施している。また外気温についても夏と冬 の平均気温をそれぞれ考慮している。凍土0m、1mによる差は大きくはない。外気温
の夏と冬での差は側壁頂部と屋根の配筋で差が生じるが、覆土型でありかつ定常温 度分布の結果を用いていることから安全側の条件設定となっている。
非定常温度分布は、屋根が鉄筋コンクリート製となって側壁と一体化し、更に底 版が剛結構造となったことから照査対象荷重としている。即ち、躯体各部材で躯体 寸法に差があり、LNG 液入れ後の躯体の冷却速度が異なるために、側部ヒーターと 底部ヒーターで制御されている定常状態と異なる温度状態となるためである。ただ し、この状態の対象期間は 1 年程度であり、応力制限値を緩和していることから、
全ての部位で決定ケースとはなっていない。
(2) 土圧
常時に作用する土圧は静止土圧(K=0.5)として算定している。通常の土圧と盛 土土圧、そして偏土圧の3種類あるが、盛土土圧は、地中連続壁が施工時(内部掘 削時)に土水圧を負担し、完成後にそれらは躯体に作用しないと考える時に、躯体 構築後に施工し、躯体に作用すると考える盛土による土圧である。また偏土圧はタ ンク周囲での土層の不均一等による非軸対称成分を考慮し、既往の研究から土圧の 20%を両押しとして考慮している。
(3) プレストレス力
頂部のプレストレス力は鉄筋コンクリート製の屋根が採用され、側壁と一体化さ れた時に、ドーム型屋根のスラスト力による側壁頂部に生じる円周方向引張力をう ち消すために導入された。テンドンは円周方向に配置している。
側壁基部のプレストレス力は、底版と側壁が剛結とされた今回の地下タンクでは じめて導入されたものである。このテンドンは円周方向と鉛直方向に配置している。
共に常時に側壁に全断面引張(貫通ひび割れ)を防止し、止水性を確保し、基部 では更に側壁基部の過密配筋を緩和することを目的としている。
(4) 底版下水圧(揚圧力)
本タンクは強度板形式であり、当初は底版下から地下水を汲み上げ、底版に水圧 を作用させない低水位運転を行い、躯体が凍結し、凍結止水が可能となった時点で 地下水の汲み上げを停止し高水位運転へ移行する。その時点で底版下には非常に大 きな揚圧力が作用する。
(5) 地震時荷重 1) レベル1地震
1980 年代より静的震度法に加えて、動的解析または応答変位法を併用してきた。
地震時の荷重としては、動土圧(常時土圧からの変化分)、躯体慣性力、動液圧があ