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章 揚圧力に対する躯体の耐荷メカニズム

ドキュメント内 i LNG LNG LNG -- LNG (ページ 107-118)

6.1 揚圧力の躯体への影響 6-2

6.2 解析条件 6-3

6.3 変位モード 66--33

6.4 底版の挙動 66--44

6.4.1 剛性の変化 6.4.2 断面力の推移

6.5 側壁下部の挙動 66--55

6.5.1 剛性の変化 6.5.2 断面力の推移 6.5.3 応力の再配分

6.6 配筋量の影響 66--88

6.6.1 剛性の低下 6.6.2 断面力の変化

6.7 設計上の取り扱い 66--1111

耐荷メカニズムに基づいたLNG地下タンクの設計合理化 6 揚圧力に対する躯体の耐荷メカニズム

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揚圧力に対する躯体の耐荷メカニズム

本章では、前章に続き剛結構造の地下タンクの耐荷メカニズムについて検討する。こ こで扱った荷重は、底版下面に上向きに作用する水圧(揚圧力)である。

対象とした地下タンクに代表される、供用後に地中連続壁(止水壁)内部からの地下 水のポンプアップを停止し、内部の地下水位を自然水位まで復水するタイプの剛底版型 の地下タンクではこの揚圧力は非常に大きな荷重である。従来の底版/側壁間をピン構 造としたタンクではこの荷重は底版に対しては影響が大きい荷重であったが、側壁に与 える影響は大きなものではなかった。しかし底版/側壁間剛結構造のタンクでは側壁に 与える影響は非常に大きく、側壁の壁厚、配筋、内側のハンチを決定する主要な荷重で ある。

ここで検討の対象とする断面力は側壁下部の円周方向引張軸力と鉛直方向曲げモーメ ントである。さらに、線形解析を基本とした躯体設計の合理化の可能性を探る。

6.1 揚圧力の躯体への影響

底版に高水位運転時に作用する揚圧力は底版の上側鉄筋にとって非常に影響の大きい 荷重である。

図-6.1.1 揚圧力と変形モード また底版だけでなく側壁鉄筋に関しても、その影響は大きい。33.7.2(表-3.7.1、

3.7.2、図-3.7.4、3.7.5)で示したように、側壁下部では、円周方向の内側、外側鉄 筋と、鉛直方向の外側鉄筋が、揚圧力が作用したケースがクリティカルとなっている。

ここでは、その揚圧力について、非線形解析による、躯体の耐荷メカニズムの検証を 行う。

揚圧力の載荷形状と、揚圧力による躯体の変位モードを図-6.1.1に示す。ここに示す 様に揚圧力によって底版の中央は上向きに変位をし、上側引張のモーメントが発生して いる。更に、側壁は下部で外側へ変位をし、鉛直方向には外側引張の曲げモーメントが 発生すると同時に円周方向に引張軸力が作用する。

6.2 解析条件

解析条件は「5.2 解析条件」と同様である。但し、揚圧力によって、底版が上向きの 変位をするため、底版下の地盤バネは設定していない。従って鉛直方向の拘束は側壁天 端で拘束している。

6.3 変位モード

図-6.3.1 に底版中央と側壁下部の荷重-変位関係を示す。設計荷重は、揚圧力が 570kN/m2、底版自重が 192kN/m2であり結果、底版下から上向きに作用する荷重は、

378kN/m2である。

底版の変位は40kN/m2から徐々に勾配が大きくなり、側壁、底版共に、70kN/m2を超 えると、急激に変位が増大する。

0 10 20 30 40 50

0 20 40 60 80

荷重 x10 (kN/m2) 変位(cm)

底版中央 側壁

図-6.3.1 揚圧力による荷重-変位関係

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6.4 底版の挙動

6.4.1剛性の変化

底版の中央付近での揚圧力の増加に伴う曲げ剛性の変化を図-6.4.1に示す。

底版は揚圧力 160kN/m2 程度でひび割れが生じて徐々に剛性が低下し、その後約 700kN/m2で鉄筋の降伏により剛性が急激に低下している。

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

0 20 40 60 80 100

水 圧 (x10kN/m2)

残存剛性 円周方向

半径方向

図-6.4.1 揚圧力と底版中央剛性低下

6.4.2 断面力の推移

揚圧力と底版中央に発生する曲げモーメントの関係を図-6.4.2 に示す。揚圧力の増 加に伴い、底版中央部の断面力もほぼ、線形に増加していることがわかる。従って線形 解析を基本とした設計で合理的な設計が可能な結果となっている。

0.0E+00 5.0E+06 1.0E+07 1.5E+07 2.0E+07

0 20 40 60 80 10

水圧 (kN/m2)

曲げモーメン (kNm/m)

円周方向 半径方向

0

図-6.4.2 揚圧力と底版中央部断面力

6.5側壁下部の挙動

6.5.1 剛性の変化

揚圧力の増加に伴う側壁下部での円周方向軸剛性と鉛直方向の曲げ剛性との変化を図 -6.5.1に示す。

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

0 20 40 60 80 100

水圧 (x10kN/m2)

残存剛性率

円周方向軸剛性 鉛直方向曲げ剛性

図-6.5.1 揚圧力と側壁下部剛性低下 鉛直方向曲げモーメントによって 300kN/m2 で、円周方向軸力によって 400kN/m2 でひびわれが発生し、剛性の低下が始まっている。ひび割れ後の剛性の低下は軸引張力 が作用する、円周方向軸剛性で著しい。ただし、鉛直方向は700kN/m2程度でコンクリ ートの圧縮側(内側)で剛性が低下し、その結果剛性の低下が著しくなっている。また、

円周方向の鉄筋は終局に近い900kN/m2付近で降伏している。

6.5.2 断面力の推移

揚圧力と側壁下部に発生する円周方向軸力の関係を図-6.5.2 に、鉛直方向曲げモー メントの関係を図-6.5.3に示す。

(1)円周方向軸力

円周方向の軸力は当初線形に増加するが、一旦増加傾向が表れる。しかし、ひび 割れが生じる400kN/m2 付近から徐々に増加勾配が緩くなる。更に円周方向鉄筋が 降伏に達する500kN/m2以降でほとんど増加しなくなる。この時底版、側壁の変位、

他の成分の剛性低下に大きな変化は現れず、側壁の下部円周方向鉄筋の降伏は躯体 の終局状態への到達に対して直接的に寄与しない二次応力と考えることができる。

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(1)鉛直方向曲げモーメント

それに対して、鉛直方向曲げモーメントはほぼ線形に増加を続け終局に至ってい る。鉛直方向は、曲げモーメントだけではなく圧縮軸力も同時に増加し、外側鉄筋 の降伏後に内側コンクリートの圧縮も塑性域に入り、底版中央部とほぼ同時に終局 に達している。従って揚圧力による剛性低下による応力の再配分は側壁下部の曲げ モーメントに対しては期待できず、二次応力と見なすことはできない。

1601 1501

1701

X

Z

Y 180°

90°

0.0E+00 5.0E+03 1.0E+04 1.5E+04 2.0E+04

0 20 40 60 80 100

水圧 (kN/m2)

軸力 (kN/m)

円周方向軸力̲1701 円周方向軸力̲1601 円周方向軸力̲1501

図-6.5.2 揚圧力と側壁下部円周方向軸力

-6.0E+06 -5.0E+06 -4.0E+06 -3.0E+06 -2.0E+06 -1.0E+06 0.0E+00

0 20 40 60 80 100

水圧×10 (kN/m2)

曲げモーメント (kN/m)

鉛直方向曲げ̲1701 鉛直方向曲げ̲1601 鉛直方向曲げ̲1501

図-6.5.3 揚圧力と側壁下部鉛直曲げモーメント

6.5.3 応力の再配分

図-6.5.4 に円周方向軸力の側壁上での分布の推移を示している。図に示した様 に荷重が小さい範囲では下部に集中していたのに対して荷重の増加し、下部の軸力 が頭打ちとなるにつれ、その分布が上部へ移行していることがわかる。

以上から、側壁の下部の円周方向軸力は、剛性の低下に伴い、荷重の増加に比例 して発生断面力は増加せず、応力の再配分がなされている。しかし底版と、側壁の 下部鉛直方向曲げモーメントは剛性が低下してもその発生曲げモーメントに顕著な 変化は見られず、ほぼ線形に増加し応力の再配分はされていないことがわかる。

-5000 -4500 -4000 -3500 -3000 -2500 -2000 -1500 -1000 -500 0

-5.00E+03 0.00E+00 5.00E+03 1.00E+04 1.50E+04 2.00E+04 円周方向軸力 (kg/cm)

標高DL.(cm)

2

10 20

30 50 60

40 70 80

図-6.5.4 側壁円周方向軸力分布

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6.6 配筋量の影響

上述の結果を踏まえ、楊圧力に対する配筋の合理化の可能性を検討するために、側壁 下部の鉄筋量を円周、鉛直共に1/2 として、同様の解析を行った。なお底版の鉄筋量は 変えていない。

6.6.1 剛性の低下

各部の剛性低下率を図-6.6.1に示している。配筋を減らした影響は側壁の鉛直方 向で最も著しくその影響は400kNを超えたひびわれ発生の直後から顕著である。そし て、600kN付近では、その剛性は鉄筋量を低減する前の約1/3程度まで低下している。

側壁の円周方向軸剛性は配筋を減らす前に比較してひびわれ直後から徐々に減少し、

600kN/m2前後で1/2程度まで減少している。

配筋量を変化させていない底版中央部曲げについてもひびわれ直後から断面力は減 少しているがその減少率は少ない。

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20

0 20 40 60 80

揚水圧 (kN/m2)

残存剛性率

側壁鉛直曲げ 側壁円周軸力 底版中央曲げ

側壁鉛直曲げ(0.5As)

側壁円周軸力(0.5As)

底版中央曲げ(0.5As)

図-6.6.1 揚圧力による残存剛性率の変化

100

以上から、側壁の円周方向は、作用する引張に対して、配筋を低減しても600kN程 度までは剛性の低下は配筋の低減量と同じ程度の剛性の差が生じており、変形はそれ 程大きく進んでいないと思われる。ここでも側壁の円周方向は二次応力らしい振る舞 いを示している。

逆に、側壁下部と底版中央部の曲げモーメントは、配筋の低減量以上の剛性の低下 が見られ、配筋の低減によって変形が進む傾向が見られる。

6.6.2 断面力の変化

図-6.6.2 に底版中央曲げモーメントの変化を示す。側壁の鉄筋量を減らすと、そ れに伴い底版外周部での拘束度が低下し、わずかに発生曲げモーメントが増加してい ることがわかる。しかし線形解に比べるとまだ小さい。

図-6.6.3 に側壁下部円周方向軸力の変化を示す。断面力は鉄筋量を減らしたこと によってその比率に応じて減少している。線形解との比較では500kN程度以下で、底 版の剛性低下が先行する範囲では線形解を10数%上回る断面力が発生しているがそれ 以上の荷重レベルでは急激に断面力が低下している。この結果は側壁下部の円周方向 軸力が二次応力であることの証明にもなっている。

図-6.6.4 に側壁下部鉛直方向曲げモーメントの変化を示す。底版と逆に鉄筋量の低 減によってわずかに発生断面力が減少している。しかしその差はわずかであり、更に 線形解との差も僅かである。

0.00E+00 5.00E+06 1.00E+07 1.50E+07 2.00E+07

0 20 40 60 80 100

揚水圧 (kN/m2)

底版中央部曲げモーメント

底版中央曲げ

底版中央曲げ(0.5As)

底版中央曲げ線形

図-6.6.2底版中央部の曲げモーメントの変化

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