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章 設計合理化の実現

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8.1 設計条件の合理化の考え方 8-2

8.2合理化による側壁鉄筋量の低減 8-4

8.2.1 側壁円周方向鉄筋 8.2.2 側壁鉛直方向鉄筋

8.3 非線形解析から合理的設計へのアプローチ 8-6

8.3.1 合理化実現のための非線形解析結果評価 8.3.2 合理的設計への手順

8.3.3 配筋の合理化での注意点

耐荷メカニズムに基づいたLNG地下タンクの設計合理化 8章  設計合理化の実現

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設計合理化の実現

これまで述べてきたように、LNG地下タンクは、その構造が高次不静定であることに 加え、作用する荷重の多様さ、そして施工過程での仮設である地中連続壁の存在とその 完成後の設計におけるとの関係など、設計の条件は非常に複雑である。

現状、非線形解析を用いた構造性能照査はそれほど困難ではない。しかし合理的な設 計を行うためにはそれだけでは不十分であり、性能確保のためには、躯体のどの部分の どの構造要素が重要であるかを、設計者が判断できなければならない。

4、5、6、7章で、施工過程と完成後に作用する代表的ないくつかの荷重に対して、

その耐荷メカニズムを明らかにし、設計の合理化の可能性を探ってきた。

本章では、上述の研究結果を基に、某LNG地下タンクの側壁を対象として、耐荷メカ ニズムを合理的な設計によって可能となった配筋の低減を示し、最後に非線形解析結果 から合理的設計への手法を提案する。

8.1 設計条件の合理化の考え方

(1)地中連続壁の考慮方法

地中連続壁を内部掘削時の仮設土留めとして使用し、完成後は構造部材として取り扱 わず、かつ側壁を地中連続壁に接して構築する場合には、側壁の円周方向鉄筋の合理化 が可能である。

すなわち、側壁の円周方向鉄筋の照査にあたっては、仮設の地中連続壁が施工時に負 担する土圧水圧は、耐荷性能、常時性能共にそれらが直接側壁に作用する外圧容器とし て照査する。但し、低歪領域でひびわれが集中することを抑制するために内側の円周方 向鉄筋には梁の最小鉄筋量(約0.2%)を配置する必要がある。

(2)楊圧力による側壁下部円周方向軸力

底版下に作用する水圧(揚圧力)によって生じる側壁下部の円周方向軸力は剛性の低 下による発生断面力が顕著である。またその時の側壁の外側への変位が大きい。円周方 向鉄筋応力が厳しい地中連続壁を考慮するケースでは(1)に示した地中連続壁の考慮方 法の適用が可能である。

(3)側壁下部鉛直方向曲げモーメント

側壁外周に作用する軸対称の土圧、水圧によるによって発生する鉛直方向外側引張の 曲げモーメントに対しては終局に対しては二次応力と見なすことができる。従って、レ ベル2地震に対してはこれらの荷重によって線形解析で求められた断面力を無視して配 筋を決めることが可能である。

しかしながら側壁下部の曲げモーメントの主たる荷重である底版に作用する揚圧力に よる側壁下端の曲げモーメントは二次応力と見なすことはできない。即ち、剛性低下に 伴う、断面力の低下は認められず、その結果側壁下部の外側鉛直方向鉄筋を減らすこと は困難である。

(4)レベル2地震時の性能確保

レベル2地震時について、原設計では地中連続壁が負担している側壁外側からの土水 圧を無視した設計を行っている。しかしレベル2地震時に要求される目標性能、すなわ ち、躯体が終局状態、あるいは歪が数1000μ以上の時には、地中連続壁に作用する土水 圧は躯体に直接作用する状態と見なすことができる。

更に応答変位による荷重は、耐荷メカニズムでクリティカルとなる面内せん断力は剛 性の低下と共に低下することから、低減して考えることができる。

また、原配筋に対しては、円周方向の鉄筋は余裕が大きく、それを50%程度低減して も面内せん断に対する挙動はほとんど変わらないことが確認された。

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8.2合理化による側壁鉄筋量の低減

8.2.1 側壁円周方向鉄筋

これまでの検討から、ドーム屋根とその上の覆土によるスラスト力に対して必要な 側壁頂部を除き合理化が可能である。

3章で示した図-3.3.3から、常時とレベル1地震時の耐震性能1では屋根からのス ラストの影響が大きい側壁頂部約5mの範囲を除き、側壁外側からの土水圧を躯体に作 用させる地中連続壁を無視したケースでは内側、外側共にほとんど圧縮領域にある。

4章の検討結果によると、内側に対して最小鉄筋量0.2%が配置されていれば十分 である。

またレベル2地震時の耐震性能2も側壁の円周方向鉄筋を決定するケースとなって いる。第7章の結果から円周方向の鉄筋を50%低減することが可能と考えられる。

以上から側壁円周方向の原配筋と低減が可能な鉄筋範囲を図-7.2.1に示す。

50 100 150 200 250 0

-50 -30

-40 -20 -10 0 10 標高(DL.m)

円周方向外側鉄筋量 (cm2/m)

50 100 150 200 250 0

円周方向内側鉄筋量 (cm2/m)

図-7.2.1 線形解析に基づく設計による側壁の配筋量(円周方向)

8.2.2 側壁鉛直方向鉄筋

鉛直方向の原配筋を図-7.2.2に示す。

3章で示した図-3.3.4に示した様に側壁一般部の鉛直方向鉄筋はレベル2地震時の 耐震性能2が決定ケースである。第7章の検討から地震時の水平荷重に対しては、線 形解析による必要鉄筋量を低減することは難しい。

下部の外側では、揚水圧と外周からの土水圧によるモーメントの影響も大きいが、第 5章、第6章の検討から、やはり線形解析の結果から配筋量を低減することは難しい。

-50 -30

-40 -20 -10 0 標高(DL.m)10

鉛直方向外側鉄筋量 (cm2/m)

50 100 150 200 250

50 100 150 200 250 0 0

鉛直方向内側鉄筋量 (cm2/m)

図-7.2.2 線形解析に基づく設計による側壁の配筋量(鉛直方向)

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8.3 非線形解析から合理的設計へのアプローチ

非線形解析による照査結果から、如何に最短距離でより良い合理的設計に到達するか。

本論文ではそのうち構造形式と構造寸法が定まっている限られた条件の下での配筋の合 理化へのアプローチを、LNG地下タンクを例にとって示した。

8.3.1 合理化実現のための非線形解析結果評価

図-8.3.1 に非線形解析による剛性低下、変位(歪)、断面力の変化の一例を示す。

非線形解析を実施したとき、静定、不静定にかかわらず、着目すべき断面では剛性が 低下する。終局までほとんど剛性が低下しない断面の部位は設計上クリティカルではな い。

引張り、あるいは曲げで鉄筋が降伏するような場合は、K2のようにその剛性の低下は 比較的低い荷重レベルから大きく、終局時には残存する剛性率で10%程度まで低下する こともある。

変位、あるいは歪も、やはり静定、不静定にかかわらず荷重の増加とともに変位・歪 は急激に増加する(D1、D2)。特に静定構造物では、剛性の低下に反比例して変位・歪が 増加する。ここで、一般的な要求性能に対する限界状態から限界荷重を確認することが できる。

発生断面力は、応力の再配分が起こりえない静定構造では荷重の増加と伴に線形に増 加する。また不静定構造であっても応力の再配分が起こりにくい部位の断面力はほぼ線 形に増加する(S1)。このような部位では線形解析による設計からの更なる設計の合理化 は難しい。

しかし、耐荷メカニズムから主要な部位の主要な断面力でない場合、断面力の増加は 線形の場合を大きく下回り、場合によっては荷重が増加しても発生断面力は減少する場 合もある(S2)。このようなケースでは、配筋量の低減等による合理化が可能な場合が多 い。

このような場合に配筋量を低減すると、断面力も減少する(S3)。一般には低減した鉄 筋量に比例して断面力も発生断面力も低下する場合には、発生する歪・変位に変化は無 い。またそこまで断面力が低減しなくても、歪・変位の増加は大きくならない(D2→D3)。

このような場合、限界荷重に多少の余裕があれば、大きな配筋の合理化の可能性がある。

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1

荷重

残存剛性率

0 線形解

非線形解_K1 非線形解_K2

0 10 20 30 40 50

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

荷重

変位 /

線形解 非線形解_D1 非線形解_D2 非線形解_D3

0 2 4 6 8 10

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

荷重

断面力

線形解 非線形解_S1 非線形解_S2 非線形解_S3

限界状態

配筋量低減 線形解析による断面照査

図-8.3.1 非線形解析結果の分析と合理化の可能性

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8.3.2 合理的設計への手順

合理化へのアプローチの手順を以下に示す。

(1)最初の非線形解析の結果から、荷重の増加に対する、ひびわれ、鉄筋の降伏また はコンクリートの塑性による剛性の低下と断面力の推移の関係から、その断面力成 分が終局時あるいは限界値に達した時点の耐荷メカニズムに寄与する断面力かを 見極める。

(2)耐荷メカニズムに寄与しない二次応力と判断された場合、配筋量の低減が可能で ある。終局耐力のみが限界値である場合、または限界値(歪、変位)に対して十分 な裕度がある場合には、ひびわれの集中を抑制するに必要な鉄筋が配置されていれ ば良い。

図-8.3.2に非線形解析の断面力と歪の推移から二次応力の判別方法を図示し ている。荷重の増加に対して、剛性の低下によって、歪の増加が進行しても断 面力の増加が鈍っている場合(実線)には二次応力である可能性が高い。二次 応力である場合には配筋を低減しても歪の進行には大きな変化がなく、断面力 は低下する傾向を示す。

(3)上述の方法で合理的な配筋を設定し(構造と荷重が比較的単純で、二次応力が非 線形解析を経ずに特定できる場合には上記のステップはもちろん必要はない)、更 に非線形解析による照査でその性能を確認する。

8.3.3 配筋の合理化での注意点

非線形解析を用いた配筋の合理化で注意するべきは以下の点にある。

(1)二次応力と見なして配筋を低減した場合にそれによる剛性の低下、断面力の低下が、

応力の再配分により他の耐荷メカニズムの上で重要な断面力を増加させる可能性 がある。

(2)シェル構造の場合、軸力や面内せん断力の面内力が卓越する傾向がある。常時にお いても軸引張力が作用する場合があり、その場合には常時においても剛性の低下 が大きく、断面力が線形解析では過大となる場合がある。(図-8.3.2)

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