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章以下に耐火建築物とする手法(ルートA、ルートB、ルートC)を解説する。

ドキュメント内 福島県-木造建築事例集_2.indd (ページ 73-83)

・ルートA

求められる性能は令107条に、それに適合するものとして国土交通大臣が定めたものが平 成12年建告1399号に示されている。平成12年建告1399号では、壁、柱、床、はり、屋根、

階段別に仕様が示されており、これまで木造での仕様がなかったが、平成26年の告示改正に よって木造の壁の仕様(被覆型)が示された。告示とは異なる壁の仕様、また壁以外の部位 については、令107条で求められる性能があると国土交通大臣が認めた物である必要がある。

「耐火構造の大臣認定」といわれるものである。上に示した部位ごとに仕様を決定して認定 を取得することで実現可能となる。

現在開発が進められ、大臣認定を取得している耐火構造の分類には、被覆型、鉄骨内蔵型

(木質ハイブリッド型)、燃え止まり型の3つの種類がある。

2.5.5 木質部材による耐火構造の種類36)

被覆型耐火構造とは、石こうボード等の不燃材料を用いて木部を耐火被覆することで、木 材が燃焼したり、炭化したりしないようにする構造である。この構造では、構造材である木 材を被覆してしまうため、現しの表現とすることは不可能である。

鉄骨内蔵型耐火構造とは「木質ハイブリッド集成材」という名称で日本集成材工業協同組 合が、柱と梁の1 時間耐火構造の大臣認定を取得しているものである。考え方としては、鉄 骨造として構造設計され、木材は耐火被覆というものである。

燃え止まり型耐火構造とは、加熱後に自然鎮火する構造で、燃えしろの内側に燃え止まり 層を設けている例がある。燃えしろ層は炭化して直接の火炎を遮り、その内側の燃え止まり 層に熱容量の大きな材料を用いることで、熱を吸収して自然鎮火する性能を確保する。

・ルートB

ルートBは、令108条の3「耐火建築物の主要構造部に関する技術的基準」に適合するこ とを耐火性能検証法で確認する方法である。これは、比較的簡便な方法で火災継続時間と火 災保有耐火時間(予想される火災に建物が耐えられる時間)を検証して、前者が小さくなる ことを、屋外火災、屋内火災共に確認するものであり、計算方法の詳細は告示で定められて いる。

・ルートC

耐火構造としての性能を高度な検証法を用いて確認する方法の大臣認定を取得するもので ある。ルート B、C では、主要構造部を耐火構造とする必要がないため、木の現しでの空間 が実現出来る可能性があるが、その検証方法の傾向から、木造においては、体育館等の容積 が大きく、開放的な空間において用いられることが一般的である。

<準耐火建築物>

準耐火建築物とは、耐火建築物以外の建築物で、主要構造部が準耐火構造またはそれと同 等の準耐火性能を有するもので、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸等を有す る建築物のことを指す。

図2.5.7に準耐火建築物が満足すべき技術的基準を示す。

第2章

2.5.7 準耐火建築物が満足すべき技術的基準35)

準耐火建築物とするためには、主要構造部が準耐火構造であるか、令109条の3に示す準 耐火建築物の主要構造部に関する技術的基準に適合する必要がある。図2.5.8に示す。

2.5.8 準耐火構造35)

準耐火構造とする方法としては、求められる性能が令107条の2に、それに適合するもの として国土交通大臣が定めたものが平成12年建告1358号に示されている。平成12年建告 1358号では、壁、柱、床、はり、屋根、階段別に仕様が示されている。ここまでは耐火構造 と同じ構成であるが、その内容は異なっており、防火被覆の仕様が守られていれば木材の下 地であっても構わないし、また木材を現しにする構造、いわゆる「燃えしろ設計」も認めら れている。「燃えしろ設計」については後に示す。

ここで示されていない仕様については、令107条の2で求められる性能があると国土交通 大臣が認めたもの、いわゆる「準耐火構造の大臣認定」を取得する方法で実現可能となる。

この「準耐火構造の大臣認定」については、木造軸組や枠組壁工法の他に、丸太組構法等に おいても認定が取得され、様々な仕様が存在する。

燃えしろ設計

準耐火構造のうち、燃えしろ設計について解説する。燃えしろ設計に関する規定は、以下 の2つの告示で確認することができる。

①昭和62年建告1901号「通常の火災時の加熱に対して耐力の低下を有効に防止することが できる主要構造部である柱又ははりを接合する継手又は仕口の構造方法を定める件」

②昭和62年建告1902 号「通常の火災により建築物全体が容易に倒壊するおそれのない構造

であることを確かめるための構造計算の基準」

昭和62年建告1901号では、燃えしろ部分を除いた断面で継手又は仕口の存在応力を伝え ることができる構造であることや接合金物の被覆について定められている。

昭和 62年建告 1902 号ではその構造計算の基準について定められており、柱と梁の計算、

長期応力度、短期応力度に対する確認事項などとなっている。燃えしろ設計は、部材表面か ら燃えしろを除いた残存断面を用いて許容応力度計算を行い、表面部分が焼損しても構造耐 力上支障のないことを確かめ、火災時の倒壊防止を確認する設計法である。この考え方に基 づき、長期荷重が生じた際に応力度が短期許容応力度を超えないことを確認すればよい。

燃えしろ寸法は、表2.5.6の通りである。表中の集成材にはLVLを含む。製材と集成材で 燃えしろ寸法が異なる理由は、集成材の方が燃えにくいというわけではなく、製材は中心に いくほど材料の欠点を含む可能性があり構造的な安全率がかけられているためである。

製材の材料規定については、昭和 62 年建告 1898 号第五号に、JAS 材の含水率の基準が 15%以下(乾燥割れにより耐力が低下するおそれの少ない構造の接合とした場合にあっては、

20%以下)と明記されている。これは含水率を下げずに使用すると施工後に割れが生じるた めであるが、燃えしろ設計に対応できる断面寸法の製材で、含水率15%を目指すことは困難 である。そのため、表面から非破壊計測で20%以下であれば使用可能という判断をする場合 が多い。

燃えしろ設計で図2.5.9のように独立柱であれば4面の燃えしろ設計で、準耐火構造の床が ある場合等は、3面の燃えしろ設計とすることができる。

2.5.6 燃えしろ寸法

第2章

2.5.9 燃えしろの解釈

コラム:木造3階建て共同住宅58)

防火地域以外の区域で、3階建てで、3階部分を共同住宅等とする建築物においては、

①主要構造部を1時間準耐火構造とした準耐火建築物とする

②避難上有効なバルコニーを設置

③3階の各宿泊室等に屋外の道から進入可能な開口部を設置

④周囲に3m以上の通路を設置

などにより木造で建築することが可能となっている。(法27条、令115条の2の2)

2.5.10 木造3階建て共同住宅の仕様

<防火壁・防火区画>

火災の拡大を抑えるため、建物の用途、規模、立地などの条件によって、防火壁の設置や 防火区画等の計画が求められる。

防火壁(令113条)による区画(法26条)

延べ面積が 1000m2を超える建築物は、政令で定められた構造の防火壁によって 1000m2 以内ごとに区画しなければならない。ただし、耐火建築物や準耐火建築物とした場合は、防 火壁による区画の必要はない。また、スポーツ施設など火災のおそれの少ない用途にあって 一定の防火上の措置が講じられる場合は、防火壁による区画の必要はない。(表2.5.7、令115 条の2)

防火区画(令112条)

大規模な建築物では、火災を局部的なものにとどめ、火災の拡大を防止するために防火区

画の設置を義務づけている。防火区画の種類には、面積区画(表2.5.8)、高層区画(表2.5.9)、 たて穴区画(表2.5.10)、異種用途区画(表2.5.11)がある。

2.5.7 防火壁の設置を要しない建築物35)

2.5.8 面積区画35)

2.5.9 高層区画35)

第2章

2.5.10 たて穴区画35)

2.5.11 異種用途区画35)

その他の防火措置

-防火上主要な間仕切り壁(令114条2項)

学校、病院、児童福祉施設等、ホテル、旅館、下宿またはマーケットなどの建築物では、

火災時に利用者が安全に避難できるように、建築物の当該用途に供する部分について、防火 上主要な間仕切り壁を準耐火構造とし、小屋裏または天井裏に達するようにしなければなら ない。

-小屋組が木造である建築物の隔壁(令114条3項)

建築面積が 300m2を超え小屋組が木造である場合には、けた行間隔12m 以内ごとに小屋 裏に準耐火構造の隔壁を設けなければならない。なお、木造耐火建築物には適用されないほ か、建築物の各室および各通路について、壁および天井の室内に面の仕上げを難燃材料とす るか、またはスプリンクラー設備などで自動式のものおよび、排煙設備が設けられている場 合は適用されない。

-大規模木造建築物の敷地内通路(令128条の2)

木造建築物で延べ面積が1,000m2を超えるものは、その周囲に幅員3m以上の通路を設け なければならない。ただし、延べ面積が3,000m2以下の場合、隣地境界線に接する部分の通 路は、その幅員を1.5m以上とすることができる。

<非構造部材の仕様>

火災が発生した際に消火が遅れた場合、ひとつの建築物の火災にとどまらず、やがて周囲 の建築物に延焼して被害が次々と拡大していく恐れがある。このような事態を防ぐため、建 築物の建つ地域に応じて、耐火建築物、準耐火建築物とするほか、外装や屋根等に延焼を防 ぐための防火措置を行うことが義務づけられている。

屋根・外壁等の措置

屋根・外壁等の外装材は、防火上の地域区分に応じ、表2.5.12に示すような措置が必要と なる。その他の地域では外装を木材とすることができる。

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