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IV. 砕屑物の供給
鳥取層群の砕屑物がどこから供給されたかを考える際,基盤岩と砕屑物の観察 をして,比較することが重要になる。そこで,基盤岩と砕屑物の特徴を,顕微鏡
観察・礫組成・円磨度と古流向の視点で比較し,供給源について考察したい。
1.試料採集と薄片作成
調査地域内には,先新第三系の基盤・新第三系鳥取層群・鮮新世更新世火山 岩類が分布している。それらの岩石の特徴をとらえたり,供給源を考えたりす る上で,試料を採集し,薄片観察し,含まれる鉱物やその特徴をまとめて照ら し合わせることが重要になる。以下に,先新第三系の基盤からその上位に向け て,薄:片を通して見た特徴をまとめ,その類似性について述べたい。
ア.三郡変成岩および非変成古生層
三郡変成岩類の八東層には,泥岩を源岩とする珪質片岩が分布している。鏡 下では,葉理が発達し,波動消光を示す石英の脈が発達している。ただ,葉理 は,押し曲げられていたり,ずれているものが多い。
非変成古生層の角谷層には,主に泥岩を源岩とする珪質片岩が分布してい る。脚下では,葉理が発達し,葉理に平行な石英脈がよく発達している。ま た,石英のすきまに微小な黒雲母が見られる。この黒雲母は,鳥取花闘岩の併 入に伴う熱変成作用によって晶出したものと考えられる。
イ.矢田川層群
本層群は流紋岩質溶結凝灰岩を主体とし,少量の流紋岩溶岩をともなう。流 紋岩醇乎結凝灰岩は,融食形の見られる石英・斜長石・カリ長石・黒雲母の斑 晶があり,グランドマスにはガラス片が見られ,流理構造が発達している。流 紋岩溶岩は,融食形の見られる石英・アルバイト式双晶の見られる斜長石・パ ーサイト構造を示すカリ長石の斑晶が見られ,マトリックスには微小な斜長石 が見られる。
ウ.花原複合畜類
本密語は,矢田川層群以後,鳥取花閥岩以前の火成活動の産物であり,鳥取 県(1966)により後期中生代の第1期併入岩類とよばれたものに相当する。
主に,石英斑岩・細粒花崩岩が見られる。石英斑岩は,白〜灰色をしており,
緻密である。斑晶は,石英・カリ長石・斜長石からなり,マトリックスは微小 な石英からなる。細粒花醐岩は,淡紅色を呈し,緻密で硬い。細粒の石英・カ リ長石・斜長石・黒雲母からなり,文象構造が見られ,等粒状組織である。
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エ.鳥取花嵩岩
鳥取花簡岩は,山陰地方の花謁岩類のうち,比較的晩期に属するものと考え られ,第3期併入三管:(村山ほか,1963)とも呼ばれている。そのK−Ar
年代は,鳥取県中部の三朝町地域で57−62m.y。(SHIBATA&YAMADA,
1965),鳥取県西部の日野町地域で59−64m.y.(HATTORI&
SHIBATA,1974)という値が報告されている。調査地域の鳥取花商岩は,大 部分が灰白色で粗粒の花濁岩からなり,閃緑岩もわずかに見られる。一般に風 化作用を強く受け,「マサ」化している地域が多い。鏡下では,粗粒の石英・
アルバイト式双晶を示す斜長石・パーサイト構造を示すカリ長石が多く見ら れ,黒雲母がわずかに見られる。
オ.鳥取層群 郡家礫岩層
郡家礫岩層の礫として,花醐岩・石英斑岩・流紋岩・安山岩・珪質片岩・
チャート・凝灰質礫岩がある。
花崩岩には,淡紅色を呈し,細粒で硬く,石英・斜長石・緑泥石・黒雲母が 多く見られ,文象構造があり,完晶質のものと,灰色を呈し,粗粒で硬く,石 英・斜長石・黒雲母・白雲母が見られ,完晶質のものがある。前者の細粒花崩 岩は,花原複合早耳の細粒花閥岩によく似ており,郡家町篠波・同町郡家・同 町山路・河原町釜口・同町小倉でよく見られる(写真4)。後者の粗粒花闘岩 は,鳥取花甲岩によく似ており,郡家町篠波・同町山路・同町郡家・河原町釜 口で見られる。
石英斑岩は,石英・カリ長石・斜長石の斑晶が多く見られ,マトリックスに は微小な斜長石が晶出し,完晶質である。この石英斑岩は,花原複合群類の石
英斑岩に似ており,郡家町郡家・河原町釜ロで見られる。風化してくさり礫に なっているものも多い。
流紋岩は,石英・斜長石の斑晶が見られ,マトリックスには微小な斜長石が 見られ,流理構造を示している。この流紋岩は,矢田川層群の流紋岩溶岩に似 ており,郡家町濁波・同町山路・同町郡家で見られる。風化してくさり礫に なっているものがほとんどである。
安山岩は,斜長石を多く含み,少量輝石を含む。マトリックスには,微小な 斜長石が多く,情理構造を示す。この安山岩は,河原火山岩層の安山岩溶岩に 似ており,郡家礫岩層の見られる6地点全部で観察される(写真5>。このこ とから,郡家礫岩層堆積時には,河原火山岩層で見られる火山活動は始まって
いたと言える。
凝灰質礫岩は,緑色を呈し,緻密で硬く,花序岩片・安山岩片・石英を多く 含み,少量緑泥石を含む。グランドマスには変質したガラス片が確認される。
この凝灰質礫岩は,鳥取県東部に分布する基盤の中で似ているものはなく,河 原町小倉にのみ分布している。
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カ.鳥取層群 河原火山岩層
下位から,ガラス質凝灰岩及び礫まじり安山岩質凝灰岩・安山岩溶岩A・安 山岩質凝灰角礫岩A・デイサイト・安山岩溶岩B・安山岩質凝写角礫岩Bの順 で以下に述べる。
ガラス質凝灰岩及び礫まじり安山岩質凝灰岩中のガラス質凝灰岩は,灰色〜
灰緑色をし,緻密で硬く,石英・安山岩・チャートの砂粒が入り,マトリック スには風化したガラス片が見られ,平行葉理がよく発達している。また,この ガラス質凝灰岩と互層をなし,細礫を含む凝灰岩は,変質したガラス質凝灰 岩・安山岩・チャートの砂粒を含み,平行葉理が発達ている。礫まじり安山岩 質凝灰岩中の礫は,安山岩がほとんどで,カールズバド双晶・アルバイト式双 晶を示す斜長石・角閃石の斑晶が見られ,斑状組織である。この安山岩礫は,
河原火山岩層の安山岩溶岩によく似ている。
安山岩溶岩Aは,斑晶としてアルバイト式双晶やカールズバド双晶を示す斜 長石が多く,普通輝石・斜方輝石を少量と角閃石をわずかに見られる。マト リックスには,微小な斜長石が見られ,流理構造を示す。また,方解石・緑泥
石などの変質鉱物も多く見られる。完晶質のものが多く,斑晶の大きいのもが 目立つ(写真9)。
安山岩質凝灰角礫岩Aは,緑色のマトリックス中に,灰色・茶色の安山岩角 礫を含み,その角礫は主に細礫〜大礫である。安山岩角礫は,斜長石・普通輝 石を含むものや,斜長石が流理構造を示しているものなどがあり,風化・変質 しているものが多い。マトリックスには,石英・斜長石の破片が多く含まれ,
方解石・緑泥石などの変:質鉱物も多く見られる。この安山岩礫は,安山岩溶岩 Aとよく似ている。
デイサイトは,斑晶としてアルバイト式双晶・カールズバド双晶・角帯構造 を示す斜長石や融食形を示す石英が多く見られ,わずかに輝石・角閃石・黒雲 母を含むものもある。マトリックスは,ガラス質のものや石英・斜長石の微小 質のものがある。
安山岩溶岩Bは,斑晶としてアルバイト式双晶・カールズバド双晶・累帯構 造を示す斜長石が多く見られ,わずかに普通輝石も含まれる。マトリックスに は,微小質の斜長石が見られ,流理構造を示す。また,方解石・緑泥石などの 変質鉱物も多く見られる。安山岩溶岩Aは斑晶の大きいものが多かったのに対 し,安山岩溶岩Bは,含まれる鉱物は同じだが,斑晶の大きいものが少ないと いう違いがある(写真10)。
安山岩質凝灰角礫岩Bは,緑色のマトリックス中に,灰色・茶色の安山岩角 礫を含み,その角礫は主に細礫〜瓦礫である。安山岩角礫は,斜長石・普通輝 石を含むものや,斜長石だけが見られ,流理構造を示しているものなどがあ
り,風化・変質しているものが多い。マトリックスには,石英・斜長石の破片 が多く含まれ,方解石・緑泥石・沸石などの変質鉱物も多く見られる。安山岩
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角礫は,安山岩質凝灰角礫岩Aに含まれる安山岩角礫に比べ,斜長石の斑晶の 小さなものが多く,それは,安山岩溶岩Bに似ている。
キ.鳥取層群 円通寺礫岩砂岩層
円通寺礫岩砂岩層下部には,安山岩礫・争闘岩礫・珪質片岩礫が主に含まれ る。安山岩礫は,カールズバド双晶を示す斜長石が多く含まれ,流弊構造を示 す。斜長石の斑晶は,大きいものは少なく,安山岩溶岩Bとよく似ている。花 闘岩礫は,淡紅色の細粒花歯岩と白色の花歯岩に区分できる。淡紅色の細粒花 巨岩は,緻密で硬く,石英・パーサイト構造を示すカリ長石・アルバイト式双 晶を示す斜長石が多く,黒雲母もわずかに含めれ,完晶質である。これは,花 原複合暴露の細粒花闘岩とよく似ている。白色の花離岩は,パーサイト構造を 示すカリ長石・波動消光を示す石英を多く含み,黒雲母もわずかに含む。完晶 質等粒状組織である。これは,鳥取花響岩とよく似ている。また,上位ほど砂 岩が見られる。その砂岩は,安山岩・石英・斜長石の砂粒がほとんどで,平行 葉理が発達している。
円通寺礫岩砂岩層上部には,珪質片岩礫が多く見られる。珪質片岩礫は,葉 理が発達しているが,葉理がずれており,それと平行または斜行するように石 英脈が発達しているものと,平行葉理が発達し,それと平行に石英脈が見ら れ,微晶質の黒雲母が多く見られるものに分けられる。前者は,三郡変成岩に よく似ており,後者は,非変成古生層の熱変成作用を受けているものによく似 ている。また,津の井丘陵では,砂岩が多く挟まれるが,石英・チャート・珪 質片岩の粒が多く,わずかに安山岩片・花闘岩片も含まれる。平行葉理が発達 し,上位ほど細粒になり,分級度がよくなる。また,緑泥石などの変質鉱物も
多く見られる。
ク.鳥取層群 三代寺シルト岩層
本部層は,砂岩泥岩互層が主体となるが,その中で,砂岩を薄片にし,観察 した。石英・珪質片岩が多く含まれ,変質鉱物として緑泥石が見られる。平行 葉理が発達し,上位ほど分級度がよい。また,杉崎凝灰岩層の中には,灰色の 硬い凝灰質砂岩が挟まれる。石英・珪質片岩・チャートが多く含まれ,斜長 石・黒雲母もわずかに見られ,平行葉理が発達している。
ケ.鳥取層群 普含寺泥岩層
本部層は,泥岩主体であるが,その中に挟まれる砂岩について観察した。石 英が多く,斜長石・異質岩片・黒雲母がわずかに含まれる。砂粒は角ばってい るが,分級度はよく,平行葉理が発達している。また,泥岩をX線回折した結 果,下位は,カオリナイト・イライトが顕著に見られるのに対し,上位は,モ ンモリロナイト・カオリナイト・イライトが顕著に見られるということがわ