第1節 目的
研 究1の 幼 小連携(移 行期 にお ける取 り組 み)か ら、幼稚 園にお いての課 題 と して 、 個 別 の 教 育 支 援 計 画 や 個 別 の指 導 計 画 の様 式 検 討 ・気 にな る幼 児 へ の 具 体 的 支 援 の 充実 ・保 護 者 の理 解 を得 るた め の努 力 や 工 夫 な どが 挙 げ ら れ た。
これ らを含 め 園 内体 制 を整 備 して い く こ と は気 に な る幼 児 に対 して の具 体 的 支援 を可 能 に し、 最 終 的 に は気 に な る幼 児 が 快 適 に 園 生 活 を送 る こ と を実現 す る ので あ る 。 さ らに、 卒 園児 の フ ォ ロー ア ッ プ よ りみ え て きた 、小 学 校 に 向 けて つ け て お き た い力 と して 伝 え る力 ・セ ル フ コ ン トロー ル ・生 活 規 律 を 重 点 に支 援 して い く こ とが で き れ ば 小 学校 生 活 を ス ム ー ズ にス ター トさ せ る 事 に もつ な が って い く と考 え られ る。
以 上 の こ とか ら、 「園 内委 員 会 の取 り組 み の充 実 に よ って 具 体 的 支援 が 実現 され れ ば 、 小 学校 生 活 をス ム ー ズ にス ター トさせ られ るの で はな いか 」 と考 え 、 実 際 に 具体 的 支 援 を考 えて い く場 と して 、 ケ ー ス会 議 ・職 員 研 修 ・保護 者 支 援 の3つ の 取 り組 み にポ イ ン トを絞 り、 具 体 的 支援 実 現 の有 効 性 を検 証 す る と共 に 、 小 学 校 に向 けて つ けて お き た い力 の支 援 に つ な が る こ と も併 せ て検 証 す る。
仮説 の模 式 図 を図24に 示 した 。
図24園 内委員会の充実 が具体 的支援 を実現 し気 になる幼児 の育 ちを促す
第2節 方法
第1項 時 期 につ いて
研 究2の ス ケ ジ ュー ル を表38に 示 す 。 期 間 はX年4月 か ら10月 で あ る。
筆 者 はX‑1年7月 よ りZ幼 稚 園 に実 習 に入 り、個 別 支援 な ど を実 施 して きた 。 X年4月 よ り本 研 究 の柱 で あ る幼 稚 園 の園 内委 員 会 に介 入 す る こ と とな っ た。
表38研 究2の スケ ジ ュー ル
7 8910
65
4X年
継 號 麹 襟
巡回相談縣 酵 惣 ス 会 繍
製作遊びの研修製作遊びの研修
園内教育相談
集団遊びの研修気になる幼児ケース会議
個別の教育支援計画・
個別の指導計画様式検討 巡回相談
気づきのリストアップ
年間計画検討
児児D且Q
気になる 幼児
第2項 対 象 園 ・園 内 委 員会 につ いて
X町 立Z幼 稚 園 は4歳 児2学 級 、5歳 児2学 級 の 、 幼 児 数 約120名 で 、 開 発 途 中 の新 興 住 宅 地 に あ り、 開 園2年 目の 新 しい 園 で あ る 。 小 学 校 とは隣 接 して お り、 交 流 もさか んで 、連 携 には 恵 まれ た 環 境 で あ る。
職 員 は 園 長 他 介 助 員 を含 め8名 で 、 特 別 支 援 教 育 に関 して は 全 員 熱 心 に研 修 を積 ん で い る。 特 別 支 援 教 育 コー デ ィ ネ ー ター は教 員 経 験 年 数 が8年 目、 コ ー デ ィ ネ ー ター は3年 目 とい う先 生 が担 当 され て い て 、 リー ダ ー シ ップ もあ
り、積 極 的 に推 進 さ れて い る。
委 員会 は職員8名 全員 で構成 し主な活 動 として① 実態 把握② 具体 的支援 策 の提示 や環 境整備③ 個別 の教育支援 計画 ・個 別 の指導 計画の作成 、支援④ 職 員研 修 会 の実施⑤担任支援⑥家庭 地域 との連携⑦ 専 門機関 との連携 を挙 げ、
これ をふ まえた活動の実施 を目指す こととな った。
第3項 対 象児 につ いて
P児Q児 は就 学指 導 にか か わ る児 童 。診 断 は受 け て い な い。P児 は療 育 施 設 通 園 か ら今 年 度 入 園 。 新 版K式 発 達 検 査 で は姿 勢3:1、 認 知2:0、 言 語1:9、 全 領 域2:0(前 年度)。Q児 は前 年 度 入 園 。WPPSIで は動 作 性IQ103、 言 語 性IQ73、FIQ85(検 査 者:筆 者)。5月 よ りアセ ス メ ン トを行 い 、 個 別 の教 育 支 援 計 画 を作 成 し、6月 よ りケ ー ス 会 議 を持 ち 指 導 計 画 も作 成 し、PDCAの 基 、指 導 ・支 援 を して き た。 作 成 す る 際 に は 常 に保 護 者 と の話 し合 いの 場 が持 た れ 、 課 題 を共 有 して 進 め られ た 。
気 に な る 幼 児 につ いて は 園 で 随 時話 合 いが な され て い た 。集 団 活 動 に参 加 し に くい 、 行 動 が 遅 れ が ち で ある 、 製 作(描 画)活 動 が 難 しい 、 会 話 が 成 り立 ち に くい 、 とい っ た こ とか ら10名 前後 が挙 が って い た 。
第4項 分析 の方 法
(1)そ れぞ れの取 り組 みが、気 になる幼児たち の困 り感や不安 を軽減す る よ うな 具体 的 支援 に つ なが った と思 わ れ るエ ピソー ドを10月 ま で の観 察 や 聞 き取 りか ら拾 い 上 げ る
(2)そ れ ぞ れ の 取 り組 み が教 師 に とって どの よ うな 点 で 有 効 で あ っ たか ア ンケ ー トや き き と りか ら明 らか にす る
第3節 結果
第1項 取 り組 み の 実 際 (1)P児 ・Q児 ケ ー ス会 議
a)ケ ー ス会議 の前 に
就 学指導 に関わ る幼児の個別 の教育支援 計画 と個別 の指 導計 画 の様式検 討 を行 った。様式 の検 討 の内容 を表39示 した。
表39様 式 の検 討内容
以 上 の よ う に多 くの職 員 の意 見 を反 映 す る こ とが で き た。 園 と して 活 用 しや す い 様 式 を 目指 す べ く今 後 も必 要 に応 じて 検 討 して い く こ と も確 認 され た 。 様 式 が 決 ま り、保 護 者 か ら聞 き取 りを行 い 、個 別 の教 育 支 援 計 画 を作 成 した うえで 、個 別 の指 導 計 画 の課 題 領 域 や 目標 の設 定 を し毎 月 評 価 を して い った 。
b)具 体的 な短期 目標 を立てる為 に
そ の 月 の 目標 や 支援 方 法 な ど評 価 を して か ら次 月 の 目標 と支 援 方 法 を 決 め て い った 。 ケー ス会 議 の 概 要 を表40に 示 した。
表40ケ ー ス会 議 の概 要(抜 粋)
<P児>1◎6月 の 目標
・教 師 の 「お は よ う」 な どの 声 か け に何 らか の形 で 反応 を返
す 。
意見例) ・他 の ク ラス の先 生 に も反 応 をか えす こ とが で きて い た。
・波 は あるが 声 を 出せ る よ うにな って きた(担 任)
・特 に降 園 の時 に は反 応 して くれ る よ うにな っ た
・何 らか の形 な らOK 評 価 は1(達 成 で き た)
・返 事 が で きそ う
・無 理 強 いは よ くな い の で 声 か け を して か ら少 しだ け 見 守 ろ う
・ハ イ タ ッチ な どで雰 囲 気 をつ く る とい い
◎7月 の 目標
・教 師 の 「お はよ う」 の 声 か け にハ イ タ ッチ を して 返 事 をす る
どん な 場 面 で ・どの程 度 ・誰 が支 援 す る の か 等 を考 慮 す る こ と を心 が けて い っ た 。職 員 の共 通 理解 の も と、 一 貫 性 の ある 関 わ り ・支 援 を 目 指 し、幼 児 へ の賞 賛 もみん な で行 って い くよ う に した 。
(2)気 にな る幼 児 ケー ス会 議 a)気 にな る幼 児 につ いて
「気 に な る子 」 と言 って も判 断 が 難 しい た め 、担 任 の気 づ き が客 観 的な 見 方 に 裏 付 け で き る よ うに 園で のチ ェ ック表(巻 末資 料 参 照)を 作 成 し、 さ らにエ ピ ソー ドで整 理 して 、職 員 の共 通 理解 を図 った 。 例 と してR児 の気 づ き のチ ェ ッ ク項 目 とそ の項 目で の エ ピソ ー ドを 図25示 した 。
〈R児 〉 気 づ き のチ ェ ック表 か ら
・身 の まわ りの片 付 けが 難 しい
・ク ラス や 園 の約 束 を守 る ことが 難 しい
・み ん な で使 う もの へ の理 解 が 難 しい
・そ の場 に い るが ゴ ソゴ ソ して 集 中で き な い
・周 囲 の 状 況 にす ぐ反応 し、注 意 が 散 漫 に な る
・か っ とな って 手 や 足 が 出や す い
「社 会 性 に気 にな る所 が 多 い」 エ ピソー ドは
↓
(担 任 か ら)・お 弁 当 の 前 の 手 洗 いで は順 番 を待 て ず に横 入 りをす る
・わ ざ とで な くて も 自分 のつ くった もの を踏 まれ る と何 度 で も責 め た り、 手 をつ か ん だ りして い た。
・ク ラス で 話 を 聞 く とき には いつ もゴ ソ ゴ ソ ・す ぐ に しゃ べ り出す
・朝 の 用 意 で はカ バ ン も帽子 もお い た ま ま ・道 具入 れ に戻 さず 棚 に投 げ入 れ る ・手 紙 はお 団子 に な って い る
図25気 づ きの チ ェ ック項 目とエ ピ ソー ド
このよ うな形で気 になる幼児 が十 名程挙 げ られた。職員全体 に幼児の気 にな る姿 がよ り具体 的に理解 された。
b)具 体 的な対応策 を考 えるた めに
ス トラテ ジー シ ー トを使 って 対 応 の工 夫 を職 員 全 員 で考 え た 。 で き る だ け ア イ デ ア をた くさん 出す こ とを心 が け て い った 。 こ こか ら担 任 が しよ う と思 った 支援 を考 え実 践 し、 また 改 善 が 見 られ な け れ ば 、 ケー ス会 議 に挙 げて い くよ う に した。 例 と してR児 につ いて 出 され た 意見 を表41に 示 した 。
表41気 にな る幼 児 の ケ ー ス 会 議 の意 見 例(抜 粋)
意見例) ・聞 く こ とに集 中す る ことが 難 しけれ ば絵 を使 って 指 示 を 出 して い っ た ら どうか
・片 付 け も声 か け もい いが 、 写 真 を使 って 確 認 させ た ら ど うか
・話 を 聞 いて も らいた い とき は、最 初 に注 目させ る よ うな声 か け を して か らは じめ る とか
・「〜 しな さ い」 の こ とばか けが ほ とん どで あ ま り誉 め られ る経 験 が 少 な い ので は …
・誉 め られ る機 会 をつ くって い く。 み ん な にほ めて も ら う。
この よ うな 形 で 話 し合 い が され 、 な支 援 へ とつ な げて い った。
どの気 になる幼児 に対 して も具体的
(3)職 員 研 修 ① a)集 団 遊 び の 提 案
気 に な る幼 児 が 楽 し く参 加 す る た め に① 環 境 を どの よ うに 設 定 す れ ば活 動 で き るか ② 周 りが どの よ うに 支 援 す れ ば活 動 で き る か と い う こ と を考 え提 案 した 。まず ポ イ ン トを挙 げ(表42)、 フル ー ツバ ス ケ ッ ト等 のゲ ー ム を例 と して どん な 具体 的 な 支 援 が あ るか(表43)を 提 案 した 。
表42支 援 の ポ イ ン ト
◎刺激 を少な くしよ う
活動 に集 中で きるように、できるだけ他 の刺 激 を取 り除 こう
◎集 団の 中で の位置 の配慮
どんなか たちに してお くと活 動 に集 中しやす いかな?し ん どい子 の 位置 は?周 りのお友だちは?フ ォロー しやす い位置 は?
◎先 生の立 ち位置
集 中 しす い、あるいは注 目しやす い場所 は?
◎ 見 通 しが 持 て る よ うに
不 安 を取 り除 い た り、 意 欲 を 引 き 出 した り … 。 わ か りや す い方 法 で
◎ 目で見て分 か り易い指示 を
絵か な図かな写真かな もちろん実物OK
◎言 葉か けは統 一 してシ ンプル に 簡 潔 に短 い言葉 で具体的 に!
色 々な表 現 をした り、言葉 を言 い換 えた りしない
◎ 活 動 の 区 切 りを明 確 に
始 ま り と終 わ りは く っき りは っ き り!
(二 宮 信 一(2005)「 コ コ ロ とカ ラダ ほ ぐ しあそ び 発 達 の気 に な る子 とい っ し ょに」 学 習研 究 社 を参 考 に提 案)
これ らを示 す こ とで 、 普 段 の 生活 の 中で も職 員 が 意 図的 に心 が けて い る 様子 が見 られ る よ う にな った 。