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研究 3.病院や通所施設でリハビリテーションを受ける地域在住高齢者の

1節 背 景

研 究 1で は ,SAMR が 地域 在 住 高齢 者 に適 用で き るこ と が明 ら かに な り, 研 究 2 で は,

達成 動 機が 社 会参 加 や HRQOL に 与 える 影 響 を検 証 した .次 の研 究 3では ,自 己効 力 感の 喪失 , 絶望 感 ,経 済 的困 窮 感に 達 成 動機 が 与え る影 響 を明 ら かに す る.

自信 喪 失や う つ状 態 に起 因 する 絶 望感 ,諦 め など は ,健康 問 題を 引 き起 こ す 65 -6 7).自己 効力 感 とは , 成果 を 出す た め の行 動 を自 分 はど の程 度 上手 に でき る かと い う 確信 で あり , いわ ゆ る自 信 とし て 用い ら れて い る 概念 で あ る 1 5). 絶 望感 と は ,将 来 への 希 望を 持 て ず , 目標 を 達成 す る見 通 しが な いこ と で ある 6 6).また ,経 済 的困 窮 感は 主 観的 な 幸福 感 に負 の 影響 を 与え て おり ,絶望 感 とも 関 連の 強 い概 念 であ る 6 7, 6 8).経 済的 な 困窮 感 によ っ て人 生 への 希 望が 持 てず , 絶望 し た 状態 に 陥る 危 険性 があ り ,こ れ らに 留 意し た 関 わり が 必要 と され て い る 6 9 ,7 0).こ の よう な 問題 は リハ ビ リ テー シ ョン で も生 じ てお り ,対 象 者自 身 の能 動的 で 前向 き な思 考 や行 動 を 奪い , リハ ビ リテ ーシ ョ ンの 効 果的 な 支援 を 阻 害す る 要因 と して 考 えら れ ,配 慮 すべ き 重要 な 問 題と な って い る 1 2, 7 1)

そ の 一方 で ,リ ハ ビリ テ ー ショ ン を円 滑 に促 すも の とし て 達成 動 機が あ る .達 成 動機 は 自己 効 力感 と 理論 的 な関 連 があ り ,相 関 関係 も 示さ れ てい る 1 7, 7 2).さ らに ,達成 動 機は う つ状 態 や絶 望 感を 和 らげ る 介在 因 子 とし て の役 割が あ る 20 , 70).その た め,リ ハビ リ テー シ ョン で の達 成 動機 や 自己 効 力 感, 絶 望感 も 関連 が予 測 され る が, リ ハビ リ テ ーシ ョ ン領 域 で達 成 動機 と 自己 効 力感 や 絶望 感 と の関 連 は明 らか と なっ て いな い .

こ の 検討 に は SAMR を 用 いる が ,こ れ にも いく つ か課 題 があ る .SAMR は 高 い妥 当 性 と信 頼 性を 備 えて い るも の の ,対 象 が異 な ると 対象 間 で有 意 差が 検 出さ れ る こと か ら, 異 なる 属 性の 集 団に お いて も 同様 な 2因子 モ デル での 構 造が 成 り立 つ のか を 検討 す る 必要 が あっ た .ま た 調査 用 紙に よ る 評価 の 特徴 と して ,各 項 目が 捉 えた い 概念 の 状 態を 均 質に 評 価で き るわ け では な く ,各 項 目へ の 評定 傾 向に はそ れ ぞれ の 特性 が ある .そ のた め ,SAMR の各 項 目も 異 なる 特 性を 備 えて い る と考 え られ る.SAMR は 自己 研 鑽 的達 成 動機 と 方法 志 向的 達 成動 機 の 2因子 で 構成 さ れ,2つ の側 面 から 達 成動 機 を捉 え てい る ため , こ の 2つ の 側 面 に 基 づ い た 項 目 特 性 を 検 討 す る 必 要 が あ っ た . さ ら に , 項 目 特 性 を 考 慮 し た 上 で SAMR の尺 度 合計 得 点や 下 位 尺度 合 計得 点 が,クラ イ エン ト の達 成 動機 の 状態 を ど の程 度 適切 に 評価 す るこ と がで き るか に つ いて 検 討が 必要 で あっ た .

本 研 究の 目 的は , リハ ビ リ テー シ ョン サ ービ ス( 外 来通 院 ,又 は 通所 施 設 の利 用 )を 受 ける 地 域在 住 高齢 者 にと っ て の達 成 動機 が 自己 効力 感 ,絶 望 感, 経 済的 困 窮 感に 与 える 影 響に つ いて 明 らか に する こ とで あ っ た .ま た ,SAMR の年 齢 や性 別 ,介 護度 な どの 異 なる 多母 集 団に お ける 因 子構 造 の頑 健 性 と ,2次 元 での 項 目特 性 につ い て検 討 する こ と とし た.

本研 究 の意 義 は, 地 域在 住 高 齢者 に 対す る 達成 動機 の 状態 の 適切 な 評価 や 解 釈が 行 える よ

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うに な り, 達 成動 機 の支 援 方 略と し て対 象 者の 自己 効 力感 や 絶望 感 を含 め た 効果 が 検討 で き, よ り効 果 的な 地 域リ ハ ビリ テ ー ショ ン への 貢献 が 見込 ま れる 点 にあ る .

2節 方 法

研 究 期間 は 平 成 26年 3月 から 7月 で, 研 究 内容 の 提示 と 同意 書 の記 載 に承 諾 の 上, 署 名の 得 られ た 者に 研 究者 , 又は 研 究 協力 者 が調 査用 紙 を配 布 し, 回 答を 求 めた .

1項 対 象 者

本 研 究の 対 象者 は ,身 体 障 害領 域 の病 院 で外 来リ ハ ビリ テ ーシ ョ ンを 受 け る, 又 はデ イ ケア や デイ サ ービ ス を利 用 す る地 域 在住 高 齢者 であ っ た . 除 外基 準 は, 認 知 症の 診 断や 判 断能 力 に影 響 があ る と予 測 さ れる 精 神疾 患 (統 合失 調 症な ど )の 診 断が あ る 者, 認 知機 能 の明 ら かな 低 下が あ ると 臨 床上 判 断 でき る 者, 調査 用 紙の 読 み書 き がで き ない 者 と した .

2項 調 査 用 紙

本 研 究で は 対象 者 に同 意 を得 た 上 で,フ ェイ スシ ー ト と SAMR,一 般性 自 己効 力 感尺 度

(General Self-Efficacy Scale;以 下,GSES),絶 望感 尺 度(Hopelessness Scale;以下 , HS)の 評 価用 紙 から な る調 査 用紙 に 各自 回 答 して も らい ,設置 し た回 収 箱 へ の 投函 や スタ ッフ に 調査 用 紙を 手 渡し て もら っ た .

1) フ ェ イ ス シ ー ト

フ ェ イス シ ート に は, 性 別 ,年 齢 ,主 病 名, 介護 度 ,同 居 者数 , 経済 的 ゆ とり を 記載 し た.経 済的 ゆ と りは「 ゆと り があ り ,ま っ た く 心配 な く暮 ら して い る(1点 )」,「 ゆと り は ない が ,それ ほ ど 心配 な く暮 ら して い る(2点 )」,「ゆ と りが な く ,多少 心 配で あ る(3点 )」,

「生 活 が苦 し く, 非 常に 心 配で あ る (4 点)」 の 4 件法 で 回 答を し ても ら った 68 ). な お,

経済 的 ゆと り は評 定 点が 高 く なる ほ ど経 済 的ゆ とり が ない こ とを 表 すた め , 相関 関 係や 構 造的 関 係性 の 推定 で は, 経 済的 困 窮 感と し て示 した .

2)SAMR

SAMR は 回 答方 法 や教 示 文な ど は同 様 であ るが , 本研 究 以降 で は SAMR の 項 目順 を 自 己研 鑽 的達 成 動機( 項 目 1〜6)と 方法 志 向的 達成 動 機(項 目 7〜10)の 2つの 構 成 因子 に 準ず る よう に 並び 替 え, 下 位尺 度 合 計得 点 を算 出し や すい よ うに 改 編し た ( 表 7).

3)GSES

GSES は 成 人の 自 己 効力 感 を評 価 できる 16 項目 3 因 子か ら なる 尺 度で ある 73 , 74 ). 各 項 目に 「 はい (1 点)」か 「 い いえ (0 点)」の い ずれ か で回 答 す る 2 件 法 であ る .GSES は

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行動 の 積極 性 (項 目 1,5,6,8,10,13,15), 失敗 に 対す る 不安 ( 項 目 2,4,7,11,

14),能 力の 社 会的 位 置づ け( 項 目 3,9,12,16)の 3つ の 因子 で 構成 さ れ,下位 尺 度得 点は 各 因子 を 構成 す る項 目 の回 答 を 基に 因 子得 点を 算 出す る .な お ,項 目 2,4,5,7,8,

11,14,15は 逆 転項 目 で ある た め,GSESの尺 度合 計 得点 に 対し て は逆 転 項目 の 補 正を 行 った 上 で算 出 した .

7 SAMR(項 目 順 の 改 編版 )

No.

ひじょう によくあ てはま

ほとん どあて はまる

すこし あては まる

どちら ともいえ

ない

あまり あては まらな い

ほとん どあて はまら ない

ぜんぜ んあて はまら ない

1 目標達成のためには困難なことも乗り越

えられると思う 7 6 5 4 3 2 1

2 ちょっとした工夫をすることが好きだ 7 6 5 4 3 2 1 3 自分が納得できるまで努力を続けないと

気がすまない 7 6 5 4 3 2 1

4 自分は他の人よりも努力していると思い

たい 7 6 5 4 3 2 1

5 他の人よりも早く回復するためにはどん

な努力も惜しまない 7 6 5 4 3 2 1

6 周りの人から認められるような目標に取

り組みたい 7 6 5 4 3 2 1

7 自分が一 番 満足できると思うリハビリ

テーションを選びたい 7 6 5 4 3 2 1

8 自分なりの方法でリハビリテーションを

行うことが大事だと思う 7 6 5 4 3 2 1

9 専門家に最も効果的と言われているリハ

ビリテーションに取り組みたい 7 6 5 4 3 2 1

10 遠くの 病 院に通ってでも、自分に最適な

リハビリテーションを最優先して行いたい 7 6 5 4 3 2 1

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4)HS

HS は 絶 望感 を 評 価で き る 2項 目 1因 子の 尺 度で あ る 66 , 67).各 項 目に「強 く 賛成(4点 )」

から 「 強く 反 対(0 点)」の 5 件法 で 評定 す る が, 本 研究 で は SAMR の 回答 に 合わ せ ,5 点〜1 点の 評 定 に修 正 した . 合計 得 点が 8〜10 点を 「 希望 の 欠如 が 強い 」 とし て カ ット オ フ値 に 設定 さ れて い る 75 )

3項 分 析 方 法

統 計 解析 に は ,記 述 統計 量 の算 出 に IBM SPSS Statistics 22,項目 妥 当性 に Exametrika version5.3, 相 関関 係 の分 析 に HAD version12,構 造的 妥 当 性と 構 造的 関 係性 ,因 子 構造 の頑 健 性, 項 目特 性 の検 討 に Mplus 7.2 を 使 用し た .

1) 記 述 統 計 量 と 正規 性 の 検 定

調査 用 紙の 全 項目 や 下位 尺 度合 計 得 点,尺度 合 計得 点 の平 均 値 と SDを 算出 し た.ま た,

正規 性 は Kolmogorov-Smirnov 検 定, 又 は歪 度と 尖 度の 値 から 確 認し た .

2) 項 目 妥 当 性 と 構造 的 妥 当 性 の 検討

SAMR,GSES,HS の全 項 目の 平 均 情報 量 と項 目 得点 多 列相 関 係数 を 算出 し た.平 均情 報量 と は,1 つの 項 目 に回 答 した 全 ての パ ター ンと 回 答の 各 パタ ー ンの 数 を比 較 し たも の で, 各 項目 へ の回 答 によ っ て その 項 目が ど れほ ど正 確 に分 類 され , 意味 の あ る情 報 を持 っ てい る かを 示 す値 で あ る 7 6).そ のた め,平 均情 報量 と 項目 得 点多 列 相関 係 数を 確 認 する こ とで , 各項 目 が適 切 に機 能 し ,対 象 者の 状 態を 評価 す るこ と がで き てい る か を検 討 した . 平均 情 報量 は 0.5以 上,か つ項 目 得点 多 列相 関 係数 は 0.2以 上 52 )で あ るこ と を妥 当 性の 基 準と し た. た だし ,2件 法で あ る GSES の 項目 のみ 項 目得 点 双列 相 関係 数 を算 出 し ,妥 当 性の 基 準は 同 様と し た.

SAMRとGSES,HSの 各尺 度 の 因子 構 造は ,構造 方 程式 モ デリ ン グのCFAで 確 認し た . SAMR と GSES は 先行 研 究 2 5, 7 4)を参 考 にそ れ ぞれ 2 因 子と 3 因子 に よる モ デル を 想定 し た.HS は 2 項目 に よ る 1因 子モ デ ルを 想 定し ,項 目 数が 極 端に 少 なく パ ス係 数 が 偏る 可 能性 が ある た め,潜 在因 子 から 各 項目 へ のパ ス 係数 を 1に 固定 し て分 析 を行 っ た.推定 法 は カテ ゴ リ カル デ ー タの ロ バ スト 最 尤 法(Maximum Likelihood with Robust standard error; 以下 ,MLR),又 は ロバ ス ト重 み 付き 最小 二 乗法 (Weighted Least-Squares with Mean and Variance adjustment with missing data;以 下,WLSMV)で 行っ た .MLRと は, デ ータ が 間隔 尺 度以 上 の 場合 に 用い ら れる が, デ ータ の 正規 分 布が な く とも 結 果の 頑 健性 を 備え た 推定 法 であ る 5 5).WLMSV と は ,サ ン プル サ イズ や 観測 変 数の 数 ,潜 在 変数 の正 規 性な ど に関 わ らず , デ ータ の 分布 に 合わ せて 標 準誤 差 を補 正 する た め ,安 定 して 正 しい 推 定値 を 算出 で きる カ テゴ リ カ ルデ ー タの 推定 法 であ る 5 5).心 理 尺度 な どの 正 規分 布