第 7 章 総合考察
第 3 節 地域在住高齢者の達成動機に対する支援について
高 齢 者の 介 護予 防 にお い て ,リ ハ ビリ テ ーシ ョン 専 門職 は ,ク ラ イエ ン ト であ る 地域 在 住高 齢 者が 自 分た ち の暮 ら す 地域 の 中で 生 きが いや 役 割を も って 生 活で き る よう に 促し , クラ イ エン ト の意 欲 への 働 きか け や 環境 調 整な どに 対 して 支 援す る こと が 期待 さ れる 79 ). その た め, 本 論文 で は, ク ラ イエ ン ト自 身 にと って 価 値の あ る目 標 をや り 遂 げよ う とす る 意欲 で ある 達 成動 機 に着 目 し た. そ れに よ り, 達成 動 機を 適 切に 評 価す る 方 法の 発 展と , クラ イ エン ト の目 標 達成 へ の 意欲 が 高ま る こと によ っ て, 実 際に 生 きが い , 役割 , 社会 参 加と い った ア ウト カ ムだ け で なく , 行動 を 起こ すた め の自 信 や身 体 機能 も 促 すこ と がで き ると い う因 果 推論 を 実証 す るこ と が でき た .
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達 成 動機 は ,自 分 にと っ て 価値 の ある 目 標を やり 遂 げよ う と す る 意欲 で あ るた め ,ク ラ イエ ン ト自 身 が目 標 に対 し て の価 値 を認 識 する こと が 重要 で ある . 目標 の 価 値 づ け につ い ては ,Shared Decision Making(以 下,SDM)111 , 11 2)に 代表 さ れる よ うに ,セ ラ ピス ト と クラ イ エン ト との 目 標設 定 や目 標 共 有に 関 する 研究 が 多く 行 われ て い る 11 3- 11 5).その た め,
リハ ビ リテ ー ショ ン の支 援 に おい て ,ク ラ イエ ント の 価値 を 踏ま え た目 標 の 設定 や 共有 は 全て の セラ ピ スト が 行う べ きも の で ある と 考え られ る .
そ の 目標 に 対し て ,本 論 文 によ る 研究 の 知見 では , より 充 実し た 生き が い や役 割 の獲 得 につ な げる た めに , 趣味 な ど の社 交 やボ ラ ンテ ィア , 買い 物 など と いっ た 自 分の 生 活に お いて 大 切な 活 動を 行 うた め の 目標 と する こ とが 重要 で ある と 示さ れ た. ま た ,そ の よう な 活動 へ の参 加 や外 出 機会 が 増 える こ とで , 自宅 外で 社 会と つ なが る よう な 役 割( 友 人と の 交わ り ,趣 味 や娯 楽 への 関 わ り, 宗 教や ク ラブ 活動 で の集 ま り) を 担え る よ うに し ,他 者 と定 期 的な 交 流が で きる よ うな 習 慣 にま で 目標 を置 く こと が 重要 で ある と 考え ら れ る.
さ ら に, 達 成動 機 は努 力 す るこ と で自 分 自身 の能 力 を高 め たり , 自分 に 合 った リ ハビ リ テー シ ョン の 方法 や プロ セ ス を重 視 した り する こと で 目標 を 達成 し よう と す る意 欲 であ る.
その た め, 達 成動 機 に対 す る アプ ロ ーチ で は, クラ イ エン ト 自身 が 努力 に よ る 成 長 や成 果 を感 じ られ る よう な 目標 課 題 の設 定 やフ ィ ード バッ ク を心 掛 け, 本 人が リ ハ ビリ テ ーシ ョ ンの ペ ース や 満足 感 など で 納 得で き る内 容 にす るこ と が重 要 であ る と考 え ら れる . また , クラ イ エン ト が目 標 達成 に 向 けて 積 極的 な 行動 を行 い ,技 能 が向 上 した と き に, セ ラピ ス トが 気 づき , 賞賛 す るこ と で クラ イ エン ト の自 信が 高 まり , さら な る目 標 達 成行 動 を促 進 でき る と考 え られ る .
SAMR は ,達 成 動機 の 状態 を 6 段 階で 変 化 や比 較 を行 え る.しか し,達 成動 機 が高 い 状 態よ り も低 い 状態 の 方 が SAMR の 得 点に よ っ て捉 え られ る 精度 が 良い .そ のた め ,SAMR はリ ハ ビリ テ ーシ ョ ンの 導 入段 階 や SDM を実 践す る 際に 用 いる と より 効 果的 で あ ると 考 えら れ る. ま た, 上 述し た 支 援に よ って 達 成動 機を 向 上さ せ るこ と で, 身 体 機能 の 維持 ・ 向上 も 図る こ とが で きる と 示 唆さ れ ,生 き がい や役 割 の改 善 を見 据 えた 活 動 や参 加 への ア プロ ー チが 機 能回 復 訓練 に よる 効 果 を含 め た重 要な 支 援で あ ると 考 えら れ る.
従 来 から 意 欲や 動 機は リ ハ ビリ テ ーシ ョ ンに おい て 重要 な 要素 で ある と 考 えら れ てい な がら , その 評 価や 効 果に つ い て今 ま で十 分 に研 究が 行 われ て いな い 状態 で あ った . その た め, 本 論文 で は達 成 動機 の 評 価や 効 果に 対 する 重要 性 を明 ら かに す るこ と が でき た とい う 点で , 筆者 ら の行 っ た研 究 の 意義 は 大き い と考 えら れ る. 高 齢化 が 加速 す る 日本 で ,重 大 な課 題 とな っ てい る 高齢 者 の 介護 予 防へ の 支援 に対 し て, 達 成動 機 とい う 新 たな 観 点か ら クラ イ エン ト の目 標 達成 に 向 けた 支 援を 行 い, リハ ビ リテ ー ショ ン の効 果 を より 高 める こ とが で きる と 考え ら れる .
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終 章
結 論 を述 べ ると ,本論 文 では 高 齢者 へ の意 欲 や動 機 を支 援 する 重 要性 を 実証 す る ため に,
リハ ビ リテ ー ショ ン サー ビ スを 利 用 する 地 域在 住高 齢 者を 対 象 に 6 つ の 調査 を 実施 し た.
調査 で は,達 成動 機 を評 価 する た め に SAMRの尺 度 特性 の 検討 を 行い ,達成 動 機が 地 域 在 住高 齢 者の ア ウト カ ムに 対 し て与 え る影 響 や達 成動 機 に影 響 を及 ぼ す要 因 を 検証 し た. そ の結 果 ,地域 在 住高 齢 者の 達 成動 機 は ,SAMR を用 い て 2 因子 10項目 で 適 切に 評 価で き , SAMR は各 項 目や 合 計得 点 の 特性 ,因子 構 造 の頑 健 性が 確 保さ れ ,達 成 動 機の 強 さを 相 対 的に 評 価で き る尺 度 であ る こ とが 明 らか と なっ た. ま た達 成 動機 は ,地 域 在 住高 齢 者の 生 きが い,役 割意 識,社 会参 加 とい っ た HRQOL に 加 え て,身 体 機 能に も 肯定 的 な影 響 を与 え, 自 信の 喪 失や 絶 望感 に は 抑制 的 に 作 用 した .さ ら に達 成 動機 は ,性 格 特 性な ど の個 人 要因 に よる 影 響を 受 ける 概 念で あ る こと も 明ら かと な った .
つ ま り , 地 域 在 住 高 齢 者 へ の 支 援 で は , リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン の 導 入 や 目 標 設 定 の 際 に SAMR を用 い て達 成 動機 を 評 価す る こと が 重 要で あ る.さ らに ,生 きが い や役 割 の獲 得 に つな げ るた め に, 自 分に と っ て大 切 な活 動 を行 うこ と や社 会 とつ な がる よ う な役 割 を担 え るこ と を目 標 にす る こと が 重要 で あ る.また ,ク ライ エ ント が 努力 に よる 成 長を 感 じ たり , リハ ビ リテ ー ショ ン を納 得 し た内 容 で行 え たり する こ とで , 目標 達 成に 向 か う行 動 や希 望 を持 ち 続け る こと が でき る .
こ れ らの 知 見か ら ,高 齢 者 のリ ハ ビリ テ ーシ ョン に 求め ら れる 活 動や 参 加 ,生 き がい や 役割 を もっ て 生活 す るた め の 支援 に 対し て ,目 標を や り遂 げ よう と する 意 欲 であ る 達成 動 機に 焦 点を 当 てた ア プロ ー チ の重 要 性を 実 証す るこ と がで き たと 考 えら れ る . 今 後 ,多 く のセ ラ ピス ト が本 論 文で 得 られ た 知 見を 基 に,高齢 者 個々 の 目標 に 寄り 添 い,共 有し 合 い,
地域 で の生 活 に関 与 した 支 援を 通 じ て,地域 在 住 高 齢 者の ヘ ルス プ ロモ ー ショ ン に 貢献 し,
さら な る発 展 につ な げる こ とを 期 待 した い .
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謝 辞
本 博 士論 文 を作 成 する に あ たり , 多く の 方々 のご 支 援に よ って 行 うこ と が でき ま した . まず 本 論文 で の研 究 を行 う 際 に, 調 査に ご 協力 いた だ いた 対 象者 の 方々 に 対 して , 心よ り 感謝 申 し上 げ ます . 併せ て , 調査 を 行い ま した 施設 や スタ ッ フの 皆 さま に は ,ご 多 忙な 中 でご 協 力い た だけ ま した こ とに 謹 ん で感 謝 いた しま す .
ま た ,本 博 士論 文 の主 査 を 引き 受 けて く ださ いま し た原 田 和宏 先 生, 副 査 を引 き 受け て くだ さ いま し た河 村 顕治 先 生 ,長 町 榮子 先 生に は大 変 貴重 な ご指 導 ,な ら び にア ド バイ ス を頂 戴 いた し まし た .謹 ん で深 謝 申 し上 げ ます .
主 指 導の 京 極真 先 生に は ,吉 備 国 際大 学 大学 院修 士 課程 を 始め と して ,5 年間 に わた り 本当 に たく さ んの こ とを 学 ば せて い ただ き まし た. ま た, 吉 備国 際 大学 大 学 院修 士 課程 か らの 同 級生 で あっ た 寺岡 睦 さ ん, 京 極研 究 室の メン バ ーに は 励ま し の言 葉 と 共に 多 くの 刺 激を 与 えて も らい , 互い に 研 鑽で き ると て も良 い環 境 で学 ば せて い ただ き ま した . 皆さ ま のお 力 添え に 心よ り 感謝 申 し上 げ ま す.
そ し て, い つも 暖 かく 見 守 り, 研 究に 打 ち込 める 環 境を つ くっ て くれ た 家 族に 深 く感 謝 いた し ます .
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資 料 1 吉 備 国 際 大 学 大学 院 倫 理 審 査申 請 書 (受 理 番 号 13-14)
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資 料 2 吉 備 国 際 大 学 大学 院 倫 理 審 査申 請 書 (受 理 番 号 13-34)
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