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気 胸

領域 3- 4 研修者用

領域3( Module 3)安楽さや QOL(人生の質、生活の質)の最善化 3-4.社会的ニーズへの対応

生命予後の限られた病気は、病気をもった人と家族の人間関係に大きな影響を与え、良好な QOL を 維持するためには、追加資源(内的ないし外的)が必要となります。

人間関係、資産、住宅、私的な事情などに関する本人の心配事は、臨床の場において最善のケアを 提供する実践家に課題となって立ちはだかります。

この場合も、何時どのように生命予後の限られた状況にある人を専門家に照会するかを知ること が鍵となりますが、多職種の参入と本人、家族等との協力などが重要であり、この領域では、ソーシ ャルワークやケアマネージャーの役割を認識することが解決の鍵となります。

―地域緩和ケア実践者として求められる資質―

●生命予後の限られている状況にある人とその家 族の社会的背景と緩和ケアを受けるという経験が 影響を与えることを認識できる。

●それぞれの患者と家族は独自の社会構造を持っ ていること、本人と家族の社会的つながりを理解 することで社会的ニーズへの対応が促進されるこ とを理解できる。

●生命予後の限られている状況にある人とその家 族のニーズを満たし、本人家族のニーズに沿い、

本人家族のめざす目標を推進し、本人家族の力や 満足度(well-being)を最大化にするためには、多 職種によるケアの社会的面の評価と対応が必要で

あることを認識できる。(多職種による社会的ニー ズの評価と対応の必要性)

●包括的な全人的な多職種による評価により、本 人および家族それぞれの社会的な力、ニーズ、目 標を確認することができることを認識できる。

●利用できる補助や社会保険などの給付金及び公 的ケアに関する情報を生命予後の限られている状 況にある人に提供できる。

●必要に応じて生命予後の限られている状況にあ る人が私的な事柄に対応できるようにすることが できる。

領域

3-4 研修者用

領域3

安楽さやQOL(人生の質、生活の質)の最善化 3-4 社会的ニーズへの対応

Module 3

プライマリ緩和ケア人材育成研修用副読本(医療職用)

ファシリテーター用

領域3

安楽さやQOL(人生の質、生活の質)の最善化 3-4 社会的ニーズへの対応

障害や進行し た病気をもつ

心理的苦悩 人の苦悩

身体的苦悩

社会的苦悩

がんによる症状 がん治療による症状 併存疾患による症状 日常生活動作の障害 不安

恐れ 孤独感 悲しみ うつ状態 怒り

仕事上の問題 経済的問題 家庭内の問題 介護の問題 将来への悩み 生きる意味への問い 信念や価値感の変化

罪悪感 役割の喪失 未来の喪失

スピリチュアル な苦悩

全人的苦悩(total suffering or pain)の概念 【全人的苦悩(total suffering or pain)の概念】

・この項目は全人的苦悩における社会的苦悩への対応、社会的ニ ーズへの対応について説明します

・社会的苦悩はそれ単独で存在するのではなく、通常は心理的苦 悩あるいはスピリチュアルな苦悩と連動しており、また、身体的苦悩に より引き起こされることもあり、身体的苦悩を強める要因でもあります。

・したがって、社会的苦悩への対応は重要です。

• 失うことが多くなる

身体機能・認知機能:身体障害、臓器障害、嚥下障害、認知症 関係性:孤独になる

役割 ・ 尊厳

自己、自立、自己コントロール(自分のことを自分で決められなくなる)

• 依存する(支援を受ける)ことが多くなる 介護支援:他者への負担感

医療支援(治療やケア、薬剤も含めて)

• 慢性疾患/加齢による様々な障害を複数伴う 病気の進行、障害の進行による様々な苦痛・苦悩を伴う 医療への依存度(薬を含め)が強くなる

医療介入による効果が期待できない場合が多い

• 不確実性が増す

不確実なことに対する不安が生ずる

死や死に逝くことに対する不安(未知の領域)生ずる

生命の脅かされる病気・生命予後の限定された病 態にある人々に起こる変化

1.生命予後の限定された人およびその家族のもつ社会的苦悩とは

これは、生命の脅かされる病気・生命予後の限定された病態にあ る人々に起こる変化の一例を示したものですが、この中で社会的苦 悩として挙げることができるのが、関係性や役割りの変化、支援を受 けることに対する申し訳ない気持ちや支援を受けられないことによる 苦悩などがあります。

・その他にもいくつかあると思いますので、それを挙げてもらってくださ い。

社会的苦悩への対応

社会的ニーズの評価

ニーズに則した支援の提供

コミュニティーとしての支援体制の整備

体制整備を行うコミュニティーへの国の

2.社会的苦悩への対応

・対応に際し重要な項目を4つ挙げてみました。

・緩和ケアはあくまでも利用者のニーズに沿って提供されますので、

社会的苦悩を評価したうえで、利用者のニーズを評価することが最 初の第一歩です。

領域

3-4 研修者用

包括的評価のために必要な情報

(社会的状況に関する項目)

・同居者の有無、住居環境

・家族・親族関係

・家族による支援の有無/内容

・本人、家族がもつ人的支援の有無

・本人あるいは家族が利用できる社会的支援の有無

/内容

・経済的状況、

・家族の介護負担度

*地域社会の支援ネットワークの有無

【包括的評価のために必要な情報(社会的状況に関する項目)】

・これは、包括的評価のために必要な情報のうち、社会的状況に関 する項目を挙げたものです。

社会的ニーズへの対応(戦略)

情報提供

調整されたケア/継続性のあるケアの提供

関係性を保つ

地域社会とのつながりを保つ

家族/介護者のサポート

死を迎える準備

死後の家族のサポート

3.社会的ニーズへの対応

・対応の戦略として重要な項目を挙げました。

・調整されたケア/継続性のあるケアは利用者の立場から当然の ニーズですが、提供側ではしばしば忘れられる項目です。

・臨終期や臨死期のケアはグリーフケアとしても重要な項目です。

社会的ニーズへの対応(課題)

誰がニーズを評価するのか 医療・介護職(多職種)

地域住民

誰がニーズに対応するのか 多職種

地域住民(ボランティアを含め)

コミュニティー

どのようにニーズに対応するのか

・対応への課題を3項目揚げました。

・社会的支援は多職種による支援が中心となりますので、だれが、

どのような評価を行い、だれがどのような支援を提供するかについて は、調整することが必要です。

・また、今後、亡くなる人が多くなり、また、支援する人が少なくなるこ とを踏まえて、コミュニティーとして対応力を強めていく必要があり、ボラ ンティア育成も含めて今後の大きな課題となります。

社会的要因への対応の留意点

■家族や介護者への支援を行う

家族や介護者のニーズと患者のニーズは 通常異なっていることを自覚

対応できていないニーズについて直接聞 くことが重要

■社会的支援を高めるためにはコミュニ ティーの支援体制を強化することも必要

【社会的要因への対応の留意点】

・社会的要因への対応においては、コミュニティーによる支援体制構 築が今後重要となります。これが、「まちづくり」の重要な視点になりま す。

・患者と介護家族者および直接介護していない家族のニーズは異 なっていることを常に念頭におくことが大切です。

・そのうえで、それぞれのニーズを直接聞いてみることが重要となりま す。

領域

3-5 ファシリテーター用

領域3( Module 3)安楽さや QOL(人生の質、生活の質)の最善化 3-5.スピリチュアルなニーズへの対応

生命を脅かす病気に罹る、重篤な病気や生命予後の限られた病気を持つということは、深い実存 に関わる問い、例えば、人生の意味のような質問を誘発し、本人やその家族にとって QOL(人生の質、

生活の質)にかかわる根本的な問題です。したがって、スピリチュアルケアは緩和ケアの提供に不可 欠な要素です。

スピリチュアルニーズは、宗教的行為を通して対応できる場合もありますが、日本ではそうでな い場合の方がむしろ多いと思います。

すべてのチームメンバーは、敬意をもって、スピリチュアルなケアにかかわる責務があります。

なお、最善で、包括的な癒しの環境を提供するため、緩和ケアチームメンバーの一人一人が自身の スピリチュアリティと他のメンバー及び本人とその家族等のそれとどのように違うかを自覚する必 要があります。

―地域緩和ケア実践者として求められる資質―

●生命を脅かす病気、重篤な病気や生命予後の限 られた病気を持つことによりスピリチュアルな苦 悩が惹起されることを理解することができる。

●スピリチュアルケアは緩和ケアの提供において 不可欠な要素であることを理解することができる。

●多職種協働によりスピリチュアルな側面、宗教、

および生きる意味等の次元を評価し、対応するこ との重要性が理解できる。

●生命予後の限られている状況にある人とその人 を大切にしている人々のスピリチュアルな、そし て宗教的なニーズおよび対応方法を同定すること ができる。

●スピリチュアルケアとして傾聴と共感が重要で あることを認識することができる。

●生命予後の限られている状況にある人とその人

を大切にしている人々のスピリチュアルな、実存 的、宗教的なニーズをケアプランの中に取り入れ ることができる。もし、彼らがこの側面には焦点 をあてないことを望むならば、彼らの選択に応じ ることができる。

・生命予後の限られている状況にある人およびそ の人を大切に思っている人々の複雑なスピリチュ アルニーズおよび宗教的ニーズを評価し、対応で きる幅広い技能を実践できる(専門的緩和ケア)

●生命予後の限られている状況にある人とその人 を大切に思っている人々に、スピリチュアルな実 存的な人生の側面について、発言する機会を励ま しと尊敬の態度で提供することができる。

●文化的タブーと言われること、価値観や選択肢 について、尊重する必要がある境界を意識する。