PREPARED
領域 3- 2-2 ファシシテーター用 適切な痛み治療の要点 2)
5. 末梢静脈疾患
【進行した病状における浮腫の病態】
浮腫のマネジメント
・原因となる病態の治療 心不全の治療 腎不全の治療 薬物や輸液について再検討する 輸液の減量あるいは中止 腹水の治療
・薬剤(利尿剤)の投与
・生活指導
運動(歩くこと)を勧める 下肢を心臓の位置より高くする スキンケアを指導する
・リンパ浮腫では複合的理学療法
【浮腫のマネジメント】
リンパ浮腫
リンパ浮腫
進行がんにおけるリンパ浮腫の特徴
■発生要因が多く、病状の進行に伴い悪化要因も増えてくる
■治療の後遺症としてのリンパ浮腫に加え、特に進行したが んでは高率にリンパ浮腫が発生する。
■リンパ浮腫による苦悩だけでなく進行したがんによる症状 を含めた苦悩が加味される
■全身性浮腫を合併し、皮膚が脆弱となっていることも少な くない
■病状が急激に悪化するとともに、日常生活活動度も低下す る
■多くの場合、評価もされず放置されている
■利用者の死によってケアが終わるが、そのケアの評価は残 された家族によって行われる
【進行がんにおけるリンパ浮腫の特徴】
領域 3-2-3 ファシリテーター用
がん疾患におけるリンパ浮腫の出現頻度
がんの種類 浮腫の部位 頻度
乳がん 上肢 1-54%
悪性リンパ腫(下肢) 下肢 6-80%
泌尿器科がん 下肢/会陰部 10-100%
婦人科がん 下肢 1-48%
• 進行がんにおける(特に終末期)頻度に関する正確なデータはない
• 入院して亡くなる人はほぼ100%?に見られる!
• 非がん疾患における頻度に関する正確なデータもない 南西ロンドン地区 1.33人/1000人
5.4人/1000人(65歳以上) 10.3人/1000人(85歳以上) 特に女性に多い
がん疾患によるリンパ浮腫の出現頻度は報告によって様々です が、乳がん、下肢の悪性リンパ腫、泌尿器がん、婦人科がんに多 いと報告されています。私の経験では、がんが進行するとかなり頻 度が高いと思いますが、おそらく医療従事者は気がついていない と思います。また、本人も痛みなどの苦痛で手いっぱいで、下肢の むくみがあっても訴える余裕がない、あるいは、訴えてもどうしようもな いと思っているのかもしれません。
リンパ浮腫による苦悩(進行がん)
身体的苦悩:重苦感・皮膚の進展による痛 み・合併症(炎症など)による痛みや発熱 など
心理社会的苦悩:日常生活活動の制限・容 姿の変容・「浮腫むと死が近い」との不安
スピリチュアルな苦悩:見捨てられ感(誰 も何もしてくれない)など
がんの進行に伴う苦悩
+
リンパ浮腫に伴う苦悩【リンパ浮腫による苦悩(進行がん)】
このリンパ浮腫による苦悩は、多くの場合がんの進行に伴う様々な 苦悩との二重苦であり、痛みは熱感などの身体的苦悩、日常生 活活動の制限、容姿の変容、あるいは死を予感させるなどの心理 社会的苦悩に加え、浮腫に対して誰も何もしてくれないという「見捨 てられ感」があるものと思われます。
1)リンパ浮腫かどうか (診察、超音波検査等)
2)症状を引きおこしている病態(原因・悪化要因)は何か 3)別の症状がないか
4)病状の進行度および予後
5)症状の患者の生活に与えている影響 ADLに与える影響
QOLに与える影響 6)介護者の有無
リンパ浮腫の評価 【リンパ浮腫の評価】
症状の評価で特に見落としがちなのは、痛みなど別の症状の有 無や症状に本人が生活上困っていることなどの評価です。
がんにおけるリンパ浮腫の原因
手術
放射線治照射
リンパ節転移:腋窩・頚部・腹腔内大動脈 周囲・鼡径部
腹圧上昇に伴うリンパ流の障害 反復する感染症
【がんにおけるリンパ浮腫の原因】
領域 3-2-3 ファシリテーター用
リンパ浮腫のマネジメント
•
原因あるいは憎悪因子に対して補正できるこ とを補正する•
患者および家族への説明•
薬物療法•
非薬物療法(複合的理学療法等)•
傾聴【リンパ浮腫のマネジメント】
医療者側からの説明
わかりやすい言葉で症状が起こるメカニズムを説明する 今後の病状経過についての説明
(完全によくならないことについても説明)
患者家族からの説明 患者家族のニーズは何か どのような生活を希望するのか どのような支援を期待するのか 療養の場をどうするのか
リンパ浮腫のマネジメント(説明) 【リンパ浮腫のマネジメント(説明)】
・治療を行う前に、病状の説明をごまかさないで行うこと、今後の治 療については、本人や家族の都合、希望、特に療養の場をどうす るのかなどをよく聞き、合意を得ながらすすめることが大事です。
【マネジメント】の原則
•改善可能な悪化要因があればそれをできるだけ改善する
•安楽であることを最善とする
•病態にあわせて治療法を選択する
•必要に応じて家族への指導を行う
•傾聴(患者や家族)
•精神心理面にも配慮する 患者の希望を優先する、精 神心理面に配慮する
「すべてのことをやった」「もうこれ以上やることはない」と 決して言ってはならない
緩和ケア領域におけるリンパ浮腫への対応
【緩和ケア領域におけるリンパ浮腫への対応】
・マネジメントについては、特に安楽であることを最善とし、精神心 理面にも十分配慮することが大事です。そして、決して「もうこれ以 上やることはない」とは言いがちですが、言わないことです。
複合的理学療法の内容とプロセス
所見、治療構成の確認
スキンケア・皮膚の消毒
(慢性炎症・下腿潰瘍などがある場合など)
医療徒手リンパドレナージ(マッサージ)
弾性包帯および弾性圧迫衣などによる圧迫療法
排液効果を促す運動療法
(理学療法/リハビリテーション)
セルフマッサージ/セルフバンデージの指導
自己管理の指導/継続的なサポート
【複合的理学療法の内容とプロセス】
領域 3-2-3 ファシリテーター用
緩和ケアにおけるリンパ浮腫治療の意義
• リンパ浮腫の軽減 ADLの改善
QOLの改善(家族も含め)
• 支援者(医療従事者・介護従事者)と の関係性の構築と保持
• 家族との絆の保持
そのような視点にたって、リンパ浮腫治療を行うと、これまでの経験 では、それまで硬かった皮膚が軟らかくなり、硬い表情も明るくなり、
笑顔が見られます。歩くのが辛かった人が辛くなく歩けるようになり、
また、亡くなる前にリンパ浮腫が急によくなった人もいます。
さらに、肌の触れ合いが関係性を深め、家族が行うことでその絆も 高まるものと期待されます。そして、なにより、「見捨てられていない」
ことを実感し、「見捨てていない」ことを具現化しています。