第 3 章 :全体配置に関する初期計画
3.3 配置図の作成手順と配置図
3.3.3 石炭浮体
図3.19 フラットバージ型
3)貨物艙形式
3.1) 貨物艙形式(1)
フラットバージ式では単純に浮力支持しているが,浮体上甲板周囲に土手を設 けると浮体表面(上甲板)が水面下に沈下しても浸水しない空間(浮力)を確保 できるので,石炭の積み高さは自由に設定できるメリットでてくる.またその土 手や内部の仕切りを構造隔壁として計画すれば,構造強度に寄与できると考えら れる.フラット式の浮力体部分をえぐり船舶の貨物艙(ホールド)形式として石 炭を積載する方式である.バルクキャリアの貨物艙を寄せ集めた感じになるが,
横強度や捩じり強度に対する検討が必要である.
なお,貨物艙を仕切る隔壁は,内部を配管やベルトコンベヤの配置あるいは内
図3.20 石炭浮体一般配置図(貨物艙形式(1))
3.2) 貨物艙形式(2)
貯蔵量を多くするため全体の長さを大きくし,かつ貨物艙の数を増やした場合 を下図に示すが,幅方向に貨物艙が4列になり,石炭の横持ちが長くなり荷役効 率が落ちると思われる.なお,舷側長さが長くなったので,バルクキャリアが同 時に 2 隻接舷できるようになった.多くの種類の石炭を貯蔵できるメリットが あるが,荷役効率は少し落ちると思われる.また建造時のユニット分割が難しい と思われる.
図3.21 石炭浮体一般配置図(貨物艙形式(2))
3.3) 貨物艙形式(3):造船の建造能力も考慮した配置
前記の配置と似ているが,建造時のユニット分割も考慮した配置である.最終 的にはこの案を検討対象とした.
図3.22 石炭浮体一般配置図(貨物艙形式(3),以後Model-4と呼ぶ)
なお,これ以降の石炭浮体に関する構造,係留などの検討を上図のModel-4をベー スとしているが,検討過程において,配置は変更無いが,構造を改良訂正したものを
Model―6 として扱う.また万一の強度不足を考慮して,貨物艙の長さを半分にして区
画数を2倍にした配置図をModel―10 として強度の検討に加えた.後の章(4.6.9)に示 す.
3.3.4 貨物艙のサイズおよび浮体全体大きさの検討 1)長手方向の長さ
曳航中のユニットとしての強度をNKバージ規則に基づいて,長手方向強度(必要 断面係数)の計算結果から,長手方向の貨物艙の長さは 130m とし,長手方向 区画 数を4とする.その場合,全体長さは
20.0m+130.0m+10.0m+130.0m+10.0m+130.0m+10.0m+130.0m+20.0m=590.0m となる.
2)幅方向の長さ
建造時のユニット大きさは,造船所のドックに入渠できるサイズにする必要がある.
故にユニット幅の最大を 60.0m とする.また,全体のホールド容積として石炭50.0 万 t を貯蔵するため,石炭嵩比重を仮に 10t/m²,ホールド積込み深さを10.0m とす ると,必要なホールド面積は約50,000m²となる.また必要なホールドの幅方向大きさ は
50,000m²/130.0m/4=96.2m⇒100.0m
これを3列に配分する必要があるが,建造ユニット幅を考慮して,各々は 30.0m + 40.0m + 30.0m = 100.0m
幅全体では
20.0m+30.0m+10.0m+40.0m+10.0m+30.0m+20.0m=160.0m と配分する.
3)全体の大きさは
L:590.0m,B:160.0m
4)分割された時の各ユニットの大きさ(建造ユニットサイズ)
表3.7 ユニットサイズ 160.0m×60.0m
全周ガーダー有
140.0m×60.0m 前方ガーダー無
130.0m×60.0m 長手ガーダー有
160.0m×60.0m 全周ガーダー有 150.0m×40.0m
長手ガーダー無
140.0m×40.0m 後方ガーダー有
130.0m×40.0m 全ガーダー無
150.0m×40.0m 長手ガーダー無 160.0m×60.0m
全周ガーダー有
140.0m×60.0m 前方ガーダー無
130.0m×60.0m 長手ガーダー有
160.0m×60.0m 全周ガーダー有
※(ガーダーとは上甲板まである深さ15.0mの垂直隔壁を指す)
5)喫水,乾舷,バラストタンク容積の検討
図3.23 石炭浮体の積荷,喫水,バラストの関係
石炭貯蔵浮体の喫水、乾舷の検討 1)満載状態
・バラストタンク;空 ・石炭積み付け高さ; 11.2m
・ 底部圧力10ton/m²相当 乾舷;8.8 m ・石炭嵩比重;0.89ton/m³
・仮定全体構造重量; 1.0ton/m² 11.2m (石炭満載)
(初期喫水検討用数値)
2)中間状態 喫水;6,2 m
石炭の積み付け状態に合わせ
構造と浮体傾斜を考慮してバラスト 5.0m (バラストタンク:空)
調整を行う
乾舷;11.3 m (空荷状態)
3)空荷状態(バラスト状態)
喫水;3.7 m
(バラスト満載)
4)完全空荷状態(完成状態)
13.8m
バラストタンク;空 喫水;1.2m
石炭槽;
6)全体の主要目
第1段階としては,上記検討の結果から下記の表にまとめた.
表3.8 浮体全体の主要目
ケース1 ケース2 ケース3 主要目と喫水など 満載状態 バラスト状態 空荷状態 長さ:L 590.0[m] 590.0[m] 590.0[m]
幅:B 160.0[m] 160.0[m] 160.0[m]
構造深さ:D 15.0[m] 15.0[m] 15.0[m]
二重底高さ:h 5.0[m] 5.0[m] 5.0[m]
喫水:d 6.2[m] 3.7[m] 1.2[m]
乾舷:f 8.8[m] 11.3[m] 3.8[m]
上甲板上石炭積高:h 1.2[m] -- -- 水面上側面積Aw 2,950.0[m²] 6,667.0[m²] 8,142.0[m²]
水面下側面積Ar 5,900.0[m²] 2,183.0[m²] 708.0[m²]
7)バラストタンク配置の検討
上記5)に示したように貨物艙の下部は全てバラストタンクとした.その理由は
7.1) 浮体の喫水変化を出来るだけ小さくして荷役効率を上げるため
7.2) 石炭積載状態は様々に変化するがその時でも構造に働く荷重変動をできるだ け小さくするためである
図3.24 バラストタンク配置
3.4 設置海域の自然環境条件
3.4.1 医療浮体
1)東京湾の場合
表3.9 東京湾の自然条件
再現期間 確立風速 確立波高
実験海域 東京灯標 実験海域 東京灯標
5年 29.8[m/s] 29.1[m/s] 2.40[m/s] 2.40[m/s]
10年 31.7[m/s] 31.1[m/s] 2.64[m/s] 2.69[m/s]
30年 34.6[m/s] 34.3[m/s] 3.03[m/s] 3.11[m/s]
2)荒川へ設置した場合の自然条件を下記に示す.
表3.10 荒川の自然条件
U [m/s] V [m/s] Cd h [m] n
34.0 2.5 1.5 3.5 10.0
ただし,U:風速,V:水の流速,Cd:流体の効力係数,h:水深,n:地盤の平均値