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初期計画における安全性検討の考え方

第 4 章 :構造強度の初期計画

4.3 初期計画における安全性検討の考え方

4.2.1 局部材の設定

局部材の寸法設定は,多くの実績と長い歴史を持つ船体構造(板壁構造)をモデルと して検討する.

1)例えば船底外板については,最も標準的なパネルを設定し,喫水や浮体運動により 発生する最大水深に対してもそのパネルに亀裂や座屈が発生しないように部材寸 法と補剛材などの配置を決定する.また浮体空港の滑走路については,航空機の輪 荷重に対して同じ考えで寸法と配置を決定する.

2)浮体外部側壁は最大波高での波圧に耐える必要がる.

3)また,バラストタンクがある場合は最大水頭について同じ考えで部材を設定する.

バラストタンクにはバラスト水の出し入れが容易なように空気抜き管が装備され その管頭は上甲板上に設置される.そこまでバラスト水が溢れる場合もあるので,

想定されるタンク底部への圧力はタンクの上端部からの圧力とは限らないので注 意を要する.石炭浮体の検討で実例を示す.

4)更に,大型浮体を建造する場合は,まず浮体をドック等で建造可能な小さいユニッ トに分割して建造し,最後に洋上でユニット同士を接合して完成させることが想定 される.その場合ユニットは海上を曳航して集合させるので,曳航中の強度を保持 せねばならない.そこでユニットを箱型バージと見做し,NK規則のバージ規則を 準用して局部材を設定することができる.医療浮体の項で実例を示す.

4.2.2 全体強度算定

全体強度の算定については,石炭浮体については MSC/NASTRAN による波も考慮 した準静的な解析と4.2で述べた弾性応答解析プログラムによる動的解析を行い,比較 評価を実施した.

MSC/NASTRANを使ったのは現在多くの構造解析で使用されており,比較的扱いが

容易であると考えたからであるが,後章で詳述するが,結果としては弾性応答が顕著な 浮体では誤差が大きいことが判明した.

大型浮体では初期計画の段階でも弾性応答解析プログラムが必要であることが明ら かになったのは浮体の計画法の確立のために大きな意義がある.

なお,医療浮体については主要目が小さいので弾性応答が発生する可能性は小さいと 思われるが,平面積に比べ構造深さが小さく,弾性変形も予想される確認のため石炭浮 体と同様な弾性応答解析も実施した.

初期計画における構造強度検討はそれ自身のアウトプットも重要であるが,その過程 で課題や問題点を抽出しておくと,そのプロジェクトが実現した場合,基本計画,詳細 設計をどのように進めるかを決める場合に大いに参考になり,効率的なプロジェクトの 進行に役立つと思われる.

本研究の強度検討もこの方法に倣った.

安全率の設定では,部材の強度のみでなく荷重を発生させる波浪等の外力に関しては,

波浪外力で発生する荷重に安全係数を考慮して許容応力を設定するなど,かなり高度な 手順になっている(限界状態設計法).しかし短期間で結果を出すことが要求される初 期計画の段階では,許容応力法を採用して,簡単に入力としての設計条件に十分な余裕 を取り,部材の許容応力は例えば部材の引張り降伏応力の0.8倍として判定する.また 波浪条件は設置海域の極大一波を想定し,また波向きなども最も厳しい方向で検討する.

風なども同じ考えで取り扱う.

4.3.2 超大型浮体の構造安全性に関係する規則,基準について

なお,現在では超大型浮体での構造安全の検討に関してはまだ実績がないため,

既存の規則や基準を準用して進めるしかない.メガフロート技術研究組合が設定した

「超大型浮体式構造物,技術基準案・同解説」8)(平成 11 年3 月)が最も参考になる が,それ以外でも参考になる資料があるので,参考までに以下に紹介する.

出典:メガフロート技術研究組合,超大型浮体式構造物「技術基準案・同解説」

図4.5 超大型浮体の構造安全に関連する既存基準8)

出典:メガフロート技術研究組合,超大型浮体式構造物「技術基準案・同解説」

図4.6 限界状態設計法を適用する場合の破損モード8)

出典:メガフロート技術研究組合,超大型浮体式構造物「技術基準案・同解説」

図4.7 限界状態設計法における荷重の組合せと安全係数8)