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知的財産権、標準化および成果の普及

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概 要

3. 知的財産権、標準化および成果の普及

2.3 研究開発項目③「安全技術を導入した移動作業型(自律が中心)生活 支援ロボットの開発、安全技術を導入した生活公共空間及びビルの移動作業型 ロボットシステムの開発」の成果 【富士重工業株式会社】

1)研究開発の概要

(1)事業目的

①背景

富士重工業は、オフィスビルの清掃ロボットシステム、連結式容器交換ロボット の実用化と販売を進めており、数々のオフィスビル、空港、工場等に納入している。

これらのロボットは、人との共存を極力避けるような時間帯や、建物の共用部等の 限られた部分での運用としていた。

しかし、作業者不足、セキュリティーの問題、清掃単価の上昇等により、事務所 内等の専用エリアの清掃作業や、ビル内で排出されるゴミの収集と分別課金、さら にゴミの CO2換算までもが自動化されることが求められている。また近年は、建物 の清掃品質が欧米並またはそれ以上であることが求められている。

駅においては、従来の駅の概念と異なり、生活用品、食品を販売し、さらに銀行 等の社会インフラまでも含むショッピングセンターとなってきている。これは、空 港や高速道路のサービスエリアの有効活用法の1つでもある。富士重工業は、この ような建物空間を「生活公共空間」と呼ぶ。この空間における清掃品質は、従来の 駅のレベルをはるかに超えており、清掃面積も広域である。そのため人と共存しつ つ、昼間に清掃せざるを得ない。

オフィスビルの事務所等の専用部は、廊下、エレベータホール等の共用部よりも 清掃面積が大きく、多大な労力を必要としている。しかしセキュリティーや作業者 の信用度の問題もあり、清掃単価は高い。共用エリアでも、夜間は作業者の確保が 難しく、同様にセキュリティーの問題もあるため、人と共存する昼間清掃に移行し つつある。

また、派遣切り等があるとは言え、日本は少子高齢化であり、一般清掃のような 機械化できる作業は機械化(ロボット化)し、人的資源を有効活用しなければなら ない。現在、清掃作業員は不足しており、作業者の確保が非常に難しくなってきて いる。そのため清掃品質の向上、清掃単価低減、ゴミの収集コスト低減等、夜間作 業だけでなく、人と共存した昼間における清掃、ゴミ収集等の機械化(ロボット化)

は必須の課題となる。

②目的

以上のような背景に対して、本プロジェクトでは、生活支援ロボットとして産業 化が期待される清掃ロボット等を対象に策定、技術開発、実環境での試験による実

用化等を目的とする。

・安全性検証手法研究開発実施者と連携し、リスクアセスメントの具体的検証方法 の策定及び安全性試験項目の策定

・移動作業型ロボットシステムにおけるリスクアセスメントの具体的検証方法の策 定、リスク低減に必要な安全技術の具体的開発

・開発した安全技術を既に実用化している清掃ロボットに搭載し、安全性試験項 目の策定とそれに基づいた検証、実環境での試験による実用化

・人と共存する生活公共空間及びビルへの移動作業型ロボットシステム導入

(2)事業概要

①対象とするロボット

(a)人と共存するオフィスビル清掃ロボットシステム(共用部、専用部等の閉鎖空間)

(ア)使用目的

オフィスビルにおいて各階のフロアは、廊下やエレベータホール等、利用者が 共用して使う共用部と、事務所や会議室等、特定の人が使う専用部に分けられる。

一般にオフィスビルにおいては、ビルの性質上、専用部の面積は共用部の面積よ りも、はるかに広く作られている。そのため、ビルメンテナンス会社からは専用 部の清掃の自動化への要望は非常に高い。

しかし、専用部においては、机やゴミ箱等の移動による環境変化が頻繁であ り、未だに人手で清掃を行っている。その結果、深夜や早朝のオフィスが稼動す る前の短い時間に大量の作業者が必要となっており、今後の少子高齢化により作 業者の確保が難しくなることが懸念されている。

そのため、オフィスビルの専用部500[m2]以下を無人で清掃するロボットシス テムが求められている。また共用部においても同様に作業者不足の問題もあり、

昼間での人と共存する清掃ロボットシステムが求められている。ロボット清掃は 当面は夜間に行うが、セキュリティ等の関係上、早朝でのロボット清掃の要求も 多い。したがってある程度人との共存が必要となる。しかし、現行の清掃ロボッ トは夜間清掃で人の往来が少ない環境で、かつ廊下やエレベータホールの固定物 の移動がない共用エリアでの環境下で運用を行っている。そのため昼間、人と共 存しオフィスビル専用部内で清掃を行うためには、より安全性の高いロボットと する必要がある。そこで、リスクアセスメントの具体的な内容の策定と実施、リ スク低減に必要な安全技術の開発と、安全性検証を行い、清掃ロボットシステム を構築する。本ロボットは富士重工業が所有する専用部小型ロボットをベースに 安全技術を搭載していく。

実行目標を想定した応用例

図Ⅲ.2.3-1 事務所(オフィスビル専用部)

共用部清掃ロボット 専用部小型清掃ロボット 図Ⅲ.2.3-2 既存のオフィスビル清掃ロボット

(イ)ロボットに要求される仕様 オフィスビル専用部

・机等を回避しながら床面の清掃を行う

・物が置かれても回避しながら清掃する

・経路変更への迅速な対応

・清掃残しをなくすため、高精度かつ確実な走行

・作業者と比べ遜色のない清掃品質

・専用部を移動可能なサイズ 全長450mm×全幅450mm×全高450mm

・最大速度30m/min

・清掃吸気排気フィルタ搭載

オフィスビル共用部

・経路変更への迅速な対応

・清掃残しをなくすため、高精度かつ確実な走行

・作業者と比べ遜色のない清掃品質

・人と共存してエレベータと自動的に乗降が可能

・共用部を移動可能かつ、エレベータへの乗降が可能なサイズ

全長850mm×全幅720mm×全高1300mm

・清掃排気フィルタ搭載

※机、キャビネット、

事務機器は移動しない

(b)人と共存する生活公共空間清掃ロボットシステム(駅、空港等の開放空間)

(ア)使用目的

近年、構内に飲食店,衣料品店,書店,コンビニエンスストア,銀行 ATM 等 が存在する駅が増えている。このような生活必需品を中心とした商業スペース は駅中(生活公共空間)と呼ばれ、多くの人間が往来し、広大な面積を有し清掃 品質高レベルが要求される開放空間(生活公共空間)である。現在は人手によっ て清掃が行われているが、更に作業時間は終電から始電までの間の2~3時間 程度しかとることが出来ず、このため多くの労働力を要する。さらに現在の都 心部では少子高齢化により作業者の確保が難しくなっており、今後さらに都心 部以外でも作業者の確保は困難となることが予想される。これらの解決のため に駅構内の清掃を無人で行うロボットが求められている。しかし、現状の清掃 ロボットは、主として人の往来の少ない夜間のオフィスビルを対象としたもの であり、駅中のような不特定多数の人が往来する場所には適さない。そこで、

人と共存する生活公共空間清掃ロボットシステムのリスクアセスメントを行い 既存の清掃ロボットに開発する安全技術を搭載し、安全性検証を行い、生活公 共空間清掃ロボットを構築する。

実行目標を想定した応用例

図Ⅲ.2.3-3 駅中(生活公共空間)

図Ⅲ.2.3-4 既存の開放空間清掃ロボット

(イ)ロボットに要求される仕様

本ロボットに要求される機能を以下に示す。

・人と共存する環境において、人や固定物に接触することなく、安全に走行

・ハードフロアにおいて、清掃残しが無いよう、高精度かつ確実な走行

・広範囲清掃を限られた時間で行うため昼間最大速度30m/min、

・夜間最大速度 50m/min

(c)人と共存する搬送ロボットシステム

(ア)使用目的

既存の連結式容器交換ロボットは、クリーンルームなど人と共存しない限定 されたエリアで使用されてきた。しかし、製薬会社、食品会社等は、製品の製 造工程の自動化は進んでいるものの、工程間の搬送等のハンドリングの自動化 は進んでいない場合が多い。

そこで、安全技術の導入を行うことにより、人と共存する一般の製造ライン への導入を実現する。

これらのロボットは、すでに製薬会社で実用化している連結式容器交換ロボ ットをベースとし、必要な機能を実現できるよう改造を施し、本研究の安全技 術開発、リスクアセスメント、安全性検証等に用いる。

図Ⅲ.2.3-5 既存の搬送ロボット

(イ)ロボットに要求される仕様 工場内搬送

・最大200kgの搬送重量

・搬送台車を自動連結

・人と共存するエレベータ自動乗降し、工程間を搬送 ・最大速度30m/min

②研究開発の概要

既に実用化・販売している清掃ロボット、連結式容器搬送ロボットを参考に、安全 性検証手法研究開発実施者と連携して、人と共存する清掃ロボットシステム及び人と

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