IEC 61508
26 コマを予定
富士重工業 農業用ロボット 住友商事
講演 ブース 専用部ロボットデモスペース
(オフィス内を再現)
Ⅲ-98
図Ⅲ.2.3-10 富士重工業ブース(第 2 案)パース図
図Ⅲ.2.3-11 富士重工業ブース(第 2 案)平面図
講演 ブース 共用部ロボット
デモスペース
(オフィスビル 廊下を再現)
専用部ロボットデモスペース
(オフィス内を再現)
Ⅲ-99
(5)成果の最終目標の達成可能性
各個別研究開発項目における最終目標の達成可能性を以下に示す。
安定走行技術、自律走行技術、自己位置認識技術については、計画通り完了し、目 標達成している。
人とロボットが同乗するエレベータ自動乗降技術は、「人と同乗するサービスロボ ットの運用が可能なエレベータの検査指針」、「実証試験ガイドライン」を制定して おり、計画以上の成果を出している。
実証試験についても、平成 24 年度からの計画を前倒しして、実施しており、既に 10 のビルにて試験を行っている。
他の研究開発項目についても計画通り進捗しており、全ての研究開発項目が最終 目標を達成する見込みである。
表Ⅲ.2.3-11
①リスクアセスメント等
最終目標(平成 25 年度末) 達成見通し
リスク アセスメント ISO 12100-1:2003
「リスクアセスメント」
・準備、制限の決定
・危険源の同定、リスク見積、評価、
低減
目標達成済 実施済
安全性 試験項目 清掃ロボットとしての安全性試験 項目の策定
目標達成済 実施済
安全性レベル
ISO 13849-1:2006
「機械類の安全確保をするための設 計の安全性レベル検討の一般原則」
・PLr、PL による検証
・妥当性確認
目標達成可能
PLr、PL による検証を実施しており、充 分達成可能
IEC 61508
「電気安全関連システムの規格によ る安全性レベルの検討」
・SIL(安全度水準)による検証
・妥当性確認
目標達成可能
H23 年 8 月より開始
予定通り進捗
Ⅲ-100 表Ⅲ.2.3-12
②安全技術:リスク低減技術
最終目標(平成 25 年度末) 達成見通し
安定走行 技術
・床面の影響を受けない安全走行 目標達成済 実証試験完了
・安全コンポーネントによる制御回路 設計
目標達成可能
安全リレー、安全非常停止 SW、
安全コンタクタ選定
人・障害物 回避技 術
・レーザレンジファインダによる 人・固定物の回避
目標達成可能 衝突リスク決定
車体制御法の仕様確定 自律 走行 技術 ・指定された走行経路をズレなく
走行
(ガラス戸、下り階段等の危険 箇所へ近づかない)
目標達成済
実証試験完了
自己診断 技術
ロボットの異常を通知 目標達成済 実証試験完了 目標達成可能
オペレータへ異常通知も予定通り進捗 危険予防 技術 人にロボット走行方向を通知 目標達成済
実証試験完了
人と ロボット が同 乗 する エ レ ベ ー タ 自動乗降技 術
指針の制定 目標達成済
・指針
(※注記)、ガイドライン制定済
実証試験 目標達成可能
仕様確定、システム検討実施、
予定通り進捗
※注記 平成 19 年、「サービスロボットの運用が可能なエレベータの検査運用指針
(人と同乗しない)」も制定済
Ⅲ-101 表Ⅲ.2.3-13
③安全技術:安全要素技術
最終目標(平成 25 年度末) 達成見通し
自己位置 認識技 術
自己位置と方向を正確に認識し て安全な移動、作業移動
目標達成済 実証試験完了
安全 環境 認識技 術
人と固定物を判別可能 目標達成可能
・人と固定物の区別と距離計測が可能な センサ確定
・プログラム検討は予定通り進捗
環境 地図 生成技 術
・走行プログラム自動生成シス テム監理手順
目標達成済 実証試験完了
・プログラム適正確認シミュレ ーションシステム
目標達成可能
・シミュレーションシステムも予定通り 計画技術 動的動作 進捗
固 定 障 害 物 は 回 避 し 経 路 に 戻 り、動的障害物は停止
目標達成可能
・H24 年度より予定通り開始可能
Ⅲ-102 表Ⅲ.2.3-14
④安全性検証
最終目標(平成 25 年度末) 達成見通し
安全性 試 験 社内試験
・試験用プログラム開発
目標達成済
・社内試験完了
・既存清掃ロボットで動作確認
安全 検証
セン ター ・安全性試験項目実施
目標達成可能
・清掃ロボットの全 12 試験項目実施済
・新製ロボットでの試験達成可能
実証試験 実フィールドで実施
晴海トリトン Y 棟、W 棟、Z 棟、森 タワー、
神田和泉町ビル、デンソー本社、
住友ビル本館 等、10 のビル
目標達成可能
H23 年度より前倒しで実施
Ⅲ-103
2.4 研究開発項目③「安全技術を導入した移動作業型(自律が中心)生活支援ロ ボットの開発、安全技術を導入した警備ロボットシステムの開発」の成果
【綜合警備保障株式会社、北陽電機株式会社、三菱電機特機システム株式会社】
(1)背景と目的
警備業は機械警備、常駐警備、警備輸送などの業務により構成され、警備員や技術員がユーザ ーにサービスを提供することにより成り立っているが、「労働集約性の高い常駐警備の効率化」「少 子高齢化社会に伴う労働力不足への対応」「警備員の受傷事故・負担軽減」等の課題あり、機械化 が求められている。
警備用ロボットは大規模な商業施設、ショッピングセンター、空港、オフィスビルなどの施設 における常駐警備業務の中で「ロボットが得意とする繰り返しの作業」をロボットに担当させ、
逆に「人にしかできないこと」「人の判断が必要なこと」は警備員が担当し、人とロボットが協力 して働くことにより、警備水準を効率的に高めることを目的としている。警備ロボットの主たる 任務は、自律走行技術を用いた巡回業務、および定点監視を実施する立哨業務である。走行中、
周囲に人が近づいた場合は距離センサ人を感知し減速や停止処理を行っているが、商業施設など 多数の人が存在する環境ではロボットが頻繁に停止してしまい、決められた時間内での巡回実施 が困難となっている。
本事業では、障害物回避技術の開発や対人安全技術の向上により、雑踏の中での自律走行が可 能となり、「動哨」や「移動しながらの能動的な案内」が実現され、警備ロボットの運用範囲が大 きく拡大されるなど、従来よりも幅広い環境への警備ロボット導入を可能とすることを目的とす る。
(2)概要
本事業ではロボットが周囲の障害物や人間の位置や動きを検知することで衝突リスクを見積も り、障害物回避や音声による注意喚起を行うことで、人が多数存在する環境中でも自律走行が可 能な技術の開発を行った。
具体的には安全性検証手法研究開発実施者と連携し、安全性試験方法や検証手順を開発しなが ら、リスクアセスメントを行った。また、その他に回避技術や危険予防技術の開発、測域センサ や冗長性データバスなどの開発、および本質的安全設計等の安全技術の開発を行った。
(3) 成果詳細
① リスクアセスメントに関する研究開発
ア 現行警備ロボットのリスクアセスメントについて
現行の警備ロボット「リボーグQ」は 2005 年にまとめられた愛知万博のロボット安全性 ガイドライン調査専門委員会の指針に基づき、ISO/IEC Guide51(JIS Z8051)、ISO14121
(JIS B9702) リスクアセスメントの原則、ISO 12100(JIS B9700) 安全の一般原則に沿 った安全設計を行っている。
自律的な判断に基づいて巡回監視や案内を行う警備ロボットを開発するにあたり、ロボッ トの使用目的、使用シーン及び運用シナリオ等を考慮し、安全性検証手法研究開発実施者と 連携し、リボーグQのリスクアセスメントの見直しを行い、追加方策を決定した。また、当 初は本質安全設計を重視したコンセプトであったが、機能安全も考慮し、安全性検証手法研 究開発実施者と共に検討を進めることとした。
Ⅲ-104 (ア) 安全関連系の定義について
ロボット内部は走行関係を制御する駆動・制御系、案内を行うサービス機能系に分けら れる。
ロボットの走行制御に関し、緊急停止にかかる関連する系を定義し、安全関連系として 独立した系を定義した。安全関連系は機能安全を考慮し、IEC61508(JIS C0508)準拠を目 標とした。
図 Ⅲ.2.4-1 安全関連系の対象範囲 (イ) リスク分析方法の変更
安全性検証手法研究開発実施者との協議の中でリスク評価方法を変更した。これまで採 用していたリスクグラフでは一度重大な危険側に倒れると全体的な危険度が上がる傾向に あり、ロボットシステムでは過剰品質を求められる可能性があるため、リスクマトリック スを用いたリスク分析を実施した。
リスク許容の定義(ALARP) については、IEC61508 第5部付属書 B を参考とし、表
Ⅲ.2.4-1と表Ⅲ.2.4-2に示すリスク許容定義とリスク等級を用いた。
Ⅲ-105
表 Ⅲ.2.4-1 リスク許容定義 結果
頻度
破局的な 重大な 軽微な 無視できる
頻繁に起きる Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅱ
かなり起きる Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅲ
たまに起きる Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅲ
あまり起こらない Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅳ 起こりそうに無い Ⅲ Ⅲ Ⅳ Ⅳ
信じられない Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ
表 Ⅲ.2.4-2 リスク等級
リスク等級 説明
Ⅰ 許容できないリスク
Ⅱ (ALARP領域)
好ましくないリスク。
リスク軽減にかかる費用対効果が著しく不均衡である場合の み許容される。
Ⅲ (ALARP領域)
リスク軽減にかかる費用が、得られる改善効果を超える場合、
許容される。
Ⅳ 無視できるリスク
(ウ) リスク分析の定義
リスク抽出について、危害の過酷度、潜在危険に人が曝される頻度・期間、危険事象の発 生確率、危害を回避又は危害を限定的にする確率を以下の(i)~(ⅵ)の通りとした。
(i) 危害の過酷度(Se)
表 Ⅲ.2.4-3 危害の過酷度
被害者の状態 コンシクエンス(被害の程度) Se 不可逆性
(回復不能)
死亡、眼球もしくは四肢の欠損 4
四肢の損壊、指趾の欠損 3
可逆性 (回復可能)
医療従事者(医師)の手当てを必要とするもの 2
応急処置を要するもの 1
表Ⅲ.2.4-4 コンシクエンス・リスク等級対応表
コンシクエンス(被害の程度) リスク等級の「結果」
死亡、眼球もしくは四肢の欠損 重大な
四肢の損壊、指趾の欠損 重大な
医療従事者(医師)の手当てを必要とするもの 軽微な
応急処置を要するもの 無視できる
リスク等級上の「破局的な」被害に該当する事象は存在しない。