3.5 垂直投影においての必要十分条件
前節では,直方体状のある線画Dが直方体の中心投影図として立体実 現可能であるための必要十分条件について考えてきたが,以下,線画Dが 垂直投影図として直方体で立体実現可能であるための必要十分条件につ いて述べていく.
まず必要条件として,垂直投影は平行投影でもあったので,定理1.4.6よ り,実現した立体において平行な線分は投影面上でも平行な線分になる.
つまり,直方体の垂直投影図は直方体状の線画で,3組の平行な線分でつ くられる必要がある.しかしそれだけで直方体としての立体実現するた めの条件として足りるであろうか1以下,直方体で立体実現可能であるた めの条件を考えていく.
補題3.5.1図3.19の直方体を視線方向eで平行投影するとき,P,4,B,
σ,〃,B ,αが全て見えることと,
一一一一合 一一一一》 一一一一→
e=8Pλ十tPB+uP0 (ただし,8<0,亡<0,u<Oとする)
と表されることは同値である.
百
D+
ぺ
ス
Q
D■
図3.19:視線方向eによる直方体PλB0σ 〃B Qの平行投影
一一一一合 → 一一一一→
証明 P■,P百,Pδは互いに垂直なのでR3の基底である.そこで,
一一→ 一一一一→ 一一一一→
e=5Pλ十tPB+刎Pσ
第3章
直方体としての立体実現 84 と表したとき,仮に5≧Oであるとする.また,P0〃Bをeだけ平行移動した点をep,eσ,e−4・,eBとすると,
5≧0より,ep,eo,e〃,eBは平面Pσ〃一B上,もしくはこの平面に 関してλ側にある.このとき,士,uの符号に応じて線分Pep,BeB,
σθo,λ θA。のいずれかが直方体と交わるので,P,0,B,λ のいずれ
かが見えなくなる.亡≧O,もしくはu≧Oと仮定しても同様なので,
P,λ,B,0,〃,B ,αが見えるなら8<O,t<0,u<0である.
百
A
図3,20:8>0のとき直方体の見えない頂点 一方で,視線方向eが,
一一一一→ 一一→ 一一一一合
e:5Pλ十左PB+uP0 (ただし,8,亡,u<0)
と表せるとする.
ここで,直方体の点をXとおくとXは,
→ → 一→ →
PX=zPλ十μPB+zP0 (ただし, ,μ,z≧0である) (3,4)
と表せる.また,γをP,λ,B,0,〃,B ,αのいずれかの点とすると,
アは,
一一一一→ 一一一一→ 一一一一→ 一一一一合
Pγ= opλ十μopB+zop0
(ただし, o,蜘,zoのいずれかは0である)
と表せる.γからe方向に伸びる半直線上の点下とおくと,
一一一一ィ 一一一→
PT=Pγ十んe
→ → 一一一一÷
=(zo+ん8)PA+(μo+砒)PB+(zo+んu)Pσ (ただし,ん≧O)
第3章 直方体としての立体実現 85 と表せる.仮定より5,t,伽は負であるので,ん≠Oのとき,ん8,肋,んuも負 となる.また,zo,μo,zoのいずれかは0なので,zo+ん8,μo+肋,zo+んu のいずれかは負である.
したがって(3.4)により,Tは直方体上の点となりえないのでγ=
P,λ,B,0,〃,B ,αは見えることとなる. □ このことを用いて,垂直投影において立体の頂点が見えるための条件を
述べる.
定理3.5.2図3.21の直方体を垂直投影するとき,P,λ,B,0,〃,B ,
σ が全て見えることと,λ,B,σのz座標がPのz座標よりも小さい
ことは同値である.
百
一n 巨
人
BI
D+ D一
図321視線方向一ηによる直方体P4B0α〃B ρの垂直投影
証明 肌=(0,0,一1)とおき,D+内の視線方向を一ηとする.もしも,P,
λ,B,0,〃,B ,σ が見えるならば,補題3.5.1より,
一一一一÷ 一一一一→ 一一一一≒
一肌=8Pλ十士PB+uP0 (ただし,8>0,亡>0,u>0とする)
第3章 直方体としての立体実現 86
→ 一一一一→ 一一一一→
と表される.ここで,肌とPλ,P−B,Pσとの内積をとると,
一→ 一一一一芸 一一一一合 → 一一一一÷ → 一一一一→
(一ん)・Pス=8P五・p■十炉百・pz+uPδ・p■
→
=・1戸酉12<O
一一→ 一一一合 一一一→ 一一一一チ → → 一一一一÷
(一η)・PB=8Pλ・PB+士PB・PB+uP0・PB →
=土1p百12<o
一一一一→ 一一→ 一一一→ 一一一一→ 一一一一→ 一一合 一一一一→
(二九)。P0=8Pλ.P0+士PB,P0+uP0,Pσ →
一・l1戸q2<0
となる.また,原点を0とおくと,一一一→ →
(λのz座標)_(P0)z座標)=0λ、(_肌)_0P.(一η)
一
=一五〕ノ生・η.<O 一一一→ → (Bのz座標)一(Pのz座標)=0B・(一η)一0P・(一肌)
_→ (3,5)
=一エ〕エ3・η<0
一一一一→ 一一一一}
(σのz座標)一(Pのz座標)=00・(一η)一0P・(一肌)
一
=一エ〕(フ・n<O
となるので,λ,B,σのz座標はPのz座標よりも小さい.
次に逆を示すために,λ,B,σのz座標はPのz座標よりも小さいと
一一一一→ → →
する.このとき,(3.5)と同様にしてP4.肌>0,PB.肌>O,P0、η>O である1
一一一→ 一一一一》 一一一→ → 一一一一÷ 一一→
一η=8Pス十亡P百十uP∂と表したとき,Pス,P百,Pδとの内積
をとると,
一一→ → 一一一→ 一一一一≒ 一一一一美 →
(一肌)・P■二・p五12,(一η)・P百=炉珂2,(一η)・戸δ一・l1戸δ12 であるから,
一一一≒≒ → 一一一一}
_η.Pλ 一η・PB 一肌・P0 8: _→ <O,t= → <0,u= _→ <O
lpλ12 1pB12 1po12
となる. 口
第3章 直方体としての立体実現 87 ここで,直方体で立体実現可能である必要条件について次のように述べ る.垂直投影に関しての立体実現問題を考えるので,以下,視線方向は投 影面πに垂直な方向である.
定理3.5.3図3.22のように線分Pλ,Bα,σBノが平行,線分P−B,
σλ ,λαが平行,線分P0,4B ,B〃が平行である直方体状の線画刀 が,垂直投影に関して直方体で立体実現可能であれば,∠λPB,∠0PB,
∠0Pλは鈍角である.
A
C
C B
A
図3.22:3組の平行な線分の群でつくられた線画D
証明 肌=(0,O,一1)とおけば,垂直投影の視線方向は一肌∈D+となる.
今,立体実現可能であると仮定しているので実現された直方体の頂点を 線画の頂点に】を付けて表す.このとき,P,ス,百,δの垂直投影像が P,λ,B,0であるから,
jp=P+伽肌,λ=λ十ん〃,B=B+んBη,0=0+ん。肌
と表される.このとき,加,んλ,んB,ん。はP,A,B,0のz座標の絶対値と なるので,定理3・5・2より,0<伽<んλ,O<んp<紬,0<加<ん。と
一一→r一→一→ ヨニニニ≧二==主 _ なる.よって,Pλ,PB,Pσをα,b,c,とおき,Pλ,PB,Pσを瓦,6,石
どおけば,
瓦:λ一P
=(A+ん一4肌)一(P+んpn)
→
=Pλ十(んガたp)η =α十(たλ一たp)肌
第3章 直方体としての立体実現 88 つまりここで,たλ_んp=ρとおけば,ρ>0で瓦=α十〃となる.
同様に,q=始一加,r=んσ一加(q>O,r>0)とおけば,
b=b+q肌,石=C+rη
となる.
ここで,瓦,わの内積をとると,
瓦・わ=(α十ρη)・(b+qη)=・Oより,
α・b+q(α・η)十ρ(わ・肌)十ρq(肌・肌)=0
となり,α・η=0,b・η=O,肌・η=1より,
α・b=一ρq
となる.
同様に,b,τの内積をとると,b・τ=(b+仰)・(c+r肌)=Oより,
b・・十・(b・η)十q(c・η)十q・(肌・η)=O となり,わ.η=O,c。肌=O,η.η=1より,
ポC:一qr
となる.
また,b,τの内積をとると,乙・瓦=(α十〃)・(c+rn)=0より,
α・・十・(α・η)十ρ(・・㍗)十ρ・(肌・η)=0
となり,α.n=0,c・肌=O,η.肌=1より,
αI C=一ρ「
となる.ここで,ρ,q,rは正であり,α・bとポCとC・αは負なので,
∠0P−B,∠BPλ,∠APσは鈍角となる. . 口
次に,直方体状のある線画Dが垂直投影に関して立体実現可能である ための十分条件について述べる.定理3.5.4図3.23のように線分Pλ,Bα,σB が平行,PB,0〃,λ0 が平行,Pσ,λB ,Bλ が平行である直方体状の線画Dにおいて,∠λPB,
∠σP−B,∠σPλが鈍角であるとき,垂直投影に関して直方体で立体実現 可能である.
第3章 直方体としての立体実現 89
A
C
BI
B
C
図3.23:3組の平行な線分の群でつくられた直方体状の線画D 証明 D+内の視線方向を一肌=(O,0,1)とする。
ここでは線画の立体実現となるような直方体の頂点,特に,P,λ,B,0 が投影像となる頂点■,酉,δ,Pがどのような条件をみたせばよいかを考 え,その条件をみたすものが存在することを示す.
まず,頂点λ,B,σ,Pの投影像がP,A,3,0であるから,
4=A+8肌,B=B+亡η
0=σ十u肌,P=P+1肌 (3.6)
(ただし,8,亡,刎,王>O)
と表せる、
よって,
ゴ
P4=(A+5η)一(P+〜肌)
→
:Pλ十(8−Z)肌
となる.
同様に,