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発電機運用計画からの風力発電大量導入の影響評価

ドキュメント内 多目的発電機運用計画に関する研究 (ページ 36-39)

第 3 章 風力発電大量導入の発電機運用計画最適化問題における

3.1 発電機運用計画からの風力発電大量導入の影響評価

風力発電は自然エネルギー電源の中でも比較的容量が大きく、電力系統から見た場合 火力発電機に対して比較的大きい容量での導入が予想される。

風力発電の大量導入により、発電機運用計画策定に影響が出る可能性がある。という のも風力発電の出力変動は風の強さや向きに依存しており、運用者が運用上で制御でき る自由度が少ないため、その出力変動部分他の発電機がバックアップ電源として賄う必 要があるからである。特に運用に融通の効く火力発電機はその役割を大いに期待されて いる。

本節では風力発電大量導入により、従来あまり考えられなかった系統周波数維持のた めの発電機の垂下特性(Droop)による制約条件を発電機運用計画問題に適用する。

3.1.1 発電機速度垂下特性

火力発電などのタービン発電機、水力発電などの水車発電機は、電力需要に対しその 負荷を適正に配分し且つ安定に運転するため、発電機速度垂下特性という特性を持って いる。電力系統の周波数の変化は基本的には瞬時瞬時のものであるため、制御装置によ らず周波数を維持するための特性が必要である。それがこの速度垂下特性と呼ばれるも のである。

発電機の速度垂下特性は電力系統の周波数を維持するためのもので、発電機ごとに取 り付けられているガナバの速度調定率によって決定する。系統の周波数が下がればこの 速度調定率の値に従い発電出力が増加し周波数の下降を抑制しようとする。一方で、周 波数が上がれば発電出力が減少し周波数の下降を抑制しようとする。

この特性のため、発電機を並行運転する場合には注意が必要である。というのも、発 電機の速度変化率が小さい発電機ほど系統全体に存在するより大きい負荷を分担する ことになるからである。これを説明したのが下図である。図中の曲線は発電機1、2 の 速度特性を示したものであり、横軸が負荷変動、縦軸が発電機の速度特性の値となって いる。発電機1、2がもし仮に同じ曲線で表せられる特性を持っている場合は、負荷変 動 P1、P2があった時、両機の容量に比例して出力を変化させることになる。しかし、

発電機2が2’で描かれる曲線の速度特性、発電機1が先ほどのものと同じ速度特性を 持っていた場合、発電機容量に関わらず速度特性の値の大きい発電機が小さい方の負荷 P1へ対応し、大きい負荷 P2に関しては速度特性の値の小さい発電機が対応することに なる。ここで言う対応とはすなわち負荷変動に対応して発電機出力を増減させることで ある。一般的に発電機の速度調定率は2~7%に設定されている。

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図3.1 速度特性と負荷分担

速度調停率は電力会社内で設備設計の段階で調整されており、並列運転に関して発電 機運用計画策定の段階で考慮する必要はない。しかし、風力発電などの大量導入に伴い、

負荷変動に加えて風力発電による発電機出力の増減も考慮しなければならない昨今で は、発電機の運用策定において上記の速度特性による発電機の出力変動可能量を考慮す る必要が出てくる。というのも、負荷変動+風力発電の出力変動といった大きな変動に 対して発電機が速度調定率にしたがって出力を変化させる場合に、その出力変動可能な 容量を超過してしまうことが起こりうるからである。例えば発電機の上下限出力などに よってそれ以上出力を増加(減少)できないという事態である。

そこで本研究では、この発電機速度垂下特性について下記のように立式し、新たなる 制約条件として提案する。

発電機速度垂下特性の定式化(風力発電大量導入による発電機速度垂下特性の総容量が 足りなくなる可能性を考慮した条件)

(

imax it

,

iup

)

it t

(

t

0) Min PP rd ≥ Δ f       Δ > f

--- (3.1)

(

it imin

,

idown

)

it t

(

t

0) Min PP rd ≥ Δ f       Δ > f

--- (3.2)

pr

it t

i

R ≥ Δ Pw

--- (3.3)

Pw

t

Δ

:時間ごとの電力系統全体における風力発電の出力変動の想定値

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f

t

Δ

:風力発電による周波数変動分

d

i

:発電機ごとの速度垂下特性

pr

R

it :初期予備力(Primary reserve)

上式(3.1)の左辺は周波数変動(周波数が下がる方向)に対して出力を増加させ対応す るための発電機が持つ余力を表したものである。一方で(3.2)は周波数が上がる方向の周 波数変動に対して出力を減少させ対応するための発電機が持つ余力を表したものであ る。これらから算出した余力の合計値が周波数変動に十分対応可能な容量である必要が ある。

また、Δftは対象とする電力系統において、運用している風力発電機容量から算出し たものである。本来であれば、周波数は電力系統全体で一つの値を得られるものである が、本研究では火力発電機の運用計画のみを考えているため、便宜的に取り扱う火力発 電機容量及びバックアップを行うべき風力発電の出力変動値

Δ Pw

tと系統の運用目標

値から算出するものとした。

式(3.3)は全ての起動している発電機の持つPrimary rserveの合計値が想定される風 力発電出力の変動分よりも大きくなければならないという制約条件である。

式(3.1)~(3.3)を第二章で提案した手法に適用することにより、提案手法を自然エネ ルギー電源(今回は特に風力発電としたが)大量導入時の最適化手法に拡張することが できる。

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